| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

IS レギオン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第15話

  さて、リムパック演習も後半戦に入り、今回は、参加国全ての艦艇及び航空機をすべて使い、立体的な共同戦術行動演習であった。
 参加艦艇は、ざっと合わせても大小500隻を超えており、現時点での21世紀最大最強の艦隊編成であった。内容は、航空母艦大小合わせて30隻以上、巡洋艦35隻以上、駆逐艦・フリゲート・コルペット200隻以上、補給艦、工作艦、強襲揚陸艦などもそれぞれ36隻以上、航空機1,000機以上と言う史上最大であり、ある士官が、『海が2分、船が8分。空が4分、航空機6分だ!』という名言も生まれた程であった。
 またこの規模の艦隊と航空機の編隊飛行は、リアルタイムで世界中のテレビ、ラジオなどの情報媒体によって個人や団体などに発信されていった。

 リムパック海域 

リムパック艦隊総指揮艦  合衆国海軍所属 ジョージ・F・ケナン級「ヘンリー・A・キッシンジャー」

 「素晴らしいじゃないか!これこそ、地球最強艦隊だ!しかも、その総指揮は我が合衆国だ」
と『ヘンリー・A・キッシンジャー』の艦橋の艦長席に座る合衆国海軍第1艦隊司令官であるマーカス・フィンレイ太平洋艦隊司令長官兼太平洋方面最高司令官が声高々に唾を飛ばしながら叫んでいた。それを聞いていた。『ヘンリー・A・キッシンジャー』の艦長であるジョージ・オールストン海軍大将も同意したよう頷いた後に、
「ええ、此れだけの多国籍艦隊が我が国の領海にいるだけでも素晴らしい事ですが、少しだけ不満ですな」
「不満かね。これだけの艦隊を指揮できるというのに」
とマーカスがジョージに聞いた。
「ええ、EU海軍、オセアニア海軍はともかく、アジアや中東、アフリカ、南アメリカの艦艇が堂々と出しゃばって参加しているのがどうしても不満なのですよ。しかもそれぞれの艦隊には、空母も参加しているのですよ。本当なら、空母の保有は、白人の物だったはず、それが、色付き人種共も当然のように持ち始めて...」
「そろそろ、その悪口を止めた方が良いぞ。他の職員に聞こえるぞ(まあ、儂も同意するが...)、そろそろ演習の本番だ。切り替えろよ」
「はっ、此れよりリムパック演習国際合同立体戦術機動演習を開始します!全参加艦艇にメール送信せよ『これより、演習を開始すると』」
「了解しました。一斉メール送信開始!」
と通信用国際コードを打ち込んだ後にプロテクトさせた暗号メールが情報統制官の手によって参加艦艇すべて同時に送信された。

 新アジア連合国家連邦所属 日本国海上自衛隊艦隊 旗艦 じゅんよう型航空機搭載護衛艦 『ひよう』

 「艦長、総指揮艦からのメール受信。『これより、演習を開始すると』との事です」
「了解した。これより我が艦隊は国際演習に参加する。最大規模の多国籍艦隊が参加する今回の演習にいい結果を残してほしいと新アジア連合国家連邦の参加艦艇全艦に訓辞せよ」
と日本艦隊総司令官である安藤宗二郎(あんどう そうじろう)が『ひよう』艦長である鳴海 孝之(なるみ たかゆき)中将に伝えた。

 各国艦隊がそれぞれに事前に伝えてあった演習項目に向けて粛々と艦隊を動かして行っている頃、演習海域の水面下でも各国の隠密情報収集の為の各国の潜水艦が静かにしかし、それぞれの任務に向けて熱く諜報・潜水艦戦を繰り広げようとしていた。

