| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

グランドクエスト

暫く作戦を立てていると、キリトとリーファと………あと一人追加されて戻ってきた。どうやら仲直りしたらしい。
「来たな?」
「ああ」
キリトは俺を見て言う。それは、俺が知っている<黒の戦士>キリトと重なった。
「さて、早速で悪いがガーディアンの事を聞きたい。ユイを出してくれ」
「分かった。ユイ、居るか?」
その言葉が終わらない内に、中空から光の粒が凝縮し、お馴染みの小さなピクシーが姿を現す。
「もー、遅いです!パパが呼んでくれないと出てこられないんですからね!」
「悪い悪い。ちょっと立てこんでて」
苦笑しながら差し出したキリトの左手に、小妖精がちょこんと座る。途端、リーファの連れが物凄いスピードで首を伸ばした。
「うわ、こ、これ………」
「はいはい。お前は邪魔」
俺はそいつを掴み、ポイッと投げる。
「ユイ、あの戦闘で何か分かったか?」
「はい」
ユイは真剣な顔で頷く。
「あのガーディアン・モンスターは、ステータス的には然程の強さはありませんが、湧出パターンが異常です。ゲートへの距離に比例してポップ量が増え、最接近時には秒間十二体にも達していました。あれでは……攻略不可能な難易度に設定されてるとしか……」
「だろうな」
俺は呆れながら言う。
「あいつらは一、二撃で落とせるから気付かないが、総体では絶対無敵の巨大ボスと一緒だってことだな。ユーザーの挑戦心を煽るだけ煽り、興味を繋げるギリギリの所までフラグ解除を引っ張る腹だな。しかし、そうなると厄介極まり無いな」
「でも、異常なのはマスターやパパのスキル熟練度とエクストラスキルも同じです。瞬間的突破力だけなら或いは可能性があるかも知れません」
「…………」
キリトは暫く黙考するふうだったが、やがて顔をあげ、俺達を見る。
「……済まない。もう一度だけ、俺の我儘に付き合ってくれないか?」
すると、俺はコートをなびかせ、言う。
「当たり前だ。あのガーディアン対策は既に完了している。リーファやそこのおかっぱ野郎も居りゃ、言うこと無しだがな」
「解った。あたしに出来る事なら何でもする………それと、コイツもね」
「え、ええ~………」
リーファに肘で突付かれたおかっぱ野郎は暫くぶつぶつ呟いた後、かくんと頷いた。























