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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年

作者:レゾナ
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第十五話 全の逆鱗

るいへの虐めはぴたりとなりを潜めた。

それはひとえに全のおかげだろう。

その証拠に

「おはよう!」

「お、おはよう、宮坂さん……」

「そ、その宮坂さん……私達……」

「いいの、わかってるから。謝らないで」

「宮坂さん、でもっ!」

「私がいいって言ってるの。気にしてないし、ね?」

「み、宮坂さんがそう言うなら……」

今、るいは登校してきたのだが……仲間はずれを強要されていたクラスメイト達は一斉にるいへの謝罪を始めた。

しかし、るいはその謝罪を受け取らなかった。本気で気にしていないのだろう。

それよりもるいは気になる事があるらしく、先ほどからきょろきょろしている。

目的の席を見つけ、その席に見つけたかった人物が座っているのを確認すると、「ちょっとごめんね」と言って、輪の中から抜け出しその人物の元まで向かう。

その人物、全は自身の席に座り読書をしている。

今日見ている本の表紙にはうっすらと陰りがありいかにも、推理小説ですよといった感じを醸し出している。

実際、全が見ているのは推理小説であり、今はちょうどクライマックス。犯人がわかり、犯罪に使ったトリックの種明かしをしているところだった。

「ふむふむ、なるほど……ああ、そういう事だったのか……」

そのトリックの種明かしを見ながら、納得している全。

「全」

「ん?」

そんな全に話しかけたのはるいだ。

「おはよっ」

「ん、ああ……おはよう」

全はるいが話しかけてきたのを確認して挨拶してから、再び読書に戻る。

「もぅ、もうちょっと反応してくれてもいいんじゃないの?」

そう悪態をつきながらも、どこか嬉しそうな表情で話するい。

実際嬉しいのだろう。何せ、前世の頃の幼馴染が同じクラスにいるのだ。

嬉しくない筈がない。

「それじゃ、お昼にまたね」

そう言って自分の席に戻るるい。

(すずか)

(うん、アリサちゃん)

((あの二人、絶対に何かあった……というか、絶対に過去に出会ってて昨日、それをるい[ちゃん]は思い出した!))

そんなるいの楽しげな表情を見たアリサとすずかはこう思ったそうな。









そんなこんなで、昼休み。

全は今日も弁当を取り出し、その場で昼食といきたかったのだが

「全」

(やっぱりな……って、この声は)

声をかけられて、弁当を開けるのを中止し、声の主を見る。

そこにはいつも誘いに来るアリサ達ではなく、るいが立っていた。

「何だ?」

「お昼、一緒にどう?」

そう言って可愛らしい弁当の包みを見せるるい。どうやらお昼に誘っているらしい。

(そういえば……)

朝、去る際にそんな事を言っていたような……と全は今更ながらに思い出す。

「ああ、別に構わないが」

「だったら、私達もいいわよね?」

そう言ってアリサ達も全の所にやってきた。

その手には弁当の包みがある。

「ああ、いいよ。もう半ば諦めてるし……いつも通り、屋上でいいのか?」

「ええ、先にいって場所取っておくから」

「きちんと来なさいよねっ」

「ふふっ、待ってるね全君」

そう言って三人は教室を出て行く。屋上に向かうのだろう。

「おい、神楽院」

と、全に話しかける男がいた、と言ってもこの名前で未だに呼ぶクラスメイトを全は一人しか知らない。

「何だ高宮。それといい加減にしろ、俺は神楽院じゃない。橘だと言っているだろう」

「うるさい、僕に指図するな。それと、るいにまで洗脳を施したのか?」

(洗脳?こいつは一体何を言っているんだ?)

どうやらるいまでもが全への態度を変えたのを聖は洗脳したと思っているらしい。

「そんな事をして、俺に何のメリットがある。俺は、自身にとってメリットになる事しかしない」

「ふん、そんな教えの元で育ったから今みたいな性格になったんだろ?子供が子供なら、親も相当な悪者――――」

聖の言葉は最後まで紡がれる事はなかった。なぜなら

「高宮」

「っ!!??」

全が聖の胸倉を掴んでいたからだ。その際に全は瞳を一気に冷血な物へと変える。

「お前が俺をどれだけ罵倒しようが構わない。俺は別に気にしないし、前世でも色々とやってきたからな。だが」

そこまで言って区切ると、全は聖の顔に限界まで顔を近づけると



















「俺の親や…………ましてや、今の俺を形作ってくれた師匠をバカにするのは許さない……っ!」





















全はそれだけ言うと、掴んでいた聖の胸倉を離す。

そして、弁当の包みを持つと教室を出て行った。

るいSIDE

今、私は屋上にて…………正座をしている。

はい、簡単に説明するとね。

屋上に到着→場所確保→「それじゃ」と言ってアリサが私に詰め寄る→「説明、しれくれるわよね?」といい笑顔でそう言ってくる→私それを何とか回避→「そう、そう来るの……正座」→今、ここ。

いや、何を聞きたいのかはわかってるんだけどね?

言うのに何ていうのか……勇気がいるというか……。

「それで?これまでと今朝の態度の違いは何?」

「うん、私もちょっと気になるかな……?」

「ちょ、すずかまで……?」

うぅ……まさか、普段穏和なすずかまで聞いてくるなんて……でも、これって確定だよね。

二人とも、今は聖じゃなくて、全の事が好きだって事。

「えっと、ね……ほら、昨日までずっと私、皆から避けられてたでしょ?」

「ええ、そうね。私達と全はそれはるいが虐められているからって予想してたけど」

あ、やっぱり全が予想してたんだ。まあ、殆ど前世の小学校の頃に私が虐められていた状況と丸々一緒だったからなぁ。

「そう、その問題が昨日解決してね。それでお礼っていうのと……記憶を、思い出したから」

「そう、やっぱりそうだったのね」

「それじゃあ、るいちゃんも……」

「うん、小さい頃に全と遊んだことがあるの……二人は?」

「私達も似たような物よ」

やっぱりそうだったんだ。

「そういえば……全の家にある写真に赤い髪の女の子と全が写ってる写真があったけど……もしかして、あれがるいだったのかしら?」

「え?」

「全君の家に行った時にね、写真立ての中に今アリサちゃんが言った写真があったの。後は私達と写っている写真と……後、三枚あったね」

後三枚……。

「でも、その三枚に写っている人物がね……よぉく知っている人物達なのよ」

「……もしかしてだけど、なのは達?」

「……もしかしなくても、その通りよ」

まさかとは思って聞いてみたけど……やっぱり、そうだったんだ。

「ま、これまでと一緒よ。全と一緒に過ごしたい、私達はそう思ってるわ」

「それは私も一緒よ」

「ふふ、それじゃ……私達はライバルって事かしらね?」

「負けないわよっ」

絶対に、負けないんだから。

SIDE OUT 
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