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インフィニット・ストラトス 乱れ撃つ者

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あからさまなイレギュラー

その後のことを簡潔に話しておくと、まぁ、なんというか、俺たちだけの秘密にしておこうということになった。


部屋に食事を持ってきた一夏ぎ俺の存在に気づいたときは味噌汁をぶちまけそうになったことはいい笑い話である。
もちろん、俺はそのまま部屋に滞在。 はい、あーんのシーンまできっちりと見てました。
顔がにやけていたのか、すごくやりづらそうな様子だったけどな!


「んじゃ、俺はそろそろ部屋に戻る」


「おう、分かった。 それと、周りにはくれぐれも……」


「わーってるよ。 俺はそこまで口が軽くねぇっての」


「あ、ありがとうね、中」


ベッドの上で気まずそうにしているシャルルはそう言って苦笑いを浮かべた。
いーよいーよと俺は部屋を出て、自分の部屋に向かう。


時間的にも寝るにはちょうどいい時間だ。


「……ん?」


たまたま窓の外を眺めた時だった。
寮に戻ってくる一名の生徒。 ラウラ・ボーデヴィッヒである


「こんな時間まで、なにやってんだか」


俺はその様子を眺めて、一人言を呟いた。
初日から一夏に手をあげ、その後も教室内では一人で関わるなオーラ全開、というより、周りの奴等に関心がない様子。
軍人ってのはみんなあんなのなのかね?


「おっと、見すぎたか」

なにかに気づいたのか、ボーデヴィッヒがこちらを見た……ような気がする。
頃合いかと、俺は窓から離れ、自室のベッドに潜り込むのだった











「一夏は、このあと、アリーナで特訓?」


「ああ。 トーナメントも近いし、少しでも強くならないとな」


「ほんと、よくやるなお前。 試合前に体壊すなよ?」


授業を終え、俺と一夏とシャルルは三人でアリーナに向かっていた。
なるべくシャルルと行動を共にし、周囲に気を配っているのだ。
まぁ、アサシンの力もあるし、今のところは問題なしだ。


「中も特訓?」

「するのはいいんだが、俺のIS、武装の種類は少ないんだよな……。 今から正直、前のシャルルとの模擬戦やったのも失敗だったかなと思ってるよ」

そんなことを話ながら、廊下を歩く。
が、その途中で見知らぬ女子生徒が何かを話ながら走り抜けた。


「ねぇねぇ、聞いた? アリーナで、専用機持ちが模擬戦やってるって!」


最初に反応したのは一夏。 続いてシャルルが走り出した。


(そういえば、これでオルコットと凰が試合に出れなくなるんだっけか)


原作を思いだし、俺もあとに続く。
だが、あれは下手すれば二人の命に関わりかねない出来事だったはずだ。
現実となっている今、それが起こらないと保証はできない。


「……急ぐか」


俺は途中で窓から飛び出し、アサシンの力をフルに使ってアリーナへ向かった。










「セシリア! 鈴!」


二人の名を叫び、一夏がアリーナに張られている透明な防御壁をドンドンと叩く。
現状は酷いものだった。


ところどころのパーツが破壊され、シュヴァルツェ・レーゲンのワイヤーブレードで首を絞められているオルコットと凰。
見かねた一夏がISを展開し、防御壁を破壊。 そのまま三人の間に割り込んだ。


「僕も行ってくる。 中はここで篠ノ之さんのことを守っといて!」


「あ、おい、シャルル!」


俺の声も聞かずにシャルルもISを展開して、一夏達の元へ。
シャルルが合流したことで、一夏はISが解除された二人を抱き上げ、俺のところに運んできた。


「中、二人を頼む」

「構わないが……手伝おうか?」


「いや、あいつは俺に用があるみたいだからな。 中は二人の様子を見ておいてくれ」


そう言い残して、一夏はシャルルとボーデヴィッヒの戦闘に介入した。


「私は……私はここで見ていることしか出来ないのかっ……!」


三人の戦闘を見つめ、悔しそうに箒さんが呟いた。


「私にも、専用機さえあれば……!」


「……」

隣でただ見ることしか出来ない少女を見たあと、俺は視線をアリーナへと移す。
交錯する白と黒とオレンジの機体。
AIC(アクティブイナーシャルキャンセラー)。 別名慣性停止結界。
一対一ではほぼ無敵といってもよいそれ。

