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妖精の義兄妹の絆

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妖精の義兄妹

 
前書き
ちぇりぶろの時からの続きとなります。 

 
ザザァァ

青い空に白い雲、海をかき分けて船は進んでいる。
「あぁ…。船って潮風が気持ちいいんだな。」
ナツはデッキに出て潮風を肌で感じていた。
「乗り物っていいモンだなーオイーー!!!」
ナツは子供のように無邪気に走り回る。
「あ。そろそろトロイアが切れますよ。」
「おぷぅ。」

ズザァ

ナツは先程と変わって顔を青くしてその場に倒れ込んだ。
トロイアはかけた者のバランス感覚を養ってくれる魔法で、
ナツは重度の乗り物酔いのためウェンディにかけてもらっていたのだが今効果が切れたようだ。
「も、もう一回かけ、て…。おぷ…。」
「連続すると効果がうすれちゃうんですよ。」
そう言ってウェンディはナツの申し出を断った。
「放っとけよそんな奴。」
「あはははっ。」
グレイとルーシィはそんなナツを見て笑っていた。
「本当にシャルルたちも妖精の尻尾に来るんだね。」
「私はウェンディが行くっていうからついてくだけよ。」
「本当は楽しみなくせにー。素直じゃないんですからー。」
エマが笑いながらシャルルに言うと顔を赤くしてエマを追い回した。
「あれ?そういえばタクヤは。」
ルーシィは姿の見えないタクヤを探した。
「お兄ちゃんならあそこにいますよ。」
そう言ってウェンディはルーシィを船の首尾に案内した。
「もしかして…。」
ルーシィはおそるおそる海の中を見た。

ザザァァ

なんとタクヤはヒモで繋がれた浮き輪で波に揺られていた。
「お兄ちゃんもナツさんと一緒で乗り物酔いが激しいんですよ。船に乗るときはいつもこうしてるんです。」
「ここまでくると笑えないわね…。」
ルーシィとウェンディは再びデッキに戻ってきた。
「楽しみです!!妖精の尻尾!!!」
六魔将軍との戦いが終わって連合軍は各々それぞれのギルドに帰った。
青い天馬も…

『また素敵な香りを!!エルザさん、ルーシィさん。』

『今度こっちに遊びに来てね。』

『その時は最高の夜をプレゼントするよ。』

蛇姫の鱗も…

『マスターマカロフによろしくな。』

『グレイ。脱ぎ癖直せよ。』

『おまえに言われたくねぇよ!!』

そして…

『てか…あれ放っとおいていいの?』

『できてぇる。』

『と、とっとと帰りなさいな。』

『さ…さみしくなんかねぇからな。』

『シェリー!!!』

『レン!!!』

なにやらレンとシェリーはいつの間にかいい雰囲気になっていた。
また、ルーシィの手元には新しく3つの鍵がある。

『エンジェルが捕まって契約が解除されたんだ。』

『うんうん。』
そう言ってきたのは双子宮のジェミニだった。

『ピーリッピーリッ。』

『ウィーアー。そんな訳でオレっちとしてはアンタに新しい所有者“オーナー”になってもらいてぇ。』

『ダメでしょうか。』
ジェミニの横に立っていた天蝎宮のスコーピオンと白洋宮のアリエスだった。
彼らはこの世に十二しかない黄道十二門の星霊なのだ。

『黄道十二門の星霊が一気に3人も…!!?』

『人?オレっちたちの数え方は“体”だぜ。ウィ?』

『あ、うん。…それやめたんだ。ロキとか人みたいでしょ?
なんか…物みたいに数えるの抵抗できちゃって…。』
スコーピオンたちはそれを聞いてルーシィの心を知った気がした。
自分たちを道具としてではなく一人の仲間として見てくれるこの人なら安心して鍵を預けられる。