 それを邪魔しようとする悪魔に魂を売った紅い女騎士が向かっている事も知らずに。
 
  ハワイ諸島沖 リムパック訓練海域より南に100キロ地点上空

 とても澄んだ青く美しい海と白い雲が望みながら一機の航空機が飛んでいた。
その航空機は合衆国海軍所属のヘンリー・A・キッシンジャー所属のE-19だった。

『此方、スワローアイ、現海域に付近に所属不明の航空機及び船舶は確認できず。この空域に待機する。以上』
『了解。交信終わる』
と何時もの様に定期交信を終えた後、E-19の搭乗員の観測員の一人であるジェームズ・A・パディントンが隣で観測中であったロジャー・マードックに話しかけた。
「なあ、ロジャー。俺たち暇だよなあ、いつもいつも代わり映え無い画面を見続けるなんて暇だよな」
「おいパティ、おしゃべりが過ぎるぞ、そんな暇があったら、ちゃんと画面見てろよ.うちの上司に怒られるぞ、おれも怒られるなんて御免だぜ」
「おいおい、今頃うちの上司さんは今頃、新人ミネルヴァ・リデルにお熱をあげているぜ。どうやら、可愛い子ちゃんだから、優しく手解きしてるぜ」
と愚痴を言いながら椅子を近付けながらロジャー・マードックに喋り続けた。すると、
「おい、誰が、誰を御熱をあげているんだ?」
ジェームズ・A・パディントンの後ろの方で冷たい声が聞こえ、ジェームズ・A・パディントンが恐る恐る後ろを振り返ると、憤怒の表情をしたこの機の空中観測情報室の観測長であるシャサ・ノバルティスがジェームズ・A・パディントンの耳元でドスの利いた囁き声で、
「後で覚えていろよ」
と言った後にその場から離れた。ジェームズ・A・パディントンは、一気に全身から冷や汗を浴びる気持ちになると共に任せられている画面に真剣に向き合った。

 暫くジェームズ・A・パディントンが、画面を見ながら監視を続けていると、画面に出ている対空レーダー画面の下に未確認の小型飛翔体らしき影が映り込んだ。ジェームズ・A・パディントンは、ロジャー・マードックに確認してみる。
「ロジャー、南から国籍不明の飛翔体があるんだが、確認できるか?」
「南?ああ、確認した。多分鳥だろ」
「馬鹿いえ、今の監視モード高速機用走査モードだ。ありえんだろ」
と反論した。するとシャサ・ノバルティスが近付き
「なんだ又口喧嘩か、いいかげんにしろ」
「いえ、今私の監視画面に未確認の飛翔体が確認されたので
「なに?誤認とかじゃないだろうな」
「はい、誤認もしくは、電離層などの影響とかではありません。見てください、高速で北の海域に向けて進行中速度およそM0.9程で進行中です」
「よし、分かった。至急ハワイ諸島司令部及びリムパック艦隊に報告。『此方、此方、スワローアイ、緊急事態発生。現海域に付近に所属不明の航空機らしき高速飛翔体確認。速度約M0.9で北上して模様。速やかに警戒せよ。繰り返す、スワローアイ、緊急事態発生。現海域に付近に所属不明の航空機らしき高速飛翔体確認。速度約M0.9で北上して模様。速やかに警戒せよ。以上』
という至急電がこの機の持つ最大限の出力でハワイ及びリムパック艦隊に向けられて発信させられた。

 その至急電は、ハワイ周辺の全ての『霧の艦隊』にも傍受され、速やかに『霧の艦隊』が警戒モードに入った。また、織斑家の長男である一夏もその通信を自身が傍受し、前にハワイ諸島沖の無人島の事件があった為、その件を踏まえ『プライベート・レギオン』及び『フィーチャー・レギオン』を生産し射出した後に、自らも「少し出掛けます」と言う書置きの後に、レギオン化しもしもの為にジャミングを施し、現場海域に飛翔した。
 ハワイ諸島オアフ島第13空軍:ハワイ州 ヒッカム空軍基地-太平洋空軍 (PACAF),太平洋軍統合情報部本部

 E-19からの連絡が受けた情報室では、蜂をつついた騒ぎになった。情報室長であるウィルバー・ガーランドは、速やかに新たな命令を出した。

 「速やかに現場空域を調べさせろ。SR -91及びRQ-9Ver.2を現場空域に送って情報を送れ」
とエイミ・クロックスに命令した。
「了解。速やかに空軍基地に連絡します。また、リムパック演習中の本国海軍にも連絡しますか?」
「ああ、よろしく頼む」
その情報は、直ちにヘンリー・A・キッシンジャーに送られた。

