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真ゲッターロボ・地球最凶の日 第一部「滅亡への夜明け!」

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燃えよ!ゲッター篇第五話「赤城見参!」

 
前書き
ついに三人目のパイロット赤城が登場です! 

 
研究所へ侵入してきた野郎こと、ゲッター2のパイロットになった神威疾風ってのが転がり込んでからというもの、常に日常茶飯事に喧嘩が後を絶たない。
アイツが何度も研究所から脱走しようとして、連れ戻そうとする俺とよく喧嘩して周囲を巻き込んでしまうようだ。
よって、疾風を鎖でぐるぐる巻きにして分厚い鉄格子に囲まれた独房へ放り込んでおいたらしい。これなら凶暴な野獣も好き勝手できまい?
「よし、のこるは三人目のパイロットのようじゃな……?」
疾風をおとなしくさせたところで、爺は俺に三人目のゲッターのパイロットを探すよう言ってきやがった。
「てか、どうして俺なんだ?俺の時みたいに黒ずくめの連中共に探させればいいじゃねぇか?」
「三人目のパイロットは常識を持った大人しい人間とは限らんじゃろ?」
「ま、確かに……」
疾風のような狂人を押さえつけることのできる奴っていえば研究所の中で俺しかいない。
「情報によると、帝都の寺に三人目らしきパイロットが僧として修業しておる」
「おいおい、今度のパイロットは坊さんかよ?」
「修業に耐えて精神共に鍛え上げた人間こそゲッターにふさわしき者よ?喧嘩だけが取り柄な奴だけがゲッターに選ばれるわけではない」
「喧嘩だけが取り柄って……俺か?」
「とにかく、行って来い!」
「わぁったよ!ったく、人使いの荒い爺だぜ……」
俺はやれやれといわんばかりにバイクで帝都の山の手にある観光地の寺へ向かった。
                    *
「にしても……」
さすがに観光地といっても、BETAが関係するとやはり観光客なんて一人もいず、寂しい山寺になっていた。だが、坊さんたちのお経だけはしっかりと聞こえていた。
「パイロットらしいような人物を見つけろってか?それなら住職とかをスカウトすりゃいいんじゃねぇかな?」
いやいや、大抵住職っての年寄りが全般っぽいし、早乙女の爺は別としてゲットマシンのGにはご老体が持たないぞ?
もっと、若くて体のしっかりした奴を探さねぇとな?
俺は、庭へ入り込んで修業している小僧らを宥めた。箒で庭掃除をしているようで、このなかでそれらしい人物はいないか確かめる。だが……
「みんなふてぶてしいツラしてやがる。なんだかダメっぽいな?」
俺は諦めて別のやつはいないか、連中に話しかけてみた。
「よ!小僧さんら?」
「……はい?」
物静かに、掃除をしていた小僧たちは俺のほうへ向いた。
「ここに、修業を積んだたくましい坊様とかいねぇかい?」
「修業を……?」
「おう、こう精神や肉体的に鍛え上げられた弁慶みてぇな坊さんはいねぇかい?」
「……」
困った顔をして、小僧らは互いの顔を見合わす。その様子だと、心当たりがなさそうに見える。
「あ、わからねぇなら別にいいんだ。ヤボな事聞いてわるかったな?」
「……僧侶の方々でしたら、本殿でお経を唱え続けております。おそらく、その中にそれらしきお方が居られるかも……?」
と、小僧の一人が本殿へ指をさした。
「本殿、ねぇ……?」
あんまり期待していないが、とりあえず本殿に入ってそれらしい人物を見つけることにした。しかし……
「不気味だ……?」
一斉に薄暗い本殿の中で大勢の坊さんが身を寄せ合ってお経を唱え続けていた。まるで、希望も何も無いかのように絶望にしたりながら仏さんへ祈りをささげているかのようだ。
「あ、あの……?」
俺は気味悪がりながら、おそるおそる尋ねた。
「何用ですかな?」
僧侶たちの中で仏像の手前に立つ年老いた僧侶、おそらく住職が俺に振り向かずに答えた。
「……肉体的に修業を積んだ坊さんを探しに来たんだけど、いないか?」
「存じませぬな……この寺に僧たちは大勢降りますゆえ、私でさえも把握しきれません」
「ああ、そうかい……で、どうして真昼間から暗い声で経なんざ経とか唱えてんだ?」
「……この世の滅びはすぐそこまで迫ってきております。ゆえに我々はこの地で終焉が訪れるその日まで、仏に祈りをささげようと」
「んだよ……」
しかし、俺はそんな坊さんたちの理由に呆れた。結局、絶望しかしていない。自ら諦めて仏に頼り切っていた。こんな連中にゲッターのパイロットが勤まることなんてありえないな。
「そうかい、あばよ。ジャマしたな……」
