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ソードアート・オンライン ~Hero of the sorrow~

作者:C.D./hack
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フェアリィ・ダンス編 哀しみを背負った男達
  魔法使いとユキの謎と二人の世紀王

 
前書き
や~ストーリーが。おかしいことに。 

 
 映司side 森

「忙しい中悪いわね、オーズ・・・」

俺の隣をくるくると回るカナリアさんに話を聞きながら、ユキ君がいる所へ俺は向かっていた。

「響鬼さん達もいるんだよね」

「ええ」

しばらく歩いたところで、カナリアさんがそろそろよ、と言った。しかし、俺は嫌な予感を感じていたんだ。

「グワァアアアアウッ!!」

嫌な予感は当たった。咆哮に大気が震え、森が凍結する。

「これは・・・」

「あっちよ、オーズ!」

カナリアさんが向かった方向に走る。そして、森を凍結させた怪人を見た。

「恐竜グリード・・・!?」

自身も真木清人の手によって、一度だけなってしまった。与えられた力の暴走。

しかし・・・あれは誰だ?

「ユキ・・・!?」

カナリアさんが悲鳴じみた声を上げる。それを聞いた俺は、バカなと思ったが恐竜グリードは女の子に手を伸ばす。

助けなければ、そう思って走り出しベルトにメダルを挿入する。

「変身!!」

タカ!トラ!バッタ! タットッバッ タトバ タットッバッ!!!

変わらないあの音声が流れだし、俺を変身させた。





「火野か!?」

立ち上った響鬼が、映司に近づく。続々と立ち上がり始めるライダーの人達へと、映司はお願いする。

「響鬼さん、みなさん!ユキ君の足止めをしてください!!」

「できるだけ火の力が使える方がいいわ!!」

カナリアさんが補足し、響鬼さんがおう、と会釈する。

気合を込め、響鬼は爆炎をその身に纏うと、みるみる真紅のカラーへと変化していく。

「ウゥ――――――――――――リャア!!」

爆炎を払った響鬼は言った。

「響鬼、紅」

響鬼は音激棒に火炎を纏わせ、火炎の刃を作り出す。

「よぉーーし・・・やりますか!!」

響鬼がユキグリードへと走る。カリスも同時に走り、響鬼達が攻撃できるよう隙を作る。

さらに真やギルスが怒涛の連撃を叩き込み、響鬼の火炎の刃でユキグリードを切り裂く。

そこにタジャドルへ変身したオーズがタジャスピナーから火炎弾を吐き出し、追撃した。

ほぼゼロ距離の始は、

「一か八かだ・・・!!」

そう言ってシャッフルセンチピードのカードをラウズする。

シャッフルセンチピード。敵と自分のカードを混ぜ、敵のコンボを崩すというものだが、始はとあることに賭けた。

カードを確認した始は思わず微笑んだ。ダイヤの5ドロップホエール、6ファイアフライ、9ジェミニゼブラ。

この三枚はギャレンが使っていたものだ。始は全てをラウズする。

爆炎をその足に纏ったカリスは空中で分身し、大回転しながら炎を纏ったドロップキック、バーニングディバイドを放つ。

冷気を溶かしながら炸裂したその一撃は、ユキの体から、三枚のコアメダルを飛び散らせる。

オーズはメダルを回収する。

「やっぱり、恐竜メダル・・・」

復活した経緯はわからないが、今は戦いに集中する。いや、しようとした瞬間、ユキグリードが吼えた。

全員の全身が、みるみるうちに凍り始める。

「紅の炎でも溶けない!?」

「・・・っクソ・・・!」

「・・・ピンチだな」

「冷静に見てる場合じゃ・・・ないっ!!」

真に対して涼がツッコむ。しかし――――――――――――。

フレイム・ドラゴン! ボーゥ ボーゥ ボゥーボゥーボーゥ!!

希望は消えていなかった。

「助けに来た、オーズ」

「あ、操真君!?」

仮面ライダーウィザードこと、操真晴人。

「まずは、その氷を溶かす!!」

スペシャルを使い、火炎放射で氷を溶かしつくす。

「先に行く!後に続いてくれ!!」

ウィザードの言葉に、全員が再び必殺技の用意をする。

レバーを操作し、リングをかざす。

チョーイイネ! ドラゴン! サイコー!

