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ソードアート・オンライン ~Hero of the sorrow~

作者:C.D./hack
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『ただいま』と『おかえり』

 
前書き
戦闘は終結へ。哀しみは業火へ・・・――――――。 

 
 
 過去

『また・・・ここか・・・』

またあの映像だ。前回はキリトに似た男が銃を向けられて終わった。

しかし、目の前には、爆炎の中で立つ自分が少女を支えている。

「アキちゃん・・・!アキちゃん!!」

血塗れの少女。傍に転がっているのは―――――

『ダインスレーヴ・・・!?』

アキと呼ばれた少女は、ユキへと手を伸ばした。

「ダメだから・・・っ」

「死んじゃ・・・ダメだから」

「アキちゃん・・・アキちゃん!」

アキの手がユキの頬をそっと撫でた。

「まだ・・・来ちゃダメ、だ、よ」

アキの手が力なく落ちた。ユキの頬には血。

映像はそこで終わった。

『待って・・・まだっ!!』

「大丈夫」

背後からの声。振り向くとそこに。

『アキちゃん―――――――!?』

アキは少し驚いた顔をした。

「思い出したんだね」

『まだ・・・完全じゃないけれど』

「そうなんだ・・・母さんが銃を持ったあたり?」

『う、うん』

「・・・あと少しか」

『え?待って、アキちゃん。状況が呑み込めない』

「自分で・・・思い出すしかないの」

「その記憶が戻った時、あなたがどうなるかわからないけれど・・・」

「頑張って・・・まだ来ちゃダメよ」

突然、目の前が輝く。

『アキちゃ・・・』

そのままユキの意識はそこから追い出された。


 頂上

「ユキ!おい、ユキ!!」

キリトが大声で呼ぶ。

「あっ、ハイっ!」

アスナを抱えたキリトが、手を招く。

「早くしろ!崩れるぞ!!」

「今行き・・・!!」

他のライダー達が脱出する中、ユキは立ち止った。

「おい、何して・・・」

キリトがユキの方を向くと、ユキは攻撃を受けていた。

「よ、お・・・兄、弟」

「クライ・・・!?君はっ」

「兄弟・・・強くなったな。でも、俺も終わらねぇぜ?」

クライが一本のメモリを取り出した。

「なっ、ガイアメモリだと!?」

翔太朗の疑問に、フィリップが答える。

「いや、違う。ガイアメモリの形をした・・・強大な力を宿した何かだ」

クライはガイアメモリのスイッチを押す。

『ヴァイス』

メモリを首筋に当てると、それはスッと吸い込まれていった。

その姿は変貌し、クライの面影などどこにも残ってなどいなかった。

触覚のあるヘルメットに、爆炎に染まった体。

燃え上がるグローブに、真紅のマフラー・・・。

その姿は。

「仮面・・・ライダー・・・!」

ユキは後ろを振り返り、言った。

「キリトさん!必ず行きますから、先に行ってください!!」

「なら、俺も・・・!」

「これは僕と彼の戦いです!早く行ってください!!」

ファイズに抱えられたキリトは、帰ってこいと言うと、そのまま去って行った。

「・・・クライ。戦わないっていう選択肢は・・・ない?」

目の前の『ライダー』は言った。

「無いに決まってんだろ・・・!?」

強烈な拳。ユキの拳とぶつかり合う。

(5000tと同等か・・・っ!)

「どうしたんだよ、兄弟!!」

拳と拳の応酬。火花が散り、周囲が燃え上がる。

剣と剣の応酬。互いを傷つけあう。

「クライ・・・ッ。大切な人はいないのか!!」

「いるさ・・・。そいつは自分をちっぽけな存在だって言った。俺はそれを守んだよ」

「なら・・・どうして!!」

「ちっぽけだから守らなきゃいけない!!テメェのような奴から・・・!!」

「ショッカーのようなクソッタレから!!」

「そこまで大切なら、なぜそのメモリを使った!!」

ユキの言葉が、クライの表情を変えた。

「それは・・・命を削るものだろう!?」

「俺たちにとって、この世は救えねぇことが多すぎる・・・だったらよ、守るためにテメェを殺すだけでいいと思った。だがよ・・・そんなことはどうでもよくなっちまったぜ!!」