現実から逃れ、何もしないまま絶望してやがる。確かに無理だと自分が認めたら諦めることってのは人によって異なるもよくあることだ。
……けどな?努力が嫌いな俺でも、何もしないまま諦めるような奴にはなりたくねぇ!
どうせなら何か自分にできることをトコトンし尽してから諦めたり絶望したりするもんだ。何もしないで勝手に絶望してんじゃねぇ!
俺は心底見損ない。調査の手も付けずにそのまま寺を降りた。爺には、ふさわしい人材が見つからなかったとでも理由を言うか?これならまだ帝国軍から何人かを引っ張ってきたほうがまだ確立が高い。
「ったく……坊さんも地の落ちたもんだな?」
そう愚痴って街中を走っていると、ふと橋の下の河辺に一人の坊さんがしゃがんでいた。それも大柄で、いつしかあったような気がする。
「あれは……?」
「よしよし!そら、食え食え?」
河辺の坊主は、太った大柄な体格に似合わず段ボールではしゃいでいる捨て犬に托鉢で集めた食べ物を与えていた。
「よう!また会ったな?」
俺は後ろから声をかける。
「お、アンタはこないだの?」
坊主も振り向いて俺に愛称のいい顔を向けてくれた。
「捨て犬に餌やってたのか?」
「ああ、可愛そうにまだ子犬さ?親犬が居ねぇようじゃあ、誰かがこいつを育てないといけねぇからな?」
「律儀なこった、寺の坊主たちよりもずっと立派だぜ?アンタ」
「いや……俺なんか、冴えない生くそ坊主だよ?」
「そうなのか?」
「自分でいうのも何だが、馬鹿で不器用な男さ?」
「何だ、俺と一緒じゃねぇか?俺も、喧嘩することしか能のねぇ無鉄砲なおバカだよ?」
俺と、この坊主は意気投合して笑いあった。見るかぎり気が小さく見えるが、優しくて力持ちっぽい奴だな?こういう奴ほど憎めないんだ。
「そういや、まだ名前言ってなかったな?俺の名は黒銀紅牙ってんだ」
「俺は、紫電赤城。落ちこぼれの坊主さ?」
「じゃあな!今度会ったら遊ぼうぜ?」
「ああ、こっちたぁ暇だから何時でも来い?」
雑談は数時間続いて、俺は赤城と別れた。見るからに良い奴で力持ちの印象が強く、ゲッターに乗れそうな気がしたが、俺はどうもスカウトしたくなかった。
ゲッターへ乗るにはそれなりの覚悟が必要だし、あんな良い奴をゲッターへ乗せるにはいささか罪悪感を感じたからだ。
爺に大目玉くらうかもしれないが、俺はバイクで研究所へ向け走らせた。何せ、爺の情報は絶対とつくほど明確だ。一人もいませんでしたじゃ爺は納得してくれない。
ま、俺なりにうまく理由でも言えばいいか?
そう、俺は研究所に帰るまで爺への言い訳を考えながらバイクを走らせていたが、
『紅牙!聞こえるか!?』
「どうした?」
『またしても奴らじゃ!あのインベーダー共め、懲りずに研究所を狙っておる』
「BETAか!?」
こうしてはいられないと、俺はアクセル全開で研究所へと戻った。ドッグには、パイロットスーツに着替えた爺が居た。おそらく、パイロットが見つからなかったのだとあらかじめ予想していたのだろう?そして……
「爺が、ベアー号に乗るなら、ジャガー号には誰が……まさか!」
そう、まさかあのキチガイ野郎を乗せるんじゃ……
「フフフッ……そのまさかだ!」
と、早乙女は警備兵を数人連れて例の独房の地下室へと向かった。長い階段を下り、最奥部の暗闇の鉄格子のなかで、鎖で拘束されて横たわる神威疾風の姿があった。
「こい、出番じゃ……」
「……?」
警備兵たちに銃口を突き付けられながら、戒めの鎖をはずされ、体は一様自由になる。
「騒々しいな、何があった……?」
そう、疾風が尋ねるも早乙女は、「何も聞かずについてこい!」とだけ言うと、疾風を独房からゲッターが配備されたドッグへ向かわされた。
「……また、俺にアイツへ乗れって?」
カタパルトへ設置されたジャガー号を見て、疾風はそうつぶやいた。
「今まで欲しがっていたゲッターじゃぞ?しかし……」
早乙女は、疾風の目の前へ来ると、こう言う。
「ゲッターは、お前ひとりでは何も起こらない。三人のパイロットが集ってこそ、真の力を発揮できるのじゃ」
「一人では、手に入らないというのか?」
「左様、貴様が求めている力は、貴様だけでは手に入れられぬのだ」
「……で、その力をくれてやる代わりにゲッターに乗ってお前に従えと?」
「知りたくないか?ゲッターが何のか、そして奴ら……BETA共の正体とその目的を!そしてゲッターが人類に何をもたらすのかを!!」
「……」
疾風は、しばらく早乙女を見つめるた。そして、ゆっくりと立ち上がって笑みを浮かべた。
「フッ……面白い、あのエイリアン共なんか興味ねぇが、ゲッターのことが知れるのなら、アンタに協力してやることも考えてやろう……」
「フフフ……よかろう!」
計画通りといわんかのように早乙女はニタニタと悪面めいて笑った。



