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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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ザ・ネクスト・ステージ

雷狼号で病院敷地内に入り、バイク置き場にそれを止め、降りる。
俺はメットを外し、遅く移動している和人を見た。
菊岡との会談から一週間後の土曜日。
ガンゲイル・オンラインにログインする場所が用意出来た、と言うメールに俺は重い腰を上げたのだが、指定された場所は、どういう訳か、千代田区にある都立病院だった。
俺は溜め息を付くと、ようやく着いた和人を見る。
「ほれ、急げ桐ヶ谷」
「こんなときまで教師スタイルは止めても良いんじゃありませんか!?」
「良いから手ぇ動かせ、そして足を動かせ。とっとと行くぞ」
「ちょっ……ああもう!!」
俺は和人を置いていき、一人病院の中へ入る。































まずトイレに寄ってから、スマホに表示された菊岡のメールを頼りに、入院病棟三階の指定された病室へたどり着いた。ドア脇のプレートに患者の名前はない。ノックの後、俺はドアを引き開けた。
「おっす!二人とも、お久しぶり!」
すると、俺達を迎えたのは、リハビリ期間にお世話になった、安岐ナースだ。
「何であんたがここに居るんだ」
和人が硬直しているので、代わりに質問する。
「あの眼鏡のお役人さんから話、聞いてるよー。何でもお役所の仮想……ネットワーク?の調査をするんだって?まだ帰ってきて一年しか経ってないのに、大変だねぇ。それで、二人のリハビリ担当だった私に是非モニターのチェックをしてほしいとか言われて、今日シフトから外れたんだ。師長とも話ついてるみたいでさ、流石国家権力って感じだよねー。取り合えず、またしばらくよろしくね」
「はぁ………」
俺はまだ硬直してる和人を叩き、現実に戻す。
「……で、その眼鏡の役人は来てないんですか?」
「うん、外せない会議があるとか行ってた。伝言、預かってるよ」
「そのまま破いてください。大体予想つきますんで」
俺はそう言うと、和人が言う。
「あー……それじゃあ、早速ネットに接続しますんで……」
「あ、はいはい。準備出来てます」
案内されたジェルベットの脇には仰々しいモニター機器が並び、ヘッドレストには真新しいアミュスフィアが銀色の輝きを放っている。
「じゃあ脱いで、二人とも」
「「は………はい!?」」
「電極、貼るから。どうせ入院中に全部見ちゃったんだから赤くならなくていいよー」
「「………あの、上だけで良いですか………」」
安岐ナースは一瞬考えた後、幸い首を縦に振った。観念して、コートと長袖シャツを脱ぎ、ベッドに横になる。たちまち、心電図モニター用の電極が貼られていく。
「よし、これでOK………っと」
最後にモニタ機器の確認をするとナースは頷き、俺達は手探りでアミュスフィアを取り上げ、頭に被ると電源を入れた。
「えと、それじゃあ………行ってきます。多分四、五時間くらい潜りっぱなしだと思いますが……」
「はーい。二人のカラダはしっかり見てるから、安心して行ってらっしゃい」
「「よ……よろしくお願いします……」」
俺は少しの不安を抱え、目を閉じた。
同時に、耳元でチチッ、とスタンバイ完了を告げる電子音。
「「リンク・スタート」」
コマンドを唱えると、俺は新たな戦場へと潜り込んだ。

























俺がダイブすると、そこはプレイヤーホームの中だった。
「うっわ……すっかり忘れてた……俺、昨日の時点でここで落ちたんだった……」
俺は慌てて装備を確認する。メインアーム、アンチマテリアルライフル バレットM82。サブアーム、アサルトライフル FN F2000、四本のコンバットナイフ。予備弾倉や防弾ジャケット、ベルト型の<対光学銃防護フィールド発生装置>等の装備を確認すると、俺はそれら全てをアイテム・ウインドウにぶち込む。
それをし終わった後で、時間を見る。
デジタル時計に表示された時間は、十四時三十分。キリトが今何処に居るかは不明なので、取り合えず、BoBのエントリー会場である総督府まで移動せねばなるまい。
俺は深く溜め息を付くと、ロードを呼び出す。
『なーに、ライト?』
「ロード、融合やるぞ」
すると、ロードは叫ぶ。
『えーーーーーー!?』
「うるせぇよ。今回は負けられないんだ。先に融合しちまうぞ」
『……仕方ないなぁ』
そして、俺は立つと、呟く。
「融合~チェンジ~」
すると、ロードの人格が消え、俺の髪が黒から薄めの赤に変わり、目も真紅に染まる。
「さぁ、行こうか」
俺は随分前に買ったバギーに乗り込み、キーを回す。途端、バギーのエンジンがかかり、同時に、目の前のゲートが開く。
スロットルを煽ると、内熱機関が甲高く吠え、バギーは前輪を浮かばせながら、弾かれるように車道へ飛び出した。





















