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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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第二十二話 アクセルSIDE FINAL

 
前書き
アクセルSIDEの最終話。 

 
地上に戻ったアクセル達は見回すと見慣れない場所にいた。
壮麗なステンドグラスが斜陽を通していた。
淡い紅や黄色が無機質な床に映っていた。
そして荘厳な宮殿が崩壊を開始した。
突然のことにバランスを崩した3人の上から、天井の破片がパラパラと落ち始める。

ゼロ「何だっ…?建物が崩壊し出している…。」

エックス「考えるのは後だ!脱出しないと!!」

エックスの声に、アクセルは周りを見渡す。
出入口らしき大きな穴に駆け寄り、様子を窺う。

アクセル「こっち行けそうだよ、早く!!」

みんなに呼びかけたアクセルに、振り返ったエックスが息を呑む。
疑問に思う間もなく、彼をすっぽりと覆って差した影に振り向く。
そうして、常葉色の瞳を大きく見開いた。
ボロボロのマントを纏い、回路も露わな腕を伸ばしながら近づいて来る男。
死人を思わせる恐ろしい姿であった。

アクセル「うわああああ!!」

あまりの恐ろしさにアクセルは初めて恐怖した。
必死にバレットを乱射する。
だがシグマはバレットの攻撃などものともせず、笑いながらその大きな腕を振り上げた。

シグマ「フハハハハハッ!!」

殴られた彼の身体は容易く吹き飛ばされ、壁を突き破り見えなくなった。

エックス「アクセルー!!」



































アクセル「痛…っ、エックス、ゼロ…」

起き上がるアクセル。
アクセルは大量の瓦礫に生き埋めとなり、身動きがとれない。

アクセル「どうすれば…」

このままではエックスとゼロが危ない。
しかし特殊武器は使い物にならないし、かといって自力で抜け出すのは不可能。
しかしアクセルの傍らに、レッドが遺してくれた希望の光があった。

アクセル「レッド…」

レッド『アクセル、諦めるな。』

アクセル「え…?」

思わずアクセルは息を呑んだ。

レッド『お前ならきっと奴を倒せる…』

幻聴かもしれない。
しかしレッドの声が聞こえた。

レッド『突き進めよ…!!』

レッドの幻が浮かび、そして消えていく。
掌には希望の光。
ならばアクセルがすることはただ1つ。

アクセル「(使わせてもらうよ。レッドの力を…)」

アクセルの身体が光に包まれていく。
光が消えた時にはアクセルの姿はなく、レッドへと姿を変えていた。
そして瓦礫から脱出し、シグマと対峙しているエックスとゼロに向けて衝撃波を放った。

「見つけたぞ…ゼロ、エックス!!」

大鎌を手にした隻眼の死神。
驚きで声を失くした2人の前に、レッドは降り立つ。
セイバーを抜く間も与えずゼロを蹴り上げ、バスターを構えようとするエックスを鎌の背で殴り飛ばした。
そのまま、まるで守るようにシグマの前に立つ。
レッドの後ろで、奴は勝ち誇ったように笑った。

シグマ「フハハッ!いいぞレッド!!お前の力をよこせ……奴らに復讐だ!!」

シグマの身体から先端がギラギラと光るコネクターが伸び、レッドを包む。

「(かかった!!)」

コネクターは彼の身体に接続されていく。
そんな中、前触れなくレッドが呟いた。

「これなら……」

持ち上げた手に、握られているのは鎌ではなく。

「……どうかな?」

低い声に混じった、少年特有の高い声。
同時に突き付けられるバレット。
銃口から光が溢れ出し、シグマの顎から頭にかけて貫いた。
再び苦悶の叫びを上げたシグマは、壁を突き破り外に、高い空中へと放り出された。
レッドは身体を捻ってコネクターを引きちぎり、壁に背中を打ち付ける。
そのままずるずると崩れ落ちた。
光を放ち、収まれば、彼は彼本来の姿に戻っていた。

