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機神呼嵐デモンベイン

作者:ハイド
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第四部『CHILD'S PLAY ~邪神暗躍ッ!闇に囚われた少女を救え!だゾ~』
  第13話『何事も決して怯まぬ、揺るがぬ、退かぬ、確固たる信念が大事。その為にも、栄養はしっかり取っておかないとダメだよね』

 
前書き
皆さん、長い間おまたせしてしまい申し訳ありませんでした。
今回の話は、ギャグとかも薄めかもしれないです・・・久しぶりなのに本当に申し訳ない・・・(汗)

では、どうぞ~。 

 
「ん・・・ううん・・・」
 朝、窓から差し込む光で風間は目を覚ました。自分は確か、神之介やボーちゃんと焼肉屋で食事し、日ごろの鬱憤とか色々あったからヤケのみして・・・。
「酔っ払って、家に送ってもらったんだな・・・。ソファーでひまわりちゃんと、アルちゃん・・・でいいんだよな。彼女達が寝てるって事は神之介の家か・・・」
 体を起こし、近くのソファーで寝息を立てているひまわりとアルを見て、呟く。とそこへ・・・、
「てけり・り」
「・・・ん?」
 何か変な声が聞こえた。自分の真下からである。
(ベッドの下に誰か居るのか・・・?)
 そう思い、ベッドの下を見ようと視線を自分が寝ていたであろうベッドの方に向け・・・固まった。
 それは透明なオレンジ色のウォーターベッドのようなものであった。・・・それだけならば、風間も固まらなかったであろう。彼を固まらせたのはそのベッドのようなものについていたあるものである。
「・・・」
 此方を見据える一つの目、そしてωな感じの口。・・・明らかにベッドにあってはならないモノである。
「てけり・り」
「」
 その『何か』が発した一言により、只でさえギリギリな風間のSAN値、0を天元突破。
「ぎぃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
 んでもって、SAN値が『さぁ、振り切っちまったぜ!』な状態になったため、当然のごとく一時的発狂、絶叫が部屋一体に響いたのであった。

Side 神之介

「んが・・・?何だ何だ・・・?」
「うにゅう・・・せっかく人が良い夢を見てたというのに・・・」
「ん~・・・、眠い・・・」
 耳を劈くような叫び声で夢から覚め、オラはむくりと体を起こす。オラ以外にも、ひまとアルの声が聞こえたので、多分2人も今の叫びで起きたようだ。
「あばばばばばばばばばばばば!ベッドから目が目がfじゃdksl;ふじこdlkj!!!」
 叫び声の方をした場所を見やると、真っ青な顔で意味不明の言葉を口走っている風間君が居た。
「おはよー、風間君。何があったの?」
「あ、あれは・・・アレは何だ!?」
「アレ?」
 風間君が指差すほうを見ると、一つ目のスライムのようなナマモノがいた。オラはそれに見覚えがある。
「ああ、コレな。ダンセイニって言うんだ。コイツはショゴスの一匹・・・って言った方がいいな」
「ショゴス?」
「『古のもの』がこき使ってた奉仕種族だ」
「何でソレがここに居るんだよ!?」
「ここにはベッドが無いであろう?」
 風間君の問いに、アルが割って入って答える。・・・彼女の言うとおり、オラの事務所にはベッドが無い。一人だった時は、ソファーをベッド代わりにしていたが、アルとひまわりが来てからと言うもの、それを彼女達に譲り、オラは床をベッドにしている。
「妾達はソファーをベッド代わりにしておるが、肝心の神之介はと言うと、床で寝ているからな。流石の妾も不憫だと思ったのだ」
「つまりは・・・、神之介はこのナマモノをベッド代わりにしていたと・・・?」
「Exactly(その通りでございます)」
 まぁ、昨夜は風間君をダンセイニに寝かせて、オラは床で寝たんだけどな。
「し、神之介・・・、お前、こんな一つ目のスライムのようなナマモノの上で寝て平気なのか?」
「うーん、まぁ・・・最初は抵抗があったけど。寝心地がいいし、住めば都ってモンだゾ。実際、寝心地良かっただろ?」
 風間君の問いに、オラはそう答える。ぴしり・・・。と風間君は凍りつくと・・・、
「・・・確かに、寝心地は良かったな。・・・うん・・・寝心地は・・・」
 そう半ば考えるのをやめたような表情で答えた。・・・気持ちは分からなくもない。オラもはじめてはそうだった。
「さて、と・・・兎に角。朝食にしようぜ。ひま、『おはチョコビ』取って」
「はーい」
 風間君は立ち直るまでひとまず放っておいて、朝食を取る事にする。ひまわりに、朝、オラ達がいつも食べているシリアル『おはチョコビ』を取ってもらう。が、ここで問題が・・・。
「お兄ちゃん、おはチョコビが切れてるよ~」
「げ、マジか?」
「どうするのだ?神之介よ」
 なんと、おはチョコビが切れていたでゴザル。アルの言葉に、オラはう~む・・・と腕組みをしながら考え、ある事を閃いた。・・・それは・・・。

