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問題児たちと1人の剣士が来るそうですよ?

作者:疾風怒濤
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問題児たちのギフト

 
前書き
今回は結構長いです。

どこで切ろうかと思っていたら長くなってしまいました……。
 

 
「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ」

まぁこんな時間に来たらそうなるよな。

個室というにはやや広い和室だった。上座に腰を下ろした白夜叉は、大きく背伸びをしてから十六夜達に向き直る。

「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えているサウザンドアイズ幹部の白夜叉だ。そこの黒ウサギとは少々縁があってな。ちょくちょく手を貸している器の大きな美少女である」

自分で美少女って言うか……。

「外門って何?」

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者達が住んでいるのです」

箱庭の都市には上層から下層まで七つの支配者に分かれており、それに伴い門には数字が与えらている。外壁から七桁の外門、六桁、五桁と内側に行くほど数字が若くなり、同時に強大な力を持つ。

「ということはその若い数字にいる奴らは白夜叉と同等、いやそれ以上がいるってことだな」

「へぇ?そいつは面白そうだなおい!」

「駄目ですよ、十六夜さん!いくらあなたといえど死にに行くものです!!」

「ふふ、やはりお主は面白いのを〜。まぁ確かに今のお主なら無理じゃろうな。しかし外門のすぐ外には“世界の果て”がある。そこにも強力なギフトをもった者達が棲んでおるぞ。その水樹の持ち主などな」

白夜叉は薄く笑って黒ウサギが持っていた水樹の苗に視線を向けた。確か十六夜が世界の果てに行ってもらったやつだよな。でもそれって、

「して、一体誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?」

「いえいえ。この水樹は十六夜さんがここに来る前に、蛇神様を素手で叩きのめしてきたのですよ」

黒ウサギが自慢げに言うと、白夜叉は声をあげて驚いた。

「なんと!?クリアでなく直接的に倒したとな!?」

「そんなに驚くことなのか?」

十六夜は当たり前前提で質問してきた。

「そうじゃの。神格を倒せるのは同じ神格を持つか、互いの種族によほど崩れたパワーバランスがある時だけのはずだからのー。蛇と人ではドングリの背比べだぞ」

「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

「知り合いも何もアレに神格を与えたのはこの私だ」

だがそれを聞いた十六夜は瞳を光らせて問い出す。

「へぇ?じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」

「ふふん、当然だ。私は東側の“階層支配者(フロアマスター)”だぞ。この東側の四桁以下にあるコミュニティで並ぶ者がいない、最強の主催者(ホスト)なのだからの」


“最強の主催者”


その言葉に、十六夜・飛鳥・春日部の三人は一斉に瞳を輝かせた。

「なんだここにいるじゃねぇーか。面白そうな相手がよぉ!!」

「つまり貴方のゲームに勝てば私達のコミュニティは東側で最強になるわよね」

「……うん」

三人は剥き出しの闘争心を視線に込めて白夜叉を見る。ただ一人を除いて。

「あれ?荒谷はやらねぇのか?」

「そうだな。確かにやりたい気持ちはあるが、今の俺達じゃ白夜叉には勝てない。さっき肌で感じたからわかるんだ」

「へぇ?俺が負けると?」

十六夜は少しイラっとした表情で俺を睨んできた。だが俺もその瞳に臆することなく言葉を返した。

「あぁ。十六夜の力を知ってるわけじゃないが、いくら十六夜でも負けると思うぜ。まぁそれでもやるんだったら止めないけどな」

「荒谷さんの言うとおりですよ!!御三人様は一体何を考えているのですか!?」

慌てる黒ウサギを右手で制す白夜叉。

「よいよい黒ウサギ。私も遊び相手に窮しておるうえな」

「ノリがいいわね。そういうの好きよ」

「ふふ、そうか。じゃがしかし、一つ確認しておく事がある」

「なんだ?」

白夜叉は着物の裾から何やらカードらしきものを取り出し、壮絶な笑顔で一言、




「おんしらが望むのは“挑戦”か
もしくは“決闘”か?」





刹那、四人の視界に爆発的な変化が起きた。光に包まれ、四人が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔。そして、水平に太陽が廻る世界だった。

「……なっ……!?」

あまりの異常さに十六夜達は同時に息を呑んだ。言葉では表現できるレベルではない。まるで星一つ、いや世界を一つ創り出したかのような奇跡の顕現。唖然と立ち竦む四人に、白夜叉は言う。