……そして、
「……本当に信用できんのか?」
俺は、爺と契約を交わした疾風が妙に怪しく見えた。後ろについて俺と爺をミサイルで撃ち落とすんじゃないかと、こまめに後ろを見た。未だに、変な動きは見えないが、もし何かあったらと考えると、安心に操縦桿を握れやしない。
「さて、そろそろ奴らが来るぞ!?」
爺の視界には、上空から一つの黒い点が見えた。すでに大気圏を超えて高速飛来寸前の降下ユニットである。そして、ユニットは少し距離を置いた山の山頂付近へ落下した。
「だぁ!爺、降下ユニットがすぐそこまで来てんじゃねぇか!?」
「じゃからどうした?」
「大気圏内で撃ち落とさなくちゃダメだろうが!?」
「今回は、ゲッターをBETAと地上戦を行うためにわざと時間を合わせたのじゃ」
「街にでも入り込んでいったらどうすんだよ!?」
「入り込む前に全部皆殺しにすればいいだけの話じゃろ?」
なんて奴だ……この爺の頭の中は、ゲッターとゲッター線のことであまたがいっぱいのようだぜ……
「とにかく、お先にやらしてもらうぜ!」
こうなったら、ゲッター1になって片っ端から叩き潰してやる!!
「チェーンジ、ゲッター1ッ!」
三つのゲットマシンはゲッター1へと変形合体し、両腕には巨大な斧、ゲッタートマホークを装備した。
「ゲッタートマホークッ!!」
トマホークを掲げ、降下ユニットの裂け目からウジャウジャと湧き上がるBETA共へ襲い掛かる。
BETAの大群は一瞬にして肉片にされていく。しかし、BETAも負けじとゲッターの足元へしがみついて這い上がろうとするが、
「BETAが溶けていく!?」
そう、ゲッターへ触れるBETAたちが、次々と溶解し、蒸発していくのだった。
ゲッター線を動力源とし、その塊でもあるゲッターロボへ噛みつこうとするBETAの行為は、自殺行為である。
「どういうことだ?奴らがゲッターに触れることができないとは……」
疾風もまた、BETAがゲッターに触れたことで溶解していく現象が気にかかっていた。
「ゲッター線が奴らに反応して、ゲッターの身を固めているのじゃよ?」
と、早乙女。まるでゲッター線は意思があるかのようにBETAを拒絶し、否定しているかのようだ。
「へっ!それなら、こっちのもんだ」
と、俺はゲッターウイングを展開させて浮上して降下ユニットめがけて叫ぼうとする。
「くらぇ!ゲッタービーム……」
そう、俺はゲッタービームを振るチャージでぶっ放し、降下ユニットことBETA共を吹っ飛ばそうとしたのだが、
「まてぇ!!」
そこで爺が割り込んできやがった。
「ど、どうしたんでぃ!?」
「フルチャージでゲッタービームなどを放てば、帝都をも巻き込んでしまうのだぞ?フルチャージで放たれるゲッタービームの威力は、核弾頭数倍ものの威力を持つ。下手したら帝都はおろか、日本の半分が荒廃と化すぞ!?ましてや、ビームを最小限の威力に留めて放ったとしても、この距離だと爆風が帝都へ広がる!」
「な、何だって!?」
「おい、面倒だがゲッター2の機動力でどうにかできないか?」
ビームがダメならゲッター2の至近距離戦で対応できないとかを疾風が問うが、
「そんなことしたら、この山自体が持たん!確かにゲッター2は地上戦に特化したゲッターロボじゃが、派手に動こうでもしたら、こんな小さな山など崩れ落ちてしまうぞ?」
「ちくしょう!そんじゃあ、どうすりゃいいんだよ!?」
帝都に一匹も入れずにこの場で奴らを皆殺しにするといったのは爺だぞ!?
「だからこそ……ゲッター3の出番じゃ!」
「ゲッター3!?」
「もとは水中戦に特化した機体じゃが、周囲の大群を倒すのには十分すぎる威力を持っている。今一度分断するのじゃ!?」
そして、ゲッター1は再び三機のゲットマシンへと分離してゲッター3への隊形へと移る。しかし、
「ぐほぉ……!?」
突然、無線から爺の叫びが聞こえた。爺の鼻から血が垂れ流れ、口元は吐血している。
「じ、爺!?」
「ぐぬぅ……ゲッターのGは予想以上にきついな」
徐々に爺は力を失い、ベアー号は体制を崩して降下していく。
「爺ぃ!!」
爺のベアー号は、山の山頂付近へ墜落した。しかし、墜落程度でゲットマシンは炎上なんかはしない。しないが……
「くぅ!このままじゃ合体ができやしねぇ!!」
早くしねぇとBETAが帝都へ攻め込んでくるのも時間の問題だ。
「あんのクソ爺!言いだしっぺが無理しやがって……」
「今は俺たちだけで奴らを食い止めるぞ!爺さんを叩き起こすのはそのあとだ紅牙」
疾風の言う通り、今は二機のゲットマシンで進行するBETAをどうにかしないといけない。ちなみに、光線級のレーザー攻撃はゲッター線を纏ったゲットマシンには通用しない。


