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遊戯王GX 〜プロデュエリストの歩き方〜

作者:ざびー
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サイバー反乱

 
前書き
アルビスさん考案キャラ、抗神 マキナ君スピンオフ!
ちょくちょく出番を作って、いつかはメインキャラに……

そして、クロスオーバー・ソウルズで登場したあのカードが! 

 
現在、海馬コーポレーションの社長室の扉の前へと立っている。

なぜ、こんなところに来ているかと言うと『仕事だ。さっさと俺の下まで来い』と簡潔に纏められたメールが送られて来たからだ。メールの主は誰とも言うまい。

一度、大きく深呼吸をし、二度扉をノックする。すると、「入れ」と中から声が聞こえてきたので、中へと入ると、

「遅い!ようやく来たか、マキナ」

早速これである。理不尽にもほどがある!まだ呼び出しをくらってから、10分ほどしか経っていないだろ!

まぁ、最も口ごたえすれば、減俸処分やダイレクトアタック(物理)を喰らう羽目になるので、スルーさせてもらう。

「で、今回はどんな要件なんだ?」

「ほう、お前にしてはずいぶん素直じゃないか。どういう風のふきまわしだ?」

怪訝そうな顔つきでこちらを伺ってくる海馬社長。一体俺はこの人からどんな評価を受けているのだか……

「ずいぶんも何も、結局断れないならさっさと依頼は片付けたいと思ったからだよ。」

「そうか……なら、話は早い。磯野、資料を渡してやれ。」

言われるが早いか、側に控えていた黒服の男(磯野)がアタッシュケースを開き、ひとまとめにされた資料を取り出す。それに目をさっさと通すと中々愉しそうな事が書かれていた。

「…………アンチリスペクト。反サイバー流って言ったところか。」

ポツリと呟いた言葉を海馬社長はしっかりと聞き取っていたらしく、首を縦に振り、肯定すると補足となる説明をしてくれる。

「反サイバー流、名称から分かると思うがそのまま、サイバー流のデュエル精神であるリスペクトを快く思わない連中が創設させた団体だ。元々はサイバー流がもて囃された事によって、バーンやパーミッションと言ったデッキを使っていた輩が仲間を集うため、またはサイバー流を破門にされた輩が集まって作られた組織だ。まぁ、こういったような組織や団体は以前から幾つもあったんだが、最近になって状況が変わってきた。」

一拍を置くとまた話し始める。

「これらの組織が一つに集まり、何やら不穏な行動をし始めたらしい。と言っても、穏健派と過激派の二つの派閥のうち、過激派の方がだがな。」

ここで一拍、

「そして、その過激派なのだが……。現在、過激派の奴らはサイバー流の門下生に急にデュエルを仕掛け、そのうち何人かが怪我を負っているとのことだ。」

……なんかこの時点で俺の仕事内容が見えてきたんだが。

「こんな暴漢紛いのことをしている輩だ。そのうち、所構わず襲うのはもはや必然だ。そこでだマキナーー」

「俺がサイバー流の門下生のフリをして、過激派の奴らを取っ捕まえればいいんだろ?」

台詞を取ってやったぜとドヤ顔をかました瞬間、海馬社長が手首のスナップだけで何かを投げ、頬を何か鋭利な物体が掠る感覚があった。後ろを振り向くと壁には、一枚のカードが刺さっており、海馬は当たらなかった事が不満なのか小さく舌打ちをする。

カードを手裏剣代わりにする事といい、台詞を取られた事でキレることといい、どうなってんだこの社長は……。

「ふん、まぁ要するにきさまの言う通りだ。過激派のメンバーを拘束した後、そいつらのアジトを聞き出せ。無理なら、気絶でもなんでもさせて連れて来い。」

……連れて帰ったら、そいつ絶対に尋問ルートだよな。まぁ、俺には関係ないからいいが。

海馬社長の依頼を断る理由もない……というより断れないので一つ返事で引き受け、社長室を後にする。
ちなみにだが、渡されたのは資料の他にスタンガンや警棒などが入っていたのだが、俺にどうしろと?














