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転生赤龍帝のマフィアな生活

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四十一話:新しい後輩でござる!

 
前書き
何だか久々にバジル君sideを書いた気がします。
実際はそうでもないんですけどね。
それではどうぞ。
 

 

Sideバジル

授業も見学も無事……。と言うべきか非常に判断に困りますが終わった放課後。
拙者達、グレモリー眷属は部室にてグッタリとしていました。
親方様の兄君である。魔王、サーゼクス・ルシファー殿。
生徒会長殿の姉君である。魔王、セラフォルー・レヴィアタン殿。

そんな一癖も二癖もある方々に加えて。
予想外の刺客である。小猫殿の姉君である黒歌殿。
さらにはシスコンを発揮した一誠殿。

それらの対処で拙者達はもうクタクタです。

「……バジル。シスコンって凄いわね」
「はい。あれを止めた親方様には尊敬の念が絶えません」
「シスコンを止めるには。妹が出るしかないのよ……」

グッタリとして拙者に寄りかかってくる親方様。
その頭を労いの意味を込めて撫でて慰めます。
親方様の頭を撫でるなど本当は恐れ多い行動なのですが。
親方様の方からよくご所望されるので最近では見慣れた行動になっています。

「うぅ……ありがとう。バジル」
「どういたしまして」
「そうだわ。みんなに話があるの」

そう言って少し名残惜しそうに立ち上がる親方様。
話とは一体なんでしょうか?

「今日のお昼に実はお兄様に言われたの……そろそろもう一人の『僧侶』を皆に紹介してもいいって」

「「「「―――――――ッ!?」」」」

親方様の言葉に息を飲み込む拙者達。
もう一人の『僧侶』と言えば、確かずっと表に出していないと聞いています。
変異の駒(ミューテーション・ピース)』である駒を使って悪魔になれた。才能ある悪魔だと以前に伺っています。
それにしてもなぜこのタイミングで?

「バジルとゼノヴィアは知らなかったと思うけど、その子はこの旧校舎の中に一日中いるの。能力が余りにも強すぎて、私にはまだ扱いきれないということで上から封印が命じられていたんだけれどね」

親方様が言うにはライザ―とのレーティング・ゲーム。
それに、つい最近に起こったコカビエルの件。
それら全てを評価されて。親方様はその『僧侶』を扱えるだろうと判断されたようです。
それをサーゼクス殿に今日の昼に伝えられた。
そう言ったところだそうです。

「………正直に言えば、ライザ―の件も、コカビエルの件も一誠が滅茶苦茶にしたから解決できたものだけどね」

開かずの扉と言われている、旧校舎の一角に来た拙者達。
親方様はこれまでの事を思いだすように遠くを見つめます。

「しかし、拙者達に出来ることは間違いなく拙者達がやり遂げたはずですよ。親方様」
「そうね……。ありがとう。バジル」

親方様のお礼に軽く頭を下げて。改めて開かずの扉を見ます。
扉には『KEEP OUT!!!』と書かれているテープが張ってあり。
更に扉には魔術刻印で絶対に開かないようになっています。

「少し、聞きたいことがあるのだが。いいか?」
「何かしら、ゼノヴィア」
「能力が余りにも強すぎるという事だがイリナとイッセーと比べてどうなのだ?」


「あんな化け物と比べられるわけないでしょ」


即答でした。
ゼノヴィア殿の質問に親方様をバッサリと切り捨てました。
まあ、あの二人と同格だと言うのならこの程度の封印で抑えられるわけがないのですが。

「ならば、何とでもなりそうだな。なに伊達にイリナの友達(サンドバック)をやっているわけではない。打たれ強さには自信があるぞ」

若干虚ろな目で語るゼノヴィア殿。
ああ……。ゼノヴィア殿の不幸は悪魔になっても終わらないのですね。
強く生きてください。

「と、とにかく開けるわよ」

若干気まずそうに言い。扉に描かれている魔術刻印を解除していく親方様。
そして全ての封印が解かれた瞬間―――

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」

響き渡る悲鳴。
一体この悲鳴は!?

「はあ……みんな心配しなくていいわ。入るわよ」

親方様に従いぞろぞろと部屋に入って行く拙者達。

「あうう! 人が一杯来たぁぁぁぁぁぁあああ!?」

そこにいたのはこちらを見て絶叫する。
何故か段ボールに入った小柄な金髪美少女でした。
なるほど、こういうのを箱入り娘と言うのですね!
拙者、日本に来てまた新たな発見をしました!

