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剣の世界で拳を振るう

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正義の抗争の中で

デスゲーム開始から約二年が経過した。
今ではこの仮想世界を現実と大差なく暮らしているプレイヤーが多くなっている。
時間は慣れを生み、やがて忘却を築くのだと理解した。

「初めましてだ、POH(プー)」

そんな中この仮想空間で人生二度目の頃試合をしようとしている俺がいた。

「どうしたボーイ?俺の仲間になりに来たか?」

笑う棺桶(ラフィンコフィン)
アインクラッド最悪のレッドプレイヤーが集まるギルドである。
この男はそのギルドの頭。つまりリーダーなのだ。

「嘗めんな。散歩ついでに壊滅させに来たんだよ」

「who…命は大事にするもんだぜ?」

パチンと指をならすPHO。
その影から何十人ものプレイヤーが現れ、剣を構えた。
それらは皆カソールが赤色。レッドプレイヤーだ。

「俺は……ためらいなんてしないぜ…?」

俺はそう言って構えをとる。
PHOは立ち上がり、腰から包丁のような武器を取り出した。
そして―――

「イッツ ショウターイム」

『ワアァァァァァァァァァ!!!』

周りのプレイヤーは一斉に飛びかかってきた。











――二時間ほど前。

「笑う棺桶(ラフィンコフィン)?」

42層にある酒場でキリトとアスナに呼び出され、向かった先でそう言われた。

「あぁ、殺人を生業としているギルドだ」

「単刀直入に言うわ。
捕まえるのを手伝ってほしいの」

ああ…このイベントか。

「ソイツ等が何処にいるのか知ってるのか?
これから調べるんじゃ意味ないぜ?」

「48層にある迷宮区を拠点にしているらしい…。
そこにある安全地帯がポイントだそうだ」

48層ね…。
まぁ人殺しを捕まえるのを手伝うのは構わんが、おそらくこいつらはわかってないだろう。
人殺しを捕まえることは誰かを殺してしまう可能性もあるってことが。

「まぁ…止めとくよ」

「っ………そうか」

「…ごめんね?でも、気が変わったら何時でも言ってね。
作戦開始は明日の2時だから」

そう言って去っていく二人。
人殺しの概念はそんな軽い気持ちで行くものじゃない。
下手をすれば死人が、最悪で殺人を犯す可能性を見いださないといけない。

「………行くか」

俺は席を立ち、静かに歩き出した。
向かう場所は48層迷宮区。
準備なんて必要ない。拳があれば十分なのだから。










「双打掌!剛天!寸荒!」

襲い掛かるプレイヤー達を殴り、蹴り、投げる。
戦闘開始からまだ20分位しか経っていない。

「あああ!」

奴等が持つ武器は様々で!剣だったり、斧だったりと多種多様だ。

「遅いんだよ!」

振り下ろされた腕を掴み、勢いをつけて投げ飛ばす。
この地形は孤島リングの形状で、リングの下は谷底…つまり場外=死亡なのだ。

「次ぃ!」

「ひゃはぁ!」

「ふっ!はっ!はぁっ!」

倒し……いや、殺した数は既に50を越えている。
それでも奴等は撤退をするようすはなく、次々に襲いかかってくる。
原作より多いじゃねぇか!

