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旧エクリプス(ゼロの使い魔編)

作者:cipher
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第32話 使い魔の一日

ブリミル暦6242年 フェオの月 ヘイムダルの週 ユルの曜日
皇紀2800年 4月10日 トリステイン王国 トリステイン魔法学院

Side (つかさ)一条(いちじょう)

司が召喚されて、一週間が過ぎた。
司の朝は早い。早朝と夕方に、(ゆめ)達と魔法訓練を行っている。
夢達は卒業後に、魔法少女リリカルなのはの世界へ、連れて行って貰える様に光輝と約束しているのだ。

「おはよう。」

「「「「おはよう。」」ございます。」」

ここは室内の魔法訓練場である。室内といっても、体育館より広い訓練場が20棟ほど建っている。

「よし、ルイズと夢はいつも通り、ウォーミングアップから始めるように。新入は、俺と一緒に訓練だ。」

ルイズと夢は、別室でいつも通り訓練を始めた。

「新入は、まずこれを着けてくれ。」

司は、リング状の腕輪を渡す。

「これは何ですか?」

タバサは司に質問した。

「これは魔力の負荷装置だ。」

タバサ達は魔力の負荷装置をつける。

「これは・・・。きつい。」

「負荷装置は寝るとき以外は、常に身に着けているように。」

「ルイズ達はこれを着けているの?」

「あぁ、小さい頃より、これを着けて訓練しているよ。ちなみに、ルイズ達の向かった訓練場は、重力を5Gに設定してある。重さが5倍だな。身体の強化魔法を使わないと立っているのも難しい。」

「えぇっ。」

「それと、君達にはこれを上げよう。」

「これは何ですか?」

「インテリジェント・デバイスというものだ。
タバサとジョゼが使っている簡易型のデバイスを高機能にしたものだ。タバサのはハルケギニア式とミッドチルダ式のハイブリッドだ。ハルケギニア式ではルーン詠唱と口語詠唱のどちらも使える。
ジョゼのは虚無の適正があるから虚無の口語詠唱も可能となっている。
ハクオウ(夢の使い魔で始祖竜)とシルフィード(タバサの使い魔で風韻竜)とルリ(ジョゼの使い魔でフェンリル)のは、先住魔法とミッドチルダ式のハイブリッドだ。変化のマジックアイテムにもなる。マジックアイテムなので、変化しても他の魔法も使えるし、服もイメージすれば、バリアジャケットとして、防御力も兼ね備えている。」

ハクオウが試しに、白銀の腕輪のインテリジェント・デバイスを付ける。

「変化。」

そこにはプラチナブロンドの髪の美少年が現れた。

「ハクオウ様、素敵なの。」

シルフィードがうっとり見つめている。

「うむ、これはいいな。」

「私達もやるのね。」

シルフィードが興奮して喋る。
ゴールドの腕輪を付けた、シルフィードが変化する。
エメラルドグリーンの髪の美少女が現れる。

「凄いのなの。これでお姉様と、いつも一緒に居られるなの。」

ルリも同じ様に、プラチナの腕輪を付けて、変化する。
そこには、白みがかったプラチナブロンドの10歳ぐらいの少女がいた。

「ルリ、可愛いの!」

ジョゼが女の子に抱きつきながら、叫んでいる。
女の子は照れたように抱きつき返す。

「ルリのデバイスは、大人モードにもなれるからな。」

司は説明した。
それから、基礎訓練をした後、それぞれにタブレットを渡す。

「今朝の訓練は、ここまで。君達は当面、基礎訓練だけだ。魔力負荷に慣れるまでは、この訓練を続ける。
朝食までに時間がある。そろそろ、ルイズ達が模擬戦闘を始めるから、見学すると良い。そのタブレットの使い方は、夢やルイズに聞くといい。
俺は朝食の準備に行ってくる。」

そう言うと、司は訓練場を後にして、食堂の厨房の方へ向かって行った。

Sideout

Side マルトー

卜リステイン魔法学院のアルヴィーズ食堂の厨房では、コック長のマルトーが朝食の準備をしていた。

「マルトーさん、おはようございます。」

司がマルトーに挨拶をする。

「おぉ、我らの剣。今朝も嬢ちゃん達の朝食を作りに来たのか。」

マルトーはシエスタからギーシュとの決闘の経緯(いきさつ)を聞いており、平民を庇った、それも魔法を使わず剣だけで圧倒した、司を我らの剣と褒め称えている。
マルトーは学術研究都市の料理学校を、主席で卒業している。
その為、太平洋連邦の司達には、優しいのだ。
太平洋連邦と国交を持ってから、ハルケギニアの平民の所得は、10倍を超えているのだ。

