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ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories

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ALO編 Running through in Alfheim
Chapter-12 妖精の世界へ
  Story12-2 始まりの一歩

シャオンside

「うわああ…………よっと」

長い落下の末、俺はどことも知れぬ場所に宙返りで着地。うん、着地は上出来。



そこから、上を見上げると…………SAOと変わらないスペックの仮想世界の夜空。




にしても…………オブジェクトの異常表示、謎の空間移動、開始地点が何故か森の中…………たくさんの疑問が残る。


…………この世界ではあの世界と違い、HPが0になっても死なないこと、いつでもログアウトできる保証がある…………のかな?




とりあえず、チュートリアルの通り左手の人差し指と中指を揃えて振った。

軽快な効果音と共に半透明のメニューが出てきた。

その一番下に《Log Out》のボタン。試しに押してみると、警告メッセージと共にイエス/ノーボタンが現れる。

「あ、あった…………」

ログアウトが可能なのを確認すると、メニューを眺める。すると、ある異変に気づく。

「え…………!?」

習得スキル欄が7個も埋まっており、スキルに一貫性はなく、マスターしたスキルまである。

しかも、そのスキルに見覚えがあった。

「こ、これって…………」

いくつかのスキルがなかったが、これらのスキルは
《蒼藍の剣閃》シャオンのステータスだった。

「ここは、SAOの中なのか…………?」


さらに気になり、アイテムを見てみる。

「うわー…………なんじゃこりゃ」

そこに現れたのは、文字化けの激しいアイテムだった。

スクロールしてみると何がなんだか分からないものばかり。






俺の指はあるところで止まった。
暖かなライムグリーンに発光するその並びは《MHCP001》

そのクリスタルを取りだし、人差し指の先でそっと二回叩いた。

すると、クリスタルが光りだし、地上2mのところで静止した。

その光は影を作り、影は黒髪に白黒の服を纏った少女になった。

「俺だよ…………レイ、分かるか…………?」

「また会えましたね、パパ!」

大粒の涙を煌めかせながら、両手を差し伸べたレイが胸に飛び込んできた。



こうしてると、桜華ともきっとまた会える……そんな感じがするな…………
















◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆















その後、近くの切り株に座り、レイにこれまでの経緯を話した。

「ちょっと待ってくださいね。


ここは、この世界はSAOサーバーのコピーだと思われます」

「コピー?」

「はい。基幹プログラム群やグラフィック形式は完全に同じものです。

ただ、カーディナル・システムのバージョンが少し古いですね。おまけに、その上に乗っているゲームコンポーネントは全く別個のものです」

「なるほど…………

でも、何で俺の個人データがここにあったんだろう……

俺の父さんの会社でSAOデータは管理してるんだけどな」

「ちょっとパパのデータを覗かせてくださいね……

…………間違いないですね。これはSAOでパパが使用していたキャラクター・データそのものです。
セーブデータのフォーマットがほぼ同じなので、二つのゲームに共通するスキルの熟練度を上書きしたのでしょう。HPとMPは別形式なので引き継がれなかったようです。

所持アイテムは…………破損してしまっているようですね。このままではエラー検出プログラムに引っ掛かると思います。アイテムはすべて破棄した方がいいですね」

「そっか、なるほどな」

オブジェクト化できないのなら使い道がない。そう思い、アイテム欄の文字化けアイテムをすべて選択、消去した。

「このスキル熟練度はどうしたもんだろう」

「システム的には問題ありません。プレイ時間と比較すれば不自然ですが、人間のGMが直接確認しない限り大丈夫でしょう」

「そ、そうか。

こりゃビーターどころか本物のチーターだなぁ…………」

でも、桜華を助け出すのにキャラクターが強力なのは助かるな。


「そういえば、レイはこの世界でどういう扱いになってるんだ?」

「えーと…………このALOにもプレイヤーサポート用の疑似人格プログラムが用意されているようですね。
《ナビゲーション・ピクシー》という名称ですが…………
私はそこに分類されています」

