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Bistro sin~神の名を持つ男~

作者:黒米
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初めての来店.2

.2
とある月曜日、その日 古田はBistro sinに再び足を運んだ。
カランカランと扉の鐘が来店を知らせると、賢太郎がやって来た。
「いらっしゃいませ。またいらしてくださったんですね!」
そう言うと、賢太郎は奥に行き「平泉さん」と一人の男を呼んだ。
現れたのは、先日の眼鏡の男。平泉は「これは古田様、再びお越し頂きありがとうございます。さぁお席へどうぞ」と言った。

古田は驚いた。
「覚えていてくれたんですか?」
「えぇ、この店は覚えられないほどお客様がいらっしゃることはないので。一度来て頂いたお客様の顔は、ほとんど覚えております。」
平泉はニコッと笑って、古田を席に案内した。
賢太郎が本日のオススメを告げた。

「本日はスーシェフの東が、黒毛和牛を用意してきたので和牛を使ったローストビーフやハンバーグがオススメになっております。」
「じゃあ、ローストビーフを。それから、サラダと何かお任せでパスタをお願いします。」
「はい、かしこまりました。」
料理が来る前に、東が古田のところを顔を出した。
「スーシェフの東 優七郎です。本日の黒毛和牛は上質なものを用意したので、どうぞごゆっくりお召し上がりください。」
東はそう言うと、厨房へと戻っていく。

暫くして、サラダ、パスタ、ローストビーフと料理が運ばれていく。
古田はその日も満足して帰っていった。

ちょうどその頃、巷では奇妙な動画が出回っていた。
『咎人に断罪を』というタイトルで、万引きをした者や、暴行、スリ、かつあげ、そんなことをした人間を見つけては制裁と言う名目で襲うもの。
動画をあげるものは自分を神と名乗り、観音の覆面をして手に持ったナイフや、木刀、バットで襲う。
これがネットでは話題になって、酷評をする者もいれば称賛する者まで出てきた。

巷で話題のこの動画は日に日に再生回数を伸ばし、様々な人たちの記憶へと焼き付けらて行った。 
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