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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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マザーズロザリオ
  絶剣との出会い

ライトsaido
俺は相棒〈雷狼号〉に乗り、横浜港総合病院に来ていた。
今日ここに来たのは、俺と茅場先生たちで作り上げたものがそこにあるからだ。
バイクを折り、ガラスの二重扉をくぐり、エントランスに入ると、すぐにカウンターに向かう。
「どうされました?」
女性看護師が俺を見て言う。
「えっと、俺はこういう者なんすけど……」
と、名刺を取り出して渡すと、看護師が再び俺を見る。
「ああ!あの天才プログラマーの!!」
「はい。今はラボのしがない研究員ですけどね。所で、こちらで〈メディキュボイド〉の臨床試験をしていると聞いたので、今日伺ったのですが……」
「ああ、そうでしたか。こちらのパスカードを使って四階にどうぞ」
トレイから出されたパスカードを取って、四階に上がった。

〈メディキュボイド〉――――元々、これはナーヴギアの延長線上にあった医療用フルダイブ機器だ。茅場先生と、俺が基礎設計を行い、他のラボの人間も、少なからずその存在を知っていた。
しかし、それは実現されることなく放置され、俺と茅場先生はデスゲーム〈ソードアート・オンライン〉へと誘われた。
そして昨日、同じラボにいて、茅場先生と共にいた女性「神代凜子」からメールが届き、〈メディキュボイド〉の臨床試験をやっているこの病院を訪ねたのだ。
「ここか……」
しばらく歩くと、第一特殊計測機器室とプレートに書かれた所に行き着いた。
しかし、スライドドア式・カード認証式の為、中に入れない。
「…チッ。しかたねぇ…」
デイバックからハッキング用のパソコンを取り出し、ハッキングしようかと思った時。
「ああ!こちらにいらっしゃいましたか!!」
男性がこちらに走ってきた。
「えーっと……?」
「ああ、申し遅れました。僕は倉橋といいます。〈メディキュボイド〉を見に来たんですよね?」
「あ、ああ……早速だが、頼めるかな?」
俺が言うと倉橋と言う医師はカードをパネル下部のスリットに通した。
すると、ドアが開き、俺達は中に入った。
Saidoaut



