「“私は白き夜の魔王”、太陽と白夜の星霊・白夜叉。箱庭にはびこる魔王の一人よ」

「ま、魔王!!」

見た目は和装ロリの少女なのだが、その見た目に思えぬ凄みに再度息を呑む四人。

「ここはどこなんだ……?」

俺がそう口に出すと、十六夜が冷や汗を感じながらも答えてくれた。

「水平に廻る太陽と……なるほどな、白夜と夜叉。多分この土地はオマエを表現してるってところか」

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私がもつゲーム盤の一つだ」

「この土地がただのゲーム盤……!?」

「しかもまだ一つだよな。一体、いくつ持ってるだよ……」

彼らは実感した。彼女はまさに、箱庭の代表ともいえるほど-ーーーー強大な“魔王”だった。

「今一度問う!おんしらが望むのは試練への挑戦か?それとも対等な決闘か?」

「……で、どうするんだ十六夜?」

「「「………………」」」

三人は即答できずにいた。白夜叉がどんなギフトを持ってるのかわからない。だが勝ち目がないことは一目瞭然だ。しかし喧嘩を売ったのに取り下げるなんて、彼らのプライドが邪魔した。



しばしの静寂、諦めたように笑う十六夜が、ゆっくり挙手し、

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉。これだけのゲーム盤を用意出来るんだ。それに荒谷が言った通りに今のオレ達じゃ無理みたいだな。だから、今回は黙って試されてやるよ(・・・・・・・)、魔王様」

「ふふ。よかろう」

「も、もうお互いにもう少し相手を選んでください!“階層支配者”に喧嘩を売るなんて冗談にもほどがあります!三人は少しは荒谷さんを見習ってください!それに白夜叉様が魔王だっだのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」

「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」

「ていうか箱庭ってそんな昔からあったのかよ」

「はてさて、どうだったかな?」

ケラケラと悪戯っぽく笑う白夜叉。その行動に黒ウサギと四人は肩を落とし、呆れ果てた。

「で、ゲームはどうするんだ?」

「お、そうだったのぅ。おんしらにはあれの相手をしてもらおうかの」

すると、湖畔を挟んだ向こう岸にある山脈から一体の動物がこっちに向かってきた。いや、動物というより獣か。確かこれは……。

「グリフォン!!」

その獣を見た途端、耀は驚愕と歓喜のこもった声を上げた。

「ふふん、如何にも。あやつこそ鳥の王として獣の王、グリフォンじゃ。おんしらにはこのグリフォンで力、知恵、勇気の何れかを比べ合い、背にまたがって湖畔を舞う事が
出来ればクリア、という事にしようか」

一瞬ト○イ○○ースかよとは思ったがそこは置いとこう。
白夜叉が双女神の紋が入ったカードを取り出した。すると虚空から羊皮紙が現れる。これは“主催者権限”にのみ許された紙で“契約書類|《ギアスロール》”という。いうなれば、ゲームの説明書だ。

『ギフトゲーム名“鷲獅子の手綱”
・プレイヤー一覧 逆廻十六夜、久遠飛鳥、春日部耀、天童荒谷
・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。
・クリア方法 力、知恵、勇気の何それかでグリフォンに認められる。
・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

宣誓 上記を尊重し、誇りと旗印とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。 “サウザンドアイズ”印』