不死鳥(フェニックス)を太陽へと弾き飛ばすほどの威力を持った蹴りが、ユキグリードへと炸裂する。

だが・・・ユキグリードは抗った。ウィザードの足を掴み引き寄せ、言った。

「ドラゴン、僕二力をカせ!!」

片言の言葉。晴人が言葉を聞いた瞬間、周囲を光が包み込んだ。





「はっ・・・馬鹿な餓鬼だな、貴様」

暗闇の空間、僕の心の中でドラゴンは言った。

「あいにく、馬鹿じゃなくて・・・クズなんでね・・・」

体の中を蹂躙される痛みを味わいつつ、ドラゴンに言った。

「ほぅ、面白い奴だ。人間はいつだって自分を過大評価するものだからな」

「そういうもんだよ、にんげ、・・・んはっ」

「で?クズがなんのようだ」

ドラゴンの問いに、僕は言った。

「僕に力を貸せ」

無理だな、とドラゴンは言う。

「メダル・・・グリード如きの力で暴走しているようでは、力を貸した瞬間にお前は死ぬ」

「それでも、いいっ!!」

僕はメダルを体外に吐き出す。ドラゴンは、ほう・・?と言ったがそれを無視して僕は言葉を続けた。

「僕は力が欲しいんだッ!!よこせ!」

「貸さないんなら・・・」

こうだっ!!僕の行動にドラゴンは驚いた顔になる。傍に落ちた恐竜系メダル。その全てを噛み砕いて咀嚼した。






「お前・・・馬鹿か?」

ドラゴンは呆れた様子で言葉を続けた。

「欲望に呑まれるぞ」

体の全身が凍りつく。今にも正気を失ってドラゴンを攻撃しそうだったが、ユキはそれに耐える。

激痛と共に押し寄せる欲。全てを怒り、嫉妬し、怠け、欲しがり、犯し、奪い、喰い尽くす。

「ウゥゥウゥゥゥウゥゥゥゥッゥがぁあああぁぁぁあぁっぁ!!」

「馬鹿な・・・!」

だがユキは呑んだ。欲望と言うものを。その全てを自分のものにした。人を守る力。人を助ける力。

ユキは何処までも貪欲で、強欲だった。

「ハハッハハハハハッハハハハハッハハッハ!!」

狂ったようにドラゴンが笑いだす。

「いいぞ、小僧!!力を貸してやる。一部だけな!!初めてだよ!!お前のようにクズで強欲で面白味のある奴は!!」

「まぁ、人でもない奴に、この力が扱えるかわからんがな!!」

そう言ってドラゴンは消えた。ドラゴンの言葉をユキに考える余裕はなかったが、ユキはゆっくりと自分の体に戻るのを感じていた。






 研究所


俺は須郷に呼ばれ、ここまで来ていた。

「やぁ、アンク」

「なんだ?」

その部屋は人間の脳がたくさんある場所だった。さらに、真ん中には培養器がある。

培養器の方へと手を招かれ、その中にいる者を見た。

「なんだ?コイツは?」

「それはね、被検体2号だよ」

「へぇ・・・」

俺はこいつを見たことがあった。あのいけ好かない赤い奴の電車に乗った時に。確か、名前は・・・。

「コイツの名は・・・」

「シャドームーン。だろ?」

「へぇ、知ってるのかい?」

俺は須郷の問いかけを無視し、脳の方を見た。さまざまな機会が取り付けてあり、パネルに文字列が並んでいた。

「おい、これは?」

「実験台だよ。協力してくれている、ね」

協力ではない事は、すぐにわかった。俺の前にあるパネルには、Tellerなどの言葉が並んでいた。

少しだけモニターに男の姿が見える。そいつは様々なライダーに変身していた。

気になったので、須郷に聞いた。

「あぁ、それね。僕の求める力だよ。そしてその力を持つ人間の知り合いの脳さ」

俺は言葉を聞いた後、ゆっくりと別のパネルを見た。だが、俺は一番奥のモニターで歩みを止めた。

「・・・あ!?」

そのパネルに並んでいたのはTeller等で変わらないモノだったが、いくつかのワードが俺の歩みを止めたのだ。

そこに並んでいたのはHelp。Want to see。I miss you。Torisan。

会いたいよ、鳥さん。そして、言葉の後で流れ出す映像。少女が紅い巨鳥に乗って大空を飛んでいる。

この、少女は。

「おいっ!!こいつは!?」

須郷に聞くと、気持ち悪い笑みを浮かべて答えた。

「ああ、それね。その子同じ夢ばっか見てるんだよ。ただ、昔のものがいっぱい出てくるから、前世の夢だと思うんだ。とても貴重な・・・」

実験材料だよ。その言葉が発せられた瞬間、俺は須郷に火炎弾を見舞った。

「ギいいいいイイああああアア!!」

叫び声を上げた須郷に、俺は言った。

「そこでくたばっとけ」

響き渡る警報。周囲が赤く染まる。

俺は部屋から出て、上空へと向かった。金の格子を開け、アスナのいる方へと向かう。

「え、アンク。何があったの?」

「こっから出るぞ。会いたい奴がいるんだろう」

アスナの目に光が灯り、差し出した手を掴む。行くぞ、と言って格子の扉を開けた。

「あ・・・、?」

メダルが数枚落ちた。腹部には赤い刀身の剣が刺さっている。

目の前にいたのは、白銀の体を持つ戦士だった。

「はっ・・・今頃復活したか」

