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ウイングマン イルミネーションプラス編

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決戦、VS イルミネーションプラス

1.
電流の柱はイルミネーションプラスに集合した。
その集まった電気のエネルギーをイルミネーションプラスに吸収されていった。
充電されていく怪人の体は目に見えて光を増していく。
そして電流を吸収し終えるとアオイ、桃子、ウイナアに一斉に放った。
放電された電気がまるで龍の首のように3人を襲いかかってくる。
こうなるともう防戦一方だ。
圧倒的な力の前にアオイはどうやれば勝てるのかビジョンが浮かばなかった。
しかも、放電によって3人の動きがだんだん狭められてきている。
「リーダー……」
「ケン坊……」
桃子は祈るように健太の登場を願った。

「さっきまでの威勢はどうした? お前らもライト人間にしてやるぜ!」
そう言うとイルミネーションプラスから再び攻撃が放たれた。
新たな光の龍が現れアオイと桃子を襲った。
それをウイナアが体を盾にして救ったのだ。
しかし、ウイナアの両腕がもがれた。
2人は絶体絶命の危機を迎えた。
「これで終わりだ!」
イルミネーションプラスが力を貯めて、最後の一撃を放とうとした。
その瞬間――
「させるかっ!」
ウイングマンが姿を現しクロムレイバーでイルミネーションプラスに斬りかかった。
まったく予想していなかった敵の登場にイルミネーションプラスは動揺しよけそこなった。
右手を切られ、アオたちの行動を制限していた光の龍も消滅した。



イルミネーションプラスの充電が終わると、電気が切れて真っ暗になった街に再び電気が点ってきた。
街中に「わああああ!!!」と歓声が上がった。
停電が解消されたのだと街の人たちは思ったのだ。
ただ一人、巨大クリスマスツリーの下で美紅だけが遠くの空を見つめお祈りをしていた。
「神様、広野君を守ってください」



「ケン坊!!」
「リーダー!!」
ヒーローの登場と窮地から脱したことでアオイと桃子も息を吹き返した。
「アオイさんもピンクも水くさいじゃないか。自分たちだけで解決しようなんて」
ウイングマンを中心にアオイ、桃子が脇を固めた。
ウイナアはウイングマンの後ろに陣取った。
「オレが来たからには、今からはお前の好きなようにはさせないぜ!」
そう言って健太は大見得を切った。
「悪烈! ウイングマン!」

右手を切られたイルミネーションプラスは怒りに震えていた。
「オレ様の右腕を切ったことを後悔させてやるっ!」
怒りの声を上げた怪人に共鳴するかのように再び地上の光が消えた。
そして、イルミネーションプラスの元に光が集まってきた。
「なんだ!? こいつは電気を集めるのか?」
健太は驚いた。
しかし、同時にこの敵を倒さなければ平和なクリスマスが訪れないことも明白だった。
イルミネーションプラスが電気の龍をウイングマンにぶつけてくる。
アオイと桃子がディメンションビームで攻撃する。
そのお蔭で、敵の攻撃の狙いが定まらない。
ウイングマンは攻撃をよけ、クロムレイバーを切りつけた。
そして、今度は左手を切り落とした。
「くっ……くそっ!」
イルミネーションプラスの顔に焦りが映った。
「勝負あったな」
ウイングマンはさっさと勝負を決めにかかった。
そのとき月が雲に覆われた。

