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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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ユナイティング:最強の切り札と最弱の風

現実Said

俺は何かを感じるように起き上がる。
「……この感じは」
ベットからおり、すぐにその力をした方へと歩く。
力を感じたのは来人とキリトの眠る第二STL室。
扉を開けて入ると、微かに懐かしい感じが俺を襲う。
「この感じは……まさか……!」
急いで来人のSTLに駆け寄ると、中にいる来人の髪に異変が起きているのを見た。
「雷帝化!?STLの中で雷帝化が起こるなんて……!ーーーいや、しかし彼奴の闇は俺がーーー」
と、そこまで言ってハッとする。
雷帝の闇は来人自身のSAOでの歴史に近い。
本来の性格である雷帝は、その一部を来人の記憶の中に梱包されていたとしたら?
つまりーーー
「ーーーちっ、詰まんねぇ小細工をしやがったな、雷帝の!!」
俺は笑いながら称賛する。
神である闇神を知力、記憶力、攻撃で圧倒できる人物等手で数えられる程でしかない。
それこそ、異次元の英雄達ですら、翔夜の恩恵を与えて、雷帝化した来人についてこられるかどうかである。
「……そろそろ、俺も行かなくちゃ、か」
俺がそう言うと、何処からともなくエクストリームメモリが飛翔、俺を取り込んで来人のSTLに飛び込んで消えた。

