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魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~

作者:DragonWill
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A's編
  決戦・ナハトヴァール

 
前書き
ナハトフルボッコシーンは劇場版BGM『セイクリッドフォース』でお聞きください。 

 
白い光に包まれながら、はやては夜天の魔導書のページをめくる。

「管理者権限発動。リンカーコア復帰。守護騎士システム破損回帰。・・・・おいで・・私の騎士たち・・・」

そして今まで誰もなしえなかった奇跡が始まる。





なのはたちの上空に白い光と四つのベルカ式魔法陣が出現した。

「あれは・・・?」

魔法陣の上に先ほど消えたはずの守護騎士たちが現れ、光が砕けるとそこにはやてが現れる。

「夜天の光に祝福を・・・リインフォース、ユニゾン・イン!!」

はやてはバリアジャケット、ベルカ風に言うと騎士甲冑に身を包む。

騎士甲冑に変身したはやては自らの守護騎士たちの前に降りてきた。

「あの・・・はやて・・・」
「はやてちゃん・・・・」
「すみません・・・主・・・・」
「まあ、ええよ・・・みんな分かってる」
「「「「!?」」」」
「リインフォースが教えてくれた・・・まあ細かいことは今は置いといて・・・・とりあえず・・・『おかえり』・・・みんな・・」
「う、うう・・・うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!はやて!!はやて!!」

ヴィータが大粒の涙を流してはやての胸に飛び込んだ。

「ヴィータちゃん・・・」

なのはとフェイトがはやての元にやってきた。

「あなたたちは?」
「私の名前は高町なのは・・・すずかちゃんのお友達です」
「フェイト・テスタロッサ・・・同じくすずかの友達です」
「すずかちゃんの!?ごめんな・・・今回うちの子たちが迷惑かけて・・・・」
「大丈夫だよ・・・気にしてないし・・・」
「うん・・・」
「すまない!!水を差してしまうようだが・・・」
「「「「「「「!?」」」」」」」

そこにクロノとようやく結界を突破した応援部隊が到着した。

「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ」
「警察局第零課小林巡査部長です」
「ことは一刻を争う事態なので簡潔に確認したい」

そしてクロノは黒い渦を指さした。

「あの黒い淀み。あれは闇の書の自動防衛運用プログラムであと数分で暴走を開始する。間違いないか?」
「うん・・・自動防衛システム『ナハトヴァール』」
『暴走は周囲の物質を侵食し、ナハトの一部にしてゆく、臨界点が訪れなければこの星ひとつくらいは飲み込んでしまう可能性がある』
「「えっ!?」」
「さて・・・どうしたものか・・・」
「何か方法はないの!?」
「いま現在こちらで用意できるプランは二つ。・・・一つ、強力な氷結魔法で停止させる。・・・二つ、軌道上に待機させている艦船アースラの魔導砲『アルカンシェル』で消滅させる。これらのプランについて闇の書の主と守護騎士の皆に意見を聞きたい」

クロノの問いにシャマルとヴィータが答える。

「えーっと・・・最初のは難しいと思います。主のない防衛プログラムは魔力の塊みたいなものですから、凍結させてもコアがある限り再生機能は止まりません」
「アルカンシェルも絶対だめだ!!こんなところでアルカンシェルぶっ放したらはやての家まで吹っ飛んじゃうじゃんか!!」

強固に反対するヴィータに驚いたなのはがユーノに聞いてみた。

「そ、そんなに凄いの!?」
「発動地点を中心に百数十キロの範囲の空間を歪曲させながら反応消滅を起こさせる魔導砲って言うと大体わかる?」
「あの!?私も反対!!」
「私も反対です!!」

ユーノの説明になのはとフェイトも大慌てで反対する。

「当り前だ。これは本当に最後の手段。他世界への魔導砲による攻撃なんて最悪戦争に発展しかねない上にアルカンシェルの発動はそれ自体が核攻撃に等しい狂気の沙汰だ。僕も艦長も絶対使いたくないのが本音だよ。これはあくまで最後の手段だ」
『みんな!!暴走開始まで後15分をきったよ!!早く結論出して!!』