ダークSaido
「―――アスナ、ダーク、もう聞いた?〈ゼッケン〉の話」
ALOのアスナの家でのんびりと論文を読んでいた俺とホロキーボードを打っていたアスナの手が止まった。
「〈ゼッケン〉?誰かの二つ名か?」
「さすがダーク!!勘が鋭いわね。その通りよ」
リズが指を振る。
「何でも余りにも強すぎるから付いた名前が絶剣なんだって」
「へぇ……」
そんな話を聞くと好奇心が沸くのが俺だ。最近はライトやロードの相手は飽きてきた所だ。
「それで、強いってその人はプレイヤー狩りなの?」
アスナが聞く。
「んーん、デュエル専門よ。24層主街区のちょっと北にさ、でっかい木が生えた観光スポットの小島があるじゃない?あそこの根元に、毎日午後三時になると現れて、立ち合い希望プレイヤーと一人ずつ対戦すんの」
「大会には出てたのか?」
「や、それがまったくの新顔らしいよ?それでね、最初は〈Mトモ〉の掲示板に書き込みがあってさ。ALO初心者の癖に生意気だ、いっちょ凹ましたろう、って奴ら三十人くらいで押しかけたらしいんだけど……」
「綺麗に返り討ちにされた、と」
「うん。HPを三割以上割れた人は一人も居なかった、って言うんだから相当だよね」
「ちょっと信じられませんよねー」
もぐもぐとフルーツタルトを食べるシリカが割って入る。
「あたしなんか、まともに空中戦闘出来る様になるまで半年くらい掛かったんですよ。なのに、コンバートした手であの飛行っぷりですからね!」
すると、ピナの上に乗るミリィが言う。
「私も見たけど、クロウとほぼ同格の飛行をしてたわよ?」
「へぇ……。って言うと、シリカも戦ったのか?」
「いえ、観戦しただけで勝てないのは確信してましたよ。ま、リズさんとリーファ、ライトさんやミヤビさんはそれでも立ち合ったんですけどね。ほんと、ちゃれんじゃーですよね」
「うっさいなぁ」
「何事も経験だもん」
そう言えば、ライトとミヤビがそんな事言ってたな…、と思って言う。
「ライトとミヤビを打ち破るんだから本物なんだろうな。期待度大だ」
「私もちょっとワクワクしてきたなぁ」
「ふっふ、二人がそう言うと思った。月例大会上位どころで残ってるのは、サクヤとかユージーンのとかの領主やら将軍組なんだけど、あの辺は立場的に辻試合は難しいしねぇ」
「だが、そこまでの強さを見せ付けたら、対戦希望も無くなるだろう?」
「それがそうでもないんです。賭けネタが振るってるんですよ」
と、シリカ。
「ほう…。何を賭けているんだ?」
「なんと、〈オリジナル・ソードスキル〉を賭けてるんですよ。すっごい強い、必殺技級のやつ!」
「OSSか。何系の何連なんだ?」
「えーと、見たトコ片手剣汎用ですね。なんとびっくり十一連撃ですよ」
「じゅーいち!」
「へー」
因みに今、最高連撃のOSSを持つのは俺の片手武器汎用のソードスキル〈ハウリング・ダーク・ブレード〉、訳すると〈雄叫び闇の剣〉二十六連撃。
但し、明るみに出てないので事実上、その十一連撃が最高だ。知る者は本人と、翡翠だけだ。
「そう言うなら対戦希望が殺到しても仕方ないな。お前等はそのソードスキルを見たのか?」
「うん。ライトとミヤビの二回。凄かったよ」
「ほう…。――――そう言えば、まだ種族と武装を聞いていないな。何なんだ?」
「あ、闇妖精族ですよ。武器は片手剣ですけど、アスナさんのレイピアに近いくらい細めかな。――――ともかく、速いんですよ。通常攻撃もソードスキル並みのスピードで…」
「スピードと言えばキリトだな。まさかキリトも…」
「はい。お兄ちゃん、そりゃもうかっこよく負けました」
途端、アスナが口をぽかんと開けた。
「本気だったのか?」
「う~ん…こう言っちゃなんだけど、あの次元の戦闘となるとあたし程度じゃ本気かどうか判らないんだよね…」
「そうか…。だが、あいつがもう本気を出すことはないだろうな…」
俺はキリトを見て言う。
「さて、それよりデュエルだな」
「そうね。キャラはどうするの、二人共?」
リズの問いに、少々考える。俺は現在SAOデータをコンバートしたケットシーの〈ダーク〉の他に、新規で一から育てているサラマンダーの〈ショウ〉、スプリガンの〈シャドウ〉、氷妖精族の〈グレイ〉(因みにバージョンアップしたときに手に入れたもの)がある。但し、グレイは領主な為辻試合はし難い。その為残った三人で決めねばならない。
主要武器はダークが刀、ショウは片手剣Or両手槍、シャドウは両手剣だ。
まぁ、PvPならダークが一番だが。
「ダークで行く」
「じゃあ私は慣れてるこっちで。スピード型ならギリギリ見切り勝負になるだろうし」
「それじゃあ決まりだな。午後三時に24層の小島に現れるんだったな。なら、二時半に集合な」
こうして、絶剣と戦うことが決まった。






































翌日、24層〈パナレーゼ〉

俺は何故か、ライトと一緒に別の小島に立っていた。
「…絶剣と戦うそうだな」
「ああ。どんな奴か見てみたいからな」
「キリト以上だとしてもか?」
「ああ」
すると、ライトが俺にブラッティ・ギルティを差し出す。
「…使え。お前なら、一番使えるだろうからな」
「…おう」
俺はそれを受け取ると、デュエルの小島まで飛んだ。

デュエルのある小島まで行くと、既にアスナたちが来ており、俺は少し離れた場所に降り立つと、飛んでいるプレイヤーを見た。
そして、俺はそれを見て、驚いた。
「ユウ…キ…」
何処かの異世界で会った少女、ユウキ。その姿が俺の目に飛び込んできた。
この世界のユウキだと分かっていても、手を伸ばさずにはいられなかった。
「え~っと、次に対戦する人いませんか~?」
聞き覚えのある声に反応し、アスナより先に俺が前に出た。
 
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