あの後、サイバー流の総本山が存在する場所のあたりをふらふらとしていると突然物陰から全身黒尽くめの男が現れ、

「貴様、サイバー流の門下生か……。」

と、一言。

「そうだ、と言ったら?」

「……それなら、こうするまでだ!」

不敵に笑い返答してやるとなにやら金属製の輪にコードがついた物を取り出し、投擲。見事俺の左腕とデュエルディスクとを繋ぐ接合部へと嵌る。どうやら、他端は男の腕へと装着されているようだ。
なかなかのコントロールだなと内心関心していると男が金属輪(コード付き)の説明をしてくれる。

「こいつはデュエルアンカーを改良したものでな。デュエルをし、どちらかが勝利するまで外れる事はない。
……そして、幾つかおまけがついていてな。そして、その一つがその金属の輪には高圧電流が流れるようになっていてな、敗者のデッキをデュエルディスク共々使用できなくするのさ。」

「なるほどな。要するに外したればデュエルして勝てばいいんだろ?そんなの簡単な事じゃねぇか。こっちもさっさと終わらせたいんだ。さぁ、始めようぜ、アンチリスペクトさん?」

「くっ、舐めやがって、サイバー流が!デュエル!」

マキナ:LP4000 vs 男:LP4000

「威勢がいいな。俺の先行、ドロー!」

俺が先行をとった事で少なからず相手は驚いた表情を見せる。まぁ、後攻サイエンパワボンリミ解ワンキルを信念にしているサイバー流が先行を取ったらおかしいか。

「俺は手札からサイバー・ドラゴン・コアを召喚する。そして、効果発動!」

「おっと、それは待ってもらおうか。手札からエフェクト・ヴェーラーを捨ててコアのサーチ効果は無効にさせてもらおう。」

白い翼を持った少年が放った光を受け、コアの動きが停止する。

「なるほどな。伊達にサイバー流の奴らを狩ってるわけじゃねぇのな。俺はカードを四枚伏せてターンエンドだ。さぁ、来いよ」


マキナ
手札一枚
LP4000
魔法・罠伏せ四枚

サイバー・ドラゴン・コア
☆2 DEF1500


「俺のターン、ドロー!ふっ、このデュエル、運は俺に味方しているようだな。手札から魔法カード発動!ハーピィの羽根箒!!」

扇子サイズの翠色をした羽根箒を一振り。突如吹き荒れた突風が俺の場に伏せられていたカードを吹き飛ばし、散り散りにしていく。

まぁ……ついてるっていうのはどっちかな?

「俺は破壊されたアーティファクト–アイギスとアーティファクト–カドケウス、そして、アーティファクトの解放の効果を発動させてもらう!
まずはアーティファクトの解放の効果を発動。こいつは相手によって破壊された時、手札の光属性レベル5モンスターを見せる事により、一枚ドローできる。俺はサイバー・ドラゴンをオープンし、ドロー。
そして、破壊されたアーティファクト–カドケウスを墓地から特殊召喚!ちなみにアーティファクトは手札から魔法や罠カードみたくセットでき、相手ターン中に破壊された時、墓地から特殊召喚できるっていう少し変わったモンスター群だ。」

「っ!?モンスターをセットだと!しかも、特殊召喚!?貴様、本当にサイバー流か!」

「さぁ?俺からは一言もサイバー流です、と公言した覚えはないがな。まぁ、サイバーなら使うがな。」

ちっ、と舌打ちをする。もっとも始まってしまったデュエルを途中でやめることはできない。しかも、デュエルアンカーなどという代物までついてるため強制終了などもってのほかだ。

「俺もあんたに用事があるんだ、最後まで付き合ってもらうぞ。
俺は墓地に破壊されたカドケウスとアイギスを特殊召喚!さらに特殊召喚されたアイギスとカドケウスの効果が発動される。カドケウスはこいつが場に存在するとき、相手ターン中にアーティファクトが特殊召喚された時一枚ドローできる。そして、アイギスは相手ターン中に特殊召喚された時、ターンの終わりまでアーティファクトは相手のカード効果の対象にならず、効果でも破壊されない!」

