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ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories

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ALO編 Running through to take her back in Alfheim
Chapter-14 障壁を乗り越えて
  Story14-1 二人を隔てる障壁

第3者side

午後3時過ぎ……すでに日は出ていてなおかつメンテナンスのあとということもあってかプレイヤーの通行量が多い。


しかもそのプレイヤーは翅が統一されているものではなく、全てがばらばらだった。巨大な戦斧を背負ったノームに小さな身体に銀色の琴を携えたプーカ、紫色の不思議な肌をもつインプなどさまざまなプレイヤーが楽しそうに談笑しながら歩いてる。



「……あれが世界樹…………」

キリトは思わず畏敬の念がこもった呟きをしている。

「えーと確か、あの樹の上にも街があってそこに……」

「妖精王オベイロンと光の妖精アルフが住んでて、王に最初に謁見した種族はアルフに転生できる……って言われてるわ」

「なるほどね……」

キリトは無言のままあの写真がとられたであろう場所を見つめている。

「あの樹には、外側から登れないのか?」

「幹の周囲は進入禁止エリアだから木登りは不可能……飛んでいこうとしても上までいけないうちに翅に限界が来ちゃうらしいわ」

「そういえば何人も肩車をして限界を突破した連中がいるって話を聞いたんだけど」

キリトの話にリーファはくすりと笑い、口を開いた。

「枝までもうちょっと……ってとこまでは迫ったらしいけどね。GMも慌てたみたいで修正がはいちゃって今は雲の少し上に障壁が設定されてるんだって」

「なるほど……とりあえず、根元まで行ってみよう」

「ん、りょーかい」

軽く頷きあい、二人は大通りを歩き始めた。















◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆















行き交う混成パーティの間を縫うように抜けて進むと前方に大きな石段と、その上に口を開ける巨大なゲートが見えてきた。

あれをくぐればいよいよ世界の中心のさらに中心、アルン中央市街だ。

というときにキリトの胸ポケットが動き、そこからユイが飛び出してきて食い入るように上空を見上げている。

「お、おい……どうしたんだ?」

周囲の目をはばかるようにキリトが声をかけるがそれすらも無視し、その瞳は上空に向き続けている。

「ママ……ママがいます」

「な…………」

ユイの呟きにキリトは顔を強張らせる。

「間違いありません! このプレイヤーIDは、ママのものです。座標は……真っ直ぐこの上、この上空です!」

それをきいたキリトは燃えるような目をし、顔は逆に蒼白になりながら歯を食いしばる。そして次の瞬間にはクリアグレーの翅がズバンっと空気を切り裂く音がし、砂煙を残して姿を消していた。

「ちょっと、キリト君!?」


リーファはわけの分からないままキリトを追いかけていた。


しかし、なかなか追い付けない。上昇しているはずなのに雲が壁のようにキリトにたどり着こうとするのを邪魔していた。

リーファがどうにかして雲を抜けた先には何度も障壁に体を打ち付けている妖精の姿が見えた。

「キリト君!!」

ようやく同高度に追いつき再度体をぶつけようとするキリトの腕を掴む。

「やめて、キリト君!! 無理だよ、そこから上には行けないんだよ!!」

「行かなきゃ……行かなきゃいけないんだ!!」

そこで、ユイは勢いよくキリトのポケットから飛び出して同じように障壁に向かうが、同じように阻まれる。だが、ここからユイは障壁に両手を着いて口を開く。

「警告モード音声なら届くかもしれません……! ママ!! わたしです!! ママーーーー!!」














◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
















「……カード?」

ユイの叫び声から数分後、上空から帰ってきた返事は光を反射しながらゆっくりと風に乗って落ちてくるカードのようなオブジェクト一枚のものという形だった。キリトの手に吸い込まれるように入ったカードにリーファが覗き込む。


カードの表面には文字や装飾のようなものはなんにもなく、この世界に似合わないものだった。

「リーファ、このアイテムなんだか分かるか?」

「ううん、あたしも見たことない。クリックしてみれば?」

リーファに促されてキリトがカードに触れてみるが必ず表示されるウィンドウが出ない。

「ユイ、これ何かわかる?」

俺の声にユイがカードの縁に触れて目を閉じる。と、すぐに正体がわかったのか声を出す。

「これ……これは、システム管理用のアクセスコードです!」

「なら、これを使えばGMの権限が?」

「いえ、ゲーム内からシステムにアクセスするには対応するコンソールが必要です。私でもシステムメニューは呼び出せないんです」

「そうか……でも、そんなものが理由もなく落ちてくるわけがないよな」

「はい……多分、ママが私たちに気づいて落としたんだと思います」


そういってキリトは再度カードを凝視する。そして落ちてきたであろう樹の上を見上げる。

数秒後、キリトが口を開く。

「リーファ、世界樹に通じてるってゲートどこにあるんだ?」

「え、あれは樹の根元にあるドームの中だけど…………そのためにはガーディアンを突破しなきゃいけないんだよ?」

「それでも、行かなきゃならないんだ」

カードを胸ポケットにしまったキリトはリーファの手をとった。

「今までありがとう、リーファ。ここからは俺だけでいくよ」

「キリト君…………」

キリトは泣きそうな声で俯きながら名前を読んでくれるリーファの手を握って、離す。

最後にもう一度、長いポニーテールを揺らして滞空する少女に頭を下げ、先を急いだ。















Story14-1 END 
 

 
後書き
シャオン「お前なぁ……ちょっとは人を待てよ」
キリト「しょうがないだろ? アスナがいるって分かったんだから」
シャオン「なんでお前はそんなにことを急ぐかなぁ…………」
キリト「……お前はなんで来なかったんだ?」
シャオン「やることがあった」
キリト「やること?」
シャオン「ま、今はネタバレになるから秘密だけどな……あえて言うと、キリトに関係あるぞ」
キリト「なんだろう……」

最近、後書きがキリトとシャオンの会話で成り立っている…………対照的な剣を持つ二人、意外と仲はいい。
そろそろ終盤に差し掛かってくるALO編。

じゃあ……

キリト「次回も、俺たちの冒険に!」

シャオン「ひとっ走り……付き合えよな♪」
 
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