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遊戯王デュエルモンスターズ ~風神竜の輝き~

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第3章 新たなる好敵手
  第14話 月夜に蘇る暗黒龍

林間学校1日目の夜。
ACSの生徒である霧島 火凛が、謎の男にさらわれてしまう。
偶然にもそれを発見した燈輝は、遊雅に協力を要請し、火凛の救出に臨む。
燈輝から連絡を受けた遊雅も、火凛を救出するために、燈輝のデュエル・ディスクのGPS機能が発する反応を元に、彼を追うのだった。

「燈輝!」

担任から受け取った森の地図とGPSの反応を照らし合わせ、遊雅は何とか燈輝を発見する。

「遊雅、すまない。こちらの面倒に巻き込んでしまって」
「燈輝は悪くないだろ。もちろんさらわれた奴だってそうだ。早く助けてやろう!」
「ありがとう。……あっ、それと」

燈輝がデッキケースから1枚のカードを取り出し、それを遊雅に差し出した。

「礼というわけではないが、こいつを受け取ってくれ。お前のデッキなら、きっと使えるはずだ」
「いいのか?」
「ああ。もしかすると、誘拐犯と戦う事になるかもしれないからな。少しでも戦力の増強は必要だろう」
「悪いな。ありがたく使わせてもらう!」

受け取ったカードを自分のデッキケースに収めながら、遊雅は再び、燈輝と共に走り出す。
誘拐犯の足取りが分からない以上、ここからは勘による捜索しかできない。

「くっ、きりがないな……」
「手分けして探そう!見つけたら連絡する!」
「そうだな。頼んだ!」

そこから、2人は別れて捜索を再開した。
しばらく森を徘徊した後に、遊雅はある物を発見する。

「これは……」

森の中に落ちていたそれは、デュエル・モンスターズのカードだった。

「森の中にカードが落ちてるなんて……ひょっとして、さらわれた奴の……?」

遊雅はそのように仮定して、辺りに他のカードが落ちていないかを探す。
すると、ある1本の道に、同じ様にカードが落ちているのが確認できた。

「あれだ!あれを辿って行けば、もしかすると!」

遊雅は道に落ちているカードを回収しながら、火凛が連れ去られたと思われる方へ急いだ。

◇◆◇◆◇◆◇

森を抜けた遊雅は、ついに探している人物と思われる姿を捕捉していた。
山の斜面が崩れ落ち、断崖絶壁と化した場所に、彼女はいた。
ローブの男の背後、絶壁にもたれかかるようにして、火凛は座っている。
ぐったりと項垂れている為、まだ意識は戻っていない様子だった。

「ほう、これは驚いたな。まさか貴様の方から現れるとは……」
「お前は……あの時の」

火凛をさらった男、それは以前、遊雅に風神竜を渡せと挑んで来たあの男だった。
男は今回はフードを被っておらず、その顔は月明かりに照らされはっきりと認識できた。
男の顔は醜悪に歪み、まるでいい獲物を見つけたとでも言わんばかりに舌なめずりをしている。

「この娘が持つカードは、貴様の風神竜のように力のあるカードかと思ったのだがな。何の事はない、普通のカードだったよ」
「……ならもう用はないだろ。大人しく、そいつをこっちに渡せ!」
「そうだな……こうしようじゃないか。南雲 遊雅、この娘と引き換えに、風神竜のカードをこちらに渡せ」
「なんだとっ……!」

反駁しようとして、遊雅はある事に気付き、先にそちらを問い質す事にする。

「お前、どうして俺の名を……」
「おっと、これは失礼した。風神竜の所持者について、色々と調べていた物でな。侘びとしては何だが、俺も名乗っておくとしよう。バラムだ。以後よろしく頼むよ」
「……フレスヴェルクを渡すわけにはいかない。デュエルで勝負だ!俺が勝ったら、そいつをこっちに渡してもらうぞ!」

遊雅の提案を聞いて、バラムは愉快そうに笑い始める。

「何がおかしい!」
「おかしくもなろう。貴様は以前、俺に1ターンキルされた事を忘れたのか?」
「……確かにあの時は、何もできずに負けた。だが、今回は違う。フレスヴェルクがいれば、俺は絶対に負けない!」
「なるほど、確かに以前は風神竜を所持していなかったな。いいだろう、かかって来るがいい」