アースラでモニターをしていたエイミィが急かす。

「何かないか?」
「生憎だが、あまり役に立てそうもない」
「暴走に立ち会った経験は実は我らにもあまりないのだ」
「そうか」

シグナムとザフィーラがすまなそうに答える。

「・・・・プランCで行こう・・・」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」

今まで黙って聞いていた剛が口を開く。

「禊!!」
「はい!!」

封杖を用意する禊。

「ちょっと待て!!プランCとは何だ!?」

慌ててクロノが聞いてくる。

「以前話しただろう?我ら守宮の専売特許は・・・・」
「結界と封印・・・?」
「そうだ。禊の封印結界であの防衛プログラムを空間ごと隔離する。捕えられた暴走体は侵食する物が何もない空間で外部供給ができずにいずれは自滅するだろう」
「っ!!そうか!!」
「でも兄様。あれ程の巨大な質量ともなればいくら私でも・・・」
「ならばあれのコアを露出することができれば・・・・」
「しかし、莫大な魔力による再生ですぐにコアは隠れてしまうぞ!!」
「それならさっきのプランにあった凍結魔法で再生を遅らせられないか?」
「その手があったか!!エイミィ!!すぐにシミュレートを!!」
『ちょっと待って!!どういうことか詳しく教えて!!』

彼らが提案した作戦はこうだ。

まず全員による攻撃によりナハトヴァールの持つ多重障壁を破壊。

次にデュランダルによる広域凍結で暴走体を凍結することで再生を鈍らせる。

そこに大規模砲撃を行うことで肉体を吹き飛ばしてコアを露出。

そこに禊の結界でコアを周りの空間ごと封印すると言った作戦だ。

「実に個人の能力頼みでギャンブル性の高い作戦(プラン)だが・・・まあやってみる価値は高いな・・」
『何より計算上では実現できるってところがまた恐ろしいんだけど・・・』

モニターの中で呆れたエイミィの表情が写っている。

「ではみんな・・・準備に入ってくれ・・・・」
「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」


準備に移る中でクロノは通信を開いた。

「グレアム提督。見えますか?」
『ああ・・・』
「闇の書は確かに呪われた魔導書でした。その呪いは多くの人生を喰らい、それに関わった多くの人間を狂わせてきました。あれのおかげで、僕も母さんも・・・・他の多くの被害者遺族も『こんなはずじゃなかった人生』を進まなきゃならなくなった。それは貴方もリーゼたちも・・・。亡くしてしまった過去は変えることができない。だから、今を戦って未来を変えます!!」
『スタートアップ』

