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Fate/stay night 戦いのはてに残るもの

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彼等の戦いのはて

 
前書き
介入前の話、過度な期待はしないでください。暖かい目で見てください。 

 
「アニメは原作よりグロが少ないな」

俺は傭兵をやってるろくでもない人間。仕事のない時は、漫画やアニメを見たり、ゲーム何かをして暇を潰してるかなりの変わり者でもある。そして今丁度、アニメFate/zeroを見終わったところだ。

「相変わらず間桐雁夜、この男一体何を考えていたんだか?」

Fate/zeroの、間桐雁夜という男。自分の命を削り、第四次聖杯戦争にバーサーカーのマスターとして参加。目的は、遠坂時臣が間桐家に養女に出した間桐桜を救う為。

奴はその為に、身体に間桐臓硯の刻印虫を宿し、即席の魔術師となった。だが、その代償はあまりにでかく、命を大幅に削り容貌は死人のように蒼白になり、魔力を失う度に蟲に内部から食われ、血を吐く程の激痛に毎回襲われる。

何故だ? 何故其処までして、一人の子供を救おうとする? 奴は間桐の家から逃げ出し、間桐の呪縛から解放された。なのに、間桐桜の為に間桐に戻り日常も命を全て捨てた。何故何だ? あまり理解が出来ない。他人の為に、其処までしてやることが。

奴の好きだった、遠坂葵の子だから救おうとしたのだろう。だがいくら何でも、普通其処までやるか? 好きだった人の子供とはいえ、他人を其処までして救おうなどと?

俺には分からない。それが正しかったのか、正しくなかったのかは。だが結果は、バーサーカーの宝具の解放に魔力を全て持ってかれ、刻印虫も全部喰われて敗北。

しかし聖杯戦争後、ギリギリ生きてはいたみたいだ。だが結局間桐桜の目の前で、間桐桜を助け遠坂に迎え入れられた幻影を見ながら死亡。更に死体は、間桐桜の目の前で蟲に食われた。

この結果を見ると、奴は正しいどころか、参加しないほうがよかったんじゃないか? と思う奴も恐らくいるだろう。しかし俺からすると、何をしたかったんだコイツ? である。

自分の人生も、生活も命も捨てて他人の為に、しかも子供の為に死ぬなど。そして結果は、さっきも言った通り助けられずに、助ける奴の目の前で死亡。間桐桜は、雁夜が死んだことで余計に、間桐に逆らったらどうなるかを見せられ、更に絶望を持っただけだろう。後は確か、好きだった人を壊すきっかけもつくっていたな。

まぁ、人には人の考えがあるのだろうが、俺には分からんな。

そして、もう一人気になるのは衛宮切嗣。正義の味方に憧れた理想主義者。だが、第四次の戦い方を見ると、正義の味方などと全く言えない戦い方だったな。

まぁ、過去の事はどうあれ勝つために手段を選ばないのは、分からないことはないが。だが最後に奴は、救う筈の多くの人間を、聖杯を破壊したことで殺した。

しかし、聖杯の正体を知ったら確かに破壊が最善かもな。聖杯は、人を殺すという方向性を持った、呪いの魔力の渦となり、人を殺める形でしか願いを叶えられない欠陥品。
そんな聖杯に、誰かの願いを聞かせる訳にはいかない。

結果的に、聖杯破壊の判断は正しかったと思う。あの大火災は、どう考えても予想外のハプニングであり、全て衛宮切嗣のせいとは言えないだろう。

しかしマスター達が、血眼になって求めた聖杯があんな欠陥品。そんな物の為に、散っていったマスターやサーヴァント達の戦いに、結局何の意味があったのだろうか?

「っと、こんなこと考えてても仕方ない」

所詮は、物語の話だから深く考えたところで意味はない。特に、やることもなくなったな。仕事もないし、読む小説も漫画もゲームもなくなった。今から何をしよう?

「暇みたいだね」

何だ? 突然男の声が聞こえた。しかし周りには、俺以外に誰もいない。

「誰だ?」

自身の刀の柄に手を置き、何者かに尋ねる。しかし声から察するに若い男の声だなこれは。

「暇なら、連れて行ってあげよう。その世界に」

「何を言って……っ!」

何だ!? 頭が痛い。それに目の前が、真っ白になって……いく……そこで俺は意識を失い倒れた。

あれから何分たったか分からないが、目が覚めると俺は知らない場所にいた。

「……此所は、何処だ?」

目の前に広がる光景は、只真っ白い空に白い地面。まさか、この前殺したマフィアの残党に捕まったか? だがそれなら、こんな所に連れてこずにすぐ殺されてるか。 ……なら此所は一体何処だ?

「驚いているようだね」

声が聞こえ、刀の柄に手を置き振り返ると……其所には、白い服を着た青髪の青年が立っていた。

「誰だと言われてもね。まあ簡単に言えば、平行世界を管理する管理者の一人だよ。だからそんなに殺気を出さないで」

平行世界。幾つもの選択などによって、枝分かれする世界のことか。

「その管理者が、傭兵の俺に何か用か?」

青年を睨みながら問う。警戒は勿論緩めないが、いかせん、ふざけた態度をしてるがコイツには何故か隙が全くない。

「君が暇そうにしてたからさ。でものは相談何だけど、他世界に行ってみないかい?」

「ほう、……いいだろう。行ってやる」

丁度暇だったし、仕事の依頼も特に何もなかったからな。

「へえ、何か聞かれると思ったんだけど予想外だよ。じゃあ、行く世界はFate/zeroの世界でいいかい?」

コイツ、俺がFate/zeroを見ていたのを、知っていたようだな。まさか狙って言ったのだろうか? ……だが思い通りにはならんよ。

「いや、Fate/stay nightの世界に行かせてくれ」

「へえ意外だな。理由を聞かせてもらえないかい?」

予想外だったのか、青年は驚いたような表情で俺に聞いてきた。

「確かに、Fate/zeroの世界に行けば、色々と分かることがあるだろう。だが、結末を知っている世界に行っても、つまらないだろ?」

結末が分かる故に、それを変えようとした結果、話事態が変わってしまったら、知識があっても意味がない。ならまだ話を知らない、Fate/stay nightのほうに行く。