「だぁぁあ!何人いるんだよ!」

そう叫ばずにはいられない俺だった。












血盟騎士団本部。
そこにはヒースクリフ、キリト、アスナがおり、その後ろには多くのプレイヤーが立っていた。

「……そうか。彼は断ったか」

「はい。ですが気が変わったら何時でも、と言っておきました」

「アイツはこんなことで怯えるような奴じゃない。
何か考えがあって断ったんだと俺は思う」

キリトとケンの付き合いは現実の一年とこちらでの二年。
それほどまで付き合っていれば分かることもあるのだ。

「そうか。では作戦内容を「報告します!」…なんだね?」

ヒースクリフが発言をしようとした時、扉が強く開いて男性が一人転がり込んできた。

「今から30分ほど前に48層迷宮区に一人のプレイヤーが入っていったと報告がありました!
もしかしたら襲われる危険性が…」

「総員、直ちに出発準備!
直ぐに向かう!作戦内容はレッドプレイヤーの捕縛!以上だ!」

ヒースクリフは声を張り上げ通達した。
その顔には焦りが浮かんでいた。

「団長…まさか…」

「ああ。おそらくケン君だろう…」

「ケン……待ってろよ!」

三人も続いて走り出す。
もう既に戦闘が開始されていると知らずに。











「オラァア!」

「ぐぶっ!」

開始から40分位か…?
それでも人数は結構いるが…。

「なかなか粘るなボーイ。
情報では攻略組の連中が来ると聞いていたんだが」

「聞いてないなそんなこと…誰情報だよそれ……」

そう言えばこの作戦は漏れていたって内容だったな…。
そうなれば……!

「クラディール……か」

「oh…察しが良いなボーイ。その通りだ」

やっぱりか…。

「なら、次の目標が出来たな」

「その目標は果たすことは出来ないのさ」

「っちぃ!てぇりゃ!」

会話の最中に俺の後ろに近づいていたプレイヤーを後ろ蹴りで蹴り飛ばす。

「くっそ!一息つけると思ったのによぉ!」

「はははは!残念!」

とうとうPOHまで参戦しだした。
その両隣には目が逝った男と仮面をした男が並走して襲いかかってくる。
おそらくこいつらが赤目のザザとジョニー・ブラックだろう。


「わっ!くっ!とっ!」

三人に各々に斬りかかられ、回避に専念する。
だが疲れて要る事からそう長くは避けられない。

「はははは!俺が見出だした通り、ボーイにも殺人の才能があったようだ!」

「一緒にすんな!」

言い合いながらも避けることは止めずにいた。

「お前、殺す」

「ひゃはぁはぁ!」

左右の二人も変わらずに斬りかかる。
やはり仮想世界は厄介だ。
物は壊せないしプレイヤーは身体能力にブーストが掛かっているし。
この分なら直ぐにでも達人級を取れるくらいだ。
だが――

「年季が違う!」

俺は左にいた目が逝った男とを蹴って跳躍。
そのまま足を振り上げて踵落としを食らわせた。

「まだまだぁ!」

追撃でその男の胸ぐらをつかんで振り回し、PHOへとぶち当てた。
そして一旦攻撃が止み、お互いに距離を取る。
POHの後ろにはまだ残っている20人程のプレイヤーが駆けつけ、俺を警戒する。

「ケン!大丈夫か!」

俺の背後からは攻略組の面々が駆けつけ、その中からキリトが俺の前に飛び出す。

「もうそんな時間か…早いもんだ」

時間を見ればもう2時を回っていた。
俺は肩で息を整えながら、そう呟いた。

「情報より数が少ない…潜伏してるのか?」

ヒースクリフの側近に立つ男がそう言った。
それを聞いたPOHが高笑いをして言う。

「はははは!数が少ないのはそこのボーイの手柄さ。
ここにいないプレイヤーは皆、既に死んでいる」

俺を指差してそういったPOHは、笑顔だった。

「ケン君が…」

「ケン……」

ヒースクリフとキリトが俺を見る。
その眼には信じられないと言うように悲しそうな色をしていた。

「大体67人位か?殺られた奴等が低レベルだったとは言え、ボーイは正真正銘殺人鬼だぜ!」

「殺人鬼か……そう言うお前は何人殺してきた?」

俺は一歩前に出てPOHにそう尋ねた。

「さぁ?覚えてないねぇ…」

「俺は覚えてるぜ。
94人。名前は知らないが、ソイツらの顔、性格、戦闘方法…覚えられるだけ全部な」

この中には再転生前の数も含まれている。

「もういいだろう。
投降したまえ。君たちは黒鉄宮に収容する」

ヒースクリフは話を折り、そう言った。
その言葉と共にプレイヤー達は一斉に武器を取り出し構える。

「イッツ ショウタイム!」

笑う棺桶と攻略組は戦闘を開始した。

「ケンは暫く休んでろ」

そう言ってキリトも戦いに加わる。

俺は言われた通り、離れた場所へと移動して戦いを見届けることにした。 
 

 
後書き
修正しました。
PHO → POH
ラフコフメンバーの多さの矛盾補強。
 
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