言うなり、レイは一瞬難しい顔をした。直後、その体がぱっと発光し、次いで消滅してしまった。

「レイ!?」

跳ね起きようとしてから、俺はようやく膝の上にちょこんと乗っているモノに気づいた。

身長は10cmほど。クリアピンクの、花びらをかたどったミニの服から細い手足が伸びている。背中には半透明の翅が二枚。まさに妖精と言うべき姿だ。
元気な顔と黒髪は、サイズこそ違うがレイのままである。

「これがピクシーとしての姿です」

「へぇー…………」

こんなのになれるんだ…………ちょっと感動かも。

「くすぐったいですよー」

笑いながらレイは俺の指を逃れ、しゃらんという効果音と共に空中に浮き上がり、俺の肩に座る。

「あ、レイの管理者権限はどうなってるんだ?」

「出来るのは、リファレンスと広域マップデータへのアクセスぐらいです。接触したプレイヤーのステータスなら確認できますが、主データベースには入れないようです」

「そうか…………


実はな、ここに…………ママがいるらしいんだ」

「えっ……ママが!?どういうことですか……!?」

「フローラは……まだ現実に復帰してないんだ。

俺はこの世界でフローラに似た人を見たという情報を得てここにやって来た。
もちろん他人の空似かもしれないんだけど……
俺にできることはこれしかないから…………」

「そんなことが…………

ごめんなさいパパ、私に権限があればプレイヤーデータを走査してすぐに見つけられるのに…………」

「いや、大体の場所は見当が付いてるんだ。世界樹……とか言ってたな。場所、判る?」

「あ、はい。ええと、ここからは大体北北東の方向ですね。でもかなり遠いです。リアル距離置換で45kmはあります」

「そりゃ凄いな…………

そういえば、俺は何でこんなところにログインしたんだろ?」

「さぁ…………位置情報も破損したのか、あるいは近傍の経路からダイブしているプレイヤーと混信したのか……何とも言えません」

「どうせなら、世界樹の近くに落ちてくれればよかったのになー。

ん、そういや、ここでは飛べるって聞いたなぁ…………

マニュアルここだけ読まなかったんだよなぁ」

首をひねって肩越しに覗き込むと、クリアパープルの翅が伸びていた。

「お、羽根がある。どうやって飛ぶんだろ?」

「パパなら、随意飛行のコツもすぐできそうですし試してみましょう。

後ろを向いてください」

「あ、ああ」

レイが俺の肩甲骨の少し上に触れる。

「随意飛行とは言われてますけど、イメージで飛ぶのではなくて、今、触ってるところから仮想の骨と筋肉が伸びてると思って、それを動かすんです。

最初は、ある程度大きく動かして翅と連動する感覚を掴んでください」

「仮想の骨と筋肉…………」

そして、十分な推力が生まれたと感じた瞬間

「パパ、今です! 飛んでください!」

「よしっ!」

パァン

「うおあっ!?」

上出来すぎだー…………

俺は空に飛び出していた。

「パパ、上手です!」










その後、練習してある程度飛べるようになった。

「成る程、大体分かった。

とりあえず、基本的な情報が欲しいよな…………
一番近くの街ってどこかな?」

「西の方にエクセトルという街がありますね。
そこが一番近いですね。いってみましょう」

そこで、シャオンは初期アイテムの片手剣を取り出して数回振った。

「うわあ、なんかちっちゃい剣だな。切れ味悪そうだし…………まぁ、いっか。

レイ、先導頼む」

「了解です」

俺たちは移動を開始した。
















Story12-2 END 
 

 
後書き
シャオンもリンクスタート!

キリトとは似たかんじの始まり方をしましたが……シャオンならではの文章も少しあります。

前回言ったようにキリトとシャオンが交互に出てくるので、少々読みづらいかもしれませんが……楽しんでください。

じゃあ……

シャオン「次回も、俺たちの冒険に! ひとっ走り……付き合えよな♪」
 
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