再び大扉が開き、 俺達は中へ入る。
俺の横には、リオレウス、スカルリーバー、ストレア、そしてグリームアイズが。どれもこれも、対地上部隊防衛に強力な力を発揮するメンバー達だ。ライトのアカウントを使えるだけ使い、コピーサーバから残っていたボスデータをそのまま復活させた代物だが、一つ違うのは、その中に居るのが、ロード二分割バージョンと言うことだけだ。
「………行くぞ!!」
キリトの叫び声を合図に、俺はキリトと共に上昇する。
打ち合わせはこうだ。
まず、キリトと俺が天蓋まで飛び、リーファとレコンは下でヒールスペルアシスト。リオレウスは真ん中で援護をし、ストレア率いるボス軍団が地上部隊に寄ってくるガーディアンを倒す。
ライトは『うまくいくのか?』と疑問を言ったが、俺は頷き笑った。
「<メテオスタァァァ………ブレイカァアアアアアッ>!!」
目の前に現れたガーディアンに、<滅殺剣>最上位剣技<メテオスター・ブレイカー>を放つ。
流星のごとき剣戟がガーディアンを飲み込み、エンドフレイムとなり消えていく。だが、しかし、それでもあいつらの絶対的有利に変わりはない。
「レウスッ!!」
途端、リオレウスの炎がキリトを援護し、その尻尾はガーディアン達を薙ぎ払う。
少し下を見ると、スカルリーバー、グリームアイズがその鋭い鎌と剣でガーディアン達を斬っているのが見える。だが、それでもヒールスペルを俺達に打ち込む度に、ガーディアンが地上部隊の方へ行くのが見える。
「チィッ!!」
早くもゲートまで残り半分の地点に居る俺達では援軍に向かえない。すると、レコンが前に出て、ストレア達と共に戦い始める。
その瞬間、俺の前に三体のガーディアンが現れる。
「っ………!しつけぇ!!」
俺はその胴体を切り裂き、上昇する。
「キリト!!」
俺はキリトに叫び、漆黒の狂戦士を投げ付けると、ライトの武器、<死斬・鬼人刀>を持ち、ガーディアン達を斬って斬って、斬りまくる。
途端、下の方で大爆発が起きた。
そちらを見ると、レコンの姿が無くなっているのが解る。さっきのは、自爆魔法だったのだろう。
俺は心の中でレコンに礼を言い、天蓋を見る。
「うおおおおお!!」
「アアアアアアッ!!」
いつの間にか、ドームの天蓋は、ガーディアン達で埋まっていた。
後僅か、ほんの僅かの所まで俺達は天蓋に肉薄している。
「嘗めんなよ………ガーディアンッ!!」
俺が叫ぶと同時に、メッセージ受信のアイコンが現れる。
「何だ!?」
俺はそれを開き、驚く。差出人は……あの茅場晶彦だった。
『ダーク君、そしてライト君。君達には本当の意味での報酬を与えていなかった事に気が付いた。これは私からの些細なプレゼントだ。どうか、役立てて欲しい』
「役立てて欲しい……?」
途端、俺の体が光り、次の瞬間、ライトが横にいた。
「うおっ!?」
「茅場先生……一体……」
途端、更に俺達を驚かせる出来事が起きた。
【システムメッセージ。エクストラスキル<神聖剣>使用可能になりました。】
すると、ヒースクリフが愛用していた盾と長剣が現れ、俺達に装備される。
「へぇ……結構なサプライズじゃん。気に入ったぜっ!!」
「茅場先生………有り難く、使わせて貰います!!」
俺達は共に上昇し、キリトに接近したガーディアンを<ユニコーン・チャージ>で貫く。
「ダーク!?それとライト!?何で……ってかそれ……」
俺はキリトに人差し指で制止させ、上を指す。すると、キリトは頷き、ガーディアン達を突破していく。
「んじゃあ……一丁行くか!!」
「ああ……」
すると、長剣が光輝き、それは深紅に染まる。
「「<ゴスペル・スクエア>!!」」
<神聖剣>上位剣技<ゴスペル・スクエア>。菱形の軌道を描き、それは近付くガーディアン達を殲滅した。
そこに、いつ来たかシルフのプレイヤーとケットシーの竜に乗ったプレイヤーが援護攻撃を放ってくる。
「「もう一丁!!」」
俺達は再び剣を光輝かせ、<ユニコーン・チャージ>でガーディアンの群れを突破する。
上を見ると、キリトがガーディアン達を突破した所で、それはすぐに埋め尽くされる。
「ライト、帰還すっぞ!!まだ、終わらない。俺達はまだやるべき事があるっ!!」
「……おうっ!!」
ライトは頷くと、光となって俺の体に戻り、寄ってくるガーディアンを<グングニル>で貫通させながら地上に降り、扉から出た。
「ダーク!!」
扉から出ると、そこにミザールが現れる。
「キリトは……?」
「無事に行ったよ。アスナの所へ」
「……良かった」
ホッとするミザールに、領主への伝言を言い、ログアウトする。











