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俺の名はシャルル・フェニックス

作者:南の星
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英雄の子孫達と不死鳥

ぐぅぅぅぅっとくぐもった音が鳴る。

音源は目の前で倒れてる幼女だ。

まさか中国に来て何となく歩いていたら行き倒れに遭遇するとは……

中々神様は粋な運命を俺にさせてるらしい。

背後に控える使用人を見る。

無表情。

まるで仮面でもつけてるかのようだ。

もう一度幼女に目を向けてみる。

綺麗なショートカットの赤髪に頭頂部から伸びる二本の触角。

少しボロめの白い腿まであるブカブカのTシャツ。

下は履いてるか不明。

肩までTシャツがずり落ちているからこそ見えた刺青みたいなもの。

そして終いには大人でもなお、巨大と言える戟。

おいおいおい。

幼女が銃刀法違犯してんぜ。

つーか、中国だから関係ねーか?

いやねぇこたぁねーだろ。

まぁ、一つ言えることは……すっげぇ見覚えあんだけど……

画面越しだけれども……

方天画戟(ほうてんがげき)。

それが俺が画面越しに見たことがある呂布奉先の武器の名だ。

エロゲーなんだけどな……

白雪の件もあるからなぁ……倒れてるのは誰か予測できんだよなぁ……

しゃーねぇ、助けっか。

もし予測通りの強さになるなら眷属に加えたいし。

「コイツ。店屋まで運んで助けるぞ」

行き倒れ幼女を指でさして使用人に命令する。
「……はい」

一瞬嫌な顔をしたものの、また仮面のような無表情へと早変わり。

行き倒れ幼女を担いで俺の後をついてくる。

たまには散歩してみるもんだなぁ……

思わぬ拾い者をした。


モグモグモグモグ、と半端ないスピードで俺の目の前から中華料理が消えていく。

一応、行き倒れってことで食いやすい粥を出す店に来たわけだが……

すげぇ、何人前なんだろ……

一応目の前にいるのは俺と同い年くらいの幼女だ。

けれどもう既に料理を運んでくる店員が10回往復する量。

10店員分は食べてるぜ。

どんな胃袋してるやら。

その後4店員分で漸く落ち着いたらしく箸を止めた。

「……お腹いっぱい、ありがとう」

「んや。別に構わねぇよ。
旅で人助けってのもまた一興だしな。
そんで、興味本意だが行き倒れてワケ教えてくんねぇか?」

「……恋一人。
だから、ご飯食べれなかった」

少し悲しげに言った。

「一人ねぇ……
俺と一緒に来るか?
飯食えるぜ?」

「……知らない人についていく、ダメ」

いや、もうついてきてるだろ。

飯奢ってんだし。

「んじゃ、友達から始めましょうってか」

「……友達?」

「そ。一緒につるんで、いろんなこと……例えば飯食ったり、遊んだりする仲さ」


そう説明するとコクッと頷いた。

OKってことかね。

「んじゃ、よろしくな。
俺の名はシャルル・フェニックスだ」

「……恋」

「ん。恋な。てめぇは俺の二人めの友達だな」

「……二人め?」

「おう。好くねぇだろ?
でもな、少なくてもいるにはいるんだ。
だから一人ぼっちじゃねぇ。
恋もそうだろ?」

親がいなくても友がいる。

なら、寂しくねぇのさ。

本当の寂しさってのは誰にも見向きされないこと。

いるのにいないように扱われることだからな。

「……恋、一人じゃない」

微かに、微かにだが、恋が笑った。

ただちょっと口角が上がり目付きが柔らかくなっただけだが、確かに笑った。

「んじゃ、飯食ったことだし、観光にでも行くか?」

恋がコテッと首をかしげた。

分からねぇってことか?

「景色みたり、食い物食ったり、なんか物買ったりすんのさ。
まぁ、まずは服屋寄って恋の着替え買って風呂入れねぇとな」

「……風呂?」

「お湯浴びて体洗うんだよ」

コクッと恋は頷いた。

わかったってことか。

「うっし。んじゃ、行くぜ。
勘定よろしくな」

使用人にそう声をかけ、恋の手を引き外に出る。

その後勘定を払い追いついてきた使用人も一緒にバスに乗り適当な店で適当に服を買い、再びバスに乗りホテルで一緒に風呂に入った。

ま、ロリコンじゃねーし一人じゃ入れなかったらしいからな。

そんなこんなで二人+使用人で中華料理を満喫していたらあっという間に4ヶ月がたってしまった。

そんで空港にて。

「あーいいのか?
このまま俺について来て」

恋はコクッと頷いた。

「はぁ、俺悪魔だぜ?」

「……恋も悪魔に、なる」

「はぁ、知んねぇ。
俺について来るなんて火傷じゃ済まねーぜ。
それでもいいのか?」

「……恋、友達。
シャルといると、恋の胸のとこ……ぽかぽか、する」

胸に手をあてて軽く頬を染める。

ませてやがるよな。最近のガキは。

「わぁったよ。俺について来な。退屈も空腹もさせねぇさ」

「……ん」

コクッといつものように頷いた恋は嬉しそうだった。




とうとう欧州のルーマニアにやって来た。

何故ルーマニアなんだ親父よ。

もっといいところあんだろ。

飯がうまいイタリアとかさ。

虐めか?虐めなのか?

