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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第二十二話 奇跡と闇の双剣士の邂逅

 
前書き
大輔がはやて達の顔を見に行きます。
 

 
大輔は状況が落ち着いたために海鳴市に来ていた。
そして八神家の前に来る。
インターホンを押すと、はやての声が聞こえる。
大輔「はやて、遊びに来たぜ」
はやて「大輔さん!!フェイトちゃんと一緒に遠いとこに行ったって聞いてたんやけど、また会えてよかったで~」
大輔「ああ、これフェイトから。後で食べてくれ。フェイトがお前のために一生懸命作ったアップルパイ」
はやて「ほんまか~!!?」
箱を開けると少し形が崩れてはいるがとても美味しそうなアップルパイが入っていた。
はやて「美味しそうや!!ありがと!!フェイトちゃんにもよろしくな!!」
大輔「ああ、よう一乗寺」
賢「本宮君」
大輔が賢に挨拶すると賢も笑みを返す。
遼「よう、大輔、ブイモン。元気だったか?」
遼も大輔に挨拶するとブイモンが答えた。
ブイモン[ああ、ようやくあっちでの暮らしに慣れてきたよ]
はやて「そうそう大輔さん。うちに新しい家族が出来たんよ~」
大輔「家族?」
はやて「デジモンなんやけど…ダスクモン!!どこやダスクモ~ン!!?」
ダスクモン[…叫ばなくとも、俺はここにいる]
闇に紛れていたダスクモンがいきなり現れ、大輔は思わず後ずさる。
ブイモン[はやて、こいつは?]
見上げるブイモンとダスクモンの目が合う。
ダスクモン[(この目…)貴様…]
ブイモン[?]
はやて「ダスクモン?」
ダスクモン[いや、はやて。湯が沸騰していた]
はやて「なんやて!!?何で止めずに来たんや!!」
ダスクモン[知らん]
凄まじいスピードでキッチンに向かうはやてに大輔達は苦笑するが、ダスクモンはブルートエボルツィオンをブイモンに向ける。
ブイモン[な、何だよ?]
ダスクモン[ブイモンと言ったな?俺と勝負しろ]
大輔「え?」
遼「おいおい、いきなり何言ってんだよ?」
ブイモン[お前…]
ダスクモン[覚えていないか?お前は俺の…正確には俺になる前の俺に触れたはずだ]
ダスクモンから放出される闇。
それに触れたブイモンが顔を強張らせた。
ブイモン[この感じ…っ!!キメラモン…!!?]
賢「!!?」
大輔「キメラモン…!!?」
ダスクモン[そうだ。俺の身体を構成するフォービドゥンデータの大半は貴様が倒した怪物…キメラモンのデータだ。]
ブイモン[生まれ変わっていたのか…?]
ダスクモン[…そうらしいな。俺はただキメラモンのデータの残骸を主にして生まれただけだから詳しいことは知らんが。]
ブルートエボルツィオンが妖しい光を放つ。
ブイモン[俺への復讐か?]
ダスクモン[さあな、俺はただ自分がキメラモンのデータを主にして生まれたこと。そしてある物に共鳴してこの世界に来たこと、お前と再び戦いたいことだけだ]
ブイモンはダスクモンを見る。
自分と戦いたいという気持ちは嘘ではないようだ。
キメラモンの波動とは似ているようで違う。
この目の前のデジモンは純粋な気持ちで動いている。
ブイモン[分かった。ただし、人のいない所でだ。]
ダスクモン[いいだろう]
ブイモン[大輔、一緒に戦ってくれ。]
大輔「…ああ、それにしてもキメラモンか…これも因縁かな……」
大輔達が八神家を後にして、誰もいない草原に向かう。






