なにやら装飾のされた杖を持ったオレンジの光を放つ思念体と大盾を構えた黄色い光を放つ思念体がコアの横へと並び立つ。

アーティファクト・アイギス
☆5 DEF2500
アーティファクト・カドケウス
☆5 DEF2400

一気に上級モンスターが並んだ事によって男の顔が強張る。

「なるほどな、このプレイング……海馬コーポレーションが我らを取り締まる為に動き出した、と噂に聞いていたがまさか本当だとわな。そして、大方お前が海馬 瀬人が我らに差し向けた狗と言ったところか。」

「ははっ、まぁ、……そうとも言えるな。」

まったく狗とは酷い比喩をしてくれるものだと内心落ち込んでいる間に男はプレイを進める。

「俺は手札から黒魔導師 クランを召喚する。」

「……く、クラン!?」

思わず吹き出しそうになるのを必死になって我慢する。
考えてみてくれ、全身黒づくめのゴツい男が魔女っ子ロリでも召喚してみろ。違和感が半端ない。

「くっ……貴様もクランたんを笑うのか!これだから、サイバー流の奴らは!サイバーの連中はどいつもこいつも脳筋ばかり!低攻撃力モンスターを出せば、嘲笑い、バーンダメージを喰らわせてさやれば卑怯だと罵り、ロックしてやれば、真剣に闘え臆病者と蔑む……。お前らはクランたんやピケルたんの良さが分からんのかぁ!!」

血の涙を流しながら、激昂する男。はっきり言ってシュールだ。

「お前の趣味思考など知るか!?そもそもそのなりでクランやピケルを使う事に違和感があり過ぎると言っただけで馬鹿にしたわけじゃないぞ!?」

「はっ!?お前、まさかいい奴か!ならば、サイバーなど裏切って我らピケクラ愛好会に参加しないか!」

パアァと表情を輝かせる男

「待て待て話が色々と逸れてる。ついでに俺はサイバー流ではないし、ロリコンでもない!」

「っ!貴様、クランたんをただのロリとして片付けるのか!許さん、最早万死に値する!」

だめだこいつ……。話してると逆に疲れるぞ、おい!

「俺はカードをニ枚伏せ、ターンエンドする。さぁ、貴様のターンだ!クランたんを馬鹿にした罪、その身で味わって貰おうか!」



手札一枚
LP4000
魔法・罠伏せ二枚

黒魔道師 クラン
☆2 DEF0


「もうなんだよこいつ……。俺のターン、ドロー。」

ため息を吐きつつ、手札を確認する。今引いたカードを含め手札は四枚と中々いい感じだ。だが、あの男の伏せカードが気になるところだ。恐らくはグラビティ・バウンドなどのロックカードもしくはクランを守る為の防御カード……和睦や攻撃の無力化あたりだろう。聖バリや緊急脱出などの除去・バウンスは相手モンスターの数に比例してダメージを与えるクランの効果の邪魔になるためおそらくない。
しかも、伏せカードが二枚だ。さすがにクランを残すのは是が非でも避けたい。しかし、俺の手札には大嵐や羽箒などの一斉除去カードはない。さて、どうしたものかね?

「俺はサイバー・ドラゴン・ドライを召喚し、効果発動!場に存在するサイバー・ドラゴンのレベルを全て5にする。ついでにコアとドライは墓地と場に存在している時、サイバー・ドラゴンとして扱う。よって二体のレベルは5へと変更される。ただしこの効果を使用したターン、俺は機械族モンスターしか特殊召喚が行えない。」

「どうせ、伏せカードなぞ省みず、お得意のサイバー・ドラゴン・ノヴァを出すつもりなのだろう。さぁ、さっさとエンド宣言をしろ!そして、我がクランたんが制裁を喰らうがいい!」

「…………」

フハハと勝手に笑い出す始末。もうどんなリアクションをすればいいのすらわからなくなってきた。
そして、なんでサイバー流の奴らはこんなのに負けてるのだろうか?
まぁ、どうせサイバー・エンドでも出して俺強エ!とか言ってるところをマジ・シリなり聖バリで吹っ飛ばされてるのだろう……多分。そうでなきゃ、こんな小悪党感が半端ない奴に負けるわけない。

「俺はレベル5になったコアとドライでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れよ、ランク5 発条装攻ゼンマイオー!」