まぁ、いい。

利子をたっぷりつけて支払ってやるからな。

「さて、どうすっか。
適当にブラブラと――ん?」

「……?」

いきなり動きを止めた俺に恋が不審そうな顔をする。

でも、今は無視する。

なんか俺の直感が告げてる。

電波か、とか馬鹿にしてはいけない。

この直感を感じた時に頼らないと痛い目に遭うことがあるのだ。

最近の例なら、バスに乗ろうとしたら、直感が乗るなと告げた。

だから、乗らなかった。

そうしたら次の日そのバスが交通事故にあい、死者18名の大惨事。

あぶねぇ、あぶねぇ。

俺はともかく恋と使用人は下手したら死んでたぜ。

まぁ、そん時は俺の力をフルで使って回避するけど。

まぁ、恋を見つけたのもこの直感に頼ったおかげだしな。

今回も信じてみよう。

「ちょっとついてこい」

コクッと恋は頷いた。

使用人は知らね。

何も言わずについてくんだろ。

道なき道つーわけじゃねぇが、雑然とした路地裏を歩く。

見えねぇところこそ綺麗にして欲しいぜ。全く。

ゴミで歩きづらいったらありゃしない。

それに道がグネグネしてて迷いそうだ。

本当に勘弁して欲しいぜ。

まぁ、でも、漸く目的地に到着したみてえだ。

「ったく、そんなに睨むんじゃねーよ」

俺は目の前にいる幼女に話しかけた。


薄汚れた蜂蜜色。

キッと睨み付けてくる大きな二重の目。

小さめな顔。

コイツも画面越しまたは絵で俺は知ってる。

つーか白雪と同じだわ。

原作が。

本当にこの世界はハイスクールD×Dの世界であってるのかねぇ。

俺は不安になってきたぜ。

「黙りか?つーか暗ぇ面してんな。おい」

「……だまれ……」

「漸く喋ったか。まぁ、いい。てめぇなんでここにいる?」

「……おまえにはかんけいない……」

「そうか。まぁ、どうせ、親が死んだんだろ?」

「ッ……!?」

ギッと先程より強く睨み付けられた。

「……危ない、恋守る」

スッと方天画戟を構えた恋が俺の前に出てくる。

どうやら、敵意が強まったから警戒してるようだ。

まぁ、気にせず続ける。

「当たりか。んで?
復讐する相手でも居んの?いや、まぁ聞かんでも分かった。
でてめぇは復讐したいわけだ」

ジッと俺を睨み付けてくる幼女の目を見て復讐相手がいるのは容易に分かった。

んじゃ、手を差しのべますかね。

神のではなく悪魔の救いの手だけれどな。

「でも、残念だな。
てめぇ、そろそろ死ぬぜ?
てめぇ自身が分かってんだろ?」

幼女は何も言わない。

けれど、体を見ればよく分かる。

確実に栄養が足りてない。

ガリガリだからな。

まだ一時の空腹で行き倒れていた恋のがマシな状態だ。

「そこで、取引、いや、契約をしよう」

俺はそこで言葉を止め、間をおいた。

「俺が欲しいのはてめぇの命。俺がてめぇに与えるのは人と同じ生活。
そして復讐の手助け。
まぁ、これは相手を教えてくれるとありがてぇな」

さぁ、どうすんのかね……?

俺が言っちゃあ何だが、好条件だと思うね。

幼女は暫く逡巡した後、頷いた。

「あたしの復讐相手は『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』って言ってた。それ以外は分からないけど絶対復讐してやるッ!!」

おいおい。マジか。

『無限の龍神』――オーフィス。

現世界最強の存在。

それを担ぐ組織はハイスクールD×Dの世界において一つのみしか俺は知らない。

『禍の団(カオス・ブリゲード)』

つまり目の前の幼女の仇は9割近くそれだろう。

チッ、面倒な相手だな。

堕天使を率いる『神の子を見張る物(グレゴリ)』の総督のアザぜルですら、最近判明したと言っていた。

今、俺は6歳であり、グレモリー家の時期当主のリアス・グレモリーが俺より1歳歳上ということは旅に出る前に聞いた。

家で話があがってたからな。

つまりは、俺は主人公の兵藤一誠と同年代となるわけであり、一誠が高2の時に原作開始なわけだから、まぁ、後、約10年後くらいにその組織が活発的に動き出す。

約10年という時はあるものの、俺は悪魔の1貴族の4男坊でしかないわけで、それなりに大きい組織の総督ですら見つけ出して潰すことできなかったのをみつけれるはずがない。

まぁ、大人しく原作を待つしかない。

「オーフィス。それが世界最強たる『無限の龍神』の名だ。
けれどそいつは無理だ。
俺が倒すからな。
てめぇには譲らねぇよ。
だが、まぁ、そいつを担いでいるだろう組織が見つかったら潰すのは手伝おう。フェニックスの名に誓って」

一瞬俺を再び睨み付けてきたが、悪どい笑みを浮かべた。

怖ぇなおい。

「分かった」

「なら、契約完了だ。
俺の名はシャルル・フェニックス。
てめぇは?」

「理子。理子・峰・リュパン4世」

「理子な。
んじゃ、ホテル行くぞ。
チェックインしねぇといけねぇかんな」



まぁ、その後のルーマニアは殆ど観光は出来なかった。

理子の面倒とかしてたしな。

でも、まぁ……この世界は本当にハイスクールD×Dの世界なのか?

いや、混ざりすぎだと思うんだよな。

所々変わってるし。

原作なら理子の親は8歳の時に亡くなってるはずだ。

けれど、この世界では5歳。

恋も、呂布ご本人だったのが、その子孫の呂恋だそうな。

本当にどうなってるやら。

 
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