剣を掴み、無理やり引き抜く。

「シャドームーン!!」

後ろから須郷が現れる。

「アスナ」

「え?」

「少しだけ時間を稼ぐ。そのうちに行きやがれ」

「貴方は!?」

「いいから、行け!」

アスナを庇いつつ、怪人体に変身した俺は、火炎弾とフェザービットを放つ。

「どちらも捕まえろ!!」

「り、ょうか、い」

たどたどしい言葉と共に走り出すシャドームーン。剣でビットと火炎を切り裂きながら近づいてくる。

「コイツ・・・っぁ」

凄まじい剣戟が俺の体、メダルを抉っていく。

逃げようとしたアスナがシャドームーンに峰打ちされ、気絶する。

シャドームーンはこちらに近づき、剣を突き刺そうとした、その時だった。

「リボルケイン!!」

横から乱入した光剣が、赤い剣をはじいた。

「お前は・・・」

黒いボディを持つライダーは言った。

「俺は太陽の子!仮面ライダーブラック!ア――――ルエックス!!」

しかし、ブラックはシャドームーンを見て止まった。

「シャドームーン・・・信彦、なのか?」

「て、き。排除」

片言の声を聴いたブラックはこちらを向いた。

「・・・アンク君、ココはひとまず退くぞ!」

「あぁ!?何でだ」

「君の傷のこともあるが、仲間は多くいた方がいいだろう!!」

話しているうちにシャドームーンがこちらへと剣を振るう。

「俺は怒りの王子っ!RXっ!バイオッ!ライダーッ!」

バイオブレードで剣を弾いたバイオライダーはゲル状になって俺を飲み込み、下へと降り始める。

「おい!あそこにいる奴も・・・!!」

アスナを指さすが、RXは暗い表情で言った。

「すまん、無理だ!!」

「ライドロン!!」

赤い車が凄まじい速度で俺たちを拾って行った。

「これから・・・どこへ行く」

さぁなとRX、光太郎は言った。

「仲間がこの世界にいることは確かなんだが・・・。場所が分からなくてな」

「どうにもなんねぇじゃねぇか!!」

その時、近くから火が上がるのが見えた。

「おい、あれは・・・」

「わかっている!!」

車を操作した光太郎は急回転させ、火が上がった場所へと向かった。




俺は今、目の前にいる怪人達に困惑していた。女の子が重戦士型サラマンダーに襲われていた。

登録してすぐにの戦闘行為には少し驚いたが、問題なく倒した。そして自己紹介をした。

問題はその後だ。

突然、灰色の壁が現れ、そこから無数の怪人が現れたのだ。

「・・・ユイ、あれはなんだ?」

「ユキさんと同質の存在だと思います」

ユキが使っているライダーの能力。それと張り合うほどの異形の者たち。

「なぁ・・・リーファ。時間稼ぐから君だけでも逃げてくれ」

「嫌よ」

リーファは立ち上がり、剣を抜いた。

「礼は今返すわ」

「そうか・・・」

俺は剣を抜くと、怪人達へ向けた。

「なら背中、頼むぞ」

その言葉を合図に、俺たちは怪人たちを切り倒していく。だが・・・それを止める者たちが現れた。

「アギトは・・・ただ一人でいい」

マフラーを首に巻いた異形の戦士は俺の剣を掴み、へし折った。

「なっ・・・ごばぁっ!!」

戦士の疾風のような速さで放たれた蹴りが、全身の空気を吐き出させた。

一方、リーファの方は黄金のラインをを持つライダーと剣を交えていた。

「邪魔なんだよ・・・俺を好きにならない奴は」

「う・・・がはっ」

リーファが吹き飛ばされ、慌てて俺は受け止めた。俺たちに群がってくる怪人。

俺はリーファの剣を使い、怪人を斬りはらっていく。

「キリト君、危ない!」

俺は後ろを見た。黄金のラインを持つライダーが、逆手剣を振り上げる。

ゆっくりと、時が過ぎていく。その時。

ライダーが吹き飛んだ。

「よくやった、少年」

紫色の鬼が言った。

「お久しぶりです、キリトさん」

茂みの奥から出てきた、見覚えのある顔。

「ユキ・・・!」

言葉を交わすうちに、マフラーの怪人がリーファに襲いかかった。

「「させるか」」

二人のライダーがマフラーの怪人を吹き飛ばす。

「また会ったな」

バッタの姿に似た怪人がリーファに言う。

「あ、ありがとう」

「礼には及ばない」

さらに後ろにいた怪人たちが吹き飛んでいく。

「人は助け合い。ってね!」

「ああ、そうだな」

魔法使いと三色のライダーが言った。さらに竜巻が怪人を吹き飛ばす。

「まったく・・・。どうなってるんだ、この世界は」

今度はカマキリのようなライダーが出てくる。

「キリトさん、これを」

ユキが剣を差し出し、手を出してくる。

もちろんだ、と言って剣を受けとり、俺は立ち上がった。




         今、ライダーとライダー。そして怪人達がぶつかり合った。 
 

 
後書き
大所帯の出来上がり。

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