「……何を勘違いしているんですか? バジル先輩」

呆れた様に見て来る小猫殿が言っていることが良く分かりません。





何とか金髪美少女が落ち着くのを待ち。
改めて親方様から説明を受けます。

「この子は私の『僧侶』のギャスパー・ヴラディ。転生前は人間と吸血鬼のハーフだったの」

ギャスパー殿が引きこもってしまった段ボールを指さす親方様。
中からは時折こちらの様子を伺うように。赤色の目が覗いていて若干ホラーです。

「それでどうしてこんなところに封印していたのでしょうか?」
「ギャスパーの持つ神器(セイクリッドギア)が原因よ」
「その神器(セイクリッドギア)とは?」
「それは…………」

親方様と拙者が話している丁度その時。
朱乃殿と小猫殿がギャスパー殿を段ボールの中から出そうとしていました。

「ギャスパー君。一緒にお外に行きましょう」
「嫌ですうううううう! お外怖いですうううう!!」

まるで母親の様に優しく語り掛ける朱乃殿。
しかし、ギャスパー殿は段ボールの中に閉じこもったまま出てきません。

「……ヘタレヴァンパイア」
「うわーん! 小猫ちゃんが苛めるううううっ!!」

本当に外に出す気があるのかと思う。
辛辣な言葉をギャスパー殿に投げかける小猫殿。

「引きこもりなど無駄だ。私も昔引き籠ったことがあるが。結局イリナに部屋ごと破壊されて出て行くしかなくなったからな。だから諦めて出ろ」
「そんな人がいるお外に何て行きたくないですうううううっ!?」

過去を思い出して泣きそうになりながらギャスパー殿を引きずり出す。ゼノヴィア殿。
その言葉を聞いて。さらに外に対する恐怖がましたようなギャスパー殿。



「嫌です、嫌です、いやですううううっ!!!」



突如ギャスパーの眼が輝き始めまして。
その次瞬間には周りは時間が止まったように。モノクロの風景となっていました。
他の人達も固まっていました。
その中でギャスパーはゼノヴィア殿の手から離れて逃げようとします。
しかし―――

「この程度、イリナのしごきに耐えて来た私には通用しないぞ?」
「ヒイッ!?」

その手はガッチリとゼノヴィア殿に掴まれてしまいました。
何故でしょうか? 捕まえたゼノヴィア殿の方が泣いているのは何故でしょうか?
そうこうしているうちに周りの停止された様な空間は解除されていき。
他の人達も動けるようになりました。

「わたしは…わたしは…っ!」
「あ、あの、元気出してくださいですううう」

「ねえ、バジル君。どうしてゼノヴィアが泣いてそれをギャスパー君が慰めているんだい?」

泣き崩れるゼノヴィア殿。それをオロオロと慰めるギャスパー殿。
恐らくは祐斗殿からしてみれば。
時が止まってから一瞬しか経っていないのでしょう。
ですが安心してください。

「拙者にも分かりません」
「そ、そうかい」

分かる方がおかしいでしょう。

「ギャスパー……神器(セイクリッドギア)を暴走させてしまったのね…」
「親方様。それでギャスパー殿の神器(セイクリッドギア)とは?」

結局聞きそびれていたことを再び親方様に聞きます。
時を止めると言うからにはかなり強力な物で間違いはないでしょうが。

「ギャスパーの神器は。『停止世界の邪眼(フォービトウン・バロール・ビュー)』とても強力なものよ」
「『停止世界の邪眼(フォービトウン・バロール・ビュー)』……。確か使い手によれば全ての時間を否応なく停止させる反則級の神器であり。神滅具にも近い力を持つ神器でしたか。……なるほど道理で」

時間が止められるわけです。
しかも先程の様子から考えてまだ制御出来ていない。
だからこその封印ですか……納得です。

「……僕はこんなの欲しくなかったです」

未だに復活しないゼノヴィア殿を慰めつつ。
ポツリと呟くギャスパー殿。

「ギャスパーはこの神器のせいで人間界では化け物としてヴァンパイアとしては純血でないという理由で差別されてきたの……」

「それで対人恐怖症になって。引きこもりになったというわけですか……」

これはまた外に連れて行くのが難しくなりそうですね。
何か良い方法でもあればいいのですが……。
とにかくしばらく様子を見るしかありませんか。


Sideoutバジル




「イッセー君! 遊びに来たよ――って、わきゃ!?」
「だから何でてめえは何もない所で転ぶんだ!? ヴァーリ!」

いつも通り何もない所で転び。
俺の方にダイブしてくるヴァーリ。
仕方がないのでそれを抱き止めてやる。
たく、家で寛いでんのに。
なんでこんなことをしねえといけねえんだ。