「へえ、中々言うね」

「それに……戦ってみたいんだよ。命掛けての、死闘ってのをしたくてね。後は……」

「何だい?」

「見てみたいんだ。第四次聖杯戦争をやった結果、本当は何が残ったのかを」

あの戦いで、一体何が残ったのかを見たい。特に、悲劇や悲しみ以外で。そして今度の戦いのはてにも……

「別に僕は、どっちでも構わないけど。本当にFate/stay nightでいいの?」

「構わない」

青年の目を見ながら、はっきりと断言する。

「なら、行く世界は決まったね。後は君だ」

君、どういう意味だ。俺に何かするつもりなのか? 確かに今の俺の状態じゃ、サーヴァント何かには勝てないだろうが。

「もう行くんじゃないのか?」

「今の君の力のままで、行かせたって負けるのは目に見えてるだろ? それとも君は、その不安定な眼と色々と異常な身体だけで、サーヴァントをどうにか出来ると思ってるのかい?」

やはり、眼も含めて俺のことを分かっているようだな。流石は管理者と言うだけのことはある。しかし何故分かったのだろうか?

「特別に君の願いを六つだけ聞こう。さあ、言ってみてくれ」

願いを聞く? 何かしら、六つ頼めば力をくれるのか? ……数分考えた後、俺は口を開いた。

「一つは、左腕をデビルブリンガーにしてくれ。閻魔刀とデビルトリガー発動付きでな」

「まず一つね」

よし、とりあえずこれが了承されれば、腕力が少しはまともになるだろう。

「二つ目は、うちはサスケの忍術と写輪眼、そして写輪眼の術を全て使用可能にしてくれ」

万が一の為にも、イザナギなどを覚えておいたほうが、いいと思うからな。

「はいはい。二つ目ね」

「三つ目は、頭に思い描いた武器や盾などを瞬時に出せる、創造という力が欲しい」

これは、もし自身の刀がなくなった時などの保険。後は他の世界の武器なども、使ってみたいからだが。

「三つ目もいいよ」

「四つ目は、飛天御剣流を使用可能にしてくれ」

これも一応の保険。剣術などは、一度やれば身体が覚えている筈だからな。

「四つ目も了解」

「五つ目は………………の小刀をくれ」

この力は……俺の中の、ある答えを知る為である。恐らく分からないだろうが、掛けてみよう。

「次でラストだよ」


「ラストは、月歩と月歩の応用技を使えるようにしてくれ」

六式全てと言いたいところだが、恐らく一つあれば十分だろう。

「これで全部かい。決めるなら、もう変更は出来ないよ。それと、力には制限をつけるものもあるけど構わないかい?」

「構わない」

しかし分からんな。何故、これほどの力を与えてまで、別世界に行かせるのだろうか?

「じゃあ力は、君があっちに着き次第に僕が与えるから。それじゃ、死亡フラグ大量の世界へ行ってらっしゃい」

管理者がそう言った瞬間、また目が霞んできた。 ……やはり何か裏があるなこの男、警戒は常にしておくことにしよう。

そして見せてもらうぞ。第四次の戦いで、何が残ったのかをな。 ……しまった! 俺のことが何で分かったのか聞くの忘れていた。





青年がいなくなった空間に一人、管理者は青年の立っていた場所を見続けている。顔は笑顔だが、その笑顔は普通の青年がするような笑顔ではなく、何処か新しい玩具を手に入れた子供のような笑顔だ。

「フフフ、精々足掻いてくれよ。その為に、力を渡したんだからさ」

管理者は、近くの椅子に座るとそう呟いた。しかし、顔は先程の笑顔から無表情な薄ら笑いになっている。

「さて、まあ恐らく今回で最後になるだろう。だが、今回のあれは非常に期待出来る人材だ」

管理者は、手元に紙のような物を出現させ紙に目を通し始める。そして、紙に書かれている内容を確認し終わると、また先程のような笑顔を浮かべ始めた。

「既に人間離れした能力を、長年の戦闘で複数手に入れたか。上出来だ、それでこそ面白味がある。しかし、与えた力も含めて彼は何処まで戦えるかな?」

紙を手元から消すと、管理者は再度青年に与えた力を一から思い出してみる。

デビルブリンガー 閻魔刀 デビルトリガー サスケの忍術と体術 写輪眼にそれに宿る力 飛天御剣流 武器や盾などを作り出す創造 月歩 そして最後にかなり特殊な小刀。

随分と青年は欲張ったようだが、最もチートになろうとする輩よりは、大分ましだと言えるのかもしれない。

不死身にしろや、魔力無限でサーヴァントにしろや、全ての世界の技を無限に使用可能にしろ。と闇雲に何も考えず、チートになろうとする輩が数多くいるが、青年は不足の事態も想定して選んでいたように思える。

「小刀の使い道は何かな? 聖杯かそれとも……」

管理者はそう呟くと、目を瞑り小声で何かを呟き始める。数秒後目を開き再度薄ら笑いを浮かべる。

「さて、これで彼は彼方の世界についても大丈夫だ。最も、まともな状態ではないけど」

管理者は椅子から立ち上げると、何処かへと姿を消した。 
 

 
後書き
次回から一応stay nightの世界に行きます。 
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