 ハワイ諸島沖 リムパック演習海域 アメリカ海軍リムパック艦隊旗艦『ヘンリー・A・キッシンジャー』CIC

「艦長、ハワイ諸島オアフ島第13空軍から機密メッセージが届きました。先程、我が艦所属の『スワローアイ』から我がリムパック艦隊に向け、高速で接近中の未確認飛翔体 コードネーム『UFO-1(Unidentified Flying Object-1(アンアイデンティファイド・フライング・オブジェクト1)』を速やかに調査し、捕獲もしくは、撃破せよ」
との事です。
「了解した。全リムパック演習参加艦艇に連絡。『緊急事態が発生した為に、速やかに演習を中断し、帰還せよ。なお、我がアメリカ艦隊は、速やかに集結後、独自行動に移る。なお、我が国以外の同行は認められない。出来なければ、我が艦隊は、その艦もしくは艦隊を束縛し、鹵獲する』以上の事を速やかに全リムパック演習参加艦艇連絡せよ。また、速やかに我が艦隊空母所属航空団を緊急発進せよ。急げ!」

 その通信を受けた各国のリムパック艦隊は、困惑しながらも、独自に行動に移った。ただ、最初はの行動は各国艦隊ともにハワイ及び本国の駐在武官及び海軍長官など楡圓楽をした後に、小規模艦隊の場合は、距離を離れつつも密かに追尾行動を取った。また中規模以上の艦隊の空母配備の場合は、速やかに空中管制機、早期警戒機などを飛ばし、情報収集をし始めた。また、水面下の各国の潜水艦は、無音潜行をしながらも、アメリカ艦隊に付かず離れずの行動を採って行った。
 場所と時間を少し戻し、ハワイ諸島オアフ島第13空軍:ハワイ州 ヒッカム空軍基地

「室長、SR -91及びRQ-9Ver.2発進します。なお、それぞれコールサイン『ブラックチェイサー1』『ヴェロキ1』です」
「了解。『ブラックチェイサー1』『ヴェロキ1』のリアルタイム画像をメイン画面に映せ」

 リアルタイムで『ブラックチェイサー1』『ヴェロキ1』それぞれに装備された高性能光学カメラ映像が統合情報部本部内の大型スクリーンに映し出せれた。
「目標までおよそ5キロ、ただ、目標は、空中で停止しています!」
「なに?空中で停止しているだと。未確認飛翔体はヘリか何かなのか?」
「いえ、ヘリなどではありません。M0.9で飛行するヘリコプターなど聞いたことありません」
「そうか」

 一方その頃、ハワイ諸島沖 リムパック演習海域 アメリカ海軍リムパック艦隊旗艦『ヘンリー・A・キッシンジャー』CIC

 「艦長、ハワイ諸島オアフ島第13空軍:ハワイ州 ヒッカム空軍基地からSR -91及びRQ-9Ver.2発進した模様です。こちらもRQ/A-290を1個小隊(5機)発進させますか?」
「ああ、1個小隊ではなく2個小隊送れ。また護衛としてUF/A-25も追加として1個小隊発進させよ」
「了解。直ちに現場に送ります。ただ、少し問題が」
「問題?」
「はい、我が艦隊の南方15キロにEU/南米国家連合体/中東首長国家連合/新アジア連合国家連邦/オセアニア海洋国家共同体などの艦隊が密かに追尾してますが、如何しますか?」
「ちっ、またか色付き人種共めが。無視しろ、どうせ何も出来ない筈だ」
と愚痴を言いながら、指示を出した。

 いよいよ、アメリカ製無人機とISの距離を少しずつ接近していった。運命の邂逅まであと少し。

 
 ハワイ諸島オアフ島第13空軍:ハワイ州 ヒッカム空軍基地-太平洋空軍 (PACAF),太平洋軍統合情報部本部

 暫くした後に、ハワイ基地所属から飛び立ったSR -91、RQ-9Ver.2及び海軍所属空母機動部隊から飛び立ったRQ/A-290、UF/A-25がハワイ沖のリムパック海域に出現した未確認飛翔体 コードネーム『UFO-1(Unidentified Flying Object-1(アンアイデンティファイド・フライング・オブジェクト1)』とアメリカ海空軍所属のそれぞれの機体に装備された高性能カメラにそれが映り込み、接敵した。

