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異世界系暗殺者

作者:沙羅双樹
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ご褒美の時間(2016/03/30 一部修正)

 
前書き
イッキの経済力、マジパネェ!!(笑) 

 



【視点:樹】



今日は俺がカスデブ野郎を刻み焼きの血染めにした数日後の日曜日。本来であれば、有希子と2人っきりでデートをする日だったのだが、急遽律を除き有希子を含む12人と駅前のショッピングモールまで出て来ることとなった。

この大人数―――しかも、男女比率1:12の異様な状況でショッピングモールにやって来た理由は、俺が球技大会で女子一同と交わした約束にある。

そう。球技大会で功績を上げた女子に上限金額100万までで何でも買ってやる。試合に直接参戦した女子には、高級ブランドケーキ店の1日梯子をさせてやるって約束を果たす為だ。

今まで色々とあって約束を果たす暇が無かった―――というか、俺を含むクラスの大半が微妙に忘れていたこともあり、今に至った訳だ。

ってか、さっきから周囲の視線がかなり痛い。もし視線に質量があれば俺は死んでいるというくらい、俺に視線が集まっている。

男からは殺気染みた視線を向けられ、女性からは蔑んだ視線を向けられていることが分かる。恐らく、周囲から見れば俺が女子全員を囲ったハーレム野郎に見えるんだろう。

だが、敢えて言わせて貰おう。今日の俺はただのATM―――貢ぐ君でしかない。いや、自分から約束したことだから、貢ぐのは当然なんだけどな。


「イッキ君!こっち、こっち!!」


って、こんな説明してる間に1つ目の目的地に着いたみたいだ。先行していた中村達が呼んでいる。えっと、最初の目的地は―――


「アクセサリーショップ?」
「そうそう。けど、そん所そこらのアクセサリーショップとは訳が違うからね!下手なジュエリーショップより高級な有名店だよ!!」


……確かに、店前のショーケースを覗いてみたが、最低価格が10万と中学生が簡単に買える額ではない品々が並んでいる。女子は全員で相談してまずこの店に来たみたいだ。


「……律からは全員が交代する形で試合に参戦。全員が全員、点数入れて功績上げたって聞いてる。だから、全員合わせて上限金額1100万。それ以内なら何買ってもいいぞ」
「「「「「「「「「「やったー!!」」」」」」」」」」


当初の予定より出費が増えたが、それでも総資産を考えると安いもんだ。女子一同も喜んでるみたいだしな。俺がそんなことを考えていると―――


「って、あれ?1100万?女子は12人だから1200万じゃないの?」
「有希子の分を除外しての額だ。俺は自分の彼女の分まで金額制限する程甲斐性なしじゃない」


茅野が質問して来て、それに対して俺は自然と返答した。そして、店内の商品を見定めている女子に混じり、俺も商品を物色することにした。俺が物色を始めたのは女性用の髪飾りコーナーだ。


「………おっ!これ、いいな」


物色を始めてから数分後。俺は1つの髪飾りに目を付けた。雪の結晶――六花を3つ連ねた形をした純銀製の髪飾りだ。六花の中央にはダイヤと思しき宝石が埋め込まれている。

金額は115万か。造形も中々だし、使用されているダイヤも質のいいもんだ。これで115万なら安いとすら言える。

これは買いだ!そう思った俺は、近くに居た店員に商品を出して貰うことにした。この時、店員が怪しむ様な視線を向けてきたが、俺が持つクレジットカードを見せると態度が変わり、すぐに商品を出してくれた。

ちなみに俺が持っているクレジットはブラックカード。数百万単位での買い物をカード支払いでよくしているから、意外とあっさり手に入ったんだ。

で、六花の髪飾りを店員に出して貰った俺は、少し離れた所で茅野とアクセサリーを見ている有希子を呼んだ。


「有希子、ちょっといいか?」
「何?イッキ君」


俺が呼ぶと有希子は小走りで俺の所にやって来てくれた。そして、俺は店員から受け取った髪飾りを有希子の髪に添えてみる。


「うん。俺の想像通り、この髪飾りは有希子に似合うな」
「はい!まるでお客様の為だけに作られた髪飾りの様です!」


さっきまで怪しむ様な視線を向けていたとは思えないほどの変わり身だな、店員A。……まぁ、いいけど。


「この髪飾りを購入する。クレジット一括払いだ」
「お買い上げ、ありがとうございます。それではお客様、こちらのレジカウンターまで」


俺は先に髪飾りの支払いを終えると、専用のケースに収められた髪飾りをそのまま有希子に渡した。


「有希子、これプレゼント」
「えっ?でも、私球技大会の試合には参加してないよ?」
「本来なら今日は2人っきりでデートする予定だったろ。その詫びも兼ねてのプレゼントだ。受け取ってくれ」
「イッキ君……。それなら遠慮せず貰うね」
「おう、遠慮するな」


この後、他の女子も続々と商品を決めて行き、俺は纏めてクレジット一括払いで精算を済ませた。ってか、殆どの女子は女の子らしい髪飾りやネックレスの類なのに対して、挟間は何故か髑髏物の装飾品だった。

………高級アクセサリーショップに、どうして髑髏物が置いてあったんだろう?謎過ぎるだろ。しかも、純銀製で有希子に送った髪飾りを除けば一番高かったし。

取り敢えず、高級アクセサリーショップでの買い物を終えた後は、残りの金額でそこそこブランド物の夏服や水着の購入につき合わされ、最後は全員で高級ブランドケーキ店を梯子し、夕方には駅前で解散することとなった。

ここまでの語りでは割と平和的に話が終了している様に思えるだろう。だが、この話には後日談がある。

俺が女子一同とショッピングモールを歩いている所を岡島に見られていた様で、翌日の月曜日に教室で男子一同から俺は詰問される事態に陥ったりもした。


 
 

 
後書き
気付いてらっしゃる方もおられると思いますが、イッキが神崎さんにプレゼントした髪飾りは、魔法科高校の劣等生で司波達也が妹の美雪にプレゼントした髪飾りがモデルとなっています。 
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