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東方紅魔語り

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紅霧異変
  Part7 赤い霧

 
前書き
遅れて申し訳ありません。私です。
文化祭の終了でようやく安定した投稿が可能になりそうです。
では、Part7、ゆっくりして行ってね! 

 
 青い爆発が視界を覆い尽くしていく。
 移動速度の変更により猛スピードで振り切ろうとするが、咲夜の弾幕は俺を逃がそうとはしない。
 爆発は導火線のように近付いてくる。
 能力での無力化は出来ない。直接的な攻撃も。
 ならば弾幕を避ける事に集中した方がいいのか。
 あの攻撃は上から下へ放たれている。
 ならばーー、

「ーーを100に!」

 直後、青い閃光が襲いかかった。




ーーーーIN、咲夜ーーーー


 彼の居た位置に、正確に弾幕を叩き込んだ。
 何かを呟いたようだが、戦いとは戦術上、基本的に上の方が有利。何処へも逃がす事もなく敵を視認できるし、一方的に攻撃できる。
 弾幕の手を止め、爆発によって撒き散らされた噴煙が無くなるのを待つ。あの人間の倒れた姿を脳に思い浮かべながら。
 煙はゆっくりと晴れてゆく。
 そして、無傷の床が露わとなった。
 だが

「いない・・・?」

 その場に男はいなかった。
 そんな筈は無い、ずっと上から監視していた筈だが・・・。

「・・・上?」

 反射的に『上』を見た。
 そこには、あの人間がフワフワと、まるで風船のように浮かび上がっている。



ーーーーIN、有波ーーーー


 大成功だ。
 舌打ちをし、後ろへ下がる咲夜を見てそう思った。
 『浮力』を100にし、空中に浮かんで『背後』+『上』を取ったのだ。
 だが、この程度で形勢は変わらない。そもそも、俺が弾幕を撃てなければ攻める事も出来ない。

 そうこう考えている間にも、咲夜のナイフは展開されていく。
 第2波を放つつもりだ。

「こんままじゃジリ貧だな。勝てないまでも、できるだけコツを掴みたい所だが・・・」

 考えている所へ、正確にナイフが飛んでくる。

「浮力を0に」

 瞬間、肉体の制御が無くなった。
 空中から自然に落下していく。
 なぜわざわざ浮力を0にしたか、それは、俺が空中で動けず当たってしまうからだ。
 俺は飛んでいる訳では無い。浮かんでいるだけなのだ。浮かんでいるだけの物体は自由に動くことが出来ない。

「ふん、わざわざ自分から下に行ってくれるとは、ね!」

 蒼いナイフは下にいる此方へ放たれる。
 だが、それは空中にいる俺へではなく、『俺が着地するであろう地面へ』着弾した。
 床が破壊される。

「!!」

 目を見開いた。
 破壊によって撒き散らされた床の破片が、落下する俺へ牙を剥く。

「浮力を100に!」

 その破片から逃れるように、再度空中に浮かび上がる。

 だが、それが間違いだった。

「奇術『ミスディレクション』」

 咲夜はカードを持ち、宣言する。
 直後、咲夜の周りから純白のナイフがばら撒かれた。
 それは俺だけを狙うものではなく、部屋全てを埋め尽くすように広がっていく。

「や・・・べ・・・ッ!」

 空中を浮遊している俺は、それを避ける事すらも出来なかった。
 全身にナイフが叩きつけられる。

「あっ、ぐ!」

 無理やり地面に叩きつけられるが、すぐに視線を動かして咲夜を捕捉しようとする。
 だが次の瞬間、先程と同じ衝撃が肉体を襲った。

「ッが!?」

 更なる痛みと共に、肉体が床にめり込んだ。
 何が起きたのか、状況を確認しようと、目を薄っすらと開いた。

「!!!」

 そこには、純白のナイフがすぐそばまで迫っている光景があった。
 能力はーーー口に出す時間が無い。



ーーーーIN、咲夜ーーーー


 これで終わり。ナイフは着弾した。
 そして、弾幕はまだ沢山残っている。能力を使う余裕は無い。

 流石に勝利を確信した。


 その直後、

「ーーーーーーーー」

 それは聞こえた。
 高いのか低いのか分からない、男声か女声かも分からない、その声が。



ーーーーIN、有波ーーーー


 「もはや俺が気絶するのは当たり前になりつつある気がする」

 俺は気付けば、自室のベッドの上に寝転がっていた。
 咲夜が運んでくれたのか?と少し感謝する。だが、気絶した原因が咲夜のため、少し感謝し切れない。

「あー、そういや全くコツ掴めなかったな〜」

 明日にでも聞いてみるか?
 そう思いながら部屋を見渡してみると、紙切れが一枚落ちているのが見えた。
 拾って中を覗いてみる。
 その紙切れは、あの十六夜咲夜からのものみたいだ。
 内容は。

『貴方下手ね、避け方も駄目だし、その程度じゃ妖精辺りにもやられそう。まあ、頼れる能力はあるみたいだし、明日はお嬢様辺りに訪ねてみなさい。私はゴメンだけど・・・。それじゃあね』

 そこで文は終わっていた。
 一通り読み終えて、紙を近くに置く。

「んー、結構フルボッコに言われてるなぁ。下手って・・・。それに明日はレミリアか・・・咲夜より強いじゃねぇか」

 冷や汗をかきながら独り言を呟く。
 と、そこで気付いた。まだ続きがあったことを。
 PS、と書かれてある。
 その内容は。

『その機械、絶対に手放さないように』

 その文は意味の分からないものだった。
 いや、携帯を手放したら能力が使えなくなり、困るから手放さないが、なぜ咲夜がそう言うのだろうか?
 咲夜がわざわざ忠告するようなものでは無い気がするが・・・。

「・・・ま、いっか」

 恐らく咲夜は親切心で言ってくれたのだろう。
 そう思って、ベッドに寝転がった。



ーーーーーーーーーーーーーー


 レミリア・咲夜の二人は紅魔館の屋根の上にいた。
 肩越しに赤い瞳を浮かべながら、レミリアは咲夜へ問う。

「あの人間は使い物になりそう?」

「・・・現段階では、そこまで戦力になりそうとは思いません」

 少し言葉を濁しながら咲夜は答える。

「しかし、能力面に置いては多少使い物になるかと」

 その言葉を聞いたレミリアは、不気味な笑みを浮かべながら空を見上げる。

「此方に死角は無し」

 レミリアは右手を天に掲げた。その手には、赤黒い煙のようなものが球場に蠢いている。

「何処からでもかかってきなさい、博麗の巫女」

 レミリアの瞳に、赤く、赤く、鮮血より赤い月が映し出された。
 その赤黒い煙は、その月へ向かうかのような軌道を描きながら空へ直進していく。

「さあ、始まりよ」

 球体が天に登った瞬間、まるで針に刺された水風船のように、『中身』が四方八方に飛び散った。

「『運命』の第一歩、スタート」



 黒く、そして紅い霧は一夜で幻想郷を覆い尽くした。


 だがレミリア達には誤算があった。



 何も、異変解決時に動く存在は『博麗の巫女』だけでは無い。
 
 

 
後書き
今回は主人公と咲夜の視点を行き来して混乱したでしょう、ハイ
とりあえず、ちょっとしたフラグを設立しておきました。
いつ回収される事やら。
そうそう、主人公、有波の挿絵を投稿しておくので、是非見てください。
では次回も、ゆっくりしていって下さいね!

ps、何故かイラストが横向きになってましたね。見にくいとは思いますが、頑張って見てください。 
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