「俺は守るために戦うんだよ!!お前も殺す!!あの暖かい風景を壊そうとする奴ら、全員ぶっ殺してやる!!」

それが、彼の信念だった。

「だからよ!!」

「死んでくれよ!!」

クライはバックし、そのまま跳ぶ。そして、あの構えをとった。

「こうだよな・・・!ライダーキック!!」

「一点集中っ・・・グガバッ!!」

脚からのエネルギー波がユキを捕え、蹴りが命中する。

「効いたか・・・?今度はこ・れ・だぁッ!!」

ライダーパンチがユキの腹部を貫く。

腕が引き抜かれると、ユキの口から血が流れ落ちる。

「兄弟・・・死ね」

拳が降り上げられ―――――――。


 地上

こちらは全ての戦いが終わり、ライダー達が集結していた。

「ユキ君は・・・!」

本郷が言うと、茂が答えた。

「俺が斃したはずのクライが生きてやがった。それであいつ、僕が相手するって言ってたぜ」

「因縁・・・か・・・っ!!」

拳を地面に叩きつけると、一文字と剛が駆け寄る。

「・・・一文字に剛君か・・・進ノ介君は・・・?」

「あ~っ、お兄さん、なんだか迷っちゃたらしくて。今こっちに向かってます」

「そうか・・・」

そう本郷が言った途端、爆発音が響き、世界樹の一部が崩れた。

リーファが口を開く。

「ユキさん!!」

茂が耳に手を当てる。

「チッ・・・通信が切れやがった」

「も、もしかして・・・」

「死んじゃたんじゃ・・・」

村雨がリーファの言葉に振り返ると言った。

「死なん」

「で、でも・・・」

「戦いが終わらない限り・・・仮面ライダーは死なん!!」

それを見ながら、(じん)は思った。

「ユキ・・・何をやっている」

「お前を想う者が、こんなにもいるというのに・・・」

神が見る世界樹は、爛々と炎を光らせていた――――――――。



 
 森

ライドロンの車内でアルゴは目覚めた。

「・・・・・ユキ」

手を上へと伸ばす。

起き上がって周囲を見ると、ある一点で目が釘付けになった。

(空が・・・燃えてる?)

