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木ノ葉の里の大食い少女

作者:わたあめ
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第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
  ユナト

 第一回戦勝者。木ノ葉隠れ出身。うちは一族の生き残りであり、今年のナンバーワンルーキーたるうちはサスケ。
 第二回戦勝者。木ノ葉隠れ出身。油女一族の後継者であり、奇壊蟲を操る油女シノ。
 第三回戦勝者。砂隠れ出身。我愛羅の兄であり、「烏」と呼ばれる傀儡を扱う忍び。
 第四回戦、引き分け。
 第五回戦勝者。砂隠れ出身。我愛羅の姉であり、風の忍術を操るテマリ。
 第六回戦勝者。木ノ葉隠れ出身。秋道一族の次期当主、猪鹿蝶の一人である秋道チョウジ。
 第七回戦勝者。木ノ葉隠れ出身。奈良一族の次期当主であり、卓越した頭脳を持つ奈良シカマル。
 第八回戦勝者。木ノ葉隠れ出身。アカデミーのドベで落ちこぼれでありながら逆転勝利をしてみせたうずまきナルト。
 第九回戦勝者。砂隠れ出身。テマリとカンクロウの弟であり、砂を自在に操る砂漠の我愛羅。
 第十回戦勝者。木ノ葉隠れ出身。光のような体術の使い手であり、努力家のロック・リー。
 第十一回戦勝者。木ノ葉隠れ出身。日向始まって以来の天才と言われる日向分家、日向ネジ。

 本戦に勝ち残ったのは木ノ葉が七人、砂が三人。そして彼らの本戦での組み合わせが今、発表された。

 一回戦――うずまきナルト対日向ネジ。
 二回戦――我愛羅対うちはサスケ。
 三回戦――油女シノ対カンクロウ。
 四回戦――テマリ対奈良シカマル。
 五回戦――秋道チョウジ対ロック・リー。

 彼らが本戦の前に用意された期間は一ヶ月。
 その一ヶ月の間どう強くなっていくかは見ものだね、あんま興味ないけど、とユナトは思いながら、手を触れていた柱から放した。

「さて。今晩にでも砂の奴らを尋ねた方がいいね、我愛羅くんとやらが腕骨折してる内に」
 
 くすり、と彼女は笑う。

「木ノ葉崩しをしようとしてる理由を、きちんと問い詰めなくちゃねえ……?」

 思いながら彼女は、男性名が刻まれた墓の前に、彼の生前好きだった花を飾った。

 +

「やあ。どうしたのよ、アンタ?」

 ザクはふと目を開けた。窓の外は闇に閉ざされている。いつの間にか夜になっていたようだった。
 見れば同じ里に所属しているはずの少女、サンカが窓際に座って、足をぶらぶらさせていた。片方の袖は通させる腕がないゆえにぺしゃりとなって、ふらふらと空中を舞っている。確か彼女も木ノ葉の奴らにやられて腕を失ったという話だった。

「何しに来た、サンカ?」
「理解力低いわね、ばっかじゃないの? “アノコト”の手伝いに決まってるでしょ?」

 あからさまに馬鹿にしたかのような態度にザクはムッと顔をしかめた。これだから妖は嫌いだ。いつも人に対して見下した態度を取る。本当は忍びだって妖だって、大した違いはない癖に。

「木ノ葉にきた理由を聞いてるんじゃない」
「勿論わかってるわよ。まあ一応、私ら妖は既に木ノ葉に集まってるわ。で、あと、アンタの様子みにきたのよ。音の奴ら全員負けたってどういうこと? アンタらしょぼすぎでしょ? って嫌味言うのも兼ねてね。ってのは一応冗談で」

 サンカは一枚の紙を取り出し、ザクの目の前に突きつけた。その内容にザクは思わず目を見開く。
 
『木ノ葉崩し件が木ノ葉側にばれた。
 木ノ葉の白腕ユナトを名乗る女が予選終了後、夜砂のとまっている宿に訪れ、木ノ葉崩しの計画を知っていることを告げる。
 裏切り者の可能性を検討中であるが、(そばえ)蓮助が一人一人幻術で調査した結果、裏切り者はいないとのこと。
 砂のバキが彼女を殺そうとするも、影分身だったらしく、失敗。
 音から派遣した者達は全員敗北、しかし砂側は全員勝利する。ただし、砂漠の我愛羅は右腕を骨折。狐者異マナの攻撃を受けた模様。』

「ま、そういうこと。もう気づいてると思うけど、ここは木ノ葉病院じゃなくて大蛇丸さまのアジト」
「えっ!?」
「……うっわあ、頭悪い……。どーりで下っ端なわけだ」
「それはお前もだろ」

 哀れみのような視線を向けてくるサンカを睨み返し、ザクは今一度室内を見回した。長い間気絶していたために木ノ葉病院がどうだったかについての記憶は全くないが、木ノ葉に一番近いアジトは確かにこんな感じだった。

「で……? これからどうすんだよ。ユナトとかって奴、多分今頃火影に言いつけてんじゃねえのか?」
「……うーん……でも普通さ、そうだと試験を中止にさせるか、最低限でも風影とかにどういうことかって問いただすでしょう? でも奴ら、まーったく動きがないの」
「なんかの取引でもあったのか……?」
「さあ? 木ノ葉の人間は理解できないわね。でもそれ言ってる場合じゃないと思うわ、ザク」

