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大陸の妖精

作者:sinの妖精
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月を破壊せよ

 
前書き
次回でデリオラ編終了、そして新章突入
 

 


アルト「よーし!これで一件落着ってわけだな!!」


グレイ「あぁ・・・」


リオンを肩に背負うグレイ



ナツ「おーい!アルト!グレイー!!」


ナツ達が遺跡の上から降りてくる



アルト「おうナツ!無事だったか!!」


ナツ「いやー終わった、終わったーっ!!」


ハッピー「あいさー!!」


アルト「これでS級クエスト達成だな!!」


ナツ「これで2階にいけるぞーっ!!」


子供のようにはしゃぐアルトたち



ルーシィ「本当・・・一時はどうなるかと思ったよ・・・すごいよね、ウルさんって」


グレイ「・・・・・」


戦いが終わり安堵するルーシィとグレイ



エルザ「・・・・・」ゴゴゴゴ



そんな中エルザ一人だけが顔に青筋を浮かべ、アルトたちを見据える



アルト「え゛っっ!!?エルザー!!?」ガーン


エルザの姿に気づき、一人驚くアルト



アルト「エ、エルザも来てたんだ・・・(汗)」


ルーシィ「そうだ、お仕置きが待ってたんだ!!」


エルザ「その前にやることがあるだろう、悪魔にされた村人を救う事が今回の仕事の目的ではないのか」


ルーシィ「え!!?」


アルト「そういえばそうだった・・・デリオラのせいで忘れてた」


エルザ「S級クエストはまだ終わっていない」


ルーシィ「だ、だって・・・デリオラは死んじゃったし、村の呪いだってこれで・・・」


エルザ「いや・・・あの呪いとかいう現象はデリオラの影響ではない」


アルト「じゃあやっぱり月の雫ってやつの影響で・・・?」


エルザ「恐らくな・・・だからデリオラが崩壊したからといって事態が改善する訳がないだろう」


ルーシィ「そんなぁー」


ガックリと肩を落とすルーシィ



グレイ「リオン・・・お前が何か知ってんじゃねえのか?」


グレイは岩にもたれかかっているリオンに目を向ける



リオン「オレは知らんぞ」


しれっとした顔で答えるリオン



ナツ「何だとォ!?」


ハッピー「とォ!?」


ルーシィ「だって、あんたたちが知らなかったら他にとうやって呪いを・・・」


リオン「3年前、この島に来た時、村が存在するのは知っていた・・・しかしオレたちは村の人々には干渉しなかった・・・奴らから会いに来る事も一度もなかったしな」


エルザ「3年間一度もか?」


ルーシィ「そういえば遺跡から毎晩のように月の雫の光がおりていたハズだよね、なのにここを調査しなかったのはおかしな話よね」


アルト「ていうかさ、お前らってこの島に3年間いたんだよな?」


リオン「あぁ」


アルト「なんでこいつらの身体は悪魔になってないんだ?」


ナツ「!」


ルーシィ「た、たしかに!!!」



リオン「それは俺も疑問に思っていた・・・気をつけな、奴らは何かを隠してる・・・ま、ここからはギルドの仕事だろ」



そうして、リオンの話を聞いたエルザたちはすぐさま村へ向かった



アルト「おい」


リオン「・・・なんだ?」


アルトがリオンに声をかける



アルト「お前はこれからどうすんだ、目標が無くなっちまったんだろ?」


リオン「フン・・・貴様には関係のないことだ」


アルト「もしお前にその気があるなら、どっかのギルドに入れよ・・・仲間がいて、ライバルがいて、きっと新しい目標が見つかる」


リオン「・・・・・」


アルト「そうなったら・・・いつの日にか、勝負の決着つけようぜ」


リオン「く・・・くだらん・・・さっさと行け」










――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



アルト「どうなってんだこりゃ・・・」


ナツ「村が戻ってるーっ!!?」


見ると、毒毒ゼリーの影響でボロボロになった村が元に戻っていた



ナツ「どーなってんだ!!まるで時間が戻ったみてーだ!!」


アルト「時間・・・!?」


「時間」という言葉を聞き、アルトは仮面をつけた魔導士を思い浮かべる



アルト「まさか・・・アイツか・・・?」


ルーシィ「どうしたのアルト?」


アルト「いや・・・なんでもない・・・それよりも荷物をとってこようぜ」


ルーシィ「そうだった!あたしたちの荷物っ!!」


