| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ALO編 Running through in Alfheim
Chapter-12 妖精の世界へ
  Story12-4 二歩目は今後への一歩

シャオンside


飛び始めてから数分……気がつくと、前方で森が切れていた。


その向こうに色とりどりの光点の群が姿を見せる。


街はぐんぐん近付き、すぐに大きな通りと、そこを行き交う大勢のプレイヤーまでもが見て取れるようになってくる。

いろんな種族がいるところを見ると……圏外村なのか、もしくはそういった街なのか。

「見えてきたなー」

「パパ、真ん中の噴水近くに着陸してください!」

「りょーかい」


クリアパープルの翅を広げ、空気抵抗を上げることで減速した。





着地と同時に大きくひとつ伸びをして、周囲にぐるりと視線を向ける。

「いろんな種族が混み合ってるわりには綺麗な所だな」

「エクセトルの街は、サラマンダー領とシルフ領のちょうど狭間にある街です。

サラマンダーとシルフ、時々インプも立ち寄る街みたいですね」

「ここの街はどういう役割なんだろう」

「ここから北西に向かうと、世界樹の根元の街アルンにたどり着ける道があるルグルー回廊がありますね。

ここはルグルー回廊へ向かうプレイヤーたちが準備をするための街のようです」



レイ曰くエクセトルの別名は『和水の街』

この街では、デュエルが今までに一切起こったことがないらしい。
そういった『和』の象徴であると共に、この街のシンボルである噴水――さっき俺たちが着陸した近くのやつだ――があるため、和水の街なんだそうだ。


確かに和やかでいい雰囲気だ。





ただ、問題点も…………あるようだ。
















◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆















このエクセトルの街の問題点、それは『武器屋』がない、ということだった。

この街に来るプレイヤーはみな熟練者たちだ。武器を持ってないという方がおかしい。



俺とレイは、今後のことを考えるべく宿屋兼レストランに入った。













レストランに入ったあと、俺たちは一番奥の二人用の席に座った。


何か食べようか…………と思ったが今リアルでは夕食時だ。仮想世界で食事をすれば、現実に戻ってからもしばらく満腹感が続くために、あまり食べすぎるのは得策とは言えない。


結局俺はショートケーキ、レイはチーズクッキーを注文し、飲み物はワインのボトルを1本取ることになった。

NPCのウェイトレスが即座に注文の品々をテーブルに並べて行く。


不思議な緑色のワインを注いだグラスに、俺はそっと口付けた。

「レイ……これからどうしようか…………」

「まずは武器ですね。今のパパだと、初期装備では剣の方に限界がきます。

少なくとも今より6段階上の武器でないと…………」

「あれ…………俺そんなにチートだったっけ?」

「パパの速さは現実でもかなり上のレベルにあります。

このALOは現実の運動能力がかなり反映されるので、パパがこの世界で剣を振ったら初期装備ではかかる重力に耐えきれなくなるんです」

「剣は…………とりあえずメドがたってるからOKだ。

防具とアイテムは明日買うとして……あとは知識がもう少し欲しいな」

「ごめんなさい、パパ。私の力不足で」

「レイのせいじゃないよ」







すると、後ろの方から声がした。

「セイ兄」

俺と同じぐらいの女性で、種族は……スプリガンだった。

でも……この呼び方は…………

「お、お前…………まさか…………」

「あれ、バレちゃった?

私の名前はマリン。
現実世界の名前は…………夏井悠海」

え…………ええええええっ!!?

「お前、何でここに!?」

マリン/夏井悠海。

俺の従妹にあたる人だ。
15才で、住んでるところは俺と同じ埼玉県川越市。
俺が11才の時に悠海の家族は仕事の都合上引っ越してきた。
小学6年から同じ学校に通っていた。

ちなみに……女子で俺のことを名前で呼ぶのは、桜華か悠海しかいない。


「大輔おじさんの依頼を受けて、アートテックスからダイブしてるの。

ALOのアカウントは、発売当初から持ってるけどね」

「え……父さんが…………?」

話の分からないレイはテーブルのクッキーを食べている。

「このアルヴヘイムについて……深く知ってもらうと共に、セイ兄を世界樹まで連れていくことが目的」

「あ……ありがとう」

「でも……今日は遅いからログアウトした方がいいかもね。
上の宿屋で出来るから。

次のログインの時にいろいろ教えてあげる。
じゃあ、またね」


突然現れたマリンは立て続けにそう言うと、左手を振ってウインドウを出した。

「ありがとう……悠海」


マリンはその言葉に笑みを浮かべ、こくりと一回頷くと、OKボタンを押した。


俺はそれを見送ると、上の宿屋を借りるべく受付へと向かった。















無事部屋を借り、俺は部屋に入った。

俺は武装を解除し、レイの隣に寝た。

「翅で移動する……ちょっとした小旅行だな」

「協力者もいますし……頑張りましょうね、パパ」

「そうだな」

俺はログアウトボタンのOKボタンを押した。
















Story12-4 END 
 

 
後書き
新ヒロイン、夏井悠海/マリン。

シャオンの従妹にあたる人物が出てきました。僕の思いつきで話に入れました。

今後はシャオンとマリンが二人でALOを攻略していきます。

じゃあ……

マリン「次回も、私たちの冒険に!」

シャオン「ひとっ走り……付き合えよな♪」
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