紅い渦の中から召喚されたのは巨大なゼンマイをつけたロボ。

「ゼンマイオーの効果発動!オーバーレイ・ユニット一つを使い、セットカード二枚を選択。その後、破壊する。俺はオーバーレイ・ユニットとなっているコアを墓地へと送り、お前の伏せカード二枚を選択し、破壊する!」

「ぬぅん、させるか!速攻魔法発動!ドロー・マッスル!守備力1000以下の守備表示モンスターを選択し一枚ドロー。そして、このターン、選択されたモンスターは戦闘では破壊されなくなる。俺は守備力0のか弱いクランたんを選択し、鉄壁の加護を与える。さらにチェーンして通常罠発動!威嚇する咆哮だ!これで貴様はこのターン、クランたんに攻撃することは不可能となった!」

「ちっ、こいつ……ふざけてる癖に中々やるな。俺はカードを二枚伏せてターンエンドだ。」

マキナ
手札一枚
魔法・罠伏せ二枚

アーティファクト–アイギス
☆5 DEF2500
アーティファクト–カドケウス
☆5 DEF2500
発条装攻 ゼンマイオー
★5 ATK2600


「私のターンドロー!そして、このスタンバイフェイズ時にクランたんの効果発動!相手の場のモンスター一体につき300ポイント……合計900ポイントのダメージを受けてもらおうか!喰らえ、クラン・ザ・ライトニング!」

『ヤー!』

兎の被り物をした少女が可愛いらしい掛け声と共に杖を振り下ろすと頭上から雷が落ち、マキナを撃つ。そして、着弾と共に悲痛の悲鳴をあげる。


「グァァァァァ!?……げほっ、ゲホッ……なんだ、コレ……。」

マキナ:LP4000→3100

全身に高圧電流を流されたような衝撃を受け、フラフラと足元がふらつくマキナ。

「くはは!どうだ、クランたんの必殺技、クラン・ザ・ライトニングの威力は!
このデュエルアンカーのオマケ機能の一つにな、ダメージを受ける際にそれを大幅に増幅される衝撃増幅機能も入っているのだ!実にその威力は通常の十倍だ!」

「っ……イテぇな……てか、それは今言うことじゃねぇだろ。」

高笑いする男と対象的にダメージを受けた本人であるマキナは特にダメージが大きい左腕を庇いながら立っている。

「貴様はクランたんを馬鹿にした分、じっくりたっぷりといたぶってやろう。強欲な壺を発動し、二枚ドロー!さらに、ビックバン・ガールを召喚、さらに通常魔法 盗人ゴブリンを発動!効果により、貴様に500ポイントのダメージを与え、さらに俺はライフを500ポイント回復する。さらに俺のライフが回復したことにより、ビックバン・ガールの効果発動!貴様に500ポイントのダメージだ!」

頭陀袋を持ったゴブリンがマキナを殴りつけ、さらに空から火の玉が降って来てはマキナを襲う。

「グワァアァァァ!……ちっ、この……はぁはぁ……痛えな……」

合計三度のダメージを受けただけですでに満身創痍な状態になってしまう。なるほどな……こいつら、この衝撃増幅装置使ってロックバーンで何もさせずに徐々にダメージを与えて甚振ってたわけか……。

「ククク、辛そうじゃないか。サレンダーを認めてやりたいところだが、デュエルアンカーは着いてる限り、しっかりと勝敗をつけねばならんのでな。悪く思うなよ。
カードを一枚伏せてエンドだ。」

「お前のエンドフェイズ時に伏せて置いたカードを発動させる。速攻魔法 アーティファクト・ムーブメント。俺のセットされている魔法・罠カードを破壊し、新たにデッキからアーティファクトを伏せる事ができる。俺はセットされているアーティファクト–ベガルタを破壊し、デッキからアーティファクト−モラルタをセットする。
そして、破壊されたベガルタを特殊召喚!そして、効果発動!俺の場にセットされた魔法・罠カードを二枚まで破壊できる。さらにアーティファクトが特殊召喚された事により、カドケウスの効果でドローする。俺はベガルタの効果でアーティファクト・ムーブメントの効果でセットしたアーティファクト–モラルタを破壊する。さらに、破壊されたモラルタを特殊召喚し、効果を発動する。相手の表側表示カード一枚を破壊する。俺はビックバン・ガールを破壊する。」