アルトとルーシィが荷物を取りに向かう


その途中、元に戻ったボボの墓の前に座る村長の姿があった


村長はアルトたちに気づくと立ち上がり、ゆっくりと近づく



村長「村を元に戻してくれたのはあなた方ですかな?」


ルーシィ「あ・・・いや・・・そーゆー訳じゃ・・・」


村長「それについては感謝します・・・が、しかし!!」


興奮気味の村長がアルトたちを怒鳴る



村長「魔導士どの!!一体・・・いつになったら月を壊してくれるんですかな!!!」


ルーシィ「ひぇー!!」


アルト「そんな事言われたってなァ・・・(汗)」


アルトたちが困り果てているとエルザがやってきて答えた



エルザ「月を破壊するのはたやすい」


アルト「えっ!!?」


グレイ「オイ・・・とんでもない事しれっと言ってるぞ」


ハッピー「あい」


エルザ「しかしその前に確認したい事がある、皆を集めてくれないか」


エルザの呼びかけに村の人たちが一か所に集まった




エルザ「整理しておこう、君たちは紫の月が出てからそのような姿になってしまった・・・間違いないな」


「まぁ、正確に言うとあの月が出ている時だけこのような姿に・・・」


エルザ「話をまとめると、それは3年前からということになる・・・」


「確かに・・・その通りだ・・・」


エルザ「しかし・・・この島では三年間、月の雫の儀式が行われていた・・・遺跡には一筋の光が毎日のように見えていたハズ」


エルザが説明しながら村の入り口の前を歩く



エルザ「きゃあ!!!」


すると、以前ルーシィが入口の前に仕掛けた落とし穴に落ちてしまった



ハッピー「お・・・落とし穴まで復活してたのか・・・」


ナツ「きゃ・・・きゃあって言った・・・ぞ」


グレイ「か・・・かわいいな・・・」


アルト「・・・ルーシィのせいだよ」


ルーシィ「わー!わー!あたしのせいじゃない!!あたしのせいじゃない!!」



エルザ「つまり、この島で一番怪しい場所ではないか」


エルザが何事もなかったかのように落とし穴を這い上がる



アルト「エルザ、大丈夫?」


エルザ「あぁ、問題ない」


「何事もなかったかのようだぞ・・・」


「問題ないだってよ・・・たくましい」


エルザ「なぜ、調査しなかったのだ」


エルザの問いかけに村人たちは口を濁す



エルザ「・・・本当の事を教えてくれないか?」


すると村長が答えた



村長「そ・・・それが、ワシらにもよく・・・分からんのです・・・正直、あの遺跡は何度も調査しようといたしました」


アルト「なら月の雫の儀式にも気づけたんじゃないのか?」


村長「それが・・・近づけないのです、遺跡に向かって歩いても・・・気がつけば村の門・・・我々は遺跡に近づけないのです」


アルト「そんな事が・・・!?」



グレイ「・・・!!」


ルーシィ「ど・・・どーゆう事?近づけない?」


ナツ「俺たちは中に入れたぞ、ふつーに」



エルザ「やはり・・・か」


アルトたちが驚く中、一人頷くエルザ



エルザ「アルト・・・ついて来い」


そう言ったエルザは鎧を換装する



エルザ「これから月を破壊する」


アルト「え゛っ・・・!!?」


ナツ「おおーっ!!」


ルーシィたち「「「えーっ!!!」」」





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

月の破壊を目論むエルザとアルトは村の高台に上っていた


「これから月を壊すのか・・・」


「おお・・・」


「やっと元の姿に戻れるんだ」


そしてエルザとアルトに期待の眼差しを向ける村人たち



グレイ「月を壊すってのは・・・さすがのエルザでもそれは・・・無理だよな?」


ルーシィ「な・・・何をするつもりだろ・・・?」


ナツ「楽しみだなぁー!!」


ハッピー「ドキドキするね」



エルザ「この鎧は巨人の鎧、投擲力を上げる効果を持つ」


さらにエルザは一本の槍を取り出す



エルザ「そしてこの槍は闇を退けし破邪の槍」


アルト「まさかそれを投げて月を壊すのか・・・?」


エルザ「いや、それだけではあそこまでは届かんだろう・・・だからお前の衝撃波でブーストさせたい」


アルト「・・・??」


エルザ「石突きを思いっきり殴るんだ、巨人の鎧の投擲力とお前の衝撃波を合わせて月を壊す」


アルト「お、おう・・・分かった」


エルザ「いくぞ」



グレイ「エルザのノリにアルトがついていけてないな・・・」


ルーシィ「まさか本当に月が壊れたりしないよね・・・」