「あ、ありがとう。イッセー君」
「けっ、施しだ」

フイッと顔を逸らしてそれだけ言う。
少し顔が熱い。

(ツンデレ乙)
(ツンデレ乙です。ご主人様)
(ツンデレ乙です。イッセー様)

こいつらはいつか絶対に消してやる!
まあ……。喜んで終わりだろうがな。べ、別に泣いてなんかいねえぞ!
と言うか、ヴァーリはいつまで俺に引っ付いてんだ?

「クンクン……イッセー君。いい匂い」
「とっとと離れろ! この臭いフェチが!!」

なんとなく身の危険を感じたのでヴァーリを突き放す。
だが、それが不味かった。
ふるふると体を震わせるヴァーリ。
そしてワッと泣き始める。

「うわーん! イッセー君のバカアアアッッ!!」
「ああっ! たく、いくらでも抱き着いていいから泣くんじゃねえ!!」
「……グスッ……ホント?」

そう言うとすぐに泣くのをやめるヴァーリ。
そして涙目のままギュッと俺に抱き着く。

(はぁはぁ……ヴァーリたん♪ その太ももに挟まりたい! ペロペロしたいぞぉ~!!)

(((ヴァーリたんさいこォォォ!! ヴァーリたんは天使ィィィ!!)))

『……兵藤一誠。何故かヴァーリの身に危機が迫っている気がするのだが?』

『「気のせいだ」』

まさか、白トカゲは俺の中の歴代赤龍帝(マゾヒスト・ヴァーサーカーズ)に気づいたのか!?
やめろ! お前にとって不幸なことにしかならねえぞ!!

『それと先程から歴代白龍皇の残留思念が何やらおかしくなっているような気がするのだ』

やばい。あっちの奴らも変態になる未来しか見えねえ。

(クックック。そうだ。そのままこちらに来るがいい白いの。貴様も道ずれだ!!)

カストカゲは道ずれが出来ることに喜んでいるが。
変態になったらなったで。苦労するのは俺らだぞ?
分かってんのか?

(どうせ救われないなら、道ずれは一人でも多い方が良いと思わないか? 相棒)
(てめえ一人で逝けや! カストカゲ!!)

そんなことを精神の中で言い争っていると。
突如、自分の尻に違和感を感じる。なんだ? ………ヴァーリ。

「何で、てめえは俺の尻を触ってんだよ!?」
「やっぱり筋肉質でいて綺麗に引き締まったお尻だね。ずっと触ってたくなっちゃいそう」
「触れんじゃねえ!!」
「じゃ、じゃあ、見るだけでも!」
「なんでこんな事で必死なんだ。てめえは!?」

色々と訳が分からん。頭痛薬が欲しい。
それと胃薬もだ。

「ブー。イッセー君のケチ」
「誰だって断るわ!!」

(ご主人様。私は視姦されるのは好きです。因みにレイヴェルもですよ)
(そんな情報誰も求めてねえよ!)

知っても困るだけだろうが。そんな情報。
何だ。あれか? 俺にやれって言うのか?
やめろよな。これ以上俺まで変態だと言う噂を立てられるわけにはいかねえんだ。
この前、焼き鳥女の話に物凄く頷いて。
同意してる奴がいたからまた変態が増えそうで怖えんだよ。

「あ、そう言えばね。さっきパパが改造人間を作ってたんだ」

何やら思い出したように言うヴァーリ。
というか、俺にどう反応しろってんだ……。

「バラキエルさんとシェムハザさんに止められてたけど。結局改造しちゃったんだ」
「そいつらも苦労してんだな……」

胃薬ぐらいは送ってやってもいいかもしれない。



「それで確かその改造人間の名前が―――『T・シドー』だったかな?」



「やべえ。凄まじく心当たりがある」

まさか、あの親馬鹿共が手を組んだって言うのか?
ああ……今から気が重い。

 
 

 
後書き
……ここに女体化の薬があります。
後は…分かるな? 
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