 その映像は、アメリカ本国の国防省にもリアルタイムで映し出された。

 その映像を見た殆んどの人々は、自分の目がおかしくなったのかと困惑したが、一部の人々は、前にどこかで見たような感じがすると感じていた。それは、どう考えても人型をしており、どういった理屈なのかわからないが、それが空中で浮かんでいた。また、SR -91、RQ-9Ver.2、RQ/A-290、UF/A-25がその物体の周囲を旋回しながら、赤外線、X線、放射線などを計測していった。その結果、我々と変わらない生命体がその人型のパワードスーツの様な物の中にいることが判明した。

 アメリカ国防省長官であるピーター・シルバーマンが、
「速やかに、此れの捕獲できなければ破壊しろ」
と命令した。
副長官であるジャネル・ヴォイトが
「了解しました。速やかに警告後に命令を受諾しますがよろしいでしょうか?」
「ああ、頼む」
「では、インプットされた警告文を指向性高性能スピーカーでそれぞれの機体から発信します」
と言った後に、ハワイ及び空母機動艦隊にそれぞれに命令を出した。そして、その命令は、当該空域にいる無人機からスピーカー音声で流れた。

 その命令は以下の通り
「貴機はアメリカ領空に接近しつつある。速やかに針路を変更せよ」領空侵犯の無線警告と、当該機に向けて自機の翼を振る「我に続け」の警告を見せ、「警告。貴機はアメリカ領空を侵犯している。速やかに領空から退去せよ」「警告。貴機は日本領空を侵犯している。我の指示に従え」
であった。

 しかしその警告を無視するかのようにまったくその場所から動こうとせずに空中で停止したままであった。その様子を本国の国防省の作戦司令室の大型モニターに投影していった。そして、幾分かの時が過ぎた後にピーター・シルバーマンが
「もういい、撃墜せよ」
と命令しようとした瞬間、それが起こった。

 ビー、ビー、ビー

と室内に警告音と共に緊急事態用の赤色灯が燈った。

 「どうした何があった!」
「大変です。我が国の全体の機密情報関係などにハッキングを受けました。現在復旧中ですが、未だにハッキングされ続けています。止まりません!」
と情報武官が困惑していたが、その白金m具は、ほぼ同時進行で世界中のありとあらゆる所がハッキングを受けていった。

 その世界的な混乱は、次の瞬間突如として打ち破られた。


『もすもすひねもすー、愚民の皆様こんちにわー。地球一の大天才篠ノ之束ちゃんだよー。ぶいぶい』

といった感じだった。

 
 アメリカ本国の国防省 地下機密情報室 

 「なんだ、このフザケタ黄色いサルの娘は!」
と言うようにピーター・シルバーマンは怒髪天を突くように映像に移りこんだ束に怒り狂いながらも、そのふざけた格好(ウサミミが装着されたカチューシャをつけており、胸元が開いたデザインのエプロンドレスという独特のファッションセンス)をした小娘(篠ノ之束)を睨み付けた。

 一方その映像は、世界中のあらゆる情報媒体に侵入し発信及び受信された。ただ、一部地域の未開発部分や環境保護地域などの情報媒体が無いところには発信及び受信できなかったが、ほとんどの(一部の例外を除く)人々はその映像を見たが、その大半の人は、『何を喋っているんだこの小娘は?』と言う感じだった。(何せしゃべっている言語は純度100%の日本語だから)