バラムはローブを翻して左腕を露わにする。
そこには、以前と同じデュエル・ディスク型の岩盤が装着されていた。
バラムがその岩盤を謎の力で変形させると同時に、遊雅も自分のデュエル・ディスクを起動する。

「「デュエル!!」」

夜風が吹き過ぎて行く戦場で、2人は高らかに宣戦布告する。

「先攻は譲ろう」
「なら遠慮なく行くぜ、俺は《ハンター・アウル》を召喚!」

遊雅のフィールド上に、様々な武装を施した鳥人モンスターが現れた。

「更に、《ハンター・アウル》は自分フィールド上の風属性モンスターの数だけ自分の攻撃力をアップする!」

《ハンター・アウル》
ATK/1000→1500

「リバースカードを2枚セットして、ターンエンドだ!」
「では俺のターンだな。ドロー」

バラムはドローカードを確認し、すぐに動き始める。

「手札よりフィールド魔法、《暗黒界(あんこくかい)(もん)》を発動する」

周囲が更に深い闇に包まれると同時に、バラムの背後に巨大な門が現れた。

暗黒界(あんこくかい)(もん)
フィールド魔法カード
フィールド上に表側表示で存在する悪魔族モンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。
1ターンに1度、自分の墓地に存在する悪魔族モンスター1体をゲームから除外する事で、手札から悪魔族モンスター1体を選択して捨てる。
その後、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

「更に、手札から《暗黒界(あんこくかい)取引(とりひき)》を発動。お互いにカードを1枚ドローした後、手札を1枚捨てる」

遊雅はカードの効果に従ってデッキから1枚ドローした後に、手札を1枚捨てる。
バラムも同じように、カードをドローして手札を1枚捨てた。

「手札から捨てられた《暗黒界(あんこくかい)龍神(りゅうしん) グラファ》の効果を発動。相手フィールド上のカードを1枚破壊する。そのリバースカードを破壊だ」

バラムのデュエル・ディスクから放たれた禍々しい力の奔流が、遊雅のリバースカードを貫いて破壊する。

「くそっ!」
「そして俺は、《暗黒界(あんこくかい)狂王(きょうおう) ブロン》を召喚する」

バラムのフィールド上に、異様に腕が長い不気味なモンスターが、狂ったように笑いながら現れる。

暗黒界(あんこくかい)狂王(きょうおう) ブロン》
☆☆☆☆ 闇属性
ATK/1800 DEF/400
【悪魔族・効果】
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、自分の手札を1枚選択して捨てる事ができる。

「《暗黒界(あんこくかい)(もん)》の効果で、攻撃力と守備力は300ポイントアップする」

暗黒界(あんこくかい)狂王(きょうおう) ブロン》
ATK/1800→2100 DEF/400→700

「バトルだ。ブロンで《ハンター・アウル》を攻撃」

暗黒界(あんこくかい)狂王(きょうおう) ブロン》が、狂ったように甲高く笑いながら《ハンター・アウル》に肉薄する。
その長い腕で《ハンター・アウル》は地面に叩きつけられ、消滅してしまった。

「くっ……」

南雲 遊雅
LP/4000→3400

「ブロンの効果を発動。相手に戦闘ダメージを与えた時、自分は手札を1枚捨てる事ができる。俺は手札から《暗黒界(あんこくかい)術師(じゅつし) スノウ》を捨て、効果を発動する」

暗黒界(あんこくかい)術師(じゅつし) スノウ》
☆☆☆☆ 闇属性
ATK/1700 DEF/0
【悪魔族・効果】
このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、自分のデッキから『暗黒界』と名のついたカード1枚を手札に加える。
相手のカードの効果によって捨てられた場合、さらに相手の墓地に存在するモンスター1体を選択し、自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する事ができる。

「効果により、デッキから《暗黒界(あんこくかい)龍神(りゅうしん) グラファ》を手札に加える」
「2枚目のグラファが手札に……!」
「メインフェイズ2、俺は《暗黒界(あんこくかい)狂王(きょうおう) ブロン》を手札に戻し、墓地から《暗黒界(あんこくかい)龍神(りゅうしん) グラファ》を特殊召喚する」