『よろしくお願いしますオーナー!!』

『うん!!こちらこそよろしくね。スコーピオン、アリエス、ジェミニ。』
こうしてルーシィに新たな仲間ができた。
次第に船はハルジオンの港に到着した。






























「…と言う訳で、タクヤとウェンディ、シャルルにエマを妖精の尻尾に招待した。」
「よろしくお願いします。」
「よろしくな。」

オオオオオオッ

「かわいーっ!!!」
「ハッピーのメスがいるぞ!!」
「こっちの男の子もかっこいー!!!」
「みんなおかえりなさい。」
「おジョーちゃんいくつ?」
ギルドにいた者がタクヤたちを囲むようにして質問してくる。
「マスター。」
「うむ。よくやった。これでこの辺りもしばらくは平和になるわい。もちろんタクヤたちも歓迎しよう。」
エルザはマスターであるマカロフに簡単な事後報告を済ませ、輪の中へと入っていった。
「ルーちゃんおかえり〜。」
「レビィちゃん!!!」
レビィと呼ばれた女の子はルーシィを見つけるや否や抱きついてきた。
「よく無事だったな。」
「だんだんルーシィが遠い人に…。」
「ルーちゃーーーん!!!」
「もぉおおげさなんだからぁ。」
ルーシィとレビィが感動の再会を果たしていた頃、
「ジュビア…心配で心配で目から大雨が…。」

ザザァ

ジュビアという女性は目から大量の涙を流し、そこに小さな海が出来つつあった。
「グレイ止めろ!!!」
「おぼれる!!」
「何でオレが…!!」
何人かはそのまきぞいをくってしまいジュビアの荒波に流されていた。

がやがや わーわーわー がやがや

「んでよォ、ヘビが空飛んで…。」
「ヘビが空なんか飛ぶかよ!!漢じゃあるめーし。」
「漢?」
ナツたちが騒いでいるのをよそにタクヤたちに一人の女性が話しかけてきた。
「シャルルとエマはたぶんハッピーと同じだろうけど、タクヤとウェンディはどんな魔法使うの?」
「シャルル!!エマ!!本物のミラジェーンさんだよ。」
ミラジェーンと呼ばれた女性は昔は凄腕の魔道士だったらしく、
その姿からは想像もできない“魔人”という異名を持っていた。
しかし、ある日を境に魔道士を引退し、今では雑誌のグラビアやギルドのウェイトレスとして働いている。
「ちょっと!!!オスネコと同じ扱い!?」
「まぁ、実際そうですし。」
「私…天空魔法を使います。天空の滅竜魔導士です。」
「オレは水の滅竜魔導士だ。」
「「!!!」」
ウェンディとタクヤの放った言葉にさっきまで騒いでいたギルドの全員が一気に黙り込んだ。
「あ。」
「どうした?」
(「信じてもらえない…か。」)
「おおっ!!!」
「スゲェ!!!」
ウェンディは想像していた返答と違うのが来て驚いた。
「ドラゴンスレイヤーだ!!!!」
「すげーーーっ!!!」
「ナツと同じかっ!!!」
「ガジルもいるしこのギルドに4人も滅竜魔導士が!!!」
「めずらしい魔法なのにな。」

オオオオオ

「う…。」
賑やかな光景を1人2階から見ていた男がいた。
名前はガジル・レッドフォックス。タクヤたちと同じ滅竜魔導士である。
「ネ…ネコ…。」
ガジルはタクヤたちと一緒にいる二足歩行で歩くネコたちに注目していた。
(「同じ滅竜魔導士なのに…なぜオレだけネコがいねぇ!!?なぜだ!!?」)
ガジルはしばらく自分にネコがいないのかを悩んでいた。
「今日は宴じゃー!!!」
「「おおおおっ。」」

オオオオオ

「タクヤ、ウェンディ、シャルル、エマの歓迎会じゃー!!!騒げや騒げっ!!!」
マカロフの一言によりさらにギルドの中はヒートアップしていった。
「ミラちゃーんビール!!」
「はいはーい。」