そのころ、ベアー号が墜落した近場には一人の坊主が様子を見ていた。
「なんだ、ありゃあ……?」
坊主こと、紫電赤城は次から次へと起こる非常識な展開を目に混乱していた。
「寺の近くに隕石が落ちてきたから、和尚さんたちの様子を見に来たまではいいが……隕石以外にも、変わった飛行機が墜落しているな?」
赤城は、恐る恐るベアー号へ歩み寄ると、ハッチから一人の老人が姿を見せた。見る限り体が弱っている。
「お、おい!大丈夫か爺さん!?」
今にも倒れそうになる早乙女の体を支える赤城は、とりあえず彼を気のそばまで運んだ。
「大丈夫かい!?」
「う、うむ……心配はいらん」
「怪我は大したことねぇが、出血がひでぇな?」
「この程度、すぐに止まる……ん!?」
突如、早乙女は赤城の頭をがっしりと掴んで、マジマジと彼の顔面を宥めた。
「ど、どうしたい?俺の顔になんか付いてんのか?」
「……」ニヤッ
早乙女は、笑んで赤城へこう問う。
「紫電赤城だな?」
「あ、ああ……つうか、なんで俺の名前を?」
「偶然とは時には幸運をもたらすものよ!さて……赤城よ、お前さんにはわしに変わってこいつに乗れ!」
ビシッと、早乙女は地面へめり込んだベアー号を指さした。
「は、はぁ?何の冗談だ?」
「いいから、この状況から抜け出すにはそれしかない!わしが、無線でサポートする。そのとおりに動かすんじゃ!」
「……」
赤城は、ベアー号と、目の前に座り込むよわった老人を見た。いったい自分に何が起こるのかは、怖くて不安が募る。しかし、今の状況自体は安全とは言えないのはわかっていた。そして、今の自分には選択しはないのも。
「……わかった、何がどうわからないが。乗ってはみよう?」
「よし……では、早速ハッチまでよじ登ってコックピットへ乗り込んでくれ?」
言われた通り、好奇心で赤城は恐る恐るベアー号のハッチへと上がって、開いたハッチからコックピットへ入った。
操縦の仕方は、単純だ。最初は荒っぽいが時期に慣れる』
と、早乙女は赤城へ操縦と他の操作を簡潔に説明する。
『以上だ。行けるか……?』
「あ、ああ……やってみる」
赤城が慎重に操縦桿を握って上下に動かした刹那、
「うわぁー!?」
途端にベアー号はバーニアを吹かして上空へと飛び出した。激しいGに押し付けられながらもどうにか操縦桿を握って機体を安定させる。
「じ、爺か!?」
俺は、上空から光線を受けながらもBETA共の進攻をイーグル号で防いでいる最中、ようやく爺が目を覚まして飛び立つベアー号を見た……が、
『そのベアー号にわしは乗っておらん!』
「なっ!?」
俺は目を丸くする。じゃあ、誰が?
『運よくそこで三人目のパイロット、紫電赤城との接触に成功し、今は彼に操縦を変わっている』
「やれやれ……新米にぶっつけ本番かよ?」
疾風は、唐突にベアー号へ赤城を乗せた早乙女の行動に呆れた。
「やるだけやってみるしかねぇだろ?」
と、俺はベアー号へ無線をつなぐ。
『おい!聞こえるか?あんときの坊さん……紫電赤城?』
「お、お前は……確か、黒銀?」
知っている人間が居たことで、赤城は少しばかりの安心を取り戻した。
