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東方紅魔語り

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Part6 異変前日

 
前書き
投稿遅れてしまい、誠に申し訳ございません。
文化祭が近付いていまして、最近は家に帰った瞬間眠る生活を・・・ね。
コンロ販売をするようなのですが、いやはやどうなる事か。

さて、ではPart6、ゆっくりしていって下さいね! 

 
 ただいま俺は、何処かも分からない廊下を歩いている。
 闇雲に歩き回っていれば、まあ二時間もすれば目的地に何となく着けるだろう。と思った結果、案の定迷子になってしまった。
 廊下では、羽のはえた生物が忙しそうに走り回っている。
 この生物に聞こうとも思ったのだが、話しかけてもまるで言葉が分からない。
 此方の言葉は理解しているようなのだが、彼方の言葉が意味不明なものなのだ。英語とも、日本語とも違う言語で説明されても、サッパリ分からない。

「部屋で待機しといた方が良かったかもしれねぇな、無駄に歩き回るよりは・・・」

 打開策はないか考えてみるが、なにも思い浮かばない。
 能力で何か出来ないか考えても、どうにも出来ない。
 移動速度を100にして高速度で探し回るか?壁に当たってボロボロになる未来しか見えない。
 破壊力を100にして壁を破壊して短距離で探し回るか?咲夜辺りに殺されそうだから無理。
 ならばこの館の広さを0にして目的地を近付けるか?壁と壁に挟まれて圧死してしまうわ。

「さて、どうするか?正直な話、ここから自分の部屋へ戻る道すらも忘れたぞ?」

 記憶力を100にして歩き回れば良かったか・・・。と割と本気で後悔する。
 ここで覚えている『紅魔館』の住民について整理してみた。

 主、レミリア・スカーレット。
 妹、フランドール・スカーレット。
 メイド長、十六夜 咲夜。
 そして未だ見ていないが、『門番』紅 美鈴。
 そして『魔法使い』パチュリー・ノーレッジ。

 恐らくだが、意思疎通が出来そうなのは上記のメンバーくらいだろう。
 廊下を走り回っているのは、恐らく『妖精メイド』。
 妖精とのコミュニケーションが出来ないとなると、もうメインメンバーである人物しかいない。
 だが、こんな所をメインメンバーが奇跡的に通るなんて、そんな都合のいい事は・・・。

「あら、こんな所でなにを」

「又もナイスタイミングお嬢様!」

 大本命、レミリア・スカーレットが廊下の奥から歩いてきた。
 そのレミリアは不思議そうに此方を見ていたが、やがて納得したような表情を浮かべた。

「ロビーへ行くつもりだったのかしら?だとしたら少し早すぎるわよ?あと一時間は軽くある」

 あと一時間。という事は、俺は約一時間ほど彷徨い続けていた、という事か。

「いえ、ロビーが二階ってのは分かってるんですが、道が分からなくてですね」

 そう言うと、レミリアは怪訝な表情をした。

「ロビーは一階よ?」

「・・・ハイ?」

 そんな事は無い、確かに二階の部分に『ロビー』と書かれていた筈・・・。
 ポケットから取り出し、見取り図を確かめてみる。
 やはり間違いなくロビーは二階に書かれていた。

「その見取り図、一階と二階が間違えて記載してあるのよ。ほら、二階って書かれてる方に『玄関』が記載されてる」

 指摘され、よく見てみると確かに玄関が記載されている。
 というか咲夜さん、そんな大事な事くらい説明してくれても良かったんじゃ?

「あ、ならもう一つ質問、この見取り図で言うと、いま俺がいる場所って何処ですかね?」

 尋ねると、レミリアは見取り図の右側・目的地から少し遠ざかった位置を指し示した。

「あー、有難うございました。これで辿り着ける気がしますよ」

「そう、じゃ私はすることがあるから、またね?」

 そう言うと、レミリアは廊下の奥へ再び消えた。
 ・・・レミリアさん、意外と親切だな。
 そう思いながら、道の確認のために見取り図を見ながら足を動かした。







 あの男は嫌いだ。
 私は素直にそう思う。なぜあんな人間が紅魔館に入ることになってしまったのか?
 レミリアお嬢様は『戦力のため』と言ってはいたが、それだけが本心とは思えない。そもそも、気絶していた時点で『私より弱い』事を分からない訳がない。
 なぜ、あんな男を迎い入れた?