 「ではでは、お披露目しましょう。大天才束さんが作り上げた新世代マルチフォーム・スーツ通称『IS(インフィニット・ストラトス)』でーす。どお、驚いた?ぶいぶい」
と言いながら、ハワイ沖に出現した未確認飛翔体に画面を切り替えた後に喋り続けた。
「このISは、宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツだよ。それでねえ、このスーツはねえ、凄いんだよ。それはねえ、攻撃力、防御力、機動力は非常に高い究極の機動兵器でねえ、特に防御機能は突出して優れていてねえ、シールドエネルギーによるバリアーや「絶対防御」などによってあらゆる攻撃に対処できるんだよ。すごいでしょ、ブイブイ。そのおかげでねえ、操縦者が生命の危機にさらされることはほとんどないんだよ。しかもしかも、搭乗者の生体維持機能もあるんだよ。その秘密はねえ、核となるコアと腕や脚などの部分的な装甲であるISアーマー、肩部や背部に浮遊する非固定装備(アンロックユニット)から形成されているんだよ。解ったかなあ」
と一気にしゃべり終わった。

 「なんだと!そうかこれを捕獲すれば我が神聖なる合衆国は更なる発展と繁栄が出来る!そして、また栄光が蘇る!黄色いサルどもや野蛮人、人間擬き(『霧の艦隊』のメンタルモデルのアメリカの蔑称)共から世界を奪い返すことが出来る。まあ、無理だとしても、破壊し、回収した後にじっくりと調査して、あの『T計画』も進む」
と言いながら現アメリカ合衆国大統領であるジェド・バートレットがホワイト・ハウスからこの映像を見ながらほくそ笑みながら、国防省を呼び出し指示を出した。

 「分かりました、大統領閣下!速やかに作戦を全軍に指示します。なあに、相手はわずか一機。もしダメだとしても、あの秘密兵器『SWBM(Shock Wave Ballistic Missile)』の実験に丁度良い目標だと思われます。まあ、あの黄色いサルの小娘には過ぎた代物だと思い知らせばいいでしょう。我々からのプレゼントですよ。ハッハッハッ」
とピーター・シルバーマンは、ジェド・バートレットに答え、受話器を置いた後に、ハワイ基地全軍及びリムパック参加アメリカ海軍全軍に

[大特級極秘指令 オペレーション:UFO-1ダウンフォール]

が発令された。

  アメリカ軍によるIS鹵獲もしくは破壊である[オペレーション:UFO-1ダウンフォール]
が発令した時、ハワイ基地から無人戦闘攻撃機UF/A-25、その有人型であるF/A-25、B-91、などが続々と飛び立ち、海軍機動部隊からは、RQ/A-290、E-19、AC-19などが中型空母、大型空母群から続々とリニアカタパルトから射出されていった。

 「良いな、必ず鹵獲しろ!できなければ破壊しても構わん!その搭乗者の命なんてどうなっても構わん。どうせ、黄色いサル娘だ。人間様に逆らった裁きをくれてやれ!」
とマーカス・フィンレイはアメリカ海軍機動部隊旗艦『ヘンリー・A・キッシンジャー』のCICで叫んだ。
「了解直ちに、作戦機全機に命令します」
と情報統括官が答えた。

 「良いな、全機攻撃開始!」
と戦闘攻撃隊の総隊長が搭乗するF/A-25から部下に命令した。その瞬間全戦闘攻撃機のウェポンベイから次々と各種対空ミサイルが雨霰とISに向かって発射された。

 その射出されたミサイル群の弾頭部の高性能カメラがISを捉えていった。更にその多数のミサイル群の二次元映像及びカメラ映像リアルタイムで『ヘンリー・A・キッシンジャー』のCIC及び本国ホワイト・ハウス、国防省の地下機密情報室に送られた。

 「「チェックメイトだ、黄色いサル娘め」」
と大統領であるジェド・バートレットと国防省の地下機密情報室 室長であるジェド・バートレットがほぼ同時に呟いた。

「命中まで3,2,1、今」
とアンコン強襲揚陸指揮ドック型輸送艦の情報統制武官であるセレーナ・コーガンが多目的個別識別用レーダーに映りこんだミサイル群とISとの接触を確認した。その確認は、ミサイルに内蔵された高性能カメラの画像が途切れ砂嵐になった。そしてそのミサイル群の着弾と共に多数の爆発と共に空中に巨大な火球が多数現出し、煙が立ち込めていった。