片手剣を手にした青い光を放つ思念体が現れ、ビックバン・ガールを一刀両断する。

「はぁはぁ……さらにカドケウスの効果で一枚ドローだ。」

「おい……今って俺のエンドフェイズ時だよな?」

「はぁ……そうだが?」

そうだと端的に応えると男は口をポカンと開けたまま固まってしまう。

まぁ、ちょっとじゃないくらい動いたからな。おかげで俺の場にはモンスターが五体、手札は三枚まで増えている。



手札1枚
LP4000
魔法・罠伏せ一枚

黒魔導師 クラン
☆2 DEF0


「はぁ……さぁて、俺のターンだ。覚悟しろよ?ドロー!サイクロンを発動して、お前の伏せカードを破壊する!」

「ふん、チェーンしてリバースカードオープンだ!ドロー・マッスル!対象はクランたん。そして一枚ドローだ。」

カードの加護を受けたクランは淡いオレンジ色のオーラを放ち、佇む。

「ちっ、またそれか。俺はランク5のゼンマイオーでオーバーレイ・ネットワークを再構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク7 迅雷の騎士 ガイアドラグーン!!」

ゼンマイオーが紅い渦へと呑み込まれるとその中から大槍を携えた竜騎士が君臨する。

「バトルだ!ガイアドラグーンでクランを攻撃!疾風迅雷神速突!!」

「ヌゥン、きさまぁ!幾らバーンダメージを受け、イラつこうがクランたんに八つ当たりなどするではない!」

「違うわ!ガイアドラグーンには貫通効果があんだよ!」

「っ!?しまった!?グハァァァァ!」

ガイアドラグーンの放った槍はクランを覆うオーラによって逸らされ、男に直撃し、後方へと吹き飛ばす。

男:LP4000→1400

「ぐぅ……中々のダメージだ。オプションで衝撃緩和装置を付けて居なかったらどうなった事か……危ない危ない。」

「自分だけ……せこいだろ」

「ほら、よく言うではないか、備えあればなんとやらとな。」

ワハハとダメージを喰らったのに笑いだす男。マキナはすでに突っ込む事を諦め、淡々とプレイングを進める事にする。

「俺はメインフェイズ2に移行し、モラルタとベガルタの二体でオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れよ、ランク5 アーティファクト–デュランダル!」

かの有名な鉄さえも切り裂く大剣を持った思念体がガイアドラグーンの横に並ぶ。

「カードを二枚伏せてターンエンドだ。」

マキナ
手札二枚
LP2100
魔法・罠伏せ二枚

アーティファクト–アイギス
☆5 DEF2500
アーティファクト–カドケウス
☆5 DEF2400
迅雷の騎士 ガイアドラグーン
★7 ATK2600
アーティファクト–デュランダル
★5 ATK2400


「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズ時にクランたんの効果発動!貴様の場には4体のモンスターが存在する。よって、1200ポイントのダメージを与える!喰らえ、クラン・ザ・ライトニング!」

「やらせねぇよ!デュランダルの効果発動!フィールド上でモンスター効果が発動された時、オーバーレイ・ユニットを一つ使う事で効果を『相手フィールド上の魔法・罠カード一枚を破壊する。』という効果に書き換える!」

デュランダルから眩い光が発せられると頭上から降ってきた雷はマキナを逸れ、伏せられていたカードへと直撃し、破壊する。

「くそ、避けられたか。だが、まだだ!デュランダルの効果にチェーンして速攻魔法発動!連鎖爆撃!(チェーン・ストライク)!組まれたチェーンの数×400ポイントのダメージを貴様に与える!」

