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聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫

作者:黒鐡
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第2巻
  戦姫同士の睨み合い

創造神が現れた後からは、エレンの言い分を聞いた後にエレンに任せる事となった。もしソフィーヤや創造神が来なければプトレマイオス神国の事を言わないといけなかったが、予定通り王に打擲した後に群臣達や兵士達が膝をついたために、ティグルの予言通りとなったとエレンは思った。謁見の間に出たエレンは、少し離れたところにある柱廊で足を止めていた。

まさかアリファール自らの意志で、創造神の指示を聞くとは予想外だったがさすが創造神の手から生まれた竜具だと改めて思ったのだった。あと創造神が消えた後に謁見の間は、プトレマイオス神国に友好と味方となる事となり、エレンもホッと息をついていた。謁見の間では重苦しい空気で、厳重だったが出た後は開放感がとても心地よかった。

黒鐵様が代わりに打擲した後に、一喝してくれたので気持ちが良いと感じた。謁見の間を出た者は、必ず柱廊を通るがエレンは柱に寄りかかりソフィーヤが姿を見せるのを待った。官僚や貴族が通り過ぎていくのをエレンはぼんやりと見ていたが、不意に気分が優れなくなり柱廊の奥から現れた少女がこちらに向かって来た。

「・・・・相変わらずはしたないわね。エレオノーラ」

蔑むような視線と棘のある言葉。エレンより小柄で背は頭一つ分低く、青い髪を肩の辺りで切り揃え、髪の色に合った青く染めた服装をしていた。薄衣を組み合わせ、随所に赤と金をあしらった豪奢な作りとなっている。手には竜具の一つである「凍漣」ラヴィアスで氷を操る能力を持ち、柄の長さを自在に変化できるようだ。静かで冷たい輝きを放っていたのに対して「銀閃」アリファールが風をくるくると纏い始めた。

「・・・・お前こそ、相変わらず成長していないな。リュドミラ」

見下すような視線を受け止め、エレンは身体を起こし、リュドミラと呼んだ少女の前に立ち、意地悪の悪い笑みを浮かべて馴れ馴れしい仕草で彼女の頭に手を置いた。リュドミラの後ろには創造神黒鐵が空間から見ているという事を知っているのは、アリファールとラヴィアスだけでさっきまでは風と冷たい輝きが無くなっていたのを双方の主は気付かないでいた。

「うん?成長していない所か、以前よりも縮んだのではないか?どうだ?しおらしい態度でお願いしますと頭を下げれば、背が伸びる方法を教えてやらない事もないぞ。ついでに、その貧相な胸が大きくなる方法もな」

「・・・・随分と賢くなったのね。粗野と粗暴が人の皮を被ったようなあなたが、人にモノを教えようとするなんて驚いたわ。明日は星でも落ちてくるのではないかしら」

怒りを覚えたとしても、エレンの挑発をリュドミラは乗らなかった。高圧的な態度を変えずに、自分の頭に置いてある手を払いながら言ったのだった。

「でも、遠慮しておくわ。私にモノを教える前に躾のなっていない自分自身を省みなさないな。あなたに比べれば、気性の荒い野生の竜でさえ上品に見えるわよ」

「・・・・好意の申し出を侮辱で返すとは、実に上品な対応だな?」

「あなたの好意というのは、人の身体的特徴を嘲笑う事?人の世では、それはもっとも冒涜的な行為の一つよ。礼儀について学び直す事ね、エレオノーラ」

「生憎、戦姫などと呼ばれる前は、礼儀と無縁の生活をしていたのでな」

叩きつけられる敵意を鼻で笑って、エレンは肩をすくめた。リュドミラもまなじりを吊り上げて嘲笑する。

「礼儀や品性は、己の意思と努力で身に付ける事が出来る数少ない者よ。先程の謁見もそうだったけど、あなたからは、このジスタートを守る戦姫としての見織も、知性も品格も、露ほども感じられなかった。でも創造神黒鐵様がまさか本当にいるとは思わなかったわ、そして名乗るまで打擲していた時にあなたは内心笑っていたようね」

「ああ、創造神黒鐵様が謁見の間に現れるというのはある者からの予言だ。それと紅茶とジャム(ヴァレーニェ)の瓶を腰にぶら下げて歩くような女が、品格を語るか」

エレンの言葉が癇に障ったのか、リュドミラはついに怒りを露わにして言い返したのだった。全くこの二人の喧嘩は、まるでガキの喧嘩のように言っている様子を見ている我と互いの主を見ていたアリファールとラヴィアスだった。竜具ではあるが、内心ではリュドミラの後ろから見ているのを気付いているので申し訳なさそうな感じであったがそのままで良いと言ったのだった。あとはハリセンの準備でもしとくかと思った。

「今日は持ち歩いていないわよ。あなたと違って、時と場所は弁えているもの」

「そもそも、戦姫に見織だの品格だのが求められているなどという話は初耳だ。妄想を抱くのはお前の自由だが、それをさも常識であるかのように語るのはどうかと思うぞ」

烈しい怒りを瞳にたたえて、二人の少女は睨み合った。最早言葉という武器ではなく、自ら持っている武器で対抗をしていた。エレンは長剣を、リュドミラは槍を構えている。静かだった柱廊は一触即発の空気に包まれていて運悪く通りかかった官吏や役人達は、彼女らを見て見ぬ振りという素振りをしながら早急に立ち去る。