「で、誰が……」

「私がやる」

俺がみんなに聞こうと思った矢先、春日部がビシッと手を挙げていた。その瞳はグリフォンを羨望の眼差しで見つめ、彼女にしては珍しく熱い視線だ。

「いいのか、二人共?先手譲って」

「あぁ、先手は譲ってやる。失敗するなよ春日部」

「気をつけてね、春日部さん」

「うん、頑張る」

春日部の瞳はまっすぐグリフォンに向いている。その瞳はまるで探し続けていた宝物を見つけた子供のように輝いていた。よほどグリフォンにあったのが嬉しかったのだろう。

「ま、二人がそういうなら俺もパスだ」

春日部は幻獣と呼ばれるものと相対するのは初めての経験であり、初めてのゲームだ。まずは慎重に話しかけた。

「え、えーと。初めまして、春日部耀です」

『!?』

グリフォンは驚いていた。それもそのはず、人間が幻獣に話しかけるなどそうそうないことだからだ。どうやらジンの言ってた通り、春日部は幻獣とも話せそうだな。

「ほう、あの娘グリフォンと言葉を交わすか」

白夜叉も感心したように扇を広げた。春日部は大きく息を吸って、一息に述べる。

「私を貴方の背に乗せ、誇りを賭けて(・・・・・・)勝負をしませんか?」

『………何………!?』

グリフォンの声の瞳に闘志が宿る。気高い彼らにとって誇りを賭けろとは最も効果的な挑発だ。

「あの山脈から時計回りに大きく迂回して、湖畔に着いても私が背に乗っていたなら私の勝ち。それまでに振り落とされたら、貴方の勝ち。………どうかな?」

『ふむ。お前の述べる通り、娘一人振るい落とせないならば、私の名誉は失墜するだろう。だが娘、誇りの価値にお前は何を賭す?』

「命を賭けます」

きっぱりとそう答えた。最初から決めていたように。それを聞いて黒ウサギと飛鳥は驚き止めに入ろうとした。さすがの俺も、少し戸惑った。

「春日部、それはいくらなんでも」

「そ、そうです!!」

「か、春日部さん!?本気なの!?」

「下がれ、三人とも」

その言葉にはとてつもなく威圧感があった。

「あぁ。無粋な事はやめとけ」

「そんな問題ではございません!!同士にこんな分の悪いゲームをさせるわけには……」

「大丈夫だよ」

春日部は振り向きながら俺と飛鳥と黒ウサギに頷く。俺は春日部の瞳に何の気負いもないと感じ、勝算ありの表情をしていた。

「………わかった。その顔に嘘はなさそうだな」

「うん」

「耀さん……」

「ま、信じてやれよ。最初に手を挙げて、それも一番やりたがっていた。そんなやつが簡単にやられることはない。俺はそう思うぜ」

そう言うと黒ウサギは半分理解してくれたらしく、引き下がった。

グリフォンも承諾してくれ、春日部は背に跨り、手綱をしっかり握りしめ、獅子の胴体に跨る。スタート前に、俺はある物を春日部に渡した。

「あ、そうだ。春日部、ほら」

俺はそう言うと、一つのアメみたいなものを春日部に渡した。

「……?なにこれ」

「いいから食べてみろって」

春日部は言われた通りに、それを食べてみた。何ともない味だと思っていたが、後から辛味が出てきて少し春日部の顔が渋った。

「少し、辛い……」

「まぁ味は勘弁してくれ。だけど何か感じるものがないか?」

別になにもないと言おうとした瞬間、寒さが一気になくなっていった。周り一体は変わってないのに何故か体温が上がった。

「なんか暖かくなってきたよ?」

「効果が出てきたな。そのアメは体温を一時的に上げるアメでな。よく冬の寒い日とか、極寒の所に行くときにいつも持ち歩いていたんだ。俺は魔法が使えなかったからそれで代用してただけだがな」