 サンカが険しい表情で窓の外を向いた。とっくにその気配に気づいていたザクも振り返る。
 黒に赤の雲の外套を纏った男が、そこに立っていた。

 +

『ねえ、いいこと教えてあげよっか、イタチくん。
 大蛇丸が木ノ葉崩しを始めようとしているっぽいの。
 君の弟のこと、心配にならない?』

 そんな紙を、テンテンという少女から渡されたのは、昨日の午後だった。
 木ノ葉では中忍選抜試験が始まっていたらしく、テンテンという少女はどうやらその参加者であるらしいというのが伺えた。サスケとさほど年齢の変わらない少女。体中に擦り傷を負った少女は、どうやら操られているみたいだった。

『心配? だろうね。
 じゃあ一ヵ月後、木ノ葉の里においでよ。
 大蛇丸は君に会えて、きっと喜ぶはずだから』

 一ヶ月も、じっとしていられるはずがなかった。
 うちはイタチはその紙をくしゃくしゃに握り締め、戸惑う鬼鮫を置いて走ってきた、というわけだった。
 この間の任務の時、里に近づきすぎたらしい、とイタチは目を細めた。
 里はなんでもユナトに教えるようだから。

 +

「マナの容態は?」

 ハッカは微妙に鯱張(しゃちこば)っているようだった。こちらへ、とヒルマは病室へハッカを案内する。
 マナの顔は赤く上気し、息は荒かった。雑音の入り混じった呼吸音。右腕は包帯でぐるぐる巻きにされ、病室内にはおかしな臭いが僅かにしている。氷枕の上に頭を乗せたマナの体が、時折痙攣するかのようにびくんびくんと震えた。

「傷口が化膿していて、それが高熱を起こしているようです」

 先ほど見てきたユヅルは、蜂蜜と水と点滴とでやっと生きている状態だった。呪印を抑える封印式を使用したものの、容態はあまり改善していない。力なく横たわる二人の弟子の姿に落胆しながら、ハッカは「ありがとう」とヒルマに言って病院を後にすることにし、ついでに木ノ葉を一周する修行をすることにした。
 そしてハッカはその途中で、鬼鮫とであった。

「――?」
「…………」

 暫く無言で見詰め合っていた二人だが、先に口を開いたのはハッカだった。

「が、ガイ!! 我が青春の盟友ガイはどこだ!? 二足歩行の鮫がいるぞ! これはきっと明日の木ノ葉新聞に載るはずだ、ガイッ……って、ガイはいなかったな……あ、そこの鮫さん、写真を取らせてくれないか? ギャラもちょっとだけなら払えるぞ」
「…………殴っていいですか?」

 干柿鬼鮫。尾のない尾獣とまで呼ばれる膨大なチャクラの持ち主だ。名は体を表すとはよく言ったもので、鬼鮫と言う名前は頬にある鰓に青い肌など人間離れした鮫のような外見を実によく表現していた。興奮するハッカに鬼鮫は半ば呆れ顔、半ば警戒の面持ちで、問いかけた。

「な、なぐ……おおっ!? よく見ると指輪もつけている! すばらしいな、二足歩行なだけじゃなくてコートを着こなし指輪もつけているとは!」
「……ふざけてるんですか?」
「何を言う!? 私はいつでも本気だ! ところで鮫くん、私の部屋に住んでみないか? ガイに紹介したいんだが、今日がだめというなら明日でもいいから、な!」

 あくまで鬼鮫を二足歩行する珍しい鮫の一種だと思い込んでいるらしいハッカに鬼鮫は呆れるしかない。鬼鮫を置いて話がどんどん進んでいるようだ。名乗ってみたら正体に気づいてもらえるだろうか、気づいてもらえるだろう、S級犯罪者でビンゴブックにものっている抜け忍なんだし、と期待を抱き、そしてこれからおこるかもしれない戦闘に身構えつつ、名乗ってみる。

「あのう、私、干柿鬼鮫と言って……」
「きさめか! 綺麗な鮫で綺鮫だな!? かわいらしい名前ではないか! さあさあ遠慮なく遠慮なく!」

 全く理解されていないようだった。流石にここまでくると抜け忍としっていてわざと馬鹿を装い家へ誘きこもうとしているんじゃないかと思えてくる。

「綺麗な鮫ってどんな鮫ですか。鬼の鮫で鬼鮫ですよ。というか私、一応抜け忍……」
「で、鮫くんはフカヒレは好きかな?」
「大ッ嫌いです!!」

 反射的に答えるとハッカは笑顔になって、「好き嫌いはいけないぞ鮫くん!」と言う。
 もうどうにでもなれと思った鬼鮫だった。
 
 

 
後書き
色々ごちゃごちゃになった。原作との本格的な違いが出始めるのはここからかな?
綺麗な鮫で綺鮫は鬼鮫が女体化した夢を見たときに考え付いたもの。
ユナトはちょこっとしかでていませんが、サンカがザクにあった原因・動物コンビがはやめに木ノ葉にきた原因とか色々なところでユナトが絡んでるので、タイトルはユナトにしました。こちらは大体オリキャラばっかなので、次回は砂側とか大蛇カブトとか出す予定。あとサクラといのお見舞いも。 
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