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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第二十三話 アリサとすずか

 
前書き
大輔達とアリサ達との邂逅。 

 
大輔「さて…何処に行くか。喫茶店でも行くか」
大輔はD-3で今の時間を確認すると、喫茶店に向かって歩き出そうとした時。
賢「本宮君じゃないか?どうしたんだ?」
大輔「一乗寺?」
賢に声をかけられ、大輔は後ろを振り向いた。
賢「散歩かい?」
大輔「桃子さんから休むように言われてな。暇だから喫茶店で時間を潰そうと」
賢「…だったら僕と一緒に靴を買いに行かないか?」
大輔「靴?」
賢「ほら、今まで無茶したから靴がボロボロになったんだよ。」
大輔「あ、そういやあ…俺の靴も…」
大輔が足を見ると靴はボロボロである。
賢「君の靴も一緒に買いに行かない?」
大輔「ああ、そうだな」
大輔達はショッピングモールに向けて歩き出した。






























ある日の昼下がり、アリサは自室の机の前で携帯を片手で弄っていた。
アリサ「暇だわ。すずかを呼んで買い物でも行こうかしら……」
頬杖をつきながら、アリサは小さな溜め息をついた。
アリサはすずかの携帯にメールを発信すると、すずかの返事を待つ。
そして数分後、すずかからのメールを読んで、バックに携帯や財布を入れると、アリサは自室を出た。






























アリサ「鮫島。出掛けるわよ」
鮫島「アリサお嬢様、どちらにお出かけですか?」
玄関で靴を履きながら鮫島を呼んだアリサに、鮫島が心配そうな顔で尋ねてきた。
アリサ「こんな天気のいい日に部屋に籠っていたら、気分が鬱になりそうだからちょっと出掛けてくるわ」
鮫島「そうですか……でしたら、お帰りの際には私に連絡をいれて下さい。お迎えに行きますので……」
鮫島の心配顔はさらに強くなっていた。
アリサ「……どうしてよ」
鮫島「実は旦那のお仕事で……その……バタバタしていまして……」
アリサが、父親の仕事関連の話が好きではない事を知っている鮫島は、お茶を濁しながら話した。
アリサ「そんな事関係ないじゃない!!」
アリサは怒鳴ると勢いよく、扉を閉めた。






























そして待ち合わせ場所に指定したショッピングモールですずかと合流し、小物を数点買ったアリサとすずかがショッピングモール内を歩いていると。
アリサ、すずか「「あ…」」
大輔、賢「「ん?あ…」」
バッタリとショッピングモール内を歩いていた大輔と賢と会う。
アリサ「大輔?あんたどうしてここに?」
すずか「えっと…」
アリサが大輔を見て首を傾げる。
すずかは初めて会う賢にどうすればいいのか分からないのか、大輔の方を見遣る。
大輔「アリサ、すずか。こいつは一乗寺賢って言って、俺の友達さ」
大輔が賢を指差しながら言う。
賢「初めまして、僕は一乗寺賢って言います。よろしく2人共」
賢が優しく微笑みながら自己紹介をする。
アリサ「ふ~ん、私はアリサ・バニングス。アリサでいいわ」
すずか「……」
アリサ「すずか?」
すずかは賢の顔を見つめたまま呆然としていた。
賢「…どうかした?」
すずか「っ…だ、大丈夫です。私、月村すずかです。すずかって呼んで下さい。よろしくお願いします賢さん」
賢が心配そうにすずかに尋ねたがすずかはハッとなって慌てて自己紹介する。
賢「はい。よろしく月村さん」
賢が笑みを浮かべて言うとすずかはまた顔を赤くする。
その様子に大輔とアリサは互いを見合わすと…。
大輔、アリサ「「惚れたな(わね)…」」
互いに意味深な笑みを浮かべた。
アリサは大輔の服装を見ると眉を顰めた。
アリサ「あんた…その服、結構傷んでるんじゃない?」
大輔「え?」
大輔が自身の服装を見つめる。
確かにアリサの言う通り大分くたびれている。
大輔「(…魔法やら何やらを喰らったせいだな……)」
大輔の脳裏にフェイトの魔力弾やらジュエルシードの暴走やらなのはの砲撃やらプレシアの雷やらが過ぎった。
アリサ「何なら私達がコーディネートしてあげてもいいわよ?」
大輔、賢「「え?」」
すずか「アリサちゃん?」
すずかが不思議そうにアリサを見遣る。
アリサ「だってこの2人、基本はいいんだから飾りがいがあるわよ。」
アリサは大輔と賢の腕を掴むと服屋に引きずっていく。
すずか「…とか言いつつ暇潰ししたかったんじゃあ…?」
すずかも服屋に向かっていく。






























