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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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ターニング:ライト達の日常

「んじゃ、早速軽く稽古でもすっか?」
俺は焼き豚亭の肉まんを食い終わると、同じタイミングで食い終わった二人に言う。
「……ねぇ、明日は上級神聖術の試験よ?筆記の他に、<凍素>生成の実技も在るのに平気なの?」
ユイリがジト目で此方を見る。
「……まぁ、神聖術は一応ユリア見てりゃ自然とできたし、大丈夫だろ」
「「大丈夫じゃ無い!!」」
ふぅ、と溜め息を二人が付くと、ユイリが言う。
「……どうしてこんないい加減な人が私より上の主席修剣士なんだろ……」
「うっ……」
俺は少しうめく。
そう、ここでは俺が主席修剣士、ユイリが次席修剣士なのだ。
恐らく、神聖術云々ではなく、剣の腕で成り上がったとしか言い様が無い。
「飯、可能なら貰ってきてくれよ、ユイリ。俺はユリアに神聖術教えてもらうから」
「……しょうがないわね」
ユイリは溜め息を付きながら、部屋を出ていった。
































波乱の一週間が素早く過ぎて、休息日を迎えた俺達だが、ユイリの表情は少しばかり暗い。理由を問おうとしても、無視してくるので、放って置いたのだが心配だ。
まぁ、その気分転換に、今日は学院の森でリィンらと共に安息日を満喫していた。
「リィン、旨いじゃないか!スゲェ!!」
「本当ね……」
「凄いです!!」
ユリアと比べても同等の弁当を食べながら、話をしたりした。
と、そこに。
「あの、ライト先輩、ユイリ先輩、ユリア先輩。実は、ご相談が在るのですが……」
「どーした?」
モグモグと食っている二人の代わりに、俺が説明を聞く。
「大変申し上げにくい事なんですが、その……先日、ユイリ修剣士殿が仰られていた指導生の変更申請に関して、学院管理部にお口添え頂きたく……」
すると、ユイリとユリアが蒸せたので、シラル水をあげながら、リィンに聞く。
「どうしたんだ?俺達の傍付きを辞めたいのか?」
「いえ、そうでは無いんです。寧ろ、変わってほしいと思う人が何人もいて……じゃないや、変更をお願いしたいのは、寮で同室の子なんです。ナターシャって言う子なんですけど……」
「言うてみ?」
「……実は、ナターシャを傍付きとして指名なさった上級修剣士殿がかなり厳しい方らしいのです……。特にここ数日、ちょっとした粗相にも長時間の懲罰を課せられたり……ナターシャが可哀想で……」
「学院則に抵触しないのか?」
「はい。抵触ギリギリで……その、女子生徒としては少々受忍し難い命令を……」
顔を真っ赤にしたリィンを見て、俺は頭を撫でる。
「大体解った。本来ならすぐに手を貸してやりたいが……」
「確か、そのナターシャって子の指名を解除するのに、教官だけじゃなくて、指名した上級修剣士の承認も必要のはずよ?」
と、横からユイリが言う。ほんっとうに好きだな、何でもかんでも記憶する頭。
「……まぁ、説得はするさ。その、修剣士の名前は?」
「……あの、その……」
「ああ、大体解った。アイツか」
リィンが口ごもったのを見て、恐らく、アイツだ。
すると、ユイリが言う。
「……アイツ、コテンパンにのしたのにまだ何かをする気力が在るみたいね」
「……お前が暗くなってた理由は立ち会いか」
俺は呆れて言う。喧嘩っ早い性格は俺も同じだか、ユイリは根っからの喧嘩っ早さを持つ。普段から気を付けろって言っている筈だ。
「……ま、仲間思いなのはこの先もいい絆になるよ。その心を大切にしろよっと」
俺は立ち上がると、持ってきてあったソルブレイズの鞘を持って、剣を思いっきり抜くと、近くにあった木が倒れた。
「……後は、俺らに任せろ」
完全なる怒りモード、通常<ハイパーモード>に突入した。普段は出ない怒りマークが恐らく出ているであろう。
『正直、アイツにはうんざりなんだよね……』
そしていつの間にか融合してライドになる。
「……ライト、アンタ落ち着きなさい」
すると、ユイリにポイッと投げられ、湖に落ちた。
「冷てぇえええええええっ!!」
「冷えたかしら?」
「あわわわわわっ!!大丈夫ですかライトさん!?」
慌ててユリアがタオルを俺に渡してくる。あー、制服ビチョビチョだよ……。
「……アイツに斬り掛かるつもりなら止めなさい。アンタ、捕まるわよ」
「……済まん」
タオルで髪を拭いて言う。
「……アイツに言うのは私達だけで行くわ。心配しなくても、ベルト持って行くし」
「……そうしてくれると助かる。俺は部屋に戻る」
ベチョッ、ベチョッ、っと靴が音をたてるので、俺は急いで寮に戻って部屋の風呂に入った。 
 

 
後書き
次回、ライトブチギレ回。 
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