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映画

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2部分:第二章


第二章

 今度の映画は子供向けだった。しかも今度もまた。
「今度は!?」
「夢か!?」
 皆その笑顔を見て言った。
 画面に映るのは花畑だった。そこに子供が遊んでいる。
 しかしその子供は。普通の子供ではなかったのだった。
 狐の面を被り遊んでいる。半ズボンにシャツという格好から男の子とわかる。その男の子が狐のお面を被って花畑の中を遊びまわっていた。
 そしてそこに猫の面を被った赤いスカートと白い上着の女の子がやって来た。まるで浮き出たように現われて。
 その女の子と男の子が出会って二人で遊ぶ。しかしそれは急に終わって。
「場面転換!?」
「ここでか!?」
 海になった。今度は。
 海で浮かぶヨット。そこで少年と少女が水着でいた。この映画の主演の二人だった。
「やっと出て来たな」
「そうだな」
「けれど。おかしいぞ」
 またおかしな映像になっていたのだった。
 ヨットはそのまま海の中に入り二人は人魚になった。そうしてその海の中で手をつなぎ合って泳いでいく。そのまま海面に出ると今度は鳥になり羽ばたくのだった。
「何なんだ?」
「今度は空か」
 こうして延々と二人姿を変えてあちこちを旅して生まれ変わり姿を変えていく。そして最後はh結婚式場で接吻をする。その少年と少女が。
 ストーリーはないと言ってよかった。しかしテーマはわかるし映像も演技も確かに見事なものだった。このことだけは確かであった。
 だがここでまた。疑問があるのだった。それは。
「ところでこの映画の制作費な」
「ああ」
「幾らなんだ?」
「殆ど俳優さんのギャラだけらしい」
 こう言われるのだった。
「あとスタッフのな。給料だ」
「おい待て」
 その言葉に誰もが思わず突っ込みを入れた。
「あの演出でか?」
「あの舞台でか」
「ああ、それでだ」
 言われるのだった。
「あれだけ色々な場所を移って演出していてもな」
「ギャラだけで澄んでるのか」
「しかも製作時間は一月だ」
「一月!?」
「嘘だろ」
 皆その時間を聞いて今度はそのことに顔を顰めさせた。
「一月であんな映画ができるか?」
「有り得ないぞ、それは」
「だが本当らしいぞ」
 こう話されるのだった。
「本当にな。一月でな」
「できたのか」
「あんな映画が」
「信じられないな」
 首を傾げる者が多かった。
「あれだけの映画が」
「そんなに安くて早く!?」
「魔法でも使っているのか!?」
 思わずこう言う程だった。
「あの監督、本当に」
「そういえばあの監督が全て仕切ってるんだったよな」
 今度は彼の映画の作り方についても言及された。
「演出も演技指導も脚本も殆ど」
「ああ、スタッフはいるけれどな」
「脚本は自分で書いてるな」
 これもかなり独特であった。
「プロデューサーも兼ねてるしな」
「殆ど独裁者だな」
 これはいささか悪口になっていた。少なくとも肯定する言葉ではない。
「それだとな。しかしだ」
「これだけの映画を作れる」
「一人で」
「やっぱり何者なんだ?」
「どうやって映画を作ってるんだ?」
 疑問は尽きることがなかった。
「本当にわからないな」
「何もかもがな」
 佐藤に関する謎は深まる一方だった。だがその謎をよそに彼はまた新たな映画を作ることになった。その主演に選ばれたのは今売り出し中の女性アイドルだった。
「私!?」
「そう、夕菜ちゃんよ」
 彼女のマネージャーが本人に話す。その女性アイドル能登夕菜はキョトンとした顔になっていた。
 
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