約2時間後。
アリサ「うん。まぁ、こんなもんでしょう」
アリサの一言に、大輔と賢はベンチに座ると袋の中の品を見た。
見た目は普通だが、上質な物が使われている為、結構な値段であった。
大輔「ありがとうな、アリサ。こんなに貰っちまって」
大輔はアリサの頭を撫でた。
アリサ「な、何よ!?」
大輔「なのはの言ってた通りお前はいい子だな」
アリサ「…子供扱いしないでよ!」
アリサが大輔の手を払う。
大輔「あ、ごめんな。でもありがとう。俺達の為に」
アリサ「そ、そんな訳ないでしょ!!私は暇潰しがしたかっただけよ!!何で私があんた達の為にしないといけない訳!?バッカじゃないの!!」
大輔「そうかそうか。アリサは素直じゃないなあ」
アリサ「うっさい!!」
賢「もう仲良くなったんだ?」
アリサ「違う!!」
アリサは賢の言葉を全力で否定すると、歩き出す。
大輔「アリサ、どこに行くんだ?」
アリサ「……一応、私が連れ回す形になっちゃったから……飲み物ぐらい奢るわよ」
そしてアリサは人込みの中に消えた。
大輔「…素直じゃないけどいい子だよな。」
すずか「そうなんです。アリサちゃん、いつも私やなのはちゃんを助けてくれるんです。」
賢「へえ」
賢が感心したようにアリサの後ろ姿を見つめた。






























飲み物を買おうと歩いていたアリサは、少しだけ違和感を覚えた。
アリサ「(何かやけに混んでいる様な気がする)」
確かに休日で人が多いのは確かだったが、アリサの周りだけやけに人がいる様な気がした。
そう思った瞬間、アリサの両腕が何者かに掴まれ、口元をハンカチの様なもので塞がれた。
アリサ「ん~!!」
声をあげられないアリサが手足を必死に動かして抜け出そうとするが、掴まれた手の力は強くどうにもならなかった。
アリサ「(た、助けて…大輔…)」
アリサの脳裏を過ぎったのは優しい笑顔を浮かべた大輔の顔であった。






























大輔「っ!?」
賢「本宮君?」
すずか「大輔さん?」
大輔「…悪い。アリサを探しに行ってくる!!お前らはここにいろ!!」
大輔は荷物を賢とすずかに預けると、アリサが向かった方向に向けて走り出した。
賢、すずか「「…?」」
賢とすずかは不思議そうに大輔を見遣りながら首を傾げた。






























ショッピングモールから少し離れた所にある人通りの少ない道に、アリサを抱えた5人組がいた。
「早く乗せてしまえ!!」
リーダー格と思われる男は、周りをチラチラ見ながら手下達に命令を出した。
アリサ「(嫌…助けて…助けて…パパ……大輔!!)」
大輔「サンダーボルト!!」
上空から電撃が5人組目掛けて落ちる。
アリサ「っ!!?」
アリサは目を見開いて、黒焦げになった5人組を見つめると、上空からライドラモンの鎧を纏った大輔が着地する。
大輔「アリサ!!大丈夫か!!?」
甲冑を解いて、アリサの口を塞ぐ布を取ってやる。
アリサ「大輔…」
大輔「ごめんな。こんなことになるなら一緒に行けばよかった…!!」
「あ…ぐっ…」
アリサ「っ!!」
犯人の一人が僅かに動いたことにアリサが怯える。
大輔はアリサから離れて僅かに動いている犯人に近づくと…。
大輔「フンッ!!」
渾身の力を込めた蹴りを犯人の顎に叩き込み、吹き飛ばした。
顎が砕けてはいたが多分大丈夫だろう。
大輔「糞野郎が…」
唾を吐き、吐き捨てるように言う大輔。
アリサ「だ、大輔…」
大輔「大丈夫か?怖かったな…」
大輔は震えるアリサの身体を抱き締めると安心させるように頭を撫でた。
大輔「もう大丈夫だ…安心しろ、何があってもお前は俺が守ってやるから」
大輔の力強い笑みにアリサの心臓が跳ねた。
そして安堵と同時に涙が溢れた。






























