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旧エクリプス(ゼロの使い魔編)

作者:cipher
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第30話 虚無(ゼロ)のルイズ

ブリミル暦6242年 フェオの月 フレイヤの週 ユルの曜日
皇紀2800年 4月 2日 トリステイン王国 トリステイン魔法学院

Side (つかさ)一条(いちじょう)

さしより、(つかさ)は両親に電脳通信で連絡した。

『父さん、母さんルイズの使い魔として、俺が呼び出されてしまった。』

『あぁ、知っている。トリステイン魔法学院の監視カメラで見ていたからな。』

父の一条光司(いちじょうこうじ)は答える。

『うふっ、ルイズちゃんの召喚魔法(サモンサーヴァント)が原作と違って普通だったわね。それで平賀才人(ひらがさいと)君が呼ばれなかったのでしょう。』

母の香月未来(こうづきみく)は可笑しそうに答える。

『人事だと思って笑わないでくれる。まぁ、もう原作知識はあまり役立たないだろうから、誰でもかまわないけど・・・。しかし、俺が呼ばれるとはなぁ。まぁ、なったものはしょうがない。ガンダールヴのルーンはあったら困るものでないし、せっかくお祖父(じい)様がデルフリンガーをインテリジェントデバイスにしてくれた事だし、がんばるよ。』

(つかさ)は悩みながらも最後は踏ん切りをつけている様であった。

『しっかりな。(あきら)がフォンティーヌ領にいるから困ったことがあれば相談すると良い。』

『分かったよ、父さん。それから、研究室の建設をお願いするよ。』

『分かった。』

『うふふ、孫の顔が楽しみね。』

Sideout

(つかさ)は学院長のオールド・オスマンと交渉して、研究室の建設を認めて貰い、完成までの期間は男子寮に入ることになった。


ブリミル暦6242年 フェオの月 フレイヤの週 エオーの曜日
皇紀2800年 4月 3日 トリステイン王国 トリステイン魔法学院

Side ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール

朝、ルイズは朝食を取る為、食堂に向かった。司とは食堂で待ち合わせている。

「おはよう、ルイズちゃん。」

食堂の入り口の前で司が待っていた。

「おはよう御座います、司さん。」

ルイズは少し照れた様に挨拶を交わした。

「おはよう、ルイズちゃん、お兄ちゃん。」

ルイズの後ろから、(ゆめ)が声をかけた。

「おはよう、(ゆめ)。それとルイズちゃん、(かしこ)まらなくて良いから、何時もの様にお兄ちゃんで良いよ。」

司は気楽に返事する。それは夢がラ・ヴァリエール公爵邸に滞在している時は、(あきら)か司のどちらかが同伴していたのだ。
それで夢と同じように呼び掛けていた。晃はカトレアと結婚したので、お義兄(にい)様と呼んでいる。

「そうだよ、ルイズちゃん。(うち)は家族ぐるみでお付き合いしているんだし、気楽に話しかければ良いよ。」

夢も司の意見に賛成のようだ。

「分かりました「だめ。」分かったわ。」

ルイズが丁寧に了解しようとしたのだが、夢が駄目だしをする。

「それじゃ、朝食に行こうか。」

「「はい。」」

3人は仲良く食堂に入って行き、テーブルの席に着いた。

「これがアルヴィーズ食堂か?ハリー・○ッターの世界の様だね。」

「あぁ、知ってる。夢ちゃんがその映画のシリーズを見せてくれたもの。でもお兄さんはアルヴィーズの名前まで知ってるなんて、詳しいですね。」

「それはこの魔法学院を含めて、この辺りの都市開発の設計を手伝ったからね。」

「えぇ、それは凄い。」

「えっへん、お兄ちゃんは凄い技術者なの。」

夢は自分が褒められたかの様に胸を張った。
そこへタバサとジョゼが合流した。ジョゼはルリ(フェンリルの子供)を伴っていた。

「「おはよう、ルイズちゃん、夢ちゃん、それにお兄さん。」」

流石は双子だった。息がぴったり合っている。

「「「おはよう。」タバサちゃん、ジョゼちゃん。」」

5人は顔見知りであった。一条家の繋がりで親しい。それに年も近いことで、よくルイズの実家に遊びに来ていたのだ。

「ねぇ、夢ちゃん。今度、ミッドチルダ式の召喚魔法を教えてね。私のシルフィードも擬人化したいの。」

「タバサちゃんの風竜(ウィンドドラゴン)にシルフィードって名前付けたのね、いいよ教えてあげる。」

この中でタバサの使い魔だけ、擬人化していないのだ。但し、シルフィードは風韻竜であり先住魔法の変化を使えば、人に変化する事が出来るが、変化を使っている間は他の魔法が使えないし、風韻竜とばれてしまう。韻竜は絶滅したと思われている。
そこに燃えるような赤い髪の女の子が現れた。ゲルマニアからの留学生でキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーである。