「・・・・えい」

突現可愛らしい声が響いて、エレンとリュドミラの頭を順番に硬い物に叩かれた様子だった。操光の錫杖「ザート」を持つソフィーヤ=オベルタス、硬い物は錫杖の先っちょだった。

「何を・・・・」

怒りの眼差しを見せたエレンだったが、その声の主がソフィーだったためか言葉を呑み込んだのだった。ソフィーヤ=オベルタスはまるで紫苑か麦穂のような柔らかい微笑を湛えて、エレンとリュドミラを見ていた。ちなみに紫苑と麦穂は拠点D×Dにいる黄忠と丹羽 麦穂 長秀の事だ、特に紫苑達を怒らせるとさすがの我でも後退りするほどである。

「もう。喧嘩はダメでしょ、二人とも」

彼女の笑顔も、言葉も、他愛のない悪戯心のように子供を叱るように見えるが、こういうタイプに年齢を聞くと後悔する時がある。迫力は感じないが、エレンとリュドミラが感じないほどの怒気がソフィーヤから感じたようだ。我はリュドミラの後ろからではなく、ソフィーヤの反対側から空間から出たがまだ三人は気付いていない。気付いたのはアリファール・ラヴィアス・ザートだけだ。

「全く・・・・どうしてあなた達は、顔を合わせると喧嘩しかしないのかしら」

「「この女が」」

『パシィィィィィィィイン!パシィィィィィィィイン!』

反射的に、エレンとリュドミラは異口同音に答えて相手を指差すので、我のハリセンによって二人の頭を叩いたのだった。睨み合いが始まったので、ソフィーヤはもう一発錫杖で二人を叩こうとしたら我が先に叩いたので、そのハリセンを見ていたのだった。

「いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!誰だ、後ろから叩く愚か者は!」

「同じくよ、戦姫はここにいる三人だけ。その戦姫を叩く者はそれ相応の罰が下るわよ!地味に痛い」

二人とも後ろを向いたら目の前には、ハリセンを持ちながら金色の髪・衣・肌色を持ち、6対12枚の翼を展開しながら翼を動かしながら着地したのだった。そしてハリセンを持った左手を持ちながら、左右の目の色が違う眼で見たのだった。

「後ろから叩いた愚か者は戦姫よりも上位の者だが、我の事を知らんようだな?」

「そ、そ、そ創造神黒鐵様!!!!!!!!」

「プトレマイオス神国王がなぜこんなところに!謁見の間から帰ったと思ったのに!」

「我は確かに用が済んだから、立ち去ったが何やら竜具が騒いでおったのでな。ここに来てみたのだ、我がここにいてはいけないのか?それとアリファールの主であるエレオノーラ=ヴィルターリアはザートの主であるソフィーヤ=オベルタスに用があってここにいたのではないのか?」

「そ、そうであった。ありがとう、ソフィー。お前が口添えをしてくれて助かった、それと黒鐵様が本当に登場するとは思いませんでした。あのままでしたら、長続きになりそうでしたので」

「あらあら、あなたは長引くとボロが出てしまうものね。それと私もだけど一番は創造神黒鐵様が登場してからだと私は思うわ」

「ボロ、程度で済む訳がないわ。戦姫全員の尊厳が失われるような言動をしてもおかしくないわね、それに七戦姫が持つ竜具を使いこなすとはさすがの私でも驚きよ。まさかプトレマイオス神国王が見れるとは思ってもみなかった」

苦笑しながらも我に感謝するソフィーヤと冷たい口調で返し鼻を鳴らしたが、我を見て膝をついていたのだったリュドミラ。エレンも柱廊ではあるが、目の前に創造神が現れては膝をつくしかなかった。なので我は膝をつく場面ではないと言ってから三人を立たせた。

「私はソフィーと話があるのだから、お前はさっさと去れ」

「お互いのためにも、そうした方がいいでしょうね。でも、その前に聞いておきたい事があるわ。それは直接黒鐵様に聞いた方がよさそうだけど」

腕を組みながら我に向ける視線は、敵意と感じたがこの先で敵として見るのかと未来予知が頭のビジョンとして浮かんだのだった。

「創造神黒鐵様にお聞きしたい事がありますが、ヴォルン大公はどのくらいお強いのでしょうか?」

「我の懐刀であるから、我ぐらいに強い。我と同じ剣を持っている、ティグルヴルムド=ヴォルンという名はあくまで名だけ。強さは別格となるであろう、ここにいるエレオノーラ=ヴィルターリアや他の戦姫以上に強い。我らプトレマイオスと敵となるのであれば容赦はしないとヴォルン大公が言っていた」

「その言葉、懐にしまっておきましょう。ポッと出の戦姫と一緒にブリューヌ内乱に介入するのであれば、その人は・・・・」

哀れみを持つ言葉を言った後に、リュドミラはエレン達に背を向けると王宮の廊下を静かに歩き去った。次の瞬間何かが切れる音が聞こえたと思ったら、いくつかの真珠がエレンの手から床に転がり落ちる。気が付かない内に、ドレスに付いていたモノを引きちぎってしまったらしいのか、見るとドレスそのものに小さな穴が開いてしまっていたのだった。

「そのドレスは高級そうで、簡単に直せないと我は思う。なので我が直そうではないか」

そう言った後にエレンのドレスに触れずに修復作業を開始した、そしたら地面に落ちたはずの真珠が浮き上がり破ける前の状態に戻したのだった。その後ソフィーは我とエレンに話があると言っていたが、どうやらエレンはリュドミラを敵に回したようだった。その訳を聞くために、我は翼をしまってからエレン達について行ったのだった。 
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