虚空から鎖がマキナの両足、そして、左腕へと絡みつき、そして爆発する。

マキナ:LP2100→900

「くうぅぅぅぅ……テメエ、本当よく、やってくれるよな……」

苦しそうに息を吐きながら、立ち、男を睨みつけるその姿に驚愕する。

「なぜ……ここまでダメージを喰らいながらも立ち続ける!?今までの奴らはライフが1000をきったあたりではもう泣きながらサレンダーしてきたというのに……!?」

「だから……はぁ、俺はサイバー流じゃねぇてっ……俺は抗神 マキナ。社長のただの狗だよ。しかし……てめえらみたいなデュエルを悪用する奴らを狩る猟犬だがな!」

そう吠えると満身創痍なはずの体に喝を入れ、両脚でしっかりと立ち上がる。

「っ!?……なるほどな、どこかで見たことのある奴だと思えば、貴様、プロの……。
どうやら、サイバーの門下生ではないのは本当らしい。」

男はすまなそうに顔を伏せる。しかし、再び顔をあげた時にはその眼にははっきりとした闘志が伺える。

「だが……我らの邪魔をするなら排除するまで!例えそれがサイバーであろうとなかろうと!そして、俺も元プロデュエリストとして本気で貴様をぶっ潰す!!」

「へぇ……来いよ、返り討ちにしてやるよ。」

すでに呼吸を整え終えたマキナは獰猛な笑みを浮かべ、男を見据える。

「俺はクランを生贄にし、手札からブリザード・プリンセスを召喚する!」

ブリザード・プリンセス
☆8 ATK2800

クランを糧に召喚されたのは白の生地に青のラインが描かれたドレスを着た少女。魔法使いのはずなのだが、彼女が持つ杖の先端からは鎖が伸び、氷塊へと繋がっている。

「ブリザード・プリンセスは魔法使い族を生贄にする場合、一体で召喚することができる。そして、このモンスターが召喚されたターン、貴様は魔法・罠カードを発動させる事はできない。」

はぁ!!と威勢良い掛け声と共に手で宙を扇ぐと吹雪が吹き荒れ、カードを凍りつく。これで迷う事なく攻撃できるようになる。

「さらに俺はライフを1000ポイント支払い、通常魔法発動!拡散する波動!!ブリザード・プリンセスを選択し、このターン相手の場のモンスター全てに一度ずつ攻撃が可能となった!さらにこの効果を受けたモンスターが相手モンスターを破壊した時、破壊されたモンスターの効果は無効となる。」

男:LP1400→400

「さぁ、バトルだ!やれ、ブリザード・プリンセス!エターナル・ブリザード!」

豪ッと吹雪が吹き荒れ、マキナのモンスターを凍りつかせ、氷のハンマーで砕いていく。そして、肌を斬るような冷気がマキナを襲う。

「ぐぅ……ぅぅぅ……やってくれたな。けど、仕留めきれてねぇぞ?」

マキナ:LP900→300

「ふん、そんなライフ、風の前の塵に等しいわ!次のターン、確実に仕留めてやる。俺はカードを一枚伏せてターンエンド。」



手札0枚
LP400
魔法・罠伏せ一枚

ブリザード・プリンセス
☆8 ATK2800


「さぁ、貴様が迎える最後のターンだ!精々足掻くがいい!」

「ラストターンね……。あながち間違っちゃいないな。ただし、オメェをぶっ倒すって意味でな!俺のターン、ドロー!」

威勢良くデッキトップからカードを引き抜くとニヤリと口角をあげる。

「ほう、手札は今引いたので合計三枚、そして、場には伏せカードが一枚のみ。おそらくその伏せカードはアーティファクトなのだろう。さらに私の場には最上級モンスター、ブリザード・プリンセスと伏せカードが存在する。さぁ、どうやってこの局面を乗り越える!」

「そんなんあいつとデュエルしてる時に比べたら、簡単だよ。それこそ、お前がバーンデッキならなおさらな!
俺は墓地に存在するサイバー・ドラゴン・コアの効果を発動する!相手の場のみにモンスターが存在するとき、墓地のこのカードを除外し、デッキからサイバー・ドラゴンを特殊召喚する!来い、サイバー・ドラゴン!!」

中心部に埋まっている紅いコアが輝き、それが晴れると機械の竜、サイバー・ドラゴンが姿を現す。

「ほう、ようやく出てきたか……随分遅い登場だな、サイバー・ドラゴン」

「まだだ!俺は魔法カード、サイバー・リペア・プラントを発動し、デッキから光属性・機械族モンスターを手札に加える。俺はサイバー・ドラゴン・ドライを手札に加え、そのまま召喚する。そして、効果発動!ドライのレベルを5に変更!
行くぞ、俺はレベル5のサイバー・ドラゴンとサイバー・ドラゴン・ドライでオーバーレイ・ネットワークを構築!」