暗黒界(あんこくかい)狂王(きょうおう) ブロン》が地面の中に引きずり込まれる。
直後にそこから禍々しい力を溢れさせながら現れたのは、強靭な外骨格と漆黒の翼を持つ、おぞましい姿の巨竜だった。

暗黒界(あんこくかい)龍神(りゅうしん) グラファ》
ATK/2700→3000 DEF/1800→2100

「更に、ここで《暗黒界(あんこくかい)(もん)》の効果を発動する。墓地の悪魔族モンスター1体を除外する事で、手札を1枚捨て、新たにデッキからカードを1枚ドロー出来る」
「手札を捨てる……という事は……!」
「その通りだ。俺は墓地のスノウを除外し、手札からグラファを捨て、カードを1枚ドローする。そして捨てられたグラファの効果発動。もう1枚のリバースカードを破壊する」

バラムのデュエル・ディスクから放たれた黒い力の奔流が、もう1枚の遊雅のリバースカードを貫いて破壊する。

「俺はこれでターンエンドだ」
「くっ、俺のターン、ドロー!」

遊雅は手札を確認しながら、唯一取れる行動を取った。

「俺は《デコイ・バードマン》を攻撃表示で召喚!」

遊雅のフィールド上に、角笛を持った幼い鳥人のモンスターが現れる。

《デコイ・バードマン》
☆☆ 風属性
ATK/600 DEF/1000
【鳥獣族・効果】
①:このカードが攻撃対象に選択された時に発動できる。
その戦闘によってこのカードのコントローラーが受ける戦闘ダメージは0になる。
②:表側表示で存在するこのカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時に発動できる。
デッキから攻撃力1000以下の鳥獣族モンスター1体を特殊召喚する。
《デコイ・バードマン》の①の効果は、デュエル中1度しか発動できない。

「ふんっ、その程度の雑魚を攻撃表示だと?笑わせてくれるな」
「どんなに力が弱いモンスターでも、みんな俺の仲間だ!侮辱は許さねぇぞ!」
「これは失礼した。では見せてくれたまえ、その雑魚(・・)がどのように活躍するかをな」
「くっ、言わせておけば……!手札から魔法(マジック)カード、《烏合(うごう)行進(こうしん)》発動!」

様々な種族の獣が集っているが、全く統率が取れた動きができていない、そんな様子が描かれたカードが現れる。

烏合(うごう)行進(こうしん)
魔法カード
自分フィールド上に獣族・獣戦士族・鳥獣族のいずれかのモンスターが存在する場合、その種族1種類につき1枚デッキからカードをドローする。
このカードを発動するターン、自分は他の魔法・罠カードの効果を発動できない。

「自分フィールド上に獣族、獣戦士族、鳥獣族のどれかが存在する時、1種類につき1枚、カードをドローできる!俺のフィールドには鳥獣族モンスターが1体のみ。よって、デッキからカードを1枚ドローする!……リバースカードを1枚セットして、ターンエンドだ!」
「では俺のターン。ドロー、再び《暗黒界(あんこくかい)狂王(きょうおう) ブロン》を召喚」

先程の不気味なモンスターが、再び高笑いしながらフィールドに姿を現した。

暗黒界(あんこくかい)狂王(きょうおう) ブロン》
ATK/1800→2100 DEF/400→700

「バトルフェイズ。《暗黒界(あんこくかい)狂王(きょうおう) ブロン》で、《デコイ・バードマン》を攻撃」

狂ったように笑い続けながら、ブロンは《デコイ・バードマン》に突進する。

「《デコイ・バードマン》の効果発動!この戦闘によって発生する俺へのダメージを0にする!」

あっという間に相手の接近を許してしまった《デコイ・バードマン》。
しかし、その長い腕に叩きつけられる直前に、《デコイ・バードマン》は精一杯手に持った角笛を吹いた。
そしてその直後に、《デコイ・バードマン》は地面に叩きつけられて消滅してしまう。