月の光が陰るとあたりは暗くなってきた。
それを見てイルミネーションプラスはニヤリと笑った、
「天はオレ様を味方したようだな……」
そう言うとイルミネーションプラスが発光を止めた。
「これでどうだっ!」
辺りは完全に真っ暗になった。
雲で月が完全に隠されると光源がないので完全な暗黒になった。
「えっ!?」
健太はあっけにとられた。
まさか視覚を奪われるとは考えていなかった。
アオイも桃子もまったく見えない状態だ。
前のときは街の灯りがあったので、多少、視覚は生きていたのだが、今は完全に見えていない。暗黒の世界だ。
「うわっ!」
しかし、イルミネーションプラスは完全にウイングマンたちを捉えることができていた。
ウイングマンは一方的に攻撃をされるだけだ。
攻撃はキックやパンチでの攻撃なのでダメージとしては低い。
しかし、何度も受けていけば効いてくる。しかも健太は打つすべがないのだ。
「リーダーっ!!」
ウイングマンは完全なサンドバック状態になっていた。
アオイは打開策を考えたが思いつかない。
そもそもアオイですら健太がどこにいるのかがわからないのだ。
「このままじゃケン坊でもやられちゃうよ……」
雲がどれだけ厚いのかはわからないが本当に暗黒の世界だ。
「でも、光がないんじゃ……」
ん!?
アオイはひとつアイデアを閃いた。
「ケン坊っ! これなら見えるでしょっ!」
多少危険だけれど、光を出す方法はあった。
それを試してみたのだ。
「アオイさんっ!?」
桃子も驚きの声を上げた。まさかそんな手で光を出すなんて考えもしなかった。
アオイは自分のブラを右手で剥ぎ取ったのだ。
アオイの胸は光を放っていた。
乳首を中心に乳房にまで光源が広がっていた。
「えっ!?」
健太も思わず二度見した。
胸を中心にアオイの姿がぼんやりと認識できる。
「お、おっぱいが、アオイさんのおっぱいが光ってる……なんで?」
まさかアオイの胸にそんな仕掛けがあるなんて考えてもみなかったのだ。
「ちょっと、どこ見てんのよ!!!!」 
アオイは健太の視線に恥ずかしくなった。しかし手を隠すわけにはいかない。隠したら辺りは暗闇に戻ってしまう。
「ケン坊が見なきゃいけないのはあっちでしょ!」
胸を晒したままアオイは敵を指さした。
自分の光のおかげでうっすらとだが確認することができた。
「き、貴様ぁっ! お前がどうしてそんなことができるんだぁっ!!」
イルミネーションプラスは焦り始めた。
まさか自分の与えた攻撃に足を引っ張られるとは思ってもみなかったのだ。
「わ、わかった!」
あわてて健太はクロムレイバーを構えイルミネーションプラスに向かっていった。
アオイの光のお蔭でイルミネーションプラスの姿がうっすらとだが確認できる。
イルミネーションプラスは動きは予想よりも素早く、ウイングマンの攻撃を避けてみせた。
無駄なことをしていない分、攻撃力をスピードに回しているのだ。
しかし、イルミネーションプラスにはなすすべがなく、健太は勝利を確信した。
問題は時間だった。
ウイングマンのカラーリングも赤に変わり変身していられる時間が少ない。
さらに――
桃子も焦りを感じていた。
アオイの胸の光が徐々にだか目に見えて広がっているのがわかった。
アオイから放たれる光はだんだん強くなっていて胸以外の部分も光を放ち始めた。
恐らく、このままだったらそんなに時間を経ずにアオイはライト人間になってしまう。
桃子もイルミネーションプラスに向かってビームを放って動きを封じようとした。
アオイ自身も自分のライト人間化には気づいていた。
本当なら一緒に攻撃をしたいところだったがディメンションパワーは自分のライト人間化を防ぐために使っていて攻撃には回すことは危険だっと考えていた。
「ケン坊、さっさとあいつをやっつけなさいよ!」
アオイのその言葉に健太も一気に止めを刺すことにした。
いつまでももたもたしているわけにはいかない。
変身のタイムリミットもあるが、暗黒の状態で美紅を待たせているのだ。
ゆっくりなんてしている場合ではない。さっさと決着をつけよう。
「わかった。ソーラガーダー!」
決めポーズをするとウイングマンの各関節部が光に包まれた。
そして、ソーラガーダーが装着された。
「よしっ……」
格好をつけてみたところで健太ははたと気付いた。
「光がないからソーラーパワーが充電できないっ!?」
これではデスボールを放つことさえできない。
空を見上げるとようやく月も顔を出してきた。
しかし、それでもまだ足りない。
アオイの光じゃ徐々に増している。
「ケン坊! 私の近くにくれば?」
言われるがままにウイングマンは近くに寄るとソーラパワーは充電されていく。
しかし、まだ届かない。
「ハハハ。残念だったな、貴様は必殺技を放つことができないらしいな」
イルミネーションプラスは絶望した顔から開放された。
「くそっ! あと少しなのに……どうすることもできないのか……」
健太も頭をフル回転させるがいい方法が考えられない。
アオイはひとつ、状況を打破するアイデアがあった。
今、この状況を変えられるとしたら……
桃子の顔を見た。
しかし、アオイの口からこの提案はできない。
桃子ならこの状況を打破できる。しかし、一歩間違えれば桃子がライト人間になってしまう危険性があるのだ。
桃子には自分とは違ってディメンションパワーをコントロールできない。
コスチュームに守られているだけなのだ。
それに桃子にそれを頼むのはハードルがあった……

「それしかないよね……」
アオイの考えはその視線だけで桃子には伝わっていた。
「アオイさんだって身を挺して戦っているんだから……」
自分のコスチュームを見た。
しかし、やはりいいアイデアを思いつかなかった。
「それにあいつを倒さなかったら、私もライト人間になってしまう……」
桃子は覚悟を決めた。
「リーダー! こっちを見ないでください!」
そう言うと桃子はコスチュームのスカートを脱ぎ始めた。

しかし手遅れだった。
見ないでくれと言われても、すでにてい健太は射的に声のする方を見てしまっていた。
桃子のお尻は見事にLEDライトのように輝いている。
パンツをはいているとは言え体が強烈に発光していて、完全に透けて見えてしまっている。
水に濡れた下着よりも透けてしまっていて、隠すガードの役割を完全に無効化してしまっていた。
そこまでの自覚は桃子にはなかったが、好きな人とはいえ、自ら下着を人前で見せる行為は恥ずかしくてたまらなかった。
しかし、隠すことはできない。
「リーダー、お願い! あいつをやっつけて!」
桃子のお尻から下半身に光源は広がっていき、ソーラパーワーの充電も徐々にたまってきている。だがまだ足りていなかった。
「あと、少しなのに……」
健太は腕のメーターを見てもどかしく思った。