「グレイ様浮気とかしてませんよね。」
「な、何だよソレ!!」

「うおおおっ!!!燃えてきたぁぁ!!!」
「きゃああああたしの服ー!!!」
「「いいぞールーシィ。」」

「シャルル〜オイラの魚いる?」
「いらないわよっ。」
あちらこちらでお祭り騒ぎ。
ナツが興奮してルーシィの服を燃やしたり、
妙にベタベタしているグレイとジュビアを後ろからアルザックとビスカがじっくり観察していたり、
カナがエルザに酒の飲み比べを挑んだり、ミラジェーンとエルフマンが歌を歌ったりと、
ギルドの中は笑顔で溢れかえっていた。

わーわー わーわー

「楽しいトコだね。お兄ちゃん、シャルル、エマ。」
「そうだな。」
「私は別に…。」
「とても暖かいギルドですねー。」
ウェンディたちがそう喋っているのを2階から静かに見ていた覆面の男がいた。
「…。」

くるっ シュウ…
男はしばらくしてギルドを後にしたのだった。



























それから数日後
「どぉ?このギルドにも慣れてきた?」
「はい。」
「女子寮があるのが気に入ったわ。」
「それにここのカプチーノは最高です。」
ルーシィとウェンディ、シャルル、エマが一つのテーブルを囲んで喋っていた。その横ではタクヤが熟睡している。
「そういえばルーシィさんは何で寮じゃないんですか?」
ウェンディが素朴な質問をルーシィに問いかけた。妖精の尻尾には女子専用の寮があり、
ほとんどの女性がそこに住んでいる。
「女子寮の存在最近知ったのよ。てか、寮の家賃て10万Jよね…。
もし入ってたら払えなかったわ今頃…。」
ルーシィが笑いながら泣いて喋っていたその時、
「大変だーーーっ!!!」
一人の男が玄関から血相を変えて飛び込んできた。

ゴーン ゴゴーン ゴーン ゴゴーン

突然街中に鐘の音が鳴り響いた。
「何!?」
「鐘の音…!!?」
「っんあ!?」

ゴン

タクヤは思わず床に落ちてしまい完全に目が覚めてしまった。
「この鳴らし方は…!!!」
「あい。」
「おおっ。」
「?」
「まさか!!!」
周りにいた者たちは期待に胸を踊らしているような顔で玄関を見つめた。

ゴーン ゴゴーン ゴーン ゴゴーン











「ギルダーツが帰ってきたァ!!!」
「あいさー!!!」

わーわー わーわー

「ギルダーツ?」
「誰だそれ?」
「あたしも会った事ないんだけど…妖精の尻尾最強の魔道士なんだって……。」
「うわぁ。」
「最強かぁ…。」

オオオオオ

ギルドは今までにないほど激しく盛り上がっている。
「どうでもいいけどこの騒ぎようは何!?」
「お祭りみたいだね、シャルル。」
「ホント騒がしいギルドね。」
ウェンディたちが喋っている所にミラジェーンがやって来た。
「みんなが騒ぐのも無理ないわ。」
「ミラさん。」
「3年ぶりだもん…帰ってくるの。」
「3年も!!?何してたんですか!?」
ルーシィの問にミラジェーンは丁寧に答えた。
「もちろん仕事よ。S級クエストの上のSS級クエストってのがあるんだけど、
そのさらに上に10年クエストって言われる仕事があるの。10年間誰も達成した者はいない。だから10年クエスト。

















ギルダーツはそのさらに上、100年クエストに行ってたのよ。」























「ギルダーツだぁ!!!」
「ギルダーツが帰ってきたぞォ!!!」
マグノリアの至るところで町の人々か慌てていた。
《マグノリアをギルダーツシフトへ変えます。町民のみなさん!!すみやかに所定の位置へ!!
繰り返します。〜》

わー わー

放送を聞いて町中がパニックを起こしていた。
その頃ギルドでは…
「100年クエスト…。100年間…誰も達成できなかった仕事って事ですか…!?」
「それにしても騒ぎすぎじゃないかしら…ってアンタ何してんのよ。」
「いや、見てたら掃除したくなって。」
シャルルはギルドのみんなと一緒にテーブルや荷物を片付けていたエマにつっこんだ。
「マグノリアのギルダーツシフトってなんだ?」
「外に出てみればわかるわよ。」
そう言われてタクヤたちは外に出て町を見た。

ゴゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

すると、突然町から地響きがなった。よく見てみると建物が移動していた。
「う、うそ!?」

デデェェン

建物は町の隅にやられギルドの前には大きな道ができた。
「街が…割れたーーーっ!!!!」
「すげぇーーーー!!!!」
「ギルダーツは触れたものを粉々にする魔法を使うんだけど、
ボーっとしてると民家もつきやぶって歩いてきちゃうの。」
「どんだけバカなの!!?」
ルーシィは呆れながらも驚きを隠せなかった。
「その為に街を改造したって事かよっ!!?」
「すごいねシャルル!!」
「えぇ…すごいバカ…。」
そしてギルドに向けてゆっくりと歩いてくる人影が見えてきた。
「来たーーっ!!!!」

オオオオ!!

みんな玄関の前に集結しギルダーツの帰りを心待ちにしていた。
タクヤたちもまだ見ぬギルダーツに胸を高鳴らせていた。
そして…









「ふぅ。」
ギルダーツがギルドに帰ってきた。
「ギルダーツ!!!オレと勝負しろォォォーー!!!」
「いきなりソレかよ。」
ナツはギルダーツが帰ってくるや否や勝負を申し込んだ。
「おかえりなさい。」
「この人がギルダーツ。」
「む。お嬢さん。確かこの辺りに妖精の尻尾ってギルドがあったハズなんだが…。」
「ここよ。それに私ミラジェーン。」
「ミラ?」
ギルダーツはミラジェーンの顔をしばらく見つめると、

ポン

「ずいぶん変わったなァオマエ!!!つーかギルド新しくなったのかよーっ!!!」
「外観じゃ気づかないんだ…。」
その時、

ドドドド

「ギルダーツ!!!!」
ナツが全速力でギルダーツに近づいてくる。
「おおっ!!ナツか!!!久しぶりだなァ。」
「オレと勝負しろって言ってんだろー!!!」
「また今度な。」

バチィ

「ごぱっ。」
ナツの渾身の拳を軽々あしらい、その勢いを利用してナツを天井へ放った。

ベコッ

ナツは天井にめり込みしばらく落ちてこなかった。
「や…やっぱ、超強ぇや。」
「変わってねぇな、オッサン。」
「漢の中の漢!!」
「いやぁ見ねぇ顔もあるし…ホントに変わったなァ。」

ビリッ

「!!」
ギルダーツは何かを感じ取ったのかすぐさま真剣な顔に変わる。
「…ん?オレ?」
ギルダーツの視線はタクヤに向けられていた。タクヤは何が何だかわからないといった顔をしている。
「お兄ちゃん、ギルダーツさんと知り合いなの?」
「いや…初対面のはずだけどなー。」
「…わりぃな。お前も新人か?」
ギルダーツはさきほどの柔らかい顔に戻りタクヤに話しかけた。
「あ、あぁ。こないだ入ったばかりだ。」
「そうか…。頑張れよ!!」

ポン

ギルダーツはタクヤの肩を叩き激励した。タクヤは訳がわからないといった顔をしていたが。
「ギルダーツ。」
「おおっ!!マスター!!!久しぶりーっ!!!!」
マカロフは皆が静まったの見計らってギルダーツに声をかけた。いつものおちゃらけた顔でなく真剣な顔で。
「がっはっはっはっ!!!!」
するとギルダーツは笑い出した。マカロフもそれを見て悟ったらしい。