「《デコイ・バードマン》のもう1つの効果発動!表側表示のこいつが戦闘破壊された時、デッキから攻撃力1000以下の鳥獣族を特殊召喚できる!来い、《シールド・ウィング》!!」

先程まで《デコイ・バードマン》がいた場所に、身を守るような格好の《シールド・ウィング》が現れる。

「ふっ、いくら雑魚を並べようが……《暗黒界(あんこくかい)龍神(りゅうしん) グラファ》で、《シールド・ウィング》を攻撃」

暗黒界(あんこくかい)龍神(りゅうしん) グラファ》が、その巨大な口から禍々しい力を溢れさせながら、激しい息吹を吐き出す。

「残念だが、《シールド・ウィング》は1ターンに2度まで、戦闘では破壊されない!」

翼を広げた《シールド・ウィング》は飛翔し、グラファが吐き出した息吹を回避する。
そして、再びもといた場所に着地して、防御姿勢に戻る。

「ちっ、小癪な……ならば《暗黒界(あんこくかい)狂王(きょうおう) ブロン》を手札に戻し、2枚目のグラファを特殊召喚する。これでターンエンドだ」

暗黒界(あんこくかい)狂王(きょうおう) ブロン》が姿を消し、2体目の禍々しき巨竜が現れる。

暗黒界(あんこくかい)龍神(りゅうしん) グラファ》
ATK/2700→3000 DEF/1800→2100

「くっ……グラファが、2体……でも、まだっ……俺のターン、ドロー!」

遊雅の手札は、ドローカードを含めて2枚のみ。
しかしそのドローカードは、遊雅に更なる可能性をもたらしてくれるカードだった。

(これは……さっき燈輝がくれた……)

遊雅はそのカードをデュエル・ディスクにセットし、発動を宣言する。

魔法(マジック)カード発動!《烈風(れっぷう)宝札(ほうさつ)》!」

風に巻かれて空に舞い上がる数枚のカードが描かれた魔法カードが実体化する。

烈風(れっぷう)宝札(ほうさつ)
魔法カード
自分の手札の枚数が相手よりも少ない時、自分フィールド上に存在する風属性モンスター1体をゲームから除外して発動できる。
自分と相手の手札が同じ枚数になるように、デッキからカードをドローする。

「自分の手札が相手より少ない時、風属性モンスターを除外して発動できる!そして俺は、相手の手札と自分の手札が同じ枚数になるように、デッキからカードをドローできる!」
「ほう、手札補充カードか」
「お前の手札は5枚!俺は《シールド・ウィング》を除外して、デッキから4枚カードをドローする!」

烈風(れっぷう)宝札(ほうさつ)》の効果に従って、遊雅はデッキからカードを4枚ドローする。
計5枚の手札には、起死回生のカードがそろっていた。

「よしっ、行ける!俺は(トラップ)カード、《イタクァの暴風(ぼうふう)》を発動!」

1羽の鳥が暴風を巻き起こしている様子が描かれたカードが現れる。

《イタクァの暴風(ぼうふう)
罠カード
①:相手フィールドの全ての表側表示モンスターの表示形式を変更する。

「相手フィールド上のモンスター全ての表示形式を変更する!よって、2体のグラファは守備表示となる!」

カードに描かれている鳥が現れ、激しく羽ばたき突風を巻き起こす。
その風に煽られて、2体の《暗黒界(あんこくかい)龍神(りゅうしん) グラファ》は、姿勢を低くして防御の体勢を取り始めた。

「続いて、手札から《こけコッコ》を特殊召喚!」

遊雅のフィールド上に、可愛らしい鶏のようなモンスターが現れる。

「相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にカードが存在しない時、《こけコッコ》はレベル4として手札から特殊召喚できる!更に、《トランスフォーム・スフィア》を通常召喚!」

《こけコッコ》の隣に、翠緑色のガラス球を抱えた鳥獣モンスターが姿を現す。

《トランスフォーム・スフィア》
☆☆☆ 風属性
ATK/100 DEF/100
《鳥獣族・効果》
1ターンに1度、相手フィールド上に表側守備表示で存在するモンスター1体を選択して発動する事ができる。
手札を1枚捨て、選択した相手モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備する。
このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。
このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。
エンドフェイズ時、このカードの効果で装備したモンスターを相手フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する。

