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妖女

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4部分:第四章


第四章

「恋人のことね」
「そうです」
 そうなのだった。それを清子に問うのだった。
「おられますか?そういう人は」
「特にいないわね」
 答えはこうだった。
「今はね」
「そうですか」
 少年は清子のその言葉を聞いてまずはほっとするのだった。
「それはよかったです」
「よかったの?」
 表情を変えず少年に尋ねた。
「それで」
「はい。よかったら」
 さっきよりさらに勇気を振り絞って言ってきた。
「僕と。その」
「恋人になりたいのかしら」
「は・・・・・・はい」
 清子の問いにこくりと頷いてきた。
「いけませんか。僕では、その」
「今は時間がないわ」
 即答せずにこう述べる清子だった。
「また時間がある時に来て」
「時間がある時にですか」
「放課後にでも」
 放課後というのだった。彼女がいつも時間を指定されるその時間だ。今度は自分からその時間を指し示したのであった。少年に対して。
「また来て。いいかしら」
「は、はい」
 少年は今にも割れそうな顔で清子のその言葉に頷くのだった。
「わかりました。それじゃあ今日の放課後に」
「場所は何処なのかしら」
 今度は場所を尋ねた。それは自分では指定しなかった。
「場所ですか」
「何処がいいのかしら」
「ええと」
 実はそこまで考えてはいなかったのだ。考えられなかったのだ。清子に声をかけるそのことだけでも必死だったからだ。
 どうしても言えない。言葉が出ない。しかしここで清子の目が赤く光った。その赤い光が少年の目の中に入ったその瞬間に。目が虚ろになり話すのだった。
「まずは学校の校門のところで」
「私の学校ね」
「そうです」
 目は虚ろだったがその言葉はさっきよりもしっかりとしている程だった。その言葉を受けながら清子はその赤い光を消して元の黒い瞳に戻っていた。
「そこで御願いします」
「わかったわ。また放課後にね」
「はい」
 清子の言葉にそのまま頷く。
「会いましょう」
「わかりました」 
 こうやり取りをしてから二人は別れた。そしてその日の放課後。清子が下校に校門の前にやって来るとそこにはもうあの少年がいるのだった。
「早いわね」
「急いで来ました」
 見れば肩で息をしている。全速で走ってここまで来て今やっと辿り着いたらしい。
「遅れたらいけないと思って」
「真面目ね」
 そんな彼を見ての一言だった。
「それでですね」
「ここでは言わないで」
 校門での告白はさせなかった。
「駄目ですか」
「人がいるわ」
 見れば二人の周りには多くの生徒達がいる。下校する者もいれば今から部活という者もいる。どちらにしろ辺りには人が大勢いた。彼女はそれを少年に言葉で示したのだ。
 
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