だが、俺にはほぼ無意味。
俺にとっては最高の相性である。


「お、終わったか」


考え事をしていると、いつの間にか割り込んでいた織斑先生が戦闘を中止させた。
生身でだ。 一応、武器は打鉄のものを使ってはいるが、本当に人間なのか疑ったしまう光景ではある。


「今日から生徒同士での私闘は禁止だ。 お前ら、分かったな」


「教官がそう言うのであれば」


ほんと、織斑先生には素直だよなぁと、その様子を見て思った俺であった











で、場所は保健室


怪我をしたオルコットと凰の二人が包帯を巻いてベッドに寝ていた。
絶対防御のおかげで、大事には至らなかったようだ。


「あのまま続けてたら、勝ってたわよ」


「そうですわ。 あそこからが勝負できたのに……」


ボコボコだったじゃないですか。と、一瞬言いそうになったが止めておこう。
夜道で刺されそうだ


そして、二人にお茶を配ったシャルルが何かを呟くと、一斉に吹き出した。
多分、一夏柄みのことだろう。 簡単に予想できる


「……ん?」


カタカタカタ、と保健室内の瓶が振動を始めた。
何だ?と思い、耳を済ませれば、何かの大群がものすごい勢いでこちらに向かってきているようである。
あ、やへ、これ女子だ


そこからの俺の行動は速かった。
すぐそばの窓を全開にし、足をかける。
突然の行動には?となっている凰とシャルル。 見せるのは初めてだったなと、一人で納得


他の二人はあぁ、と分かったような顔をしていた


「一夏。 悪いが、俺は一足先に失礼する。 悪い予感しかしない」

「は、ちょ、それどういう意味……」

「達者でな!」

別に今生の別れって事でもないけどね!

凰とシャルルの驚きの叫び声が聞こえたが、俺は気にしない。
夕焼けに染まった空の下、俺は寮へと急いだ。














なんでも、今度の学年別トーナメントはより実戦らしいものにするためにタッグ、つまり二人組での参加らしい。
あのときの女子の大群もそれで一夏やシャルルと組みたがってたやつなのだろう。
なんとか、一夏とシャルルが組むことで収集はついたそうで、シャルルが女だとバレることは無さそうだ。 良かった良かった



「…………いや、俺がよくねぇよ」

誰と組む? 男はもういない。 あとは女子だけ

女子の中には、未だフリーの俺と組もうとしているやつもいるようで、申込用紙を持って俺に詰め寄ってきたりもする。
結果、俺、逃走


今はアサシンの気配遮断を十全に生かし、なんとか女子達を避けることに成功している。
ここで、特定の誰かと組んでしまえば、いらぬ噂が流れる可能性もある。
それは俺としては不本意である(別に、組んだ女子に不満があるわけではないが)


とにかく、申込用紙を出さなければ、抽選になる。
それを待つのが良いだろう。後で何か言われる心配もない。


「あと少し、あと少し耐えればいい……」
















「………」


「………」

「………」


俺たち三人はアリーナ内の更衣室でそれを見ていた。
対戦相手の発表がつい先程行われ、もうまもなく試合が開始される。
だが、俺はその組み合わせに言葉を失っていた


「まぁ、なんだ。 お手柔らかにな」


「こんなことになっちゃうなんて……」


一夏には苦笑され、シャルルには心配そうな目で見られた。
いや、本人である俺が一番疑いたい。


「……どうしてこうなった…」

確かに、抽選で決められた組み合わせがいいと思ったよ?
でも、これはどうかとさすがに思わざるを得ない


俺の視線の先、画面に現れた組合わせ


『織斑 一夏&シャルル・デュノアvsラウラ・ボーデヴィッヒ&御堂 中』


思いっきり原作ブレイクじゃねぇか!? 
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