雷帝Said

「ハアアアッ!」
初手からバーチカル・スクエアを放ったアドミニストレータに対し、俺は雷帝固有能力剣技<ライトニング・スクエア>を発動。
四連撃同士の剣戟がぶつかり合い、火花を散らす。
俺は四連撃目が出終わると同時に下がり、剣を構える。
「ーーー片手直剣四連撃ソードスキル、<バーチカル・スクエア>……だったわね」
「質が悪い冗談……では無いな。今まで味方してた剣技をこうもあっさり繰り出されるとは」
予想通り、ソードスキルを使ってきたアドミニストレータ。
俺もそれに驚かずに言う。
「まだ余裕が在りそうね。もっと私を楽しませて頂戴」
「ちっ……ゼアアアッ!!」
床を蹴り、一気に接近して剣を振るう。
雷帝固有能力剣技<ライトニング・ディスティニー>。
最速の剣がアドミニストレータにヒットする前に。
銀の長剣が神速の刺突六連撃を繰り出し、縦と横に貫いた。
「ぐっ……」
俺の口から鮮血が散った。
剣技をインターセプトされた俺の雷は剣に留まり、やがて身体に戻る。
あれは、確か細剣の剣技……。
そう思いながら、小さな傷口を雷で焼いて塞ぎ、剣を突き立てて立ち上がる。
「さっきのは……まさか」
「そう、細剣六連撃技<クルーシフィクション>よ」
予想していた答えが帰ってきた。
当然、俺はユイリやユリア達にはその剣技を教えたことは一度もない。
ーーー俺の記憶をSTLを介して覗かれた?
ーーーだとすれば、今のアドミニストレータには全剣技を使えることを意味する!?
「……ちっ、本気で質が悪ぃし分も悪ぃな」
俺の口から呟きが漏れた。
しかし、それでも剣技を作った俺に部は少しでも残されている。
左手を前に、右手を引き絞る。
片手剣最強にして、黒の剣士が最も使用していた技<ヴォーパル・ストライク>の構え。
彼我の距離、約五メル。完全に間合いにある。
「砕け………ろォオオオオオ!!」
雷帝の雷を追加して、つがえられた剣が獰猛なクリムゾンレッドに輝く。
対するアドミニストレータはーーー。
俺と同様に両脚を前後に広げて腰を沈めると、左手のレイピアを滑らかな動作で右腰に回し、そこでぴたりと制止させる。
「ラァアアアッ!!」
叫びと共に俺はアドミニストレータに剣を撃ち出す。
「ーーーシッ!」
アドミニストレータからも抑制された、しかし鋭い気合いが放たれた。
アドミニストレータの変化したレイピアはヴォーパル・ストライクよりも早く、美しい曲線軌道を描き。
抜き打ちの一閃が俺の胸を切り裂いた。
直後、俺は吹き飛ばされ、天命の大部分を鮮血に変えながらも、地面に膝を折った状態で耐える。
そして、アドミニストレータの声が。
「カタナ単発技<絶空>」
ダークが使っていた、ソードスキル。
つまり、俺の勝ち目はとうに薄れていたーーー否、無くなっていたと言う事に他ならなかった。
絶望にうちひしがれる俺に、アドミニストレータは言う。
「ーーー良いわね、その顔」
アドミニストレータが、近づいてくる。
「やっぱり、向こう側の人間は感情表現も一味違うのかしらね?その泣き顔のまま、飾っておきたいようだわ」
「……好きに、すればいいだろ」
俺はそう言うしか無かった。
絶望に落ちた俺は、徐々に闇に飲まれていく。
ーーーああ、これでもう、戻れないな。
そう思った時だった。
『エクゼキューター!マキシマムドライブ!!』
「ウルァアアアアッ!!」
聞いたことのある声と共に、アドミニストレータが吹き飛んだ。
「ったく、らしくねぇぞ馬鹿が!」
一気に意識を引き上げられ、目の前の人物を見る。
「ダー……ク……?」
銀色の髪、銀色の目、そして黒いローブ。
見間違う筈がない。ダークだ。
「オイコラテメェ、諦めかけて闇に喰われようとしただろふざけんなテメェなに考えてんだくそガキが助けられるもんも助けらんなくなるだろうがちったぁ俺の仕事と苦労を考えやがれくそガキチートハッカーゲーマー!!」
一息付くと、ダークは俺を一発拳骨で殴る。
「……痛い」
「感謝しやがれこの野郎。ーーー戦う覚悟は?」
「在るぜ、闇神。さぁ、行くとしようか」
俺は、立ち上がってアドミニストレータを見る。
「ーーー何故だ」
放たれた声は金属質の響きを帯びていた。
「何故そうやって、愚かにも運命に抗うのだ」
「決まってるだろ、くそババア」
ダークが俺の肩を持って言う。
「決まってる運命なんざお断りだ。運命ってのはな、抗うって事がなんぼなんだよ!!」
「そして……抗う事で未来を切り開く……それが人間ってもんなんだよ!!」
俺が言うと、手にダブルドライバーが握られていた。
『ジョーカー!』
『サイクロン!』
「行くぜ、最強の相棒」
「おう、最弱の相棒」
『変身!』
ダークがサイクロンメモリを入れると倒れ、俺は、もう一つの方にジョーカーメモリを入れて、開く。
『サイクロン!ジョーカー!!』
電子音が辺りに響き、風を起こし、それは一つの英雄になった。
「『仮面ライダーW……さぁ、テメェの罪を数えろ!!』」
「……許さぬ」
アドミニストレータは言う。
「ここは私の世界だ。招かれざる侵入者に、その様な振る舞いは断じて許さぬ。膝を突け。首を差し出せ。ーーー恭順せよ!!」
