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不器用に笑わないで

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第二章


第二章

「御願いするわ」
「じゃあわかったよ」
 大輔はそれでいいとした。何だかんだといった調子ではあったが。
「それじゃあ奈良橋とだよな」
「そうよ」
 そうだと答えるのだ。
「わかってくれた」
「わかったことはわかったけれどよ」
 大輔はここで妙を見る。そうしてまた言うのであった。
「奈良橋、頑張ろうな」
「はい」
 妙はいつもの様に頷いて答えた。こうして彼女は大輔と共に文化祭の実行委員となった。
 放課後に学校を出ようとした時だった。クラスで大輔に呼び止められたのだ。
「あっ、奈良橋な」
「はい?」
「今から行こうか」
 こう彼女に声をかけてきたのだ。
「委員の会議な」
「会議ですか」
「今からなんだよ。行こうな」
「わかりました」
 大輔のその言葉にこくりと頷く。そうしてであった。
 彼に連れられてその会議が行われる教室に入った。そしてそこで色々なことを聞くのだった。
 今日は先生から文化祭の説明を聞くだけだった。それで一時間程度で終わった。
 終わってそれで学校から出ようとする。しかしだった。
 ここでまた大輔が声をかけてきたのであった。
「ああ、いいか?」
「何かあるんですか?」
「ほら、話してたじゃないか」
 こう帰る時の廊下で話してきたのである。
「うちのクラスで何をやるか」
「何かですか」
「そうだよ。何をやるかな」
 そのことを言ってきたのである。
「先生話してただろ。何がいいかちょっと話さないか?」
「何がですか」
「ちょっと喫茶店にでも入ってな。いい店知ってるんだよ」
 大輔は笑いながら話してきた。
「ブルーライオンって店な」
「ブルーライオンですか」
「奈良橋はこっちに転校したばかりだから知らないよな」
「すいません、喫茶店は殆ど行かなくて」
「なら余計にお勧めするよ。その店結構いい感じなんだよ」
 こう言ってであった。妙をその店に連れて行く。店は水色の奇麗な店だった。内装も整い清潔感で店の中を覆っている感じであった。
 その店の席に入るとだ。大輔は向かい合って座りそうしてであった。また妙に対して話すのだった。
「ここの店コーヒーが美味しいんだよ」
「コーヒーがですか」
「そうなんだよ。じゃあそれでいいよね」
「はい」
 彼の言葉に頷く。そうして二人で同じコーヒーを頼む。そうしてそのうえで話をするのであった。
「それでさ。奈良橋は何がいいと思う?」
「クラスで何をやるかですよね」
「そうだよ。何がいいと思う?」
 このことを彼女に問うのであった。
「何がな」
「ええと」
「色々あるんだよ。焼きそば屋とかお化け屋敷とかさ。占いとか色々あるけれど」
「占いですか」
「奈良橋占いとか好き?」
 こう彼女に問うのだった。
「そういうのは」
「占いはちょっと」
 こう答える彼女だった。
「あまり知らなくて」
「そうなんだ。じゃあ占いは止めた方がいいかな」
「すいません」
「謝ることはないよ」
 大輔はそれはいいとした。
 
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