「ハハハ。無駄だ。お前の仲間ももうすぐライト人間だぜ。そうなったら形勢逆転だ」
今はまだ大丈夫だがライト人間になってしまえばアオイも桃子も敵に変わってしまう。
しかし、健太には成すすべがない。
2人のライト人間化の進行度合いも確実に進行している。
ただ、アオイのパンツと桃子のトップスが2人のライト人間化を食い止める最後の砦になって、なんとかそれを保っていた
しかし、そこが侵食されるのも時間の問題かもしれない。それに健太の変身のリミットまであとわずかだった。
「桃子ちゃん、覚悟を決めるわよ!」
アオイのその呼びかけに桃子も強くうなずいた。
イチかバチかの勝負だ。
「何っ!?」
イルミネーションプラスは顔を歪ませた。
アオイはパンツを、桃子はトップスを自ら剥ぎ取ったのだ。
2人の恥部がさらされると間もなくそこに光源の浸食が始まった。
しかし、お蔭でソーラパワーの充電が一気に高まりった。
「やった!」
デスボールの発射ができるほどにソーラパワーがチャージされた。
「アオイさん、ピンク…… まかせてくれ!」
ウイングマンのソーラガーダーの胸部が開き、イルミネーションプラスに目掛けてデスボールが発射された。
「今、ライト人間の呪縛から開放するから!」
イルミネーションプラスは一瞬でデスボールに閉じ込められた。
そして、身動きができなくなった。
本来なら、遺言でも聞いたやりたいところだけれど2人のライト人間化は進行している。
悠長に待っている時間などないのだ。
「これで最後だ!」
ウイングマンがヒートショックを決めた。
真っ二つにデスボールをぶった斬ると、地上の電気が一気に光り始めた。
そして、地上からは歓声の声が次々と上がた。
「アオイさん! ピンク! やったよ!」
振り返ってガッツポーズを見せた健太だったが目の前にはコスチュームからブラとパンツを取ってほぼ全裸の姿になったアオイと、トップスとスカートのないパンツ一枚に近い姿の桃子がいた。
空中ながら、健太は思わず鼻血を出してひっくり返った。
「ケン坊! こっちはいいから、さっさと美紅ちゃんのところに行きなさい!」
アオイは顔を赤らめながら、健太にそう言い放った。
「ありがとう! また後で」
健太も慌てて、美紅の元へもうスピードで飛んで戻った。
早く美紅に会いたい、という気持ちもあったが早く行かないと変身が解けてしまうという事情もあった。
「またりーだーに見られちゃった……」
桃子も顔を真っ赤にしながら健太の後ろ姿を見送った。
「まあいいじゃない。見られたのが好きな人だったんだから」
アオイはフォローの言葉にウインクを添えた。



2.
電気がつき始めると、街はすぐに平常を取り戻した。
基本的には単なる停電だと思われていたようだった。
しかも電気が止まっていた時間もそれほどは長くない。3分程度だろうか。
パニックになるほどに深刻には受け止められなかった。
しかし、ライエルたちの攻撃だと知っている美紅は気が気ではなかった。
クリスマスツリーの前で人並みに揉まれながら、一人待っていた。
電気が灯ったのだ。恐らくは健太が勝利したのだろう。
でも、その姿を確認するまでは安心できない。
「神様……広野君を守ってください……」
両手を合わせて祈るように空を見つめていた。

「美紅ちゃん、お待たせ!」
背後から声がした。
少し疲れた顔をしていたが、無事の笑顔を見せてくれた。
ほっとして、その場に座り込みそうになった美紅を健太は駆け寄って抱きしめた。
「戻ってきたよ」
上目づかいで抱きかかえてくれたヒーローの顔を見た。
「倒したんだね」
美紅は健太に身を寄せ、ギュっと抱きしめ返した。
「お帰りなさい」

ただ、やはりデートのムードには水を差されてしまった感は否めなかった。
「美紅ちゃん、これから……」
丘の見える公園に、本当だったら行くつもりだった。
しかし、健太はついさっき、アオイや桃子のヌードを見てしまったのだ。
その姿がチラついてしまうのは仕方がないことだった。
こんな状況の中では落ち着いてデートができる自信がなかった。
「どこかに入ろうか……」
それで落ち着かない健太を見透かしたかのように美紅が提案した。
丘の見える公園の話も知ってはいたが、この後、戦いを終えて疲れきっている健太をデートに連れ回す気には美紅もなれなかった。
健太としても邪な思いを美紅に持ち込みたくはなかった。
その提案は好都合だった。
「そうだね」
そう言うと、近くのファミリーレストランに入った。
そこで健太はイルミネーションプラスのことを多くは語らなかった。
美紅も聞かなかった。
2人は軽く食事をして帰路についた。
 
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