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《Sword Art Online》 ¢ 踊る巫女と騒音男 ¢

作者:黒翼
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Two:前進する戦士たち《前編》

 
前書き
いちびった感じで《前編》とか書いてますが、ボス攻略の戦闘前までです(笑)気分で前編とつけました、すみません(笑)

一応今回はユイナ視点をいれてみました。主人公なのに視点が一回もないのはどうかと思ったので(笑)

 

 

「はーい、それじゃあ、そろそろ始めさせてもらいまーす!」

手を叩く音と同時に、澄んだ男性の声が響く。水色の、装いは騎士といった様な青年だ。名はディアベルと言うらしい。

ここは、第1層《はじまりの街》のとある広場だ。現在行われているのは、ボス攻略会議。ゲーム開始から約2ヶ月もの時を経て漸くボス部屋が発見されたのだ。その発見者こそ、ディアベルだ。

そして、その会議には勿論ユイナとユウガの姿があった。彼女等も装備の充実はまずまずと言ったところだろうか。防具もクエストをクリアして入手した、現在での高性能品だ。また、ユウガの武器は採集系クエストをクリアする事で入手する事が出来る《アニールブレード》。第3層くらいまで使える優れ物だ。

「俺達はボスを倒して、このゲームから3年以内に脱出出来るって言う意思を見せなきゃならない!!そうだろ、皆!?」

ディアベルの熱い演説は続く。それに同意する者もいれば、綺麗事だと吐き捨てる者もいるだろう。ただ、この場にいる全員が拍手しているあたり、後者はなさそうだ。

「ディアベルさんみたいにリーダーシップのある人がいるから、皆希望を捨てないんですね······」

「裏で何考えてんだか分かんねぇけどな」

感動するユイナの傍らで、軽い冗談をぬかすユウガ。それが彼の長所でもあり、同時に短所でもある。ユイナはそんな彼を軽く睨むが、彼は欠伸(あくび)をして流す。そんなやりとりはしょっちゅうだ。

「早速だけど、6人のパーティーを組んで欲しい。ボスは個別では倒せない、出来るだけ多くのレイドが欲しい!!」

ユイナとユウガは少し苦い顔をする。今の今まで2人で戦ってきたのだ、6人など集まるか分からないのだ。辺りを見渡す。そこには、同じく2人のパーティーがある。

「わり、俺等もいれてもらえね?」

「お願いします···」

2人は目前の少年と、フードで顔を隠した少女に頼み込む。少年は2つ返事で許可してきたので、パーティー申請を送る。少年の名は《kirito》、少女は《Asuna》。

「宜しくな、キリト」

「ああ、少しの間だけど仲良くしよう、ユウガ」

握手を交わす。野郎2人は無駄な笑みを浮かべる。

「えっと······ユイナです、ユイナでいいですよ。宜しくお願いします、アスナさん」

「···!?······宜しく、ユイナ」

表情までは読み取れないが、アスナの口は笑っている。どこぞの野郎2人と違って華やかな光景が広がる。冗談は右から左に流そう。

「よし······そろそろ組終わったかな、じゃあ再開しよう!」

某ダミ声のサボテンの出る幕など何処にもなく、攻略会議が再開される。

――曰く、ボスの名は《イルファング・ザ・コボルドロード》。《ルイン・コボルド・センチネル》という取り巻きがいる。

――曰く、武器は斧とバックラー。3段あるHPバーが残り1段に、且つ危険域に突入すると武器をタルワールに切り替え、攻撃パターンも変わる。

厄介な事ばかりだが、十分に注意しつつ攻略に臨めば苦労する程のボスではない。現在の情報を頭に叩き込み、どう戦略を立てるかが鍵になってくるのだ。

「最後に、アイテム分配についてだが······金は全員で自動均等割り。経験値は、倒したパーティーの物。アイテムは、ゲットした人の物とする。依存はないかな!?」

反対意見はない。ディアベルから「解散」の合図が出される。お開きとなった開場に長居する理由はない。ユイナ達も席を立った―――


* * * * *


§ SIDE:YUINA §

愈々(いよいよ)明日はボス攻略。万全の準備で挑まないと、私程度では飛んでくる蝿の様にあしらわれると思います。それに、希望を示す戦いでは死者を出したくありません。その為には、私も死なないように努めないと。

「ボス攻略かぁ······まあ、今まで通り立ち回れば何も問題ねぇだろ」

隣で頼もしい発言をするのは、第1層から知り合って以降今の今まで共に戦ってきた相棒(バディ)、ユウガ。彼は1000人しか当選出来ない《ソードアート・オンライン クローズドベータテスト》に当選した幸運の持ち主であり、このゲームに関する知識もそこそこあります。おかげで私もいい感じにレベリングが出来たりしました。

「ユウガ、油断は出来ませんよ。変更が施されていたり、何かしらのイレギュラーな事態が起こるかもしれません」

我ながら母の様な言い方だとも思います。ユウガはそれに「へーい」とだけ返すと、装備を整えると言って別れました。宿も別々なので、おそらく会うのは明日になるでしょう。私はもう既に装備品のメンテナンスも済ませ、必要なアイテム類も買い揃えてあるので宿に戻る事にしました―――


* * * * *

――ポチャン――

雫が壁を滴り、地面に垂れる音がします。雨が降っていると言う訳ではありません。現在入浴中なものでして。

「~♪~♪」

お風呂に入っている時は、女性なら皆気分が高まるのではないでしょうか。私は、今のように鼻歌を歌ってしまったりする程高まります。

湯船から上がり、バスチェアに座って足元のシャンプーを3回押し出し、優しく髪に絡ませ、泡立てます。ある程度泡立ったところで、シャワーを浴びて洗い流します。鏡の曇りを手で拭うと、そこには現実の私の姿。姿だけが現実で、世界だけはゲーム。茅場晶彦は何を思い、この世界を作り上げたのでしょうか······?

結局、14歳がいくら知恵を絞ったところでこれと言った回答は導き出せません。思考を断つために頭を振り、シャンプー、リンス、ボディーソープで全体を洗ってから浴室を後にしました――――


* * * * *


§ SIDE:AUTHOR §

お風呂から上がって直ぐ、ユイナは微睡みの中に身を投じた。気のせいか、彼女の身体は震えている様に見えた―――

 
 

 
後書き

authorは作者と言う意味で、何か《SIDE:作者》だとダサいなーと思ってこうしました。

ユウガ「その思考はどうなんだよ······。取り敢えず、感想と御指摘等、歓迎してるんで是非どうぞ~」

そして次回もお楽しみに!

 
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