―ライカの教会。

「今から朝飯買いに行くのも面倒だから、ライカさんとこで朝食とっちまおう。・・・てな訳で」
「「メシ~」」
「ふざけろっ・・・!おかしいぞっ・・・!その理屈っ・・・!」
 ライカさんの所にメシをタカリに来ました。風間君から、ツッコミを貰ったが気にしないもん。
「うわーい、ゴク潰しの傍若無人共が増えちゃいましたよ~。しかも二人~」
「二人って・・・僕もカテゴライズされてるのかっ・・・!?不幸っ・・・!圧倒的不幸っ・・・!」
 相変わらず毒舌なシスターなこって。
「失敬だなァ・・・。オラ昨日定期収入のあるちゃんとしたお仕事が入ったのに~」
「・・・とうとう神之介ちゃん、貧困の余り現実と虚構の区別がつかなくなっちゃったのね」
 し・・・信じてねぇ・・・。
「ライカさん、本当です!信じてください!」
「神之介ちゃん、辛いだろうけど・・・現実を見なきゃダメよ」
「しんさんちゃんと現実見てますよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!」
 オラの肩にポンと手を置きながら、憐れみの目・・・、と言うか養豚場のブタでもみるかのような冷たく残忍な目で、「かわいそうだけど、あしたの朝にはお肉屋さんの店先にならぶ運命なのね」ってかんじな目で言うライカさんにオラはシャウト。
「ライカさん・・・でしたっけ?神之介の言う事は本当ですよ。神之介は覇道財閥の何でも屋として雇われてるんです」
「覇道財閥・・・?」
 風間君の言葉に、ライカさんの表情が険しくなる。・・・こりゃアカン(汗)
「神之介ちゃん・・・まさか、危ない事をしてるんじゃあないでしょうね?」
「い、いや?してないゾ?神に誓って本当だゾ?」
 ライカさんの追及に笑ってごまかす。そこへ・・・、
「別に隠す必要も無かろう。はっきりとブラックr「どああああああああああああ!!!わー!わー!」むぐっ!?」
 アルがいらん事を言いそうになったので慌てて口を塞いだ。
「神之介ちゃん・・・?」
「あはは、いや。大丈夫だって!雇われたって言っても、危ない仕事とかじゃあないし・・・」
「むーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
 ライカさんがオラを見つめてくる。
「じーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「は・・・ははは・・・」
「むーーーーーーーーーーーーーーー!!むぐぐ・・・がくり」
 穴の開くほど見つめてくる。
「神之介ちゃん」
「あはは・・・はい?」
「・・・(死ーん)」
 んでもってオラの名前を呼ぶ。
「アルちゃん、危ない感じになってるけど・・・大丈夫」
「え・・・?」
「(死ーん)」
 言われて目を向けると・・・、塞ぎ方が拙かったのかポックリと逝っていた。
「おィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!アル、お前古本の癖にオチてんじゃねェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!」
「メディィィィィィィィィィィィィック!!!メディィィィィィィィィィィィィィィィック!!!!」
「ライカさん!ここにAEDありますか!?」
「多分あると思います。・・・えーっと・・・」
 まぁ、そんなこんなで教会は朝っぱらから大騒ぎでありました。この後、アルは無事に生還できたのは言うまでもない。

―それから・・・。

「一時はどうなるかと思ったが・・・早速飯食おうぜ」
「その前に、皆を起こしてきて欲しいんだけど」
 色々あって、飯を食おうとした矢先、ライカさんからそんなお願いを受ける。皆とは無論、ガキんちょ達の事だ。
「あいつら、まだ寝てたんだな。OK、ちょっくら起こしてくるよ」
 オラはそう、ライカさんに答えると、がきんちょ達を起こしに向かったのだった。

