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ソードアート・オンライン ~呪われた魔剣~

作者:白崎黒絵
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神風と流星
Chapter2:龍の帰還
  Data.21 トラブル≒ハッピー

 浮遊城《アインクラッド》の第二層。その広大なフィールドの一角にて。

「あっはははははははははははははは!!!!!!!ひゃっはー!あたしは無敵だー!」

 奇声を上げながら剣をぶん回して駆け回る馬鹿(シズク)が一人。

 寄ってくるモンスターを問答無用でぶった斬り、ついでとばかりに習得したばかりの《体術》の単発スキル《閃打》を叩き込んでいる。えげつねえ。

 そしてその後ろを俺とアルゴはのんびり歩いていた。

「ルー坊、相棒の教育はきちんとやっておかないとダメだゾ。ぶっちゃけ笑顔でモンスターを惨殺しているのを見るのは心臓に悪イ」

「言って聞くような奴なら苦労してないんだよ。それにあの程度なら可愛いもんだろ?」

 雑魚散らしだけじゃなくて命懸けのボス戦でさえ笑いながら突っ込むからな、あいつ。

「それにしても、オイラこれでもステは敏捷に極振りなんだガ……たぶんシーちゃんには追いつけないナ」

「走り方とかの問題じゃないか?」

 そんな他愛も無い話をしながら歩くこと数分。

「じゃ、オイラはやらなきゃいけないクエがあるからここでお別れダ」

「おう、また何かあったら連絡する」

「またねー、アルゴさん」

 俺達はアルゴと別れた。奴は敏捷極振りだというその俊足を遺憾なく発揮して走り去っていく。あ、もう見えなくなった。

 まあ、あの《鼠》にはまた会う機会があることだし、特に感慨深かったりはしないが。そんなことより、

「これからどうする?」

「どうしよっか」

 これはついさっきアルゴから聞いたことなのだが、この層のフィールドボスの攻略は今日行われる予定だったらしい。というかもう始まっている。

 この層に来てから攻略組(と、シズクが呼んでいたので俺もそう呼ぶことにした)の奴らと一切接触しなかった俺達は当然その情報を知らず、攻略戦に参加できなかったわけだ。

 別に今から手伝いに行ってもいいのだが、基本的に俺はあいつらと顔を合わせたくない。絶対に面倒なことになるから。

 というわけでボス攻略に参加するわけでもなく、かといって特に進めなければならないクエストがあるわけでもない俺達は、これからの予定を決めあぐねているというわけだ。

「いっそのこと町に帰ってだらだらするか?面白い屋台とかあるかもしれないし」

「えー、折角フィールドにいるんだから戦闘しようよ戦闘。たーたーかーいーたーりーなーいー」

「ええいこの戦闘狂(バトルジャンキー)が」

 面倒くせえ奴である。

「あ、ルリくんルリくん!あんなところにダンジョンらしきものがあるよ!」

「本当だ」

 シズクが指差す方を見てみると、確かにダンジョンの入り口があった。ただ……

「……あんなところにダンジョンなんてあったかな」

 β時代の記憶を引っ張り出してみるが、どうもよく思い出せない。でもあんなところにあんなものは無かった気がする。

「本サービスで追加実装されたんじゃない?つまり知ってる人が少ない未探索のダンジョン……お宝の予感っ!」

「碌なことが起きない気がするんだが……」

 しかしそんなことこいつは聞いちゃいない。

「ルリくん!行こう!まだ見ぬレアアイテムが私たちを呼んでる!」

 ぐい、と腕を掴まれたと思ったら、風景が急速に変化していく。

「やめろ離せ痛い足が引き摺られてる一回止まれこの人間ロケットブースター!!!!!!!!!」

 結構な距離があったはずのダンジョン前まで数十秒でたどり着いた後、あまりの速さに酔った俺が吐きそうになったのは余談である。 
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