 暫くした後に、ゆっくりと煙が収まっていった。

 「映像でます!」
と『ヘンリー・A・キッシンジャー』のCIC内の情報統制武官の一人であるクレア・ベネットが声をあげた。その映像はCIC内の大型モニターに映りこんだ。

 その映像は、米国及び米軍に驚愕の映像になった。

 「「「なぜだ、なぜ彼奴は無傷なんだ!」」」
とジェド・バートレットやジェド・バートレット、マーカス・フィンレイなどが驚愕した。

 そう、全弾直撃命中したはずのISに殆どダメージが無く、少しだけ煤汚れた感じだけであった。

 国防省の地下機密情報室

 「どうなっている、なぜ、ダメージが無いんだ」
と言いながら、ピーター・シルバーマンが叫んだ。すると、隣でその映像を見ていたギュンダー・ローズマンが声を掛けた。
「すみません。前の映像ありますか?そうあの黄色いサルの小娘の喋った映像は?」
「ええ、ありますが」
とクレア・ベネットが答え、束がISの事についての説明の映像を出し、会議室のスクリーンに投影した。

 「多分これの影響でしょう?」
とギュンダー・ローズマンと言った後に、ピーター・シルバーマンに声を掛けた。
「どうした、何が判ったか!」
「ええ、多分これが正解でしょうこの『絶対防御』とか言うせいでしょう。しかしながらこの世には『絶対防御』という言葉はありません。多分相当数の熱量及び衝撃波等には弱い筈ですよ。多分あの兵器『SWBM(Shock Wave Ballistic Missile)』とか『テルミット・プラス』現在試作中の空間消滅弾頭『フレイヤ』ならあれを破壊できるでしょう。」
「そうか、ソレなら現在ハワイの空軍基地に『SWBM(Shock Wave Ballistic Missile)』が搬入されている。今回の演習の最終項目として、残してある筈だそれを直ちに使用するようにピーター・シルバーマンの名を出して準備ができ次第出撃させろ!その間に空海全軍に全武器無制限使用を許可しろ!」
と言った。その命令は直ちにハワイに送られ、ウィルバー・ガーランドがGOサインを出した時とほぼ同時にマーカス・フィンレイも同じ内容を受け取り「了解」とした後に、全軍を全速航行に移り各艦の火器管制システムに火が入った。

 一方、現場では、無人機による波状攻撃をいち早く開始されたが、相手は、撃たれる恐怖が無い様にまるで暴れ猪武者の様に真っ直ぐに突進し、手に持っている大型の両刃剣の様な物を振りかざして向かって来ているが、アメリカ製の無人機は、事前に回避行動に移り反転攻撃を仕掛けていった。

 「くそ、なぜ避ける武士らしく戦え」
とISを纏っている箒が毒づくが、それは無理な話だと思う。
「畜生、殆ど効いて無いじゃないか、くそ」
と戦闘攻撃隊の総隊長が呟く。そしてふと思いつき、空中管制機のE-19コードネーム『サンタクロースホーム』を呼び出し、
「此方『ムーンエンジェル隊 エンジェル1』済まないが援護を頼む!俺たちがあいつを足止めするから『ネーメズィスチーム(AC-19)』を回してくれ」
「了解。直ちに『ネーメズィスチーム(AC-19)』を送る」
その命令は上空に待機していたAC-19の各機に伝えられ、全機攻撃態勢の為に機体左側面に次々に各種大型火器がせり出し、左旋回に移った。

 「目標視認。全機攻撃用意。」
「全戦闘攻撃機隊に通達。チャフ及びフレア使用後、離れろ!相手に目潰し食らわせてやれ!」
「「「「「了解」」」」」
とその空域にいた全戦闘攻撃機がそれぞれの機体に装備されたチャフやフレアーを盛大にはき出し、昼間なのに昼以上に明るく照らし出した。

 「くそ、前が見えない。目が痛いどうなっている!?」
と箒は、ISに装備された高性能視覚認識センサーが捉え拡大表示されたチャフやフレアーなどの光による視覚情報に惑わされ、動きを止めた。