ログアウトした後、すぐにライトに体を返し、言う。
『ライト、時間の猶予は最早無いと思え。急いで片を付けろ!!』
「人使い荒いなお前は………。ま、裏の天才プログラマー、<電脳の隠者>には簡単だがな!!」
ナーヴギアを外したライトは、すぐにナーヴギアをパソコンに接続。専用のフォルダを開き、眼鏡を掛ける。
すると、眼鏡を光らせると、尋常ではないスピードで、レクト・プログレスへのハッキングを開始する。
GPプログラムを作ったのは彼自身だが、それよりも、GMプログラムの方がハッキングしやすい。それを提案した俺は、ヒースクリフのメールにあったシステムIDをライトに言うと、すぐにIDを変更。すると、レクト・プログレスへのハッキングが完了し、様々なデータが現れる。
「<ナーヴギアによる思考・記憶操作技術の基礎研究>………須郷はSAO未帰還者にこんな事をしてたのか……っ!!」
ライトは机を叩き、怒りを露にする。
『ゲームにはハッキング出来そうか?』
「………余裕に決まってんだろ!?」
すると、再び驚異的なスピードでゲームプログラムにハッキング。それをナーヴギアに転送し、再び被り、言葉を発する。
「『リンク・スタート!!』」
すると、暗闇の中に俺達は転送される。そこには、須郷にアスナ、キリトが居た。
俺はライトに変わると、ライトは暗闇から出て姿を見せる。
「須郷………久しぶりだな」
すると、須郷はライトを見て言う。
「おやぁ、君は天城君じゃないか。キリト君と言い、どうやってここに?」
「俺は単にプログラムをハッキングしただけさ。あんたらのファイヤーウォールなんて、俺にはただの薄い壁でしかない。
ライトは怒りを露にして言う。
「あんたは、茅場先生の造り上げ、そして願った世界をこんな風に悪用した………そこにいた住人も、全て!!」
「まぁ、そのお陰で思考・記憶操作技術の基礎研究は既に八割を終えた。これも元SAOプレイヤーの皆さんの献身的な協力があってこそ。茅場先生には礼しかない」
「ふざけるな!!」
地面をぶち抜きそうな勢いで踏み込み、ライトは叫ぶ。
「あんたの研究の為に、茅場先生はSAOプレイヤー達をゲームから解放したんじゃないっ!!あの人は、あの人はなぁっ!!」
ライトは震える拳を握り言う。
「あの人はっ!!ただ自分の望んだ世界を創り出す為だけを欲して居たんだ!!ただ、あの人はやり方を間違えただけだ。だが、あんたは違うッ!!あんたは自分が思うままに世界を奪い取った!!そんなあんたに、妖精王(オベイロン)を名乗る資格はないっ!!」
「煩いなぁ……取り合えず、消えろォ!!」
須郷は青いシステムメニューウインドウを開くーーーーーそれより早く、ライトが音声コマンドを発声した。
「システムコマンド、スーパーバイザ権限変更。IDオベイロンをレベル1に」
途端、彼に王の力を与えていた魔法のスクロールが消えた。
「ぼ…………僕より高位のIDだと………?有り得ない……僕は支配者……創造者だぞ……この世界の帝王……神……」
聞くに耐えない言葉を放つ須郷を見て、ライトは言う。
「そうじゃない。お前は盗んだんだよ。世界を。そこの住人を。盗み出した玉座の上で、独り踊っていた泥棒の王だ!!」
「こ……このガキ……っ!」
「少なくとも、俺はあんたより大人だ。ずっと、ずっとな」
ライトは右手を出すと、音声コマンドを発声した。
「システムコマンド。オブジェクトID<エクスキャリバー>ジェネレート」
すると、虚空から金色に輝く刀身を持つ、綺麗な装飾を施されたロングソードが現れる。
「システムコマンド。ペイン・アブソーバ、レベルゼロ」
「な………何………?」
仮想の痛みを無制限に引き上げるコマンドを聞き、妖精王は後退る。
「逃げるなよ、王なら。同じ王でも、あの人は臆したことは一度も無かったぞ。あのーーーーーーー茅場晶彦は!!」
すると、須郷の顔が一際大きく歪んだ。
「茅場……ヒースクリフ……アンタか。またアンタが邪魔をするのか!!」
右手を振り上げ、絶叫した。
「死んだんだろ!?くたばったんだろうアンタ!!何で死んでまで僕の邪魔をするんだよ!!アンタはいつもそうだよ……いつもいつも!!いつだって何もかも悟った様な顔しやがって……僕の欲しいものを端からさらって!!」
「先生がさらう?はっ、それはあんたの実力が足らなかったからじゃないか。ーーーーーーーそれに、茅場先生は全て解ってたよ。何もかもね」
「天城…………貴様ァアアア!!」
須郷は裏返った悲鳴と共に地を蹴るが、ライトが顔に軽く一薙ぎさせた。妖精王の滑らかな頬を剣先が僅かに掠めた。
「アツッ!!」
須郷は高く叫ぶと、左手で頬を押さえ、飛び退った。
「いっ……あああっ………!」
「<ゴスペル………スクエアッ>!!」
そして、ライトはゴスペル・スクエアを放ち、両手胴体を切り裂く。
「……これであんたも終わりだ、須郷!!」
上半身が残った須郷に、ライトは<アカシック・アーマゲドンを放ち、消した。そして、キリトにIDを渡し、ログアウトした。 
 

 
後書き
ひ、久しぶりに長く書いた………。
ライト「お疲れ様、作者」
ダーク「まさか規格外チート発動たぁ……恐ろしいな」
更に神聖剣ゲットとね。まぁ、完全にチートですね。あのスキル。プロテクション・シールとか。
ライト「次回、全ての終わり。さぁ、決着を付けよう」 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