ナツ「壊れたらすっげーぞ!」


エルザが思いっきり振りかぶる



エルザ「アルト!!」


アルト「おう!」



エルザ「届けェェえええええっ!!!!」



アルトが衝撃波を纏った拳で槍の石突きを殴り、エルザがその勢いに乗って槍を月へ向かって投げる


投げられた槍は空に刺さり、紫色に輝く月にヒビが入った


しばらくすると紫色の月と共に空が割れ、その奥から本物の月と空があらわれた



アルト「えっ!?」


ナツ「月!?」


ルーシィ「割れたのは月じゃない・・・空が割れた・・・?」


グレイ「どーなってんだ・・・!?」


エルザ「この島は邪気の膜で覆われていたんだ」


アルト「膜!?」


エルザ「あぁ、月の雫によって発生した排気ガスだと思えばいい・・・それが結晶化して膜をはっていたんだ、その為月は紫色に見えていたという訳だ」


本物の月があらわれると、村人たちの身体が輝き始める



ルーシィ「わぁあ・・・きれい」


アルト「これで村の人たちは元の姿に戻れるのか・・・」


しばらくすると村人たちの輝きは消え、姿は悪魔のままだった



グレイ「・・・元に戻らねえのか・・・?」


ナツ「どーすんだよっ!!?」


エルザ「いや・・・これで元通りなんだ、邪気の膜は彼らの姿ではなく彼らの記憶を冒していたのだ」


アルト「記憶?」


エルザ「『夜になると悪魔になってしまう』・・・という間違った記憶だ」


アルト「えっ・・・じ、じゃあ・・・ここの村人たちは・・・!!」


エルザ「そういう事だ、彼らは元々悪魔だったのだ」



「「「「「えぇぇぇぇぇぇっっ!!?」」」」」



村人たちの正体に驚くアルトたち



グレイ「ま・・・・・マジ?」


村長「う・・・うむ・・・まだちょいと混乱してますが・・・」


エルザ「彼らは人間に変身する力を持っていた、その人間に変身している自分を本来の姿だと思い込んでしまった・・・それが月の雫による記憶障害」


ルーシィ「でも・・・それじゃあリオンたちは何で平気だったの?」


エルザ「奴らは人間だからな、どうやらこの記憶障害は悪魔だけに効果があるらしい」


アルト「じゃあ何で村の人たちは遺跡に近付けたんだ?」


エルザ「それは恐らく彼らが悪魔だからだ・・・聖なる光をたくわえたあの遺跡には闇の者は近付けない」



「さすがだ・・・君たちに任せてよかった」


エルザの説明が終わると、一人の悪魔がアルトたちに声をかける



ボボ「魔導士さん、ありがとう」


その悪魔とは死んだと思われていたボボだった



村長「ボ・・・ボボ・・・」


ルーシィ「幽霊!!」


グレイ「船乗りのおっさん!?死んだハズじゃなかったのか!!?」


ボボ「俺たち悪魔は胸を刺されたくらいじゃ死なねェさ!!」


ボボが笑顔で答える



アルト「じゃあ・・・あんた今までどこにいたんだ!?」


するとボボが背中から羽を生やし、空を飛ぶ



ボボ「あの時は本当の事が言えなくてすまなかった」


ナツ「おおっ」


アルト「飛んだっ!?」


ボボ「オレ一人だけ記憶が戻っちまってこの島を離れてたんだ、自分たちを人間だと思い込んでる村の皆が怖くて怖くて・・・」


村長「ボボー!!!!」


村長が目に涙を溜めながらボボに抱きつく



ボボ「やっと正気に戻ったな親父!」


すると村の悪魔たちも空を飛び、ボボの無事を祝福する



エルザ「ふふ・・・悪魔の島・・・か」


ナツ「でもよ・・・みんなの顔見てっと・・・悪魔ってより天使みてーだな」


アルト「よかったなぁー!村長のじーさん」


「ボボが生きてたー!」


「めでたいぞー!」


「今夜は悪魔の宴だー!」


ルーシィ「なんかすごい響きね・・・それ」


ハッピー「あい」


その後、ガルナ島では悪魔たちと数人の人間の笑い声が響いていたらしい





そんな中、ガルナ島の森からアルトたちを眺める人物が一人



ザルティ「ご覧になりました?」


「ああ」


ザルティの横にある水晶から声が発せられる



「なぜ村を元通りに?」


ザルティ「サービス♡」


「やれやれ・・・しかし・・・思いのほかやるようだな」


評議員の一人、ジークレインが呆れた様子で水晶越しのザルティを見る



ジークレイン「フェアリーテイル、オレたちの邪魔にならなければいいがな」


するとザルティが仮面をとり、煙に包まれた


煙の中からは長い黒髪の美しい女性が現れた


ウルティア「そうね」

 
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