巨大な樹が燃えてることに気付く。

「あ・・・ユキ!!」

車のハンドルを掴むが何も反応はない。

「動けっ!!動けよ!!」

反応は返ってこない。

「・・・動いて・・・くれよぉ・・・」

そのまま下に崩れると、涙をこぼした。

しかし――――――

コンコン

突然窓から聞こえた音に身構えるが、そこに立っているのは戦士だった。

「お~い、君何やって・・・」

ドアを開け、戦士を掴む。

「頼む!あそこに連れて行ってくれ!!」

「やっ、わかったから離してくれる!?」

戦士は自分が乗っていた車のドアを開け、アルゴを乗せた。

「あんた・・・仮面ライダーだろ?名前は・・・」

「俺か?俺は泊進ノ介!仮面ライダードライブだ」

ドライブはベルトを指さす。

「で、こっちがベルトさん」

「やぁ、君がアルゴ君かね?」

「べ、ベルトが喋っ!!」

「あれ、ベルトさん知ってるのか?」

「本郷君からもらったデータを見たからね」

いまだに驚いているアルゴを落ち着かせ、ハンドルを片手で握ると言った。

「よし、落ち付いたか?・・・落ち着いたか。じゃあ・・・」

「ひとっ走り付き合えよ!!」

凄まじい速度でのひとっ走りが始まった。



 頂上

「赤心少林拳・・・梅花!」

超再生で腹部を瞬時に治癒させると、梅花でクライのライダーパンチを弾く。

「お前・・・それで防ぐってどうなってんだよ」

「梅の花・・・梅花は守る拳だ。傷つける拳じゃないんだ・・・」

「甘ちゃんの拳って事か。じゃあ、いらねぇや」

ユキは構えを変え、クライはライダーパンチを放つ。

「赤心少林拳、桜花」

手刀と拳がぶつかり合い、クライの右腕が縦に裂けた。

「あっがああああああ!!!??」

再生などしない。『封印』が発動したからだ。

「もう・・・よそう。これでいいでしょう。聞いた話だと、オークはこちらに来ました。あなたも・・・」

クライは笑った。

「そうか。アイツ・・・そっちに行ったのか。幸せにしろよ。だが・・・俺はそちらに行かない。妹を生き返らせないといけないからな」

「それも協力してくれる。だから・・・」

「無理なんだよ、俺は」

「成功体として造られた俺は、10人以上ライダーを確認した瞬間に殺戮する、カブトと同様の『赤い靴』システムが搭載されているからな。だからよ・・・そっちには行けねぇし・・・好きな奴おいていくのも嫌なんでね。もう、終わらせるぜ」

全身からの負のエネルギーが収束され、黒いサイクロン号が出現する。

クライはそれに跨り、スロットを回した。

ユキはライダー魂ボンバーを放つ。

それはスーシールシーカーに宿り、太陽の如く輝きだす。

「「いっけええええええっ!!!」」

黒と赤がぶつかり合う。

空間が歪み、エネルギーが周囲に飛び散る。

そんな中でも拳が交わりあう。

「「オオオオオオオオオ!!!」」

それを制したのはクライだった。

「梅花ァッ!!」

ダンっと凄まじい音と共に拳がいなされ、残った拳がクライにヒットする。

「グブ・・・ッ!!」

バイクのスロットをフルで回し、ウィリーの様に相手を上へと跳ね上げる。

「ライダー・・・」

「マキシマム」

「ブレエエエエイクッ!!」

次元を超え、どんどんと上昇していく。


 次元隔離室

「あっ――――――」

愛は床に落ちたモノを見た。

それは、まだ平和な頃にクライから贈り物として貰ったペンダントだった。

それを見て、一気に不安になった愛は祈った。

(神様―――――彼を無事に返してください―――――!!)

祈りは―――――儚く消える。



 太陽

「おま・・、え、死、ぬ気、か、っ!?」

「・・・・」

ユキは無言を貫いた。クライは背後に熱気を感じた。

「太陽・・・かぁっ!!」

「グオオオオオオオオオ!!!!」

ジュウッと言う音と共に、再生能力を持つ彼は叩きつけられた。

「・・・・!!」

「え―――――?」

ユキはソレを受け取ると、爆風で吹き飛ばされた。

クライは最後に言った。

「さヨ、う、ナラ・・・・ア・・・い」

炎に飲み込まれ、クライは跡形もなく消え去った――――――。

ただ、それと同時にスーシールシーカーが機能停止。

さらにアマダムの機能が発動し、ユキを仮死状態に移行させる。

(カ、エ、ラナ、キャ・・・)