「アンタは唯の盗人だろうが。ここにいる人々を愛さないお前に、支配者の資格はねぇ!!」
「愛は支配なり。私は全てを愛する。全てを支配する!!」
銀の剣が巨大化し、アドミニストレータはアバランシュを放つ。
『そんなもの、俺らに効くか!!』
ダークが言うと、それを蹴って防ぎ、パンチをくれてやる。
『ヒート!ジョーカー!!』
ダークがサイクロンメモリをヒートメモリに変えると、ヒートジョーカーになる。
「熱々のデザートをくれてやるよ!」
『ジョーカー!マキシマムドライブ!!』
「『ジョーカーグレネイド!!』」
左右に別れ、交互にパンチのラッシュを浴びさせ、ブローで吹き飛ばす。
『ルナ!ジョーカー!!』
ダークがすぐにメモリをルナに変え、吹き飛んだアドミニストレータを引き戻し、メモリを入れ換える。
『サイクロン!メタル!!』
『メタル!マキシマムドライブ!!』
「『メタルツイスター!!』」
回転しながら旋風を纏ったメタルシャフトで壁に吹き飛ばすと、メモリを入れ換える。
『ヒート!メタル!!』
『メタル!マキシマムドライブ!!』
「『メタルブランティング!!』」
メタルシャフトに焔が灯り、それを投げつける。
「嘗めるな!!」
アドミニストレータはそれを斬ると、接近してくる。
『予想の範囲内だ』
『ルナ!メタル!!』
『メタル!マキシマムドライブ!!』
「『メタルイリュージョン!!』」
メタルシャフトを振り回し、大量の輪を出してアドミニストレータにぶつける。
「ぐっ……!」
「さて、オマケだ」
『ルナ!トリガー!!』
『トリガー!マキシマムドライブ!!』
「『トリガーフルバースト!!』」
黄と青の追尾弾がアドミニストレータを追撃。アドミニストレータは怒りを俺達に向ける。
「さて、あいつらと同じように行くか?」
『そうだな』
俺達はそれぞれのメモリを出す。
『ライトニング!』
『ダークネス!』
「『変身』」
『ライトニング!ダークネス!!』
『エクストリーム!!』
『ライトニングダークネスエクストリーム!!』
途端、雷と闇の記憶が反映され、金色と漆黒のWが現れ、真ん中が割れる。
「貴様らぁあああっ!!」
アドミニストレータは吠え、俺達に接近する。
「『エクスビッカー』」
それを26のメモリを同期させるエクスビッカーで受け止めると、掌打で吹き飛ばす。
『ゾーン!マキシマムドライブ!!』
ダークがゾーンメモリを使うと、全てのメモリが転送され、エクスビッカーにセットされる。
そして、両腕に六本のマキシマムスロットが現れる。
『決めろ、お前の仕事だ』
ダークは言うと、七本のメモリを取り出す。
『ストーム!』
『バーニング!』
『ファントム!』
『エース!』
『ヴァジュラ!』
『スナイパー!』
『ホープ!』
六本を両腕のマキシマムスロットに入れ、ホープをエクスビッカーの剣に入れる。
そして、それを一気に同期させる。
『アクセル!バード!サイクロン!ダミー!エターナル!ファング!ジーン!ヒート!アイスエイジ!ジョーカー!キー!ルナ!メタル!ナスカ!オーシャン!パペティアー!クイーン!ロケット!スカル!トリガー!ユニコーン!ヴァイオレンス!ウェザー!エクストリーム!イエスタディ!ゾーン!ストーム!バーニング!ファントム!エース!ヴァジュラ!スナイパー!ホープ!エクストリーム!オーバーマキシマムドライブ!!』
全ての記憶を右足に込め、ジャンプする。
『ライトニング!ダークネス!マキシマムドライブ!!』
「『ダブル・オーバーマキシマムエクストリーム!!』」
分身した俺達の幻影が次々にアドミニストレータに突き刺さる。
しかし、アドミニストレータは立つ。
「貴様らぁあああああああっ!!」
「終わりだ!!」
『プリズム!マキシマムドライブ!!』
ホープをプリズムに変え、エクスビッカーのメモリを同期。それをエクスソードに集める。
「『エクスビッカー・ヴォーパル・ストライクイリュージョン!!』」
それは、アドミニストレータの胸を深々と刺し貫き、
「『ハアアアッ!』」
一刀両断に切り裂いた。
『よくやった……先に行って待ってるぞ』
ダークはそう言うと、ドライバーと共に消えた。
「……」
俺はアドミニストレータの消えた真下の円盤を踏む。
すると、大理石の柱とノーパソが現れ、俺はキリトの方を向く。
「……後は、頼んだ」
それを言って、俺はキリトに託す。
……ダーク、悪い。帰れそうに、ねぇわ。
俺は心で呟いて、闇に喰われた。
……そして、その瞬間、雷帝が消えた。 
 

 
後書き
次回予告。

アドミニストレータ消滅と引き換えに、ライトは自らの闇に喰われた。
激闘から半年。
ユイリとユリアは意思がなく、車イスに乗るライトと共に<レイグルの村>に戻ってきていた。
「……ライト」
ユリアはライトを心配し、ライトの持っていたブレイバックルを持っていた。
しかし、ダークテリトリーの怪物が、レイグルの村を襲おうとしていた。
次回、狩人と黒の剣士「インベーティング:虚ろな少年と覚悟を決めた王」
欲望の王は今、守りたい者の為にその大いなる力を振るう。 
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