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堕天使

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2部分:第二章


第二章

「これを見るとな」
「戸惑われますか?」
「いや、それはない」
 そのことは否定する彼だった。そうしてだった。
 そのうえでだ。彼はサキエルに言ったのである。
「神とは何だ」
「絶対の存在です」
 サキエルもそのことは確信していた。
「神は常に正しいのです」
「その通りだ。神に過ちはない」
「ですからこの両国、そして周辺国もです」
「戦乱の中に落とし多くの者を滅ぼす」
「それが神のお考えですが」
「だが」
 それでもだと言うマキエルだった。そうしてだ。
 サキエルにだ。困惑した顔で言うのだった。
「多くの罪のない者はどうなるのだろう」
「戦争が起こればそれこそです」
「それに巻き込まれ死ぬな」
「戦争は裁く相手を選びません」
 サキエルはシビアな顔で述べた。
「それも絶対にです」
「そうだな。神の雷は全てを砕かれる」
「あの人間達も私達が見えていないだけで」
「悪かも知れないな」
「そうです。私達天使には見えていなくても」
「神は御存知だな」
「ですから裁かれるのでしょう」
 そうではないかとだ。サトエルはマキエルに話す。
「我々はそれに従うだけです」
「そういうことか」
「では人間達の中に入られますか」
「姿を消してな」
 天使の力でだ。そのうえで動いてだというのだ。
「そうしていざかいの種を撒くぞ」
「わかりました。それじゃあ」
 こうしてだった。マキエルは人間には見えない様に姿を消してだ。共に姿を消したサトエルを連れてだ。人間の世界に舞い降りたのである。
 そしてまずはだ。その教会に行くのだった。
 教会では神父がいた。そしてシスターと話していた。
 そうしながら礼拝堂を掃除していた。年老いた神父は優しい顔で彼より少し若いシスターに対してこんなことを言うのだった。
「では私が主を拭かせてもらいますので」
「わかりました。そうされるのですね」
「シスターは床をお願いします」
「はい、掃いてモップをかけておきます」
「そうして下さい。礼拝堂は本当に」
 優しい笑顔になりだ。彼はだ。
 礼拝堂の中を見回しだ。こう言うのだった。
「神がおわす場所ですから」
「だから余計にですね」
「はい、奇麗にしないといけません」
 それは絶対だというのだ。
「例え何があろうともです」
「そうですね。本当に」 
 シスターも彼のその言葉に頷く。そうしてだ。
 箒で掃きモップもかける。神父は主を濡らした雑巾と乾いた雑巾で拭いて奇麗にしている。マキエルとサトエルはその二人を見たのだ。
 そうしてだ。こう話すのだった。
「本当に真面目だな」
「こんな信仰を持っている人間がまだいたんですね」
「そうだな。小さな教会だが」
「それでもですね」
「ここまで真面目だとはな」
 真剣にだ。マキエルは感嘆を覚えていた。 
 そうしてだ。こうサトエルに言うのだった。
「だがこの神父にシスターもだ」
「戦乱になればですね」
「惨たらしく死ぬかも知れない」
「兵隊も大砲も教会に来たりしますからね」
「宗派が違う。それだけでだ」
 マキエルは暗い顔で言った。
 
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