「ダメだ。オレじゃ無理だわ。」
「「何!?」」
「「ウソだろ!!?」」
「あのギルダーツが…。」
「クエスト失敗…!?」
全員がギルダーツのクエスト失敗を聞いて騒然となっていた。
たしかに今ではフィオーレ一のギルドと言われている妖精の尻尾の…
さらには最強の魔導士でも無理だと聞けば誰でも驚くだろう。
(「妖精の尻尾最強の魔導士でも無理って…、何なのよ…100年クエストって…。」)
ルーシィもその中の一人だった。
「そうか…。主でも無理か…。」
「スマネェ。名を汚しちまったな。」
「いや…無事に帰ってきただけでよいわ。
ワシが知るかぎりこのクエストから帰ってきたのは主が初めてじゃ。」
マカロフはクエストよりギルダーツの身の安全を心配し労をねぎらった。
「オレは休みてぇから帰るわ。ひ〜疲れた疲れた。」
ギルダーツは自宅へ帰ろうと歩き出したがすぐに止まった。
「ナツぅ。後でオレん家来い。みやげだぞ〜っがははっ。」
「?」
「んじゃ失礼。」

ボコボコ バキバキ バゴォ

そう言ってギルダーツは扉へ向かわず壁を壊して自宅へまっすぐ帰っていった。
「100年クエストはまだ早い。やめておけ。」
「あっれー?わくわくしてるように見えましたぁ!?」
「なんか変なオッサンだったな。とりあえずオレも帰ろうかな。」
「じゃあ私たちも一緒に帰るよ。」
タクヤたちはちゃんと扉から帰っていった。
























空は青空から鮮やかな橙色に染まりつつあった。
「今日の夕飯何にしましょうか?」
「んー?なんでもいいぞー。」
タクヤは興味なさそうに返事をした。
「作る側にしたらそれが一番困るんだよ。」
横からウェンディがタクヤに言った。
「今日はウェンディたちも久しぶりに食べに来ますか?」
「いいの?」
「多勢で食べた方がおいしいですからね。」
「じゃあお邪魔しようか?シャルル。」
「ウェンディが行くならいいわよ。別にメスネコの料理を食べたいとかじゃないから。」
シャルルは素っ気ない態度をとっているがほか三人は慣れた対応で受け流した。
「それじゃあ材料を買いにいきましょうか。」
「あっ。オレ寄るところあるから先に行くな。」

タッタッタッ

「ちょっと!!お兄ちゃん!!!」
そう言い残してタクヤは一人先に行ってしまった。
「ったく、勝手ね。」
「…。」






















「お。ちょうどいいとこあるじゃん。」
タクヤは森を歩き開けた場所を見つけた。目の前には大きな滝がある。
「よし…。」
タクヤは滝に向き合い魔力を集中する。次第にタクヤの周りに不規則な風が吹く。
「水竜の…咆哮ォォォ!!!!」

ザバァァァァン

タクヤは滝に咆哮を放った。滝は咆哮の水で激しく弾けた。その衝撃でその場に雨が降った。
「…がっ。」

ガクッ

タクヤは地面に膝をついた。
「ハァ…ハァ…。」
息を切らしてしばらく動けなかった。体が思うように動かない。
「ハァ…ハァ…フゥー…。」
「お兄ちゃん!!!」
するとそこにウェンディがやって来た。すぐさまタクヤに治癒魔法を施す。
「ウェンディ…!!どうしてここに。」
「お兄ちゃんの帰りが遅いから探してたらこっちで大きな音がして、それで…。」
「そうか…もうそんな時間か。」
空を見上げれば日は沈み、辺りは真っ暗になっていた。
「お兄ちゃん…まだ体が…。」
「…あぁ。まだ魔力が戻りきってないらしいな。」
ウェンディが治癒魔法をやめた。どうやら体力は回復したらしい。タクヤにゆっくり立ち上がった。
「さんきゅーな。」
「あんまり無茶しないでね。」
「わかってるって。さっ!帰ろうぜ。腹減っちまったよ。」
タクヤはそう言って森の中を歩き出した。ウェンディもその後をついていく。
(「早く…早く強くなんねーと…。まだオレは…。」)
タクヤは心の中でそう思いながら次第に早歩きになっていった。


 
 

 
後書き
はい!これでニルヴァーナ編終了です!突然の機種変で御迷惑をかけておりますがこれからも宜しくお願いします。次回はエドラス編に入る前の行間ですのでどうかお楽しみに!
では、感想など待ってマース! 
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