エックス「アクセル!!」

ゼロ「起きろ、アクセル」

エックス「大丈夫か?」

エックスが手を差し出しながら尋ねると、アクセルは俯き、微かに笑い声を零した。

アクセル「…上手くいったでしょ?エックス」

悪戯っぽい子供の声。
しかし、上げられた顔には、どこか儚い憂いを帯びた笑み。

アクセル「…僕のこと認めてくれた?」

翡翠の瞳をじっと見つめる。
エックスは一瞬だけ目を見開いたが次の瞬間、苦笑した。

エックス「…当たり前じゃないか」

苦笑と共に返された言葉にアクセルは笑みを深くした。
こうしている間にも宮殿が崩壊していく。

ゼロ「立てるなら急げアクセル。ルインとルナが負けるとは思えないが、万が一のこともある」

エックス「ああ」

アクセル「そっか…2人があいつらを抑えてるんだったね…」

あの2人が一度戦った相手に負けるとは思えないが、あの4人もシグマにも劣らない実力の持ち主だ。
人間素体型の特性である“成長”する能力を持っているため、下手をしたらシグマよりも厄介な相手だ。

エックス「行くぞアクセル」

アクセル「…うん」

アクセル達が2人の反応を頼りに探し、見つけた時には既にあの4人はいなかった。
宮殿の崩壊が始まった時点で、ルイン達も離脱したようだ。
急いで宮殿を後にしたアクセル達。




































ハンターベースに帰還したアクセルはメンテナンスを受けた後、部屋でバレットの調整などをして暇を潰していたが、次第に飽きてきたところを、エックスとルインが出掛けたのを見て、ルナと目配せした後、追い掛けることにした。
エックスとルインが向かったのはアクセルがメガ・スコルピオに追われていたハイウェイ。
アクセルは複雑そうに見ていたが。
2人が着いたのは、街を一望出来る場所。
そこでエックスとルインの会話を聞いた。

エックス「…覚えているだろうルイン?君がハンターになりたての頃、シグマ隊長が俺達にこの景色を見せてくれたことを……」

ルイン「勿論だよ。シグマ隊長が私とエックスに教えてくれた。これが私達が守る街、人々、笑顔、命、心だって…」

エックス「シグマ隊長も1体のレプリロイドに過ぎない。いつかイレギュラーに敗れる日が来るかも知れない。けど、意志を継ぐ者がいれば、イレギュラーハンターは滅びない。シグマ隊長は俺達にそう教えてくれた」

ルイン「これが私達の守るべき存在と教えてくれたよね…」

アクセルとルナは2人の会話に聞き耳を立てていた。
今のシグマを考えれば到底想像もつかない言葉だ。
恐らくはイレギュラーに堕ちる前のシグマなのだろう。

エックス「そこにいるんだろう?アクセル、ルナ?」

ルナ「ゲッ」

バレたと言いたげに顔を顰めたルナ。

ルイン「話し掛けてくれればいいのに」

ルナ「仕方ねえだろ?話しづらかったんだ。」

エックス「そうか。アクセル、ここはかつてシグマ隊長に大切なことを教えられた場所だ。」

アクセル「うん…」

エックス「イレギュラーハンターとなるなら、刻み込め、これが俺達の守るべき人々、笑顔、命、心なんだと」

エックスの言う通りアクセルは、ハイウェイから見える街並みを見た。

エックス「ここは、俺達の戦いの始まりの場所。」

ルイン「ここから私達の戦いが始まったんだよ」

ルナ「へえ…」

エックス「アクセル、君は弱き者達の剣となり盾となる覚悟があるか?」

かつてシグマに言われたようなことをアクセルに言うエックスにルインとルナは2人を見遣る。
アクセルは不敵な笑みを浮かべた。

アクセル「勿論」

その答えに満足した笑みを浮かべるエックス。

エックス「よし、ハンターベースに戻るぞ、これからみっちり鍛えてやる」

アクセル「うん!!」

ルナ「…俺達も帰るか」

ルイン「そうだね」

ハンターベースへ向かって走るエックスとアクセルに2人は苦笑して2人を追い掛けた。 
 

 
後書き
アクセルSIDE終了 
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