「私にも教えてよね。それに流石は虚無(ゼロ)のルイズね。貴族を召喚するんだもん。」

「おはよう、キュルケ。」

ルイズは顔をしかめるが、嫌ってはいない。義兄の晃がフォンティーヌ領とツェルプストー領で交易を行っている関係で以前ほど、ラ・ヴァリエールとツェルプストーの中は悪くないのだ。エクリプス社は決して、既存の利権に割り込むことはしない。それ以前に積極的な投資と技術提供を行い、地場産業を育てているのだ。今ではロマリア以外の各国が、1970年代程までの技術水準が上がっている。

そんなやり取りをして、朝食を取り終えた一行は授業に望むのだった。
魔法学院の教室は、大学の講義室の様だった。一番下の段に教師が立つ場所があり、階段状に生徒の席が半円状になっている。
司はルイズの隣の席に座った。
扉が開いて先生が入ってきた。紫色のローブに身を包み、帽子を被っている。30代の女性だが、15年程前から老化防止薬を販売しているので、実年齢は45歳を超えていると思われる。

「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ。
おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。」

シュヴルーズ先生はルイズ達を眺めながら挨拶した。

「では授業を始めますよ。」

シュヴルーズは、こほんと重々しく咳をすると、杖を振った。机の上に、石ころがいくつか現れた。

「私の二つ名は赤土。赤土のシュヴルーズです。土系統の魔法を、これから一年、皆さんに講義します。魔法の四大系統はご存知ですね?ミスタ・マリコルヌ。」

「は、はい。ミセス・シュヴルーズ。火・水・土・風の四つです!」

シュヴルーズは頷いた。

「今は失われた系統魔法である虚無を合わせて、全部で五つの系統があることは、皆さんも知っての通りです。その五つの系統の中で土は最も重要なポジションを占めていると私は考えます。」

ここに虚無の担い手がいることを知らないシュヴルーズは、それから以降も如何に土が重要化を語った。

「今から皆さんには土系統の魔法の基本である、錬金の魔法を覚えて貰います。一年生ときに出来るようになった人もいるでしょうが、基本は大事です。もう一度、おさらいすることに致します。」

シュヴルーズは、石ころに向かって、手に持った小ぶりな杖を振り上げルーンを唱える。石ころはピカピカ光る金属に変化した。

「ゴゴ、ゴールドですか?ミセス・シュヴルーズ!」

キュルケが身を乗り出して質問する。

「違います。ただの真鍮(しんちゅう)です。ゴールドを錬金出来るのは、スクウェアクラスのメイジだけですが、私はただのトライアングルですから・・・。」

「ねぇ、この授業は昔のままのね。」

ルイズは隣の司に話しかける。

「それはしょうがないよ。先生も生徒も、最新の理論についていってないからね。十分に教わっているのは、各王家に近い者達とアカデミーの研究者ぐらいなものだよ。」

「ミス・ヴァリエール!」

「は、はい!」

「授業中の私語は慎みなさい。お喋りをする暇があるのなら、あなたにやって貰いましょう。」

「はい、すいません。」

ルイズは誤りながら、教壇に立って、ルーンを唱える。そうすると、石ころが金色に光輝いた。
シュヴルーズは金属を確かめる為に探知魔法(ディテクトマジック)を使った。

「ゴゴ、ゴールド!」

シュヴルーズは100%純金の金属を見て固まってしまった。
その後、司が取り成して事なきを得る。


Sideout

司は物理学を専攻しただけあって、教えるのも上手かった。その為、補助教師として孤軍奮闘することになる。
また原作開始に伴って、元の世界との連絡をリアルタイムに行うことになった。
元の世界の一条光輝(いちじょうこうき)香月夕呼(こうづきゆうこ)は、子孫の活躍ぶりを録画編集して、喜んでいた。
 
 

 
後書き
虚無(ゼロ)のルイズの話でした。
ルイズが虚無とは一部の者しかしりません。自分でゼロのルイズと呼んでいるのは、回りの人達からは苦手な魔法がないからだと思われています。 
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