意識は遠のき、深い闇へと消え去った。


 地上

世界樹から爆炎が吹き出し、二つの好転が見えたかと思うと、それは黒い穴へと消えて行った。

「ユキ君!!」

本郷が叫ぶと、茂は顔を伏せた。

「クライ・・・馬鹿野郎が」

「次元の穴に消えちまった・・・」

士がそう呟くと、後ろからギャリギャリギャリというタイヤの駆動音が響いた。

剛が振り向き、手を振る。

「進兄さ~ん!!こっちこっち!!」

急停止したトライドロンは中にいた二人を吐き出した。

「あれ、進兄さん!?お~い」

アルゴに踏みつけられているドライブは土にめり込んでいる。

アルゴが急いで飛び降りると、炎が噴き出した世界樹を見る。

「ユキは・・・・ユキは!?」

今は口調など関係なかった。

「ユキは・・・」

キリトが指差したのは爆炎。それを見たアルゴは泣き崩れた。

「ユキ君・・・君は」

洋が呟くと、五代がアルゴの傍へと駆け寄り、言った。

「皆さん・・・ユキ君は生きています」

「!?・・・なんだと!?」

「僕のアマダムとユキ君のアマダムが共鳴しています。多分・・・俺が前なったみたいに仮死状態に・・・・」

「そうか・・・だがユキ君は次元を超え、どこに行ってしまったか分からない」

今度は弦太朗が声を上げた。

「一号先輩!今、賢吾たちから電話があって・・・!太陽の方向にいるらしんですけど!!」

「太陽か・・・・フォーゼ、君はまだ行けるか?」

「さすがにここから太陽までは・・・」

「そうか・・・」

アルゴは生きていることを知って希望を持ったが、助ける手段がない。

その時―――――声が響いた。

次元の壁が開き、中から赤のライダーが出てくる。

「照井!!」

仮面ライダーアクセル。照井竜である。

照井はアルゴの手をとり言った。

「運命を変えたいか・・・?」

「え・・・」

「運命は変えられる。一人では無理でも、支えてくれる誰かがそばにいれば・・・」

「俺の力を貸してやる」

「じゃっ、俺も」

「俺もトップギア、渡させてもらうぜ」

「じゃあ、宇宙なら俺も!!」

「俺も力を貸すよ・・・!」

「俺も貸してやるよ」

映司、照井、剛、進ノ介、弦太朗、巧が前に出ると凄まじい力が集まり、ベルトを形作る。

照井がそれを取ると、アルゴに握らせた。

「シグナルドライバーだ。受け取れ」

アルゴは立ち上がり、シグナルバンドとドライバーを装着した。

「変・・・身・・・!」

『アクセル・トライアル・ブースター!!コズミーーーーックマッハァッ!!』

左腕にはタッチパネル。右腕にはバンド。

そして腰に巻かれているのは赤、青、黄の順番にメモリが並んだドライバー。

薄い蒼色のローブに、胸を隠すように着けられた薄いアーマー。

「よっしゃ!行くぜ!!」

フォーゼに変身し、マシンマッシグラーに跨った弦太朗はアルゴを乗せる。

「ディエンド先輩!!」

「やれやれ・・・人使いが荒いなぁ」

『ATTACK RIDE パワーダイザー!!』

台座形態(タワーモード)になり、マッシグラーと合体する。

『3・・・2・・・1・・・ブラァスト・オフ!』

凄まじい勢いで次元の穴へと飛び込むと、すぐに太陽が見えた。

アルゴを抱え、フォーゼは言った。

「行って来い!!これは・・・ダチからのプレゼントだ!!」

フォーゼが腕を突き出すと、アルゴは少し笑って腕を突き出した。

タッチパネルを操作、ファイズの項目をタッチする。

さらにベルトのブースターメモリを押す。

『ブースター!! アクセル カウントダウン!!』

胸のアーマーが展開、フォトンブラッドが走る。

10秒と表示され、ブースターの翼で一気に加速してユキに手を伸ばす。

「ユキ!!起きろ、ユキ!!」

さらにパネルを操作。

『マジックハンド on!!』

マジックハンドで精いっぱい手を伸ばす。

「ユキ!!」

マジックハンドがユキを掴み、ユキの手を握る。

カウントが切れ、ブースターでフォーゼの所まで移動する。

マッシグラーに再び跨り、次元の穴へと入っていく。

ユキの目が覚める。うっすらと開いて、手がアルゴの頬を撫でた。

「ただ、いま・・・アルゴさん・・・」

ニッコリと笑ったユキがこちらに語りかけてくる。

「・・・おかえりぃっ・・・!!」

「立場・・・逆に・・・なっちゃいましたね」

優しく抱きしめると、ユキは微笑んだ。

下降が開始され、そこにはみんなが立っていた。

全員が手を振り、こちらを見ていた。

「戻りましょう・・・僕らの世界へ・・・」

「ああ・・・ああ・・・!!」

「いつまで泣いてるんですか~・・・」

ユキは微笑み、優しくアルゴの頭を撫でた――――――――。 
 

 
後書き
アルゴさんのシグナルドライバーとかは後日説明します。
ハッピーエンドだ・・・ここまで来るの疲れた・・・・。
そして病院行くまでのお話だ・・・・。
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