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大輪〜奇跡を呼ぶ”幻想の一輪”〜

作者:鳴神
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醜いもの

その後はあまり覚えていなかった
気がついたら何処かの避難所にいた
……俺はいつここに来た?
俺は首元を探る
そこには、母さんがくれたあのネックレスがあった
……綺麗な花と一緒に
いや、この花は作り物だと分かっている
だからこそ美しい
だってこれは、母さんが作ったやつだから
何故分かるのか、それはずっと見てきたから
でも誕生日プレゼントだとは思わなかったなぁ…
……………

『さよなら』

「か、あ…さん…」
涙が出てきた
そうだ。母さんは死んだんだ
俺の目の前で、『生きて』と言って
「…最悪の、誕生日プレゼントだよ…」
昨日の出来事は、一生胸に刻まれる
忘れられない。絶望の傷が
「…………殺してやる」
絶対殺してやる
一匹残らず
全部………



その時
「あ、あの……」
…誰だ
俺は顔を上げた
そこには、金髪の少年と茶髪の少年と黒髪の少女がいた
見れば三人はパンを持っている
「……何だ」
「‼︎い、いや……あの」
すると茶髪の少年がパンを千切って
「ほら」
差し出してきた
…………え?
「ほら、食べろよ」
「……は?」
「パン、貰ってないだろ?だからほら」
グイグイと押し付ける茶髪の少年
「…いらねぇ」
「‼︎だ、だめだよ‼︎ちゃんと食べないと…」
「いらねぇ」
「………何で?」
茶髪の少年が聞いてきた
「ただ単に食欲がないだけだ」
「それでもちゃんと食べないと」
「煩い……放っておいてくれ」
そう言って俺はあの三人から去った
……今日は誰とも喋りたくない



「………ん」
……寒い
どうやら俺は寝ていたようだ
見れば人が全然いない
恐らく家に入ったのだろう
………別にいいか
このまま寝よう
「むぅ……寝…る」
そして俺の意識は暗転した




「……あ、あいつ」
「エレン、どうしたの?」
エレンが誰かを見つけた
ミサカとアルミン、そしてハンネスはその視線を辿る
そこには
「……あ、あの子、昼間の」
「たくっ、家の中に入らないで…凍え死ぬ気か?」
ハンネスは少年の元へ行き、抱き抱えた
「お前らの処でいいな?」
「うん」
「ミサカはもう戻れ」
「…………分かった」
ミサカは自分の場所に戻った
エレンとアルミン、そしてハンネスと少年は家の中に入った





…………暖かい
「…ん……?」
何かチカチカする
……あれ?
「ここ……中?」
俺、外で寝てた筈じゃあ…
「あ、起きたか」
隣を見ると、あの時の茶髪の少年と金髪の少年がいた
「…………………」
「お前外で寝とったんだぞ。あ、俺はエレン・イェーガーだ」
「僕はアルミン・アルレルト。よろしく」
……今の二人の言い分からして、どうやら俺が外で寝ていた所を運んでくれたらしい
ありがたいが
「寝かせてくれて感謝する。それじゃあな」
「‼︎ちょ、ちょっと待てよ‼︎」
……何なんだよ、これ以上関わらないでくれ
「……何だ」
「なぁ、せめて名前だけは教えてくれないか?」
「……俺の名前なんて知ってどうする」
「お願い‼︎」
何故か拝まれた
……このまま言い争ってもひかないみたいなので教えてやる事にした
「ミウラだ。ミウラ・カルネロス。これでいいだろ、もうこれ以上俺に関わるな」
そして俺は今度こそ出て行った






あの三人の事は忘れよう、と誓った
俺は母さんの仇を取るため、そして美しい……生きている大地や植物達を守る為に
それだけを考える
それに友達など必要不可欠
友達など決心を揺さぶられてしまういらない存在だ
そう、友達なんて


いらない



数日後
巨人も汚物だが人間も汚物のようだ
どうせ奪還の作戦じゃなくて、口減しの為の作戦だろうに
参加している人も少なからず分かっているだろう
……本当に
人間は醜い生き物だ







そして月日は流れ
二年後


「貴様の名は何だ‼︎」




俺はついに訓練兵になった 
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