ブイモン[大輔]
大輔「ああ、デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
最初に進化するのはフレイドラモン。
フレイドラモンはダスクモンを見据える。
かつてキメラモンと対峙した時よりも自身はパワーアップしているという自負はある。
しかし、ダスクモンからはジュエルシードによる強化を上回る力を感じた。
ダスクモン[行くぞ]
フレイドラモン[っ!!]
瞬間移動の技、ゴーストムーブ。
フレイドラモンに肉薄すると同時にブルートエボルツィオンを振るう。
フレイドラモン[ぐっ!!]
両腕のガントレットで防ぐが、たったの一撃でガントレットに罅が入る。
ジュエルシードによる強化で以前より格段に強度が上がり、完全体の攻撃にすらある程度耐えられるのにも関わらずだ。
ダスクモンのもう一振りで完全にガントレットが砕けた。
フレイドラモン[なっ!!?]
大輔「フレイドラモンのガントレットをあっさり砕きやがった…!!アーマーチェンジ!!ライドラモン!!」
フレイドラモンからライドラモンにチェンジし、一気に距離を取る。
ダスクモンが再びゴーストムーブを使う。
ライドラモン[(速すぎる!!)]
以前のキメラモンは破壊衝動のまま動く兵器そのものであったが、ダスクモンは違う。
本能のままに動くキメラモンとは違い、理性と冷静さを持って挑んで来る。
ライドラモン[サンダーボルト!!]
広範囲に電撃を放つ。
そして放った電撃がバチッという音を立てた。
ライドラモン[そこだ!!ライトニングブレード!!]
角から伸びる電撃の刃をダスクモンに叩き込む。
しかし、直撃はしたもののダスクモンには大したダメージは与えられない。
ダスクモン[…大したものだ]
ゴーストムーブによる撹乱は通用しないと分かったダスクモンは両腕のブルートエボルツィオンを構えて突進する。
大輔「アーマーチェンジ!!フレイドラモン!!」
フレイドラモンに再び進化させ、ブルートエボルツィオンを受け止めるのではなく掴む。
フレイドラモン[ぐ…うぅ…!!]
ダスクモン[やるな…流石は俺を倒しただけのことはある…]
フレイドラモンが必死にブルートエボルツィオンを押さえているにも関わらずダスクモンは涼しい顔だ。
ダスクモン[はああっ!!]
フレイドラモン[ぐあっ!!]
両腕に力を入れ、フレイドラモンを弾き飛ばす。
ダスクモン[エアーオーベルングストーム!!]
両腕のブルートエボルツィオンを振るい、漆黒の巨大な竜巻を生み出す。
フレイドラモン[フレイムシールド!!]
あまりの竜巻の規模にフレイドラモンは全身に炎の膜を纏い、防御体勢に入る。
フレイドラモンが竜巻に巻き込まれる。
フレイドラモン[ぐあああああっ!!]
炎の膜は竜巻に引き裂かれ、フレイドラモンを切り刻む。
ダスクモンがフレイドラモンに追撃を仕掛ける。
大輔「アーマーチェンジ!!ライドラモン!!」
ライドラモンに進化させ、一気に距離を離そうとする。
ダスクモン[逃がさん!!]
ゴーストムーブで一気に距離を詰めるダスクモン。
両腕のブルートエボルツィオンを振るう。
ダスクモン[ブルートストライク!!]
ブルートエボルツィオンによる剣舞がライドラモンの鎧を粉砕する。
鎧を失ったライドラモンは進化を維持出来ずにブイモンに退化する。
大輔「…こうなったら…デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!運命の咆哮!ゴールドブイドラモン!!]
黄金の光を身に纏う幻竜が降臨した。
ダスクモンはマグナモンを彷彿とさせる黄金の輝きを纏うゴールドブイドラモンに、心が躍るような気がした。
ダスクモン[ようやく本気で来るか…面白い]
ゴールドブイドラモン[…………]
ゴーストムーブで一気に距離を詰めるダスクモン。
ゴールドブイドラモンは何とかそれを見切り、ブルートエボルツィオンによる斬撃をかわし、拳を横っ面に叩き込む。
ダスクモン[っ…]
想像以上の威力に顔を顰めるダスクモン。
しかしダスクモンもそう簡単にはやられない。
ゴーストムーブでゴールドブイドラモンの背後を取り、背中に斬撃を見舞い、深い切り傷をつける。
ダスクモンがブルートエボルツィオンで力を吸収する前にゴールドブイドラモンは痛みに構わず鳩尾に蹴りを入れた。
ダスクモン[ぐっ!!エアーオーベルングストーム!!]
再び竜巻を繰り出し、ゴールドブイドラモンを吹き飛ばす。
エアーオーベルングストームで吹き飛ばしたゴールドブイドラモンの力を自身の力に変換すると、力が増したダスクモンはゴーストムーブで肉薄する。
ゴールドブイドラモン[カッターシュート!!]
牽制のために風の刃をダスクモンに放つ。