「妖精メイド、貴女は彼方をやりなさい」

 妖精メイドに指示を出しながら疑問を感じる。
 レミリアお嬢様が迎い入れた人間のため、粗相の無いように扱わねばならないのだが、やはり納得が出来ない。
 なにより、なんでよりにもよって外から来た『外来人』なのだ。
 外来人は霊力、妖力といった部類の力を知りもしなければ、使えもしないだろう。
 弾幕ごっこが流通している幻想郷では、使えることが大前提なのだ。使えない人間など、もはや戦力にもなりやしない。

(・・・運命を見れるお嬢様が、自分の不利益になられる存在を自分の側に置く事は無い。となると、やはり何かある?)

 そんな事をついつい考えてしまう。
 とりあえず、今はこの仕事を終わらせるか。
 そう思い、またも妖精メイドに指示を出した。






「さて、皆は集まったわね」

 レミリアは全員の前に立ち、目を走らせてから一言ついた。
 とりあえず道を教えてもらった俺は、まあ確認の為に歩き回っていた訳だが、又も道に迷ってしまい、そしてレミリアに助けられて今に至る。
 ・・・我ながら情けない。

「とりあえず今夜、予定通りに異変を起こすわ。時刻は12時ジャスト。何か意見は?」

「え!?ちょっ、今日異変開始ですか!?」

 驚き、思わず声に出してしまった。
 そのうるさい声に、レミリアは冷静に口を開いた。

「そうよ、そもそも今日が予定していた日だし」

 マジか・・・、と声を漏らす。
 あと数ヶ月くらい後だと思っていたと言うのに、まさかこんなにも早く本番が来るとは・・・。
 そんな俺をよそに、レミリアはその場にいる『中華服』の女性に視線を向けた。