二体のサイバーが光球となり、足元に現れた紅い渦へと飲み込まれていく。そして、中心から強烈な閃光が迸り、黒い装甲を纏い、鋼の翼を生やした機械の竜が姿を見せる。

「エクシーズ召喚!雷臨せよ、サイバー・ドラゴン・ノヴァ!」

サイバー・ドラゴン・ノヴァ
★5 ATK2100

男はそのモンスターの登場に一瞬たじろぐもすぐに平静を取り戻す。

(やはり、召喚されたか。キメラティック、サイバーダークに並ぶサイバー流の切り札。オーバーレイ・ユニットを一つ使う事で墓地からサイバー・ドラゴンを蘇生させる効果、そして、戦闘時に手札又はフィールドからサイバー・ドラゴンを生贄にすることによって実質攻撃力を二倍にする効果。
だが、俺の場には罠カード、魔法の筒(マジック・シリンダー)が伏せられている。つまり貴様が攻撃を仕掛けた瞬間がお前の最後だ!)

デュエルの終わりを予想した男はニヤリと不敵に笑みを浮かべる。
一方のマキナもそんな男を見て、絶対罠張ってるだろと確信する。

「俺はサイバー・ドラゴン・ノヴァ一体でオーバーレイネットワークを再構築!」

「っ何!?貴様のエースはそいつではなかったのか!?」

予想の外れた男は思わず声を荒げてしまう。

「あぁ……中々結構いいデュエルができたんでな……特別に見せてやるよ、俺の真の切り札をな……」

赤い渦へとサイバー・ドラゴン・ノヴァが呑み込まれる。そして、バチリバチリと紫電を迸らせながら一匹の竜が躍りでる。
男はそのモンスターが放つ圧倒的な威圧感に思わずゴクリと息を飲む。

「さぁ、初お披露目だ!光臨しろ、サイバー・ドラゴン・インフィニティ!!」

永遠(インフィニティ)の名を持つそのサイバー・ドラゴンは先に召喚されたノヴァよりも一回り大きく、そして強大な威圧感を放つ。淡い紅い光を放ちながら、巨大な翼を羽ばたかせ、主人(マキナ)の上空を旋回する。

「な、なんだと……言うんだ。こんなモンスター聞いていないぞ!」

サイバー・ドラゴン・インフィニティ
★6 ATK2100


「サイバー・ドラゴン・インフィニティの攻撃は自身が持つオーバーレイ・ユニット一つにつき攻撃力が200ポイント上昇する。こいつが持っているのは現在、3つ。よって600ポイントアップだ。」

サイバー・ドラゴン・インフィニティ
★6 ATK2100→2700

自身の効果で攻撃力が増加するも男の使役するブリザード・プリンセスに100だけ足りない。しかし、なんとも言えない不安が男を襲う。

「さぁ、お待ちかねのサイバー・ドラゴン・インフィニティの効果を発動だ!
1ターンに一度、攻撃表示モンスターをこのカードのオーバーレイ・ユニットとして吸収する。もちろん、対象はブリザード・プリンセスだ!」

