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地上の楽園

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5部分:第五章


第五章

「白い飯に肉のスープ」
「瓦の家に絹の服だったな」
「そんなのは全然達成されていなかった」
「服にしても」
 食べ物がないのだ。それではだった。
 肝心のそれがなくてはだ。着るものも住むところもだった。
「全部着たきりか」
「そういえば軍服にしろ生地が悪いな」
「デザインも気になるがそれ以前だな」
「住む場所も下層は酷いものらしいし」
「最早最貧国か」
 世界の中でもだ。そうだったのだ。少なくとも新聞やマスコミが中傷しtけいた祖国とは違っていた。しかも全くであった。
「我が国を超えるとか言っていたのにな」
「我が国は経済大国だ。それに対してな」
「あの国は最貧国だ」
「どうにもならない」
「最低の国だな」
 そうした国になっていたのだ。最早だ。
 しかもだ。何故かだ。
 その新聞もテレビも文化人達もだ。今度はだ。
 その国が飢餓状態に陥っている画像や映像をしきりに流してだ。声高に主張するのだった。
「国民は餓えているんです!」
「何とかして助けましょう!」
「向こうに渡った人達も困っています!」
「助け合いです!」
 こう主張するのだった。しかしだ。
 多くの者はだ。記憶というものがある。それでだ。
 彼等の主張にだ。こう反論した。
「あの国は何でもあるんじゃなかったのか?」
「凄く成長しているんじゃなかったのか」
「豊かじゃなかったのか」
「それで何なんだ」
「全然違うぞ」
「しかも国民は餓えていて」
 尚且つだった。その国の非常識な点は。
「あの後継者。元帥様か?」
「領袖様は死んだからな」
「あの民族の太陽だの共有主義の星とか言われている」
「デブでチビでパーマのおっさんだよ」
「あいつは何をしてるんだ」
 その二代目についてもだ。指摘されるに至った。
「国民は皆痩せ細ってるのに自分だけ肥満してな」
「毎日ステーキにメロンにワインにブランデーだっていうじゃないか」
「寿司も専属の職人いるらしいな」
「一人の贅沢の為にあの国の予算の二割使ってるそうじゃないか」
「何処にそんな国があるんだ」
「それが現代の国か」
 こう言い返された。
「大昔の神権国家かよ」
「それだけの金があったらな」
 こうした話になるとだ。誰もが思う当然の帰結に至った。
「国民の生活に使えばいいだろ」
「自分の贅沢と軍にだけ金を使うっていうのはないだろ」
「しかもその軍にしろ」
 軍の使い方も様々だ。そしてその国の軍の使い方はというと。独裁国家の軍の使い方は二つある。二つしかないと言っていい。
 まずは侵略、そしてもう一つは。
「自分の体制維持だけだしな」
「結局自分だけじゃないか」
「自己中心的もいいところだ」
「そんな国に援助なんかするか」
「絶対にするな」
「反対だ、反対」
「大反対だ」
 こうしてだ。新聞も文化人達も論破された。当然テレビもだ。しかも彼等の嘘まで糾弾されるようになっていた。真実は白日の下に曝されていた。
 そしてだ。その国でのことだ。
 
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