クロノはデュランダルを展開し、水色の槍と四つのビットを纏って最後の決戦に備える。

ちなみに剛は本来対人戦に特化している戦闘者なのと左腕喪失の大怪我により強制退場させられた。





暴走開始の時間が迫り、とうとうナハトヴァールが暴走を開始した。

「夜天の魔導書を呪われた闇に書と呼ばせたプログラム・・ナハトヴァールの浸食暴走体。闇の書の・・闇」

黒い塊が砕け、そこから暴走体が出現した。

「ケイジングサークル!!」
「チェーンバインド!!」
「囲め、鋼の軛!!」

ユーノとアルフとザフィーラによりナハトの行動を阻害する。

しかし、その巨体を完全に押しとどめることは出来ず、鎖も軛もすぐに砕けた。

反撃による砲撃を避けながら全員が散開する。

機動隊やアースラの戦闘員は暴走体のそれらの砲撃を撃たせないように砲口に攻撃を加え始める。

「先陣突破!!なのはちゃん、ヴィータちゃんお願い!!」
「おう!!あわせろよ!!高町なのは!!」
「うん!!」

ヴィータがナハトに向かって突っ込んでいく。

「やるぞ、アイゼン!!」
『ギガントフォーム』

グラーフアイゼンはカートリッジをロードし、ゲートボールに使用するハンマーから巨大な金槌に姿を変えた。

「アクセルシューター、バニシングシフト!!」
『ロックオン』
「シュート!!」

なのはの援護射撃がヴィータの進路上に出現する暴走体の触手を次々と破壊していく。

「轟天爆砕!!ギガントシュラーーーーーーク!!」

対怪獣用にまで巨大化したグラーフアイゼンを振り下ろし、一枚目の障壁を破壊した。

「シグナム、フェイトちゃん!!」

シグナムとフェイトは魔法陣で作った足場に着地する。

『ボウガンフォーム』

弓矢に姿を変えたレヴァンティンの弦を引くシグナム。

「貫け、雷神」
『ジェットザンバー』

ザンバーフォームのバルディッシュを振り上げるフェイト。

「駆けよ隼!!」
『ストームファルコン』

弦と弓に間に矢が出現し放つシグナム。

障壁を貫き中で炸裂すると同時にフェイトの斬撃が二枚目の障壁を切り裂いた。

「やったか?」
「まだだ!!」

ユーノが叫ぶと同時に再び砲撃。

そしてナハトはその場から飛び立つと同時にさらに障壁を作り上げる。

「させるかああああああああああああああああああああ!!」

そこに近松が巨大な腕と共に振ってきた。

代々人形師としての栄えた近松家の彼はさまざまな人形を作成しており、その腕は生身の人間と区別がつかないほどである。

しかし、別に戦闘用のものがないわけでもない。

彼が腕に取り付けているのは鉄槌式破城機巧腕。

巨大な腕と破城槌の二重破壊をもたらすものである。

その巨大さと質量故に鈍重なため純粋な戦闘では向かないのだが今回は相手が相手だけに外しようがない。

「はああ!!」

その巨大な腕が障壁を叩き、更に肘の部分の鉄槌が落ちて威力を倍増させ、ナハトの障壁を砕いた。

「式神『破軍』召喚!!」

土御門が式神を召喚する。

彼が呼び出した式神『破軍』は通常の式神と違い、土御門家当主のみが召喚を許される式神である。

それは術者が生み出した使い魔にあらず、歴代当主の御霊を式神として封印したものである。

術者は歴代当主の魔力と術の知識を借り、自らの術の威力を何倍にも増幅させるのである。

「東海の神、名は阿明。西海の神、名は祝良。南海の神、名は巨乗。北海の神、名は愚強。四海の大神、百鬼を(しりぞ)け、凶災を(はら)う。急々如律令!!」

五つの札を起点にした五芒星の魔法陣が五色に輝き、巨大な砲撃がナハトを遅い、最後の障壁を打ち破る。

「はやてちゃん!!」
「彼方より来たれ、宿り木の枝。銀月の槍となりて撃ち貫け」

ナハトの上空にはやてのベルカ式魔法陣とその周囲に八つの魔力弾が浮かぶ。

「『石化の槍、『ミストルティン』』」

はやてが杖を振り下ろすと、八つの槍がナハトに降り注ぎ、瞬く間に全身を石に変えた。

「逝け・・・・」

そして、法衣の姿に変わった黒田の裾から大量の砲門、88mm砲(アハトアハト)が88門出現し一斉砲撃が石化した体を砕く。

『クロノ君やっちゃえ!!』
「凍てつけ!!」
『エターナルコフィン』

ディランダルから全てを凍てつかせる光線が迸り、ナハトを凍り付かせる。

更にナハトに当たって反射した光線を四つのビッドが更に反射させることでその巨体の全てを余すところなく凍り付かせた。

「はあ、はあ、はあ・・・なのは、フェイト、はやて!!」
「全力全開!!スターライト―――――――!!」
「雷光一閃!!プラズマザンバ――――――!!」
「ごめんな・・・おやすみな・・・・」

はやては一瞬だけ目を閉じる。

「響け終焉の鐘!!ラグナロク!!」

三人の特大の砲撃の準備が完了した。

「「「ブレイカ――――――――――――――――!!」」」

規格外の魔力による砲撃、それも三人分の砲撃にナハトの外郭はあっという間に吹き飛ぶ。

「捕まえた!!」

コアをシャマルが補足する。

「ゲート固定!!封印攻撃の攻撃ルート確保!!」

直ぐにユーノがシャマルの旅の鏡を固定して禊の攻撃のための道を確保する。

これで先ほどの砲撃による魔力の暴風の中でもコアに攻撃を当てられるだろう。

(あま)より下されし(メイ)を聞き、伊弉諾尊(イザナギノミコト)伊邪那美(イザナミ)は矛を持ち、混沌とした大地を掻き回す。矛を引き抜くとそこに大地在り。さらば二柱の神々はその島にオノゴロと名付ける」

封杖に莫大な魔力が集まり、槍の形になっていく。

禊はこの術式専用の特別な革手袋を着けて槍を握る。

こうでもしないと手が吹き飛んでしまうためである。

そして禊はシャマルの旅の鏡の中にその槍を投げ込んだ。

『天逆鉾』。

国生みの神話の元となった槍を魔法的に再現した物で神クラスの神格を持つ相手すら封じ込める、最強の対神格封印魔法である。

ゲートを通り、コアに直撃した天逆鉾は周囲の空間ごと結界内に引きずり込み封印した。

『暴走プログラムの反応・・完全に消滅しました・・・』

エイミィの言葉に全員が計画の成功を確信した。

12月24日21:22。

人生で最も長く感じられたクリスマスの夜に全ての事件は幕を閉じた。
 
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