俺の元いた世界では魔法を使える生徒がほぼいた。だけど例外としている生徒もいたそうだ、俺のように。そのために作られたのがこのアメだったのだ。

「それで寒くはなくなるだろう。この辺りでも結構な寒さだ。山脈に近づくとさらに寒くなるだろ?」

「うん。ありがとう荒谷」

「おう。春日部は必ず成功する、俺はそう思ってるぜ」

俺は少しギザなセリフを言ってしまい、少し恥ずかしかったが春日部は微笑んで呟いた。

「うん……、頑張る」

そして、白夜叉がスタートの合図をし、グリフォンと春日部は遠く離れっていった。

「なかなかカッコイイこと言うじゃない、荒谷君」

「ヤハハ!なんか面白そうだな」

「う、うるせぇ〜!」

クスクスと笑う飛鳥。ヤハハと笑う十六夜。よく呑気にいられますねと黒ウサギは肩を落としながら言うのであった。

数分後、山脈の方からグリフォンの姿が見えた。後は湖畔の中心に来るだけだ。そして、ついに湖畔の中心まで疾走したグリフォン。

『小娘、貴様の勝利……』

春日部の勝利が決まったと思ったら、春日部が手から手綱が外れ、そのまま下に急降下していった。このまま落ちると怪我じゃすまないかもしれない。

「なっ!?」

「春日部さん!?」

俺と黒ウサギは助けに行こうとしたが、十六夜に止められた。

「い、十六夜!」

「十六夜さん、離して!!」

「まだだ!まだ終わってない!」

すると、春日部の体が翻り、空中で浮いたのだ。まるでさっきのグリフォンの真似をしているかのように。

「「「え?」」」

その場にいた全員が絶句した。無理もない。先ほどまでそんな素振りを見せなかった彼女だが、風を纏って浮いているのだから。春日部はそのまま俺たちの方へ降りてきた。

『お、お嬢無事だったか!?』

「三毛猫……」

駆け寄る三毛猫に優しく撫でてやる。よほど心配だったのだろう。

「やっぱり。お前のギフトって、他の生物の特性を手に入れる類だったんだな」

「……違う。これは友達になった証」

「十六夜は知ってたのか?」

「いーや、ただの推測さ。お前、黒ウサギに出会った時に“風上に立たれたら分かる”とか言ってたろ。そんな芸当はただの人間には出来ない。だから春日部のギフトは他種とコミュニケーションをとるわけじゃなく、他種のギフトを何らかの形で手に入れたんじゃないか………と推察したんだが、それだけじゃなさそうだな。いくらアメの保温効果があっても、あの寒さに耐えれないだろうし、あの速度で耐えられる生物は地球上にいないだろうし?」

興味津々な十六夜の視線をフイッと避ける。やっぱ十六夜はただものじゃなさそうだな。と思いつつ、向こうからパチパチと拍手を送る白夜叉が近づいてきた。

「いやはや大したものだのぉ。ところで、おんしの持つギフトだが。それは先天的な物か?」

「違う。父さんに貰った木彫りのおかげで話せるようになった」

「ほほう、円形の系統樹か……。これは素晴らしいのぉ」

「鑑定していただけますか?」

「何……鑑定じゃと!?もろに専門外なのだが……」

白夜叉でも苦手なものはあるんだなと今日一番で安心した気がした。

「どれどれ……ふむふむ………うむ、四人ともに素養が高いのは分かる。しかしこれではなんとも言えんな。おんしらは自分のギフトの力をどの程度に把握している?」

「企業秘密」

「右に同じ」

「以下同文」

「俺はあるのかすらわからない」

順番に十六夜、飛鳥、春日部、俺の順に答えた。

「うおおおおい?いやまぁ、仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かるが、それじゃ話が進まんだろう」

「別に鑑定なんていらねぇよ。人に値札貼られるのは趣味じゃない」

ハッキリと拒絶するような声音の十六夜と、同意する二人。俺はそもそもわからないからどっちでもいいけど。だが白夜叉が突如妙案が浮かんだらしくニヤリと笑った。

「ん?そうだの。とにかく試練をクリアしたおんしらには“恩恵(ギフト)”を与えねばならんな。復興の前祝いだ。受け取るがよい!」

白夜叉がパンと柏手を打つ。すると四人の前に光輝く四枚のカードが現れる。カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフト表すネームが表されていた。

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜
ギフトネーム“正体不明(コード・アンノウン)

ワインレッドのカードに久遠飛鳥
ギフトネーム“威光(いこう)

パールエメラルドのカードに春日部耀
ギフトネーム“生命の目録(ゲノム・ツリー)” “ノーフォーマー”

スカイブルーのカードに天童荒谷
ギフトネーム“剣の支配者(ソードマスター)

それぞれ名とギフトを記されたカードを受け取る。

「ギフトカード!」

「何それ?お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「キャッシュカードみたいな?」

「ち、違います!というかなんでみなさんそんなに息が合ってるのです!?このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる上に各々のギフトネームがわかる超高価な恩恵です!!」

「つまり素敵なアイテムってことでオッケーか?」

「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

「ふぅん……もしかして水樹って奴も収納できるのか?」

「十六夜は水樹にカードを向けた。すると水樹は光の粒子となりカードの中に飲み込まれた。見るとギフトの欄に水樹の名前が追加されていた。

「へぇ?なんだか面白いな」

「もしかしてこのまま水を出せるのか?」

十六夜がそう言いながら試そうとしたが黒ウサギにコミュニティの為に使ってください!と念を押されつまらなそうに舌打ちをした。

「そのギフトカードは、正式名称を“ラプラスの紙片”即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった“恩恵(ギフト)”の名称。鑑定は出来ずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

「じゃあ俺のはレアケースなわけだ」

「何?」

と白夜叉が十六夜のギフトを覗き込む。その途端、白夜叉の表情が変わった。

(アンノウンだと……!?“ラプラスの紙片”が鑑定出来んとは………)