「な、何!?吸収効果だと!」

胸元に覗く紅いコアから閃光が放たれ、ブリザード・プリンセスを包み込み、消し去る。
そして、男を守るカードは伏せられたカード一枚だけとなる。

「さあ、バトルだぜ!サイバー・ドラゴン・インフィニティでダイレクトアタック!
エヴォリューション・インフィニティ・バースト!!」

一瞬の溜めの後、紅い光線が放たれ、男へと降り注ぐ。

「その時を待っていたぁ!リバースカードオープン!魔法の筒(マジック・シリンダー)、発動!」

バーンカードの代名詞とも言えるカードが発動されると出現した筒が光線を呑み込み、そして、マキナに向けて射出される。

「……予想通りだよ。サイバー・ドラゴン・インフィニティのもう一つの効果を発動する!オーバーレイ・ユニットを一つ使う事でカード効果の発動を無効にし、破壊する!」

サイバー・ドラゴン・インフィニティが雄叫びをあげるとマキナへと向かう光線共々、魔法の筒が消え去る。

「なぁっ!?」

「さぁ、トドメだ!!やれ、サイバー・ドラゴン・インフィニティ!」

再び放たれた紅い奔流が男を呑み込み、そのライフを削り取る。
そして、マキナを予想以上に苦しめた金属輪はひとりでに外れ、地面へと転がる。



「たっく、手間取らせやがって……」

デュエルが終わると悪態を吐きながら、ボロボロの体を引きずり、今だ地面の上で伸びている男の下まで歩いていく。金属輪の仕業か男が嵌めていたデュエルディスクは壊れ、セットしていたデッキは黒焦げになり、大半が使用不可になっている。内心勿体無いと思いつつ、男を起こしにかかる。

「おい……起きろ。おめえには色々聞かなきゃいけねぇ事があるんだよ。」

脇腹をつま先で突っついているが2000オーバーのダメージが与える衝撃は予想以上に大きかったらしく中々起きてくれない。仕方ないので強めに蹴るとゴフッと息を吐き出し目を覚ます。

「ゴフッ、……くぅ、俺は、負けたのか……」

悔しそうに寝転んだまま、マキナを見上げそう呟く。

「だが、今までで一番のデュエルだった。また、こんな試合をしてみたい……と思ったんだが……無理そうか」

清々しい表情で続けるも己の左腕に装着されたデュエルディスクを一瞥し、ため息を吐く。デッキは敗者のペナルティとしてデュエルディスク共々焼かれてしまったのだ。

「デッキくらいまたカードを集めればいいだろ。それにほらよ、こいつらだけは無事だぞ。」

そう言い、マキナが差し出したのはクランとピケル、そしてブリザード・プリンセスの三枚だった。他のカードは黒焦げになっている中、この三枚だけはなぜか無事だったのだ。なぜと聞かれても最早奇跡としか言いようがない。もっともこの場にあいつが居れば、所有者の思いに精霊が応えた結果とキザっぽく言うだろう。

「お、おぉ……クランたん、ピケルたん……それにブリザード・プリンセスまで……」

三枚を受け取ると目尻に涙を浮かべ、歓喜する。
マキナは本来の目的を思い出し、

「はぁ……おい、感激中のところ悪いがお前らのアジトと親玉の情報を吐け!

男を今更になって逃げられないように踏みつけ問いただす。

「く、……もはや負けた俺は組織にとって用済みだ。話してやろう、アジトは童美野町だ。そして、リーダーは俺と同じサイバー流の奴らに苦い汁を飲まされた奴だ。だが、噂じゃあ、そいつの後ろにもっと大物が潜んでるって聞いた事がある。これ以上は知らん。」

「なるほどな……。バックに黒幕とかいかにもありそうな展開だな、おい。まぁ、中々いい情報だったぜ。」

じゃあなと背中を向け、歩いて行ってしまう。

「な、俺を捕まえるつもりじゃなかったのか!?」

「ん?あぁ、拘束しろって言われたのは口を割らなかったり、抵抗した場合だけだしな。それに社長さんの目的はアンチリスペクト集団より他にあるみたいなんでな。」

そういうマキナの手には両端に金属の輪がつけられたコードが握られている。

またデュエルできるといいなとそれだけ言い残すと男を置いてその場を後にする。
 
 

 
後書き
シリアスっぽくしたかったのですが、なぜか途中からギャグ路線にナゼダ
!?
サイバーvsアンチリスペクトというテーマで書いたので結果バーンデッキ。どうせ、バーンならピケクラに。だが、どうしてこうなった!?まぁ、書いてて楽しかったんですけどね〜。

そして、アルビスさん考案の抗神 マキナくん。本来はサイバー使いという事なので今回はすこし趣向を変えて、AFサイバーなるものを使ってみました。実際にTFSPの方で試しで使ってみましたが、サイバーもアーティファクトもランク5を多用するので割とシナジーします。しかも、どちらも光属性なのでオネストも活躍します。実際強いです。
考案者のアルビスさんに他にもデッキ案を送ってもらっているのでそれは次の登場につかわせられるといいです。


ps.オリキャラ案、コラボしてくれる心広い方待ってます。 
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