「美鈴、あんたは門の前で待機。んで敵が来たら、本気で戦ってやられた『ふり』をしなさい」

「え、私はまさかの死んだフリですか?」

 中華服の女性、名前は『紅 美鈴』が疑問の声を鳴らす。

「あんたは弾幕ごっこ苦手でしょ。とりあえず本気になったけど倒された、と思わせれる演技をしなさい」

「それにどんな効果が・・・」

 もっともな疑問だ。
 レミリアはリズムを崩さず話す。

「門番ってのは結構重要な役職。普通は実力のある奴を置くのよ。しかし、そこに対して強くない奴を置いている、と思わせる事が目的」

 更にレミリアは言葉を繋げる。

「『門番がこんなに弱い?まさか、ここの奴ら弱いんじゃ?』と思わせて、油断した所を仕留める。これが流れ」

 そうね、とレミリアは付け加える。

「『背水の陣だ!』みたいなセリフでも吐いとけば大丈夫じゃない?博麗の巫女はたかが14歳程度って聞いたし、簡単に騙せるでしょ」

「いや、一人で『背水の陣』は・・・まあ分かりました」

 レミリアは満足そうに頷くと、次に紫色のパジャマのようなものを着た女性に目を移した。
 確か名前は『パチュリー・ノーレッジ』だったか。

「パチェは図書館に大量の迎撃装置を取り付けておきなさい、弱った敵を退治するくらいなら問題ないでしょ?」

「分かったわ」

 パチュリーは簡潔な言葉を口に出す。
 レミリアは頷き、そして咲夜と『俺』に視線を向けた。

「あんた達二人は主に『紅魔館』に近付く輩の迎撃を行ってもらうわ」

「分かりました、お嬢様」

 咲夜は一礼しながら答える。
 そして俺は。

「えーと、俺で大丈夫なのでしょうか?不安しか無いわけですが」

「戦闘方法とかは咲夜に教えてもらいなさい」

 俺の疑問は言葉一つで一蹴された。
 だが、次に言葉を発したのは俺ではなく、隣の咲夜だった。

「ちょっ、ちょっと待って下さいお嬢様!なぜ私が・・・」

「あなた以外に弾幕について教えれる者がいる?パチェは動かしたくないし、美鈴は下手だし、咲夜しかいないじゃない」

 レミリアの言葉に咲夜は黙る。
 何故かは分からないが、咲夜は俺に教える事がそこまで乗り気では無さそうだ。
 確かに、初対面の時は『侵入者とそれを殺そうとする者』という関係だった為、仲良くは出来ないだろう。だが、わざわざ主人の発言に異を唱える程なのか?と少し疑問に思う。

「分かったわね、咲夜?」

「・・・はい」

 確認の言葉に、咲夜は少し間を置いて答えた。

「さて、じゃあまとめ。敵は異変解決時に動くとされる『博麗の巫女』。敵は一人、すぐには動かないと見て、二日後辺りに仕掛けてくると予想。質問は?」

 全員口を開かない。

「じゃあ解散、私は霧を出す準備をするわ。咲夜はその人を宜しくね」

「・・・分かりました」

 そう言い、レミリアは階段を無視して、背中にある悪魔のような翼を羽ばたかせて飛んでいった。
 後ろを振り向いてみると、そこには腕を目一杯に伸ばしてリラックスしている中華服の女性がいた。

「んー、終わった終わったぁ」

 そう呟くと、中華服の女性『紅 美鈴』は、そのまま踵を返して玄関と思わしき方向へ歩みを進めた。
 気付いてみると、同じ場所にいた筈の紫色のパジャマの女性『パチュリー・ノーレッジ』は、いつの間にか煙のように消えていた。
 場には咲夜と俺のみ。
 重たい空気が肉体を押し潰してくる。

(なんで咲夜はあんなに俺を嫌ってんだ?俺、初対面の時の他に何かしでかしたか?)

 思い返してみるが、一切覚えがない。
 だが何かしたに違いない。そうでなければ、あそこまで嫌う事は無いだろうから。
 頭を回転させ、なんとか答えを導きだそうとする。

 が、突如背後から足音が鳴り響いた。

 振り向いてみると、咲夜がナイフを構えて佇んでいる。

「えーと・・・咲夜さん?」

「あいにく、私は教えるのは得意じゃなくてね」

 そう言い終えると同時、咲夜の腕が振るわれた。

 銀のナイフが一直線に飛んでくる。

「おわッッ!?」

 顔を素早く横に動かす。
 すると、頬のすぐ近くの空気をナイフが切り裂いた。
 慌てて携帯の電源を入れ、アプリを起動する。

「ちょっ、いきなり何を・・・!?」

「実践練習の方が覚えやすいでしょ?」

 咲夜のナイフが飛んでくる。

「スパルタですねぇ!切れ味を0に!」

 空気を切り裂くナイフは、本来柔らかい筈の皮膚に当たった瞬間、その威力を失ったかのように床へ落ちた。
 零れ落ちたナイフを見、目の前の咲夜へ視線を向ける。

 ・・・が、そこに咲夜はいなかった。

「私が教えるのはあくまで『弾幕ごっこ』」

 上空から聞き慣れた声が聞こえてくる。

「幻想郷の弾幕ごっこの条件は、『能力や弾幕で打ち消さない、無力化しない』『弾幕以外の攻撃を放たない』『能力はあくまで補助とし、直接的な害のある使い方はしない』『相手が避けれる弾幕のみの展開』よ」

 上空を見てみると、そこには空中に浮かぶ咲夜がいた。
 咲夜を中心に、蒼白のナイフが展開される。

「とりあえず・・・避けてみなさい」

 次の瞬間、蒼い閃光が散った。 
 

 
後書き
咲夜さんのスパルタ教室の始まりです!
主人公の命運は私の気分次第になります、ハイ。

それでは、次回もゆっくりしていって下さいね!


そういえば、小説の『章分け』ってどうするんですかね?
なろうとは違うようで、どうすればいいのか全く分かりません(泣)
誰か教えて下さると幸いです! 
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