「そして、《トランスフォーム・スフィア》の効果発動!手札を1枚捨てて、相手フィールド上の表側守備表示のモンスター1体を、装備カード扱いとしてこのカードに装備する!」
「なにっ……!?」
「手札を1枚捨て、グラファを《トランスフォーム・スフィア》に装備するぜ!」

《トランスフォーム・スフィア》が抱えるガラス球の中に、片方のグラファが吸い込まれてしまう。

「《トランスフォーム・スフィア》は、この効果で吸収したモンスターの攻撃力分、自分の攻撃力をアップする!」

《トランスフォーム・スフィア》
ATK/100→3100

「更に俺はフィールド魔法、《デザートストーム》発動!」

遊雅のフィールド上に、強い風が吹き始める。

《デザートストーム》
フィールド魔法カード
フィールド上に表側表示で存在する風属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、守備力は400ポイントダウンする。

「フィールド上の風属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、守備力は400ポイントダウンする!」

《こけコッコ》
ATK/1600→2100 DEF/2000→1600

《トランスフォーム・スフィア》
ATK/3100→3600 DEF/100→0

「バトルだ!《トランスフォーム・スフィア》で、《暗黒界(あんこくかい)龍神(りゅうしん) グラファ》を攻撃!」

《トランスフォーム・スフィア》が持つガラス球から、グラファが放つ物と同じ力の奔流が放たれる。
それはバラムのフィールドに残ったもう1体のグラファの体を貫いて破壊した。

「くっ、俺のグラファが、こんな雑魚如きに……!」
「まだだぜ!《こけコッコ》で、お前へダイレクトアタックだ!」

《こけコッコ》がバラムへ突進する。
突進を受けたバラムは、《こけコッコ》の小さな体からは想像もできないほど勢いよく跳ね飛ばされてしまった。

「ぐおぉっ……!?」

バラムは突進を受けた箇所を強く抑え、まるで本当に強い打撃を受けたように呻き声を漏らす。

バラム
LP/4000→1900

「どうだっ!」
「ぐぅっ、小僧が……粋がるなよ……!」
「へっ、生憎だがまだ俺のターンは終わってないぜ!俺はレベル3の《トランスフォーム・スフィア》に、レベル4の《こけコッコ》をチューニング!」

《こけコッコ》が4つの光の輪に変化する。
《トランスフォーム・スフィア》はその4つの輪の中を飛び抜けると同時に、旋風に包まれた。

「勇敢なる戦士よ、大いなる風の意思を感じ、(おの)が力とせよ!」

遊雅は風の騎士を呼び出しながら、カードをディスクにセットする。

「シンクロ召喚!風と共にあれ!《風纏(かぜまと)騎士(きし) デルフォイア》!!」

《トランスフォーム・スフィア》を包み込んでいた旋風が飛散する。
中から現れたのは、純白の鎧に身を包み、その体に風を纏わせる青年だった。

風纏(かぜまと)騎士(きし) デルフォイア》
ATK/2600→ATK/3100 DEF/2000→1600

「《トランスフォーム・スフィア》がフィールドを離れた今、装備対象が不在となった《暗黒界(あんこくかい)龍神(りゅうしん) グラファ》も破壊される!」
「くっ、貴様、それが目的で……!」
「お前なんかに負けるわけにはいかないからな!リバースカードを1枚セットして、ターンエンドだ!」
「……まさかこの俺が、貴様如きにここまで虚仮(こけ)にされるとはな。その愚かしさ、身を持って知るがいい!俺のターン、ドロー!」

先程までの物静かさとは打って変わって、激しい怒気を放ち始めるバラム。
対する遊雅は、余裕の表情でバラムの怒気を真正面から受け止める。
しかし、遊雅はまだ知らなかった。
バラムが《暗黒界(あんこくかい)龍神(りゅうしん) グラファ》よりも、更に恐ろしい力を隠し持っている事を。 
 

 
後書き

※追記※
フィールド魔法の仕様をマスタールール2までと同じように扱ってしまっていた為、その点を修正しました。 
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