総督府までバギーで移動し、近くに止めると、素早く移動し、中に入る。
右奥の壁際まで移動すると、タッチパネル式の機械があり、それを手早く操作、登録を終わりにする。
と、俺は再びデジタル時計を見る。
登録時間まで残り五分少々。残念だが、キリトは間に合いそうに無さそうだ。
ーーーと思っていたとき。
目の前に女の子二人……いや、女の子とキリトが現れた。俺はそれを遠目で見ていると、彼等も急いで手続きを済ませて出てきたので俺はそちらにいく。
「キリト、おせぇよ!!」
「悪い悪い、色々この子にレクチャーして貰っててさ」
と、薄めの水色髪をした少女が来る。
「えっと、この人は?」
「ああ、初めましてだっけヘカートキャット。俺はライト。よろしく」
俺はネームカードをメインメニューから実体化させ、ヘカートキャットに渡す。
「ああ、スコードロン<バースト>リーダーの。私はシノン。当たったら正々堂々と戦いましょう」
すると、シノンもネームカードをメインメニューから実体化させ、俺に投げる。
「所で、予選のブロック何処だった?」
「俺はDブロックの三十七だな」
「Fブロックですね。Fの三十七番」
「あ……そっか。同時に申し込んだからかな、私もFブロックだよ。十二番だから……良かった、当たるとしても決勝。ライト、貴方の場合はバトルロワイアルの時ね」
「ああ。対戦、楽しみにしてるぜ?」
俺はそう言うと、控え室に移動した。


































???Saibo
俺は深い息を吐く。
今日はBoB大会当日。だが、ミスってメインアームを置いてきた。
「やべぇ………本気でやべぇ……」
予選はDの十二。しかし、一回戦はそろそろなので、メニューからメインアームを交換する程の威力のあるスナイパーライフルは無い。
そこにーーーーーー
「ちょっと、シャー!!相方忘れて行くなよ!!」
そんな声が聞こえ、顔をあげると、顔面に銃が激突する。へぶっ、と情けない声をあげ、銃を持つと、それは俺のメインアーム PGM Mini Hecate 338だった。
「俺のメインアーム!?何で!?」
「何で!?じゃないわ、シャー!!」
ゴツン、と俺の頭に拳骨が当たる。こんなことをするのは一人しかいない。
「……み、ミユ……」
そう。同じスコードロンのメンバー、ミユだった。
「私が気付かずに総督府来てたらあんたメインアームどうするつもりだったの!?」
俺はミユを見て言う。
「……SVD。手持ちの奴で一番強いし」
「ドラグノフ使う奴は馬鹿だ」
ですよねー、と思いながら、Mini Hecate 338を背中に装備する。
「さ、気合い入れてくよ。何がなんでも優勝なんだろ、あんたは!」
「そういうお前もだろ?」
俺はそう言うと、俺を青い光の柱が包み、いよいよBoB大会が始まった。 
 

 
後書き
さて、いよいよBoB開催です!!
因みにライト君のメインアーム、バレットM82は神崎さんのミヤビちゃんの所からの贈り物です。サブアームのアサルトライフル、FN F2000は家にあった昔のGUNカタログを参照。
また、謎の人物のメインアーム、PGM Mini Hecate338は、シノンの持つPGM ウルティマラティオ・ヘカートIIと、ウルティマラティオの中間に位置するモデルです。これも、GUNカタログで見付けました。
ライト「見付けんの得意」
騙らっしゃい。では、次回、二人とも一回戦のスタートです!! 
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