Side Out

―アリスンの部屋

「嫌ァァァァァ!っ・・・はぁ・・・はぁ・・・パパァ・・・ママァ・・・」
 アリスンはいつものように悪夢に魘され、飛び起きた。その夢は過去の夢。消える事のない心の傷。
 彼女は独りぼっちだった。両親を事故で亡くし、親戚をたらい回しにされた。周りは彼女を厄介者扱いした。
 それは何故か?彼女の周りで不可思議な出来事を頻発したからである。
 ある時は、何の強い衝撃も無いのに窓ガラスが割れる。
 ある時は、ぬいぐるみがひとりでに動き出す。
 それはアリスンの感情が高ぶったり、危険な事に見舞われたりしたときに起こりやすかった。
 例として、彼女に乱暴をしようとした叔父が見えない力に吹き飛ばされ、全身の骨を砕かれたり、車に轢かれそうになった時に、車が彼女を避けるかのように車道を離れ横転したりなどである。
 そういった経緯から、周りは彼女を恐れた。悪魔憑き。バケモノ。そう呼ばれ、忌み嫌われ、彼女はある教会に捨てられたのである。
「あらあら?・・・はじめまして、私はライカ。あなたは?・・・う、アリスンちゃんっていうのね?よし。アリスンちゃん、今日から私はあなたの家族よ。よろしくね?」
 そう、ライカの教会である。アリスンにとって、ライカは両親以外に彼女を人間らしく接してくれた人であった。・・・だが、彼女はライカを信じる事が出来なかった。
 過去に、親戚がアリスンに悪魔が憑いているからと呼んだエクソシスト・・・。ソイツは彼女を拘束し拷問のような除霊の儀式を行ったのである。
 詳しい事は分からないが彼女もまたあのエクソシストと同じ聖職者だ。
 信じる事なんか出来ない。
 ・・・もう誰も信じられない・・・。
「ふぅん、これは中々興味深いね」
「えっ?」
 隣を見れば、長身の美女が座っていた。この人は誰?一体いつの間に入ってきたんだろう。そう思い、叫びそうになる。
「ゴメンゴメン、びっくりさせちゃってさ。怪しいものじゃないよ。君に渡したいものがあるんだ」
「渡したい・・・もの?」
 そういって、顔を近づける美女。その瞳を見て、アリスンは叫ぶのも忘れ見入ってしまう。深淵だ、何処までも続く深淵の闇だ。
「はい、プレゼントだよ」
 そういって、彼女が渡したのは小さい可愛らしいコンパクトだった。
 試しに開いてみる。
「・・・わぁ」
 鏡には一点の曇りのない自分の顔が映った。アリスンはそれの虜となってしまう。
 ・・・そうまるで魅入られたかのように。
「それはね、魔法の鏡なんだよ」
「魔法の・・・鏡?」
 アリスンの問いに、女性はうん。と頷き続ける。
「遠い遠いむかしに、これまた遠い遠い国の、女王様が持っていた鏡。その鏡ならきっと、君の願いを叶えてくれる筈さ・・・」
 本当にそんな魔法のような事が起こるのだろうか?そう思いアリスンが問いかけようと鏡から目を離して、美女に言おうとした時・・・、美女の姿は何処にも無かった。
 ・・・これもまた夢だったのだろうか?そう思い頬をつねってみる。・・・が、夢ではない現実のようだ。そこへ・・・、
「よお、おはようアリスン。起きてたのか」

Side 神之介

「ッ!?」
 オラが挨拶するや否や、ビクッと肩を震わせるアリスン。挨拶しただけなのにこの反応はいかがなものかと思うが・・・まぁ仕方ないだろう。
 アリスンは正直内気な性格で、誰にも心を開いていないようなのだ。オラはともかく一緒に住んでいるジョージ、コリン、そしてライカさんにすらも。その所為で、ジョージとコリンに煙たがられており、この2人を起こした後、アリスンを起こそうとした所、
「しんのすけー、あいつほっとこうぜ。気味悪いよ」
「そうだよー、『くんしあやうきにちかよらず』っていうしー」
 と反対された。よろしくない。・・・全く持ってよろしくない。
 こういうのはいずれなんとかしないといけないな。そう思い、2人に軽く注意してアリスンの部屋へ来たのである。
「朝飯できてるゾ、それにジョージとコリンも起きてるから」
「・・・ん」
 オラの言葉にこくりと頷くアリスン。ふと、ベッドに置かれてあったものに気づく。
 コンパクトだ。アリスンも年頃の女の子と言う事だろうか。
(・・・でも、何か妙だ)
 それを見ながら胸中で呟く。何故ならそのコンパクト・・・ショゴスとかグールとか・・・そんなもんが彫られているからだ。明らかに女の子向けとは思えない。そう思った次の瞬間だ。
-ゾクッ!
「ッ!!!」
 強烈な悪寒がオラの体を駆け巡る。いやな予感に駆り立てられ、口を開いた。
「なぁ、アリスン」
「・・・?」
「そのコンパクト。変わってるなぁ、何処で手に入れたんだ?」
「ッ!!!!」
「アリスン?どうし・・・うわっ!?」
 それを聴いた瞬間、アリスンの表情は強張り、オラの体を押し出そうとする。まるで出て行けと言わんばかりに。抵抗する間もなく、オラは部屋へと押し出されてしまった。
「神之介どうした?」
「いや、ちょっとな」
 部屋の前にいた、アルが心配して声をかけたので返事をした。・・・しかし、あの悪寒は何だったのだろうか?
「・・・嫌な予感がするな」
 立ち上がりながらオラはそう呟いた。

 そして、オラの感じた嫌な予感が・・・まさか、あんな形で実現するとは・・・この時は誰も思っていなかった。

To Be Countenude・・・。 
 

 
後書き
次回は、戦闘回にこぎつけられそうな気がするです。
楽しみに待っていてください。
それでは~(0w0)ノシ 
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