『おう!お前がゲッターチームになる奴とは思わなかったぜ?それよりも、これからゲッター3の合体へ移るぞ?』
「が、合体!?」
「心配いらねぇ、順序よく飛行体制を作ればバカで不器用な俺でも出来る。とりあえず、お前は一番先頭へ移動するんだ」
「わ、わかった!」
ベアー号は速度を上げて戦闘へ突く。しかし、途中光線級の攻撃を受けることになって赤城は驚いてしまう。
「や、やられた!?」
『心配いらねぇ!奴らの攻撃なんざ、ゲッターにとってそよ風みたいなもんだ!!そんじゃあ行くぜ?疾風も準備はいいか?』
「ああ、こっちはいつでも良いぜ……?」
「よっしゃあ!チェーンジ、ゲッター3!!」
「な、なんだ!?」
赤城は驚くのも無理はない。ゲットマシンの形が一瞬に変わって後ろの二機とぶつかるように合体する。
ベアー号を頭部と両腕に、イーグルを胴体、そしてジャガー号そのものが下半身となって真下からキャタピラが飛び出した。
これで水中戦に特化した馬力抜群のゲッターロボ、ゲッター3が完成した!
「こ、こいつぁ……?」
気が付くと、自分は巨大なロボットを操縦するコックピットへ座っていた。
『赤城!音声入力でゲッターロボの攻撃が行える』
早乙女の無線もはいり、赤城は操縦桿に手に汗しみこませた。
「よ、ようし……どっからでもかかってこい!」
迫りくるBETAの前にゲッター3が立ちはだかる。
『一発で決めるぞ?大雪山おろしじゃ!』
「だ、大雪山おろし……?」
『さぁ、叫ぶんじゃ!』
「だ、大雪山おろしぃ!!」
言われるままに赤城はコックピット内で叫ぶ、するとゲッター3の黄色い長く太い両腕が勢いよくどこまでも伸びだして、ユニットから出てきたBETAとそのユニット一帯を四方八方に囲って球状に絡みついて圧迫させた。圧迫させられたBETAはユニット共に一纏まりとなってただの丸い肉の塊になり、すでに絶命。しかしそれでもまだゲッター3の攻撃は終わらない。それを持ち上げて上空へ投げ飛ばした。
『とどめにゲッターミサイルを放つんじゃ!』
「ゲッターミサイルッ!!」
赤城の掛け声と共にゲッター3の頭部に取り付けられた二機の巨大なミサイルが上空の塊に向けはなたれた。
BETAとユニット塊は二機のミサイルで肉片となって燃え尽きた。
こうしてBETAによる進攻はゲッター3によってあっけなく終わち、ゲッターチームに笑顔が出てきた。
「爺が目を付けた通り、赤城はある意味スゲェ奴かもな……」
微笑みながら、俺はベアー号のハッチへ目を向かる。コックピットには、緊張から解かれた赤城が落ち着き、眠ってしまっていたようだ。ハッチからでも聞こえる彼の鼾が聞こえてきた。
「クックック……!ついに、ついに揃ったぞ!!三人目のパイロットがぁ!!!」
夕暮れに向かって叫び笑う早乙女は、計画通りといわんばかりの笑みを浮かべていた。




 
 

 
後書き
次回

名門家の少女唯衣との出会いに紅牙は引かれ、斯衛兵を憎む疾風は複雑にかられ、赤城は土岐の思うままに……

「燃え上がれ!帝都・前篇」 
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