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俺はやはり間違った選択をした

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俺と彼女はやはり友達がいない

 
前書き
久しぶりの投稿です
期末試験も終わったのでこれからはもう少し更新のペースが上げられると思います 

 
翌日、俺はホームルームが終わると同時に教室を出ようと決めていた

教室でもたついていると糸井先生に連れていかれる未来しか見えなかったからだ

それにあの悪魔超人の早乙女とも会いたくない

昨日の数十分で俺のライフはマイナスまで減らされた

俺の精神は豆腐並みに弱いので今日も部活に行こうものなら闇のデュエルのルール上、俺は死ぬだろう

というか昨日の時点でマイナスになってる辺り俺本当は死んでるね

そんなことを考えているとホームルームがもうじき終わりそうだ

顔は机に突っ伏しているから糸井先生の顔は見えないが俺は少しばかり足に力を入れる

この体勢は陸上のクラウチングスタートと同義である

ということは俺は今超クールだと言えよう……言えないね

「えー、では今日はこれで終わりにしましょうか」

あれ?口調が違うような……

ええい!そんなこと今更かまっていられるか!

「起立」

クラス委員長らしき人が号令をかけると全員が立つ

俺もそれに習うよう立つ

だが目は開けていない、だって目が合っちゃったら逃げられない気がして……

俺は足に力を入れる

今日こそは家に絶対帰らなければいけない

そうだ、帰るんだ……あの癒しの園へ!

「礼」

委員長がそういった瞬間、俺は礼もせずに廊下に向けて一直線に駆けた

だがそこには本来居るはずのない、いや居てはならない人が居た

「やあ羽武谷、待っていたぞ」

「な、なんで先生がここに?!」

俺は驚きを隠せずに声を上げてしまった

思い返して見ると確かにあの時ホームルームをしていたのは糸井先生の声じゃなかったし色々おかしい点があったな

今更になって寝たふりなんかするんじゃなかったと思った

そう言えばこんな感覚、昔味わったことがある

確か小学4年の時だ

次の授業が移動教室だと知らずに休み時間寝ていたら誰も起こしてくれず、起きたら教室に誰もいなかったということがあった

あの時、遅れて理科室に入った時は超恥ずかった

入った瞬間クスクスと笑い声が聞こえてきたものだ

昨日のように俺がバッドトリップしていると糸井先生は質問に答えてくれた

「いやな、君はホームルーム後すぐに帰って部活に出ないと思ったのでな。待ち伏せをさせてもらった」

この人やっぱりおかしいよ

昨日は生徒を気絶させ、今日は待ち伏せとか先生としておかしいよ!!……おい、ということはちょっと待てよ

「さっきホームルームやってた先生にはなんて言い訳したんですか?」

「問題のある生徒に対して生活指導があると言っておいた」

間違って……はいないのか?

いや待てよ、俺は問題なんか起こしていない

むしろ存在を極力薄くして目立たないようにしている

ボッチが目立つということは破滅を意味する

些細なことでもネタにされ馬鹿にされ笑われる

そうボッチにとって平穏と目立たなさは比例するのだ

その努力の末に俺は未だに中学1年の頃から全教科合計で4回程度しか指名されたことがない(うち3回は糸井先生)