(ギフトを無効化した………?もし、それなら………ふふ、これは面白くなりうじゃのう〜)

白夜叉は一人、苦笑した。十六夜は白夜叉に見せた後、飛鳥達の所に行った。俺はというと白夜叉に聞きたいことがあった。もちろんギフトについてだ。

「おい、白夜叉。聞きたいことがあるんだが」

「ん?なんだ、小僧。もしやわしに惚れたか?」

「冗談はもうちょっとマシなのを頼むぜ。それよりこのギフトの意味ってなんだよ。元々どんな力があるか俺自身わかってないからさ」

「そういやおんしだけは理解してなかったんだな。どれどれ………こ、これは!?」

白夜叉は思わず声を上げた。それは十六夜達にも聞こえたらしく、こっちに近づいてきた。

「ん、どうした?」

「何かあったの?」

「今、俺のギフトについて聞いてたんだが……そんなにすごいのか?俺のギフト」

「あ、あぁ。このギフトは世界に三つしかない物の一つじゃ」

「どういうことだ?」

「正確にはその効果、力を持っているのギフトと言うが」

ギフトの力とはこういうものだった。

・この世界の全ての剣が扱える(二刀流や三刀流など扱うことが出来る)

・一時的に(強く念じて)剣を召喚することが出来る

・手に入れた剣はカードに収納でき、何個でも収納出来る

「これが俺の力………か」

「本当にこんな力が存在したなんて……」

「へぇ?俺並みにレアケースじゃねぇのか。白夜叉」

「荒谷君って格闘だけでなく剣も扱えるなんてね……」

「………荒谷ってすごかったんだね」

ほぼ全員が荒谷のギフトに驚いていた。荒谷自身もこんな力があるとは思ってもみなかったが。

(確かに剣術だけは学校の中でもズバ抜けてはいたがよもやここまでとは)

「っていうかさっき三人の内、一人って言ったよな。後二人は誰なんだ?」

「それは私でも知らん。一人の力は魔法の類だったと聞いたことがある。じゃが後の一人は全くわからん。わかることはその力に似ているのものを持っている奴が三人いるということだけじゃ」

「なるほどな。なら元の世界から引っ張りだすことは出来るのか?」

「無論、出来るじゃろ。じゃが自分が見た物か扱ってたものだけじゃがな」

「それだけで充分だ」

そういうと俺はあるものを強く念じ、召喚させようとした。すると、目の前から剣が光の中から出てきた。これこそ荒谷が愛用していた剣、龍椿剣(タキツバ)だった。

「おぉーー!!すげぇな、これ!」

俺は興奮していた。心の中からすごく熱い想いがこみ上げてきた。俺は数時間振りに剣を振るってみた。

「うん。確かに俺の剣だな」

俺は軽く動かし、剣の感覚をなんとなく取り戻した。

「なんだか様になってるわね」

「えぇ。これが本来の荒谷様なのでしょうね」

「なんか、かっこよく見える?」

女性陣三人は少し荒谷に惹かれていた。その女性陣とは別に十六夜は今すぐにでも勝負したそうな目をしていた。

「おうおう、すげぇなおい!こんな相手が近くにいたなんてな!やりてぇ、超やりてぇ!!」

「お、やるか十六夜?」

十六夜はやる気満々だった。荒谷も剣を取り戻したせいかやる気が出ていた。今にも勝負が始まりそうな感じになると思い、黒ウサギは止めに入った。

「ってストップ、ストップですよ!!何勝手にここで勝負しようしてるんですか!!」

「チッ。面白くないな」

「まぁまた今度な」

俺は十六夜にそう言い、男と男の約束を交わした。

「またこれはすごい人材が入ったものだのぉ。おんし、名はなんといったか?」

「ん、俺か?俺の名前は荒谷。天童荒谷だぜ」 
 

 
後書き
変な終わり方で終わってしまいましたね(汗)
次にうまくつなげれるか不安ですがやっていきたいと思います。


で、今回は荒谷のギフトがわかりましたね。ちょっとチートくさいかなとは思いますけど、荒谷自身の力はそんな強ないので(これから強なる予定)。あくまで剣がすごいってだけです。


後は今回みたいに荒谷にフラグが立つのは少しずつ出していきます。一応全員にフラグを立たせるつもりです。 
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