「心からお礼を言わせていただくよ。本当にありがとう、本宮大輔君」
大輔「あ、いや。俺は当然の事をしたまでですよ。頭を上げて下さい」
大輔が慌ててアリサの父親に言う。
犯人達を叩きのめした大輔は賢とすずかに事情を説明し、アリサを家まで送った。
するとアリサが誘拐されかけたということが彼女の父親に知られ、大輔は彼に頭を下げられている。
「いや、君がいなければアリサはどうなっていたか…君にはいくら感謝しても感謝仕切れん…」
大輔「いえ、でもアリサが無事でよかったですよ。なのは達の泣き顔を見なくて済んだし。」
大輔は椅子から立ち上がると玄関に向けて歩きだそうとした時。
「待ちなさい」
大輔「?」
「子供が出歩くにはもう遅い時間だ…。今回のお礼も兼ねて…泊まっていきなさい。」
大輔「……」
大輔がアリサの父親の顔を見る。
あれは梃でも譲らない顔だ。
大輔「分かりました。じゃあ電話させて下さい」
「すまないね大輔君」
鮫島「電話はこちらです大輔様」
大輔「様って…」
大輔は苦笑しながらプレシアに連絡を入れると、アリサの父親に促され、夕食をご馳走になった。






























大輔は宛がわれたベッドに横になっていたが…。
大輔「…眠れねえ……」
ベッドがフカフカ過ぎて眠れないのだ。
大輔「仕方ねえ…いっそ床で…」
床で寝ようと起き上がろうとした時、扉が開いた。
大輔「アリサ…?」
パジャマ姿のアリサが部屋に入って来た。
一瞬不思議に思ったが、直ぐに理由に気づいた。
大輔「眠れないのか?」
アリサ「ち、違…っ」
大輔「…身体が震えてる」
よく見なければ気づけない程にアリサは小刻みに震えていた。
大輔「大丈夫…もう大丈夫だ。あいつらは逮捕されたし、またあいつらの仲間が来ても俺がお前を守るから…な…?」
アリサの頭と背を優しく撫でながら安心させるように言う。
アリサ「大輔…大輔え…っ!!」
緊張が解けたのか、アリサは大輔の胸に顔を埋めながら泣きじゃくる。
大輔「アリサ…」
アリサ「大輔…今日、一緒に寝て…」
大輔「………………え?」






























一方その頃。
フェイト、アリシア「「…………っ!!?」」
アルフ「フェイト?アリシア?どうしたんだい?」
ブイモン[ど、どうしたんだよ?そんな切羽詰まったような顔をして?]
アリシア「あ、うん…何て言うのかな…?」
フェイト「な、何か強力なライバルが出来たような……」
アルフ「ライバルって何がだい?」
フェイト、アリシア「「分からない…」」
ブイモン[何だよそれ?]
呆れたように姉妹を見遣るブイモンであった。






























大輔「い、一緒にって…俺と?」
赤面しながらアリサに問い掛ける大輔だが、アリサは肯定の意味で頷いた。
アリサ「あんたと一緒に寝たいの…」
大輔「いや、だって俺…男だし……」
アリサ「駄目…?」
大輔「いや…駄目って訳じゃあ…」
アリサ「お願い…怖いの…一人でいると…思い出しちゃうから…」
大輔「あ…ごめん…。気がきかなくて…一緒に寝よう」
アリサが大輔のベッドに潜り込む。
大輔「(ごめんフェイト。これは浮気じゃない。断じて浮気じゃない!!これ断ったら完全に俺が悪い奴じゃないか!!)」
アリサが大輔にしがみつく。
女の子特有の甘い匂いがした。
大輔から見てもアリサはフェイトやアリシアと見劣りしないくらい可愛い女の子である。
そんな女の子に縋られて男である大輔が平然としていられるかと言われたら断じて否である。
大輔「(大丈夫だ。これは浮気じゃない!!落ち着け!!COOLだ!!もっとCOOLになれ俺!!頭を冷やせ!!)」
ガリガリと精神が削られていく中、しばらくすると寝息が聞こえた。































翌日の朝。
大輔は目を覚ますと、アリサの姿は無かった。
大輔はベッドから起き上がると部屋から出る。
鮫島「おはようございます大輔様」
大輔「え?あ…アリサは?」
鮫島「アリサお嬢様はご自分のお部屋にいらっしゃいます。」
大輔「そうですか。鮫島さん。俺はもう帰ります。アリサに泊めてくれてありがとうと言っておいて下さい。」
鮫島「畏まりました」
大輔は玄関に向かうと靴を履いて、庭に出る。






























庭に出るとアリサの部屋の窓が開いた。
アリサ「大輔!!」
大輔「アリサ?」
アリサ「8月1日…私も一緒に行くわ!!だから…詳しい場所を教えなさい!!」
大輔「ああ!!」
大輔は急いでアリサの元に駆け出した。
アリサの父親と鮫島が微笑ましそうに見つめていた。 
 

 
後書き
この小説の大輔は徐々に太一達から離れて行きますが、8月1日は大輔にとって大切な日です。 
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