「いやそれは間違っています、俺は別に生活指導が必要なほど悪いことしていないし、成績もそこまで悪くない!」

糸井先生は声を嬉しそうに弾ませながらこう答えた

「確かにその点では君は実に優秀だ」

そうだそうだ、分かってるじゃないですか先生

「だが問題はそこじゃないのだよ羽武谷」

そう言って糸井先生は俺の首根っこを掴んでひきずって廊下を歩き出す

「私が早乙女に依頼したのは君の腐った根性と目の更生だからな、部活に言ってもらわなくては困る」

俺は先生に引きずられながらもうダメだと悟った

アメリア……といいたい気分だ

そこでふと教室の方に目を向けるとかのトップカーストの皆さんが出てくるではないですか

ホントあいつらって至る所にいるよな

生息分布作ったらゴキブリやフナムシに匹敵するレベルでいろんなところにウジャウジャいる

そうやって彼らを見ているとグループの1人の金髪の女子と目があった気がした

すぐに廊下を曲がってしまったので定かとはいい難いが……


☆☆☆



部室の前までくると糸井先生は俺をほっぽり投げて、ちゃんとやるんだぞと一言いってどこかに行ってしまった

しょうがなく俺は教室のドアに手を掛け中に入った

教室内には昨日と同じ光景が広がっていた

早乙女は本を閉じて机に置き、組んでいた白い線の入った黒いニーソに包まれた脚を戻した

「あら、てっきりもう来ないのかと思ったわ」

「俺もできれば来たくはなかった」

そう言って俺は昨日と同じ場所に座って鞄の中に入った文庫本を取り出して読み始める

「あなたマゾなの?昨日あれ程言われたのにまた来るなんて。それともストーカー?」

「あのな、なんで俺がお前のことが好きな前提で話が進んでんだよ」

「違うの?」

俺がそういうと早乙女は首を傾げて不思議そうに俺の方を見た

「ちげぇーよ!ていうかどんだけ自意識過剰なんだよ」

「そう、私に近づいてくる男子は大抵私に好かれようと近づいてきたわ。私、可愛いから」

「そうですか、それならそれはまぁー楽しいスクールライフを送っていることで」

俺がその言葉を呟くと早乙女は少し口篭った

不思議に思って早乙女を見ると少し俯いていた

すると自分のことを見られている事に気がついたのか、早乙女は慌てて言葉をまくし立てた

「え、ええそれは勿論充実しているわ」

そのことに違和感を覚えた俺は1つ質問を投げかけてみることにした

「……あのさ、お前って友達いんの?」

「まずどこからどこまでを友達と定義するのか教えてもらえるかしら」

「ああーもういいや、それ友達いないやつのセリフだ」

俺がそう言うと早乙女は、気まずそうに視線を逸らした

確かに自分を可愛いとか言ってこんな態度を取ってる奴がそもそも良好な友人関係を築ける訳が無いのだ
まぁ普通の友人関係さえ築けていない俺が言えたことじゃないんだけどね

「しょうがないじゃない……友達なんてどうやって作ったらいいかわからないもの」

「確かにな、そんな簡単に友達作る方法があったらみんなリア充でみんな幸せだろうな」

「それに作ったところで意味なんかないわ」

その言葉を聞いた瞬間俺の中の何かが早乙女に反応した

俺の根幹を成すものが表に出てこようとするがそれをなんとか押さえ込む

「小学校の時、30回ほど上履きを隠されたの。その内20回は同じクラスの女子にやられたわ」

「残りの10回が気になるな」

「教師に買い取られたのが3回、男子に隠されたのが2回、犬に盗まれたのが5回よ」

「犬率高いな」

「共感するところが違うと思うのだけれど」

それにしても早乙女にもそんなことがあったとは・・・・・・

きっと彼女は持つ者故の苦悩を抱えているのだろう

俺のように何も持たない者の苦悩とは種類が違う

だけど持ってるのに悩む方が断然いいと思うんですよ

なにせこっちは選択肢が少ないがあっちは沢山あるわけだし

俺なんか手札は常に3枚以下だからな、相手が5枚なのに対して

「私、小学校の頃は5年生の時にこっちに引っ越してきたの」

俺は何も言わず彼女が話を続けるのを待った

「クラスの女子は私を排除しようと必死になったわ。だけど誰一人として自分を高めようとした者はいなかった、あの低脳共め」

なんだよ最後のあの言葉……怖すぎんだろ早乙女雪乃

ちょっと謝っちゃいそうだったぜ

すると2回ほどドアがノックされる

早乙女は数秒後どうぞ、と言ってその来訪者に教室に入ることを許可した

「えーと、糸井先生に言われて来たんだけどここが相談補助部よね?」

なんと入ってきたのはさっき廊下で目が合ったリア充軍団構成員のバーニングさんだった!! 
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