 「未だ、全機総攻撃(フル・ファイア)開始!」
と戦闘攻撃機隊の総隊長が言いながら、全戦闘攻撃機の全残弾と『ネーメズィスチーム』によるAC-19の持つ下は7.62ミリ上は105ミリ榴弾砲までの各種火器から飛び出す各種弾頭を土砂降り以上の圧倒的空間制圧の為に各機がそれぞれ別高度を採りながら左旋回を続けISを火器にまるで洗濯機の中にいる以上の攻撃に晒し、さらに全戦闘攻撃機の各種機銃及びミサイル上下から叩き込み、ISの行動を完全に止めた。

  そして、ISに対する徹底した包囲殲滅戦闘が終了し、全機がその場に滞空し、煙が晴れるのを待った。なぜなら、この包囲式空間殲滅戦によって生じた煙には、多数の金属片が含まれており、その影響により作戦機の持つ各種視認装置による視認及び観測が出来ず、その場に滞空し、様子を見守っていた。

 「どうなっている。状況を説明しろ」
とピーター・シルバーマンが声高に叫びジャネル・ヴォイトに尋ねた。
「今の所、現地の攻撃隊の持つ各種観測装置による撮影が試みていますが,どうも其の一帯に多数の金属片により、妨害がされており今現在、カメラ映像などが不能の為に全部隊にその場に待機していますが、全攻撃部隊の兵装及び機銃の残弾は、すべてゼロなので帰投させた方が世のしいと思いますが、如何しましょう?」
とピーター・シルバーマンに尋ねると、
「分かった、残弾及び燃料が足りない機体は速やかに帰投させろ。ただし、空中管制機のE-19及び対地攻撃機のAC-19部隊はその場に待機、状況によっては攻撃を続けさせろ!良いな」
「は、分かりました。伝令をすぐさま送ります」
「そういえば、今の我が艦隊の位置はどこだ?」
「は、現在、作戦海域内までおよそ10分の位置です」
「そうか。現場海域に到達したら、一言言ってくれ」
「分かりました」

 その現場では、少しずつ煙が晴れていき、ISの姿を視認できた。ただ、ISの本体には多数の裂傷が多々あり、左右の分離式浮遊ユニットは完全に破損しており、その後爆発とともに消失した。また、両手で握っていた大型両刃剣もその刃は所々破損しており、その破損箇所からは時々スパークしており漏電も確認された。

『ダメージング、ダメージング。直ちに修復の為に帰投してください。繰り返します。本機に重大な欠陥及びダメージが確認されています。直ちに帰投もしくは、装着を解除して下さい。繰り返します....』
という危険な警告音声と共に多数の赤色の警告文字画面が多数の表示がされ、頭部のヘルメット型のバイザー内部に照らし出した。それを見た箒は、
「ああ、鬱陶しいぞ、そんな事は分かっている!邪魔だ、邪魔するな、うるさい機械の分在で喚くな。」
と口汚く罵ると同時に警告音が止まり、赤画面が消え、途切れ途切れの前方の視覚が映し出せれ、その画面には、旋回しながらも多数の銃砲をこちらに向けていた航空機が多数視られた。
「くそ、正々堂々と勝負しろ!卑怯共め!」
と叫んだが、外には聞こえなかった。そして、一機の航空機目掛け、突進していった。
「死ねえ、蚊蜻蛉めが、」
と罵りながら、所々破損した両刃剣を突き出し向かって行った。

 「此方、『ネーメズィス3』緊急事態発生、『UFO-1』活動再開!本機に向かってきます。速やかに迎撃します。繰り返す、『UFO-1』活動再開!」
と言った瞬間、周辺のAC-19部隊から多数の銃砲撃が加えられたが、ISはその攻撃を一身に受けながらもネーメズィス3に向かってきた。

 「うわ嗚呼、駄目です。ぶつかります」
「くそう、全員ショック態勢用意」
と機長が腹をくくった瞬間。

 バシュウン、バシュウン、バシュウン
という二条の赤い光線が、ISの手前の下から伸びていった。

 「此方『サンタクロースホーム』より全機に通達。海域内に『霧の艦隊』らしき軽巡洋艦を確認。繰り返す、『霧の艦隊』が出現した。全機その場にて、待機せよ」
 
 




 
  
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