「はい、今日も調理場をお借りします。」

「いいぜ、何時でも使ってくれ。」

「後、新入荷の料理レシピ集です。」

「いつも気を利かせて、悪いな。それにエクリプス商会が、特上の食品を納めてくれるから、賄いも豪勢になって、魔法学院で働く平民も喜んでいるよ。」

「いえ、コック長の腕が良いからですよ。」

「嬉しい事を言ってくれるぜ。」

「謙遜しなくてもいいでしょう。エクリプス出版でマルトーさんが出した料理本、100万部の大ベストセラーですよね。」

「あっははは。」

マルトーは照れ笑いをしていた。

「司さん、お手伝いしますね。」

司の後ろから、シエスタが声をかける。

「ありがとう。シエスタ。ところで、曽祖父の武雄さんは元気?」

「はい、元気です。司さんはお曽祖父(じい)ちゃんを知っているのですか?」

「生まれが一緒なんだ。家の祖父の茶飲み友達で、良く知っているよ。」

「まぁ、もしかして光輝さんのお孫さんですか?」

「あぁ、そうだよ。一度、竜の羽衣の現物を見てみたいな。祖国の博物館には、竜の羽衣のレプリカが展示してあるよ。」

「私は小さい時に、膝の上に乗せてもらいました。吃驚(びっくり)ですよね。あんな物が空を飛ぶなんて!」

「あっははは。確かに、そうだよね。でも、今ある飛行機と原理は、同じなんだよ。」

ゼロ戦で驚いていたシエスタに、宇宙船を見せたらと思うと、司は声を出して笑った。

「そう言えば、新大陸に飛んでる飛行機を見た事あります。小さくて良く分からなかったけど、確かに竜の羽衣と形が一緒でした。」

「小さく見えるのは、高度が高いためだよ。トリステイン空港にいけば、近くで見れるよ。新大陸に飛んでいる飛行機は、300人乗りだから実物は大きいよ。」

「えっ!300人ですか?吃驚(びっくり)です。」

「フネが空を飛んでいる方が、不思議だよ。」

「言われて見れば、そうかも・・・。今、弟が船乗りの学校に行っています。」

「そうなの、だったらエクリプス社に就職すると良いよ。沢山の国に、行く事が出来るよ。曽祖父の武雄さんに相談すると良いよ。」

「はい、そう伝えときます。」

司はマルトーやシエスタと話しながらも、訓練に合わせた、特別メニューの朝食を作っていた。

Sideout


Side (つかさ)一条(いちじょう)

朝食を終えると、司は自分の部屋に戻り、装着型(アタッチメント)の量子電導脳を付けて、偏在の魔法で自分の分身を作り、各教室に向う。
本体は部屋に残り、自分の研究を続けるのだ。これは司の教え方が上手いので、オスマン学院長の依頼で、教員の補助をするためだ。
魔法人形(スキル二ル)を使わないのには、理由があった。魔法人形(スキルニル)は、人間の血を元にその人間を外見、性格、能力すべてを完全に複製する事が可能であるが、その各経験値は本体に反映されないのだ。
魔法の練習も兼ねて、偏在の魔法を使っている。ただ偏在の数には制限があり、魔力量と並列思考の数によって、偏在の数が決まっている。虚無が使えて、幼い頃より魔法負荷で鍛えた司には、魔力量の心配はないのだが、光輝のように量子電導脳化はしていない。その為、装着型の量子電導脳で補助しているのだ。
光輝は魔法を教えるのに慎重であった。闇雲に教えると、魔法に頼りっきりになって改革が不十分になる恐れと、犯罪に利用されることを危険視していたのだ。
その辺を考慮して、司にさじ加減を任せている。司が変更したカリキュラムが、雛形となって各国の魔法学院のカリキュラムとなる予定だ。

放課後はまた、ルイズ達の訓練に参加して一日が終る。

Sideout
 
 

 
後書き
使い魔の一日の話でした。
司の一日は、何気にハードです。 
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