ダスクモンはブルートエボルツィオンで防ぎながら突撃する。
ダスクモン[ブルートストライク!!]
両腕のブルートエボルツィオンをゴールドブイドラモンに振るうが、何とかかわして距離を取る。
ゴールドブイドラモン[ブイブレスアロー!!]
黄金の熱線が放たれ、ダスクモンに向かう。
向かってくるブイブレスアローにダスクモンはブルートエボルツィオンを構え、叩き斬ろうとしていた。
大輔「今だ!!」
ブイブレスアローが突如軌道を変え、ダスクモンの足元付近で炸裂した。
ダスクモン[むっ!!?]
爆風によってバランスを崩したダスクモンの腹部に痛みが走った。
ゴールドブイドラモン[でやあああああ!!]
絶叫しながら拳を何度もダスクモンに叩き込むゴールドブイドラモン。
しかしダスクモンもそのままやられるわけもなく、ゴーストムーブで瞬時に距離を取り、最大パワーの竜巻を繰り出した。
竜巻に巻き込まれ、切り刻まれるが構わずダスクモンに突撃した。
ダスクモン[ブルートストライク!!]
しかしゴールドブイドラモンは避けるのではなく、ブルートエボルツィオンを掴んだ。
ゴールドブイドラモン[捕まえた…得意の瞬間移動もこれなら使えないだろ…!!]
ダスクモン[っ、しまった…]
得意の瞬間移動“ゴーストムーブ”は、障害物を擦り抜けることが出来ない。
障害物に囲まれた時と、このように身体の一部を掴まれた時には弱くなってしまう。
故に、この状況から抜け出すには力業を通す以外ない。
ないのだが…。
ゴールドブイドラモンも力を込めているらしく抜け出そうにも抜け出せない。
ゴールドブイドラモン[終わりだ…ブイブレスアロー……MAX!!!!]
極太の熱線がダスクモンに炸裂した。
遼「やったのか!!?」
賢「いえ…ダスクモンの力は衰えていません」
熱線が消えた時、ゴールドブイドラモンはブイモンに退化した。
熱線を受けたダスクモンは鎧が少し煤けている程度。
大輔は目を見開いていたが、ダスクモンも少しばかり安堵していた。
ブルートエボルツィオンで力を吸収して強くなり、そしてゴールドブイドラモンを弱らせていたからこの程度で済んだが、もしゴールドブイドラモンが無傷の状態で放たれていたらどうなっていたか分からない。
ダスクモン[(今俺がこうして生きているのは運がよかったにすぎん…)]
賢「……」
ダスクモン[お前達の勝ちだ…]
大輔「何?」
あの時一瞬、自分は死を覚悟した。
戦いでは勝利したが、心では負けていた。
ダスクモン[今俺が生きているのは運が良かったにすぎん。それに…あの時の俺は一瞬死を覚悟した。]
ブイモン[…ダスクモン]
ダスクモン[流石は一度は俺を倒した者だ。]
ダスクモンは美しい金髪を靡かせながら背を向いた。
大輔「おい」
ダスクモン[?]
大輔「俺達はキメラモンを倒したことに後悔はしていない。あれは倒さなきゃならない敵だったから」
ダスクモン[別に俺も気にしてはいない。俺達は敵同士だったのだからな]
大輔「でも、今なら仲間になれるだろ?」
ダスクモン[仲間?]
大輔「今回の戦いで少しくらいは俺達のことを認めてくれたんじゃないか?」
ダスクモン[……………]
少しの間、黙考する。
そしてダスクモンは口を開いた。
ダスクモン[少し…な]
それだけ言うとダスクモンは闇に紛れた。
恐らくははやての家に。
大輔「…ブイモン、お疲れ」
ブイモン[ごめん大輔…]
大輔「気にすんなって、キメラモンに手も足もでなかった時に比べれば格段の進歩だろ」
ブイモン[俺、もっと強くなるから]
大輔「ああ」






























そして帰路につく大輔達。
賢「まさか、ダスクモンがキメラモンだったなんて…」
大輔「まあ、確かにまさかキメラモンの生まれ変わりとこの世界で戦うことになるとは思わなかった」
賢「ダスクモンは僕が憎くなかったのかな…」
勝手に作り出し、そして生まれて間もなかったのに刈られてしまった命。
キメラモンを作り出した賢はそのことを気にしていた。
大輔「あいつはそんなこと気にしてないみたいなこと言ってたじゃないか」
賢「けど…」
大輔「キメラモンの時は無理だったけど、今のあいつなら分かり合えると思うんだ」
賢「本宮君…」
大輔「俺、あいつとも向き合ってみる。今度は敵としてじゃなくて仲間としてな」
こうして奇跡と合成獣の意志を継ぐ闇の双剣士との邂逅と戦いは果たされた。
 
 

 
後書き
大輔がキメラモンの生まれ変わりのダスクモンと戦う。
ゴールドブイドラモンがダスクモンとまともにやり合えたのは、ゴールドブイドラモンが光属性だからグレイドモンよりはまともに戦えた 
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