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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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現実と仮想

「うっ……まだ頭痛ぇ……」
翌日の朝、頭痛と共に俺は起きた。
まだ朝の六時。本来ならまだ寝ている時間だ。
『大丈夫か、ライト?』
頭の中で、ダークが言う。
『キツいなら回復するまで代わるぞ?』
「……済まんが頼む。流石にこのままは些か気分が悪くなる」
俺は苦笑しながらダークに言うと、交代し、裏の中で寝た。





































































ダークSaido
俺が外に出た瞬間、ライトは裏ですぐに睡眠を取った。
「流石の英雄も、リオレウスの飛行酔いには勝てない……か」
俺は苦笑しながら言うと、黒いコートを着て、外に出る。
「うおっ……寒ぃ……」
俺は体を震えさせながら裏にあるライトのバイク<雷狼号>を引っ張り出し、ヘルメットを被り、乗り込む。
「さて、行きますか」
俺はエンジンを吹かし、ある人の待つ場所へと移動した。





















































ある場所に着くと、俺はバイクから降り、その人物に近付いて行った。
「よう、詩乃っち」
すると、少女は顔を上げると、俺に微笑み掛けてくる。
「黒鉄さん、お久しぶりです」
「ああ。確か、前にあったのが二年前になるよな」
俺は彼女に言う。
彼女の名前は朝田詩乃。ライトの知らなく、俺だけにある記憶。その中に居た少女だ。
彼女は俺を見ると、すぐに話し掛けてきて、彼女が何者かを教えてくれた。
彼女は小学五年の時、郵便局で強盗事件があり、そこに居た俺もそれに巻き込まれた。
俺は詩乃とその母親を守るために動き、死んだそうだ。
恐らくだが、俺がこうしてライトの人格としているのは、俺が現実に残りたいと思ったからだろう。
それからは、詩乃とは定期的に連絡を取っており、今ではこうしてライトの体を借りて交遊を深めていた。
それに加え、今は借り物の体を借りている事を詩乃は知っている。
「所で、黒鉄さんは二年間どうしてたの?」
詩乃は俺に聞く。
「<ソードアート・オンライン>って知ってる?」
すると、詩乃は頷く。
「俺はね、二年間ずっとその中で殺しをしてた」
すると、詩乃は驚き、真正面から俺を見た。
「それで………?」
「………暫くは殺しをしてたけど、ある日、俺を助けてくれた奴が居た。名前は秘密だから言えないけど、兎に角そいつは俺を助けてくれた。だからこうして詩乃に会いに来れた」
すると、詩乃は微笑み、言う。
「優しい人なんですね、その人」
「……ああ。憧れるほどに」
俺はそう言うとポケットに手を入れ、息を吐く。
「あ、そう言えば詩乃。叔父さん叔母さんは元気?」
「うん。一応は」
詩乃は関心の無さそうに言う。
そう言えば、詩乃が今通っている高校は、その叔父さん叔母さんに怒られ、泣かれた事があるのだった。
第三者(おれ)から見れば、随分と身勝手な様な気がするが、詩乃が不満を漏らさないのであれば俺もそこまで言わない様にしてる。
「一応は……って、今何処住み?」
「駅に近いアパートを借りてる」
「アパートって……バイトでもしてるのか?」
「バイト……なのかな。多分」
俺はそれを聞くと苦笑する。
「バイトって言わないならバイトって言わないよ、詩乃」
俺はそう言うと、「ちょっと待ってて」と言い、雷狼号を持ってくる。
「それ……その人の物だよね。大丈夫なの……?」
「一応は、な。顔も似てるし、いざとなれば免許証と髪の色が違うだけで平気だしな」
俺は笑いながら詩乃にヘルメットを投げる。
「付けられるか?」
「う、うん」
詩乃はたどたどしくヘルメットを被り、乗り込む。
「さて、近くのアパートだったよな。そこまで送るよ。念のため」
「黒鉄さんって、本当に過保護」
詩乃の言葉に笑いで返しながら、俺はエンジンを吹かし、詩乃アパートまで走らせた。


























































詩乃をアパートまで送った後、俺は近くの自動販売機でブラックコーヒーを買い、飲んでいた。
「………多分、もって二年ちょいって所か」
俺は呟く。
二年。それがダーク(おれ)としての寿命だ。
俺は元々死んだ身、その魂が生きてる人間に憑依している存在なだけ。
ロードやあいつは元々ライト自身の人格であり、俺はそこに居座った形になる。
黒鉄翔夜(しょうや)ーーーーこれが俺の本来の名前。
意味は………今ではもう忘れてしまった。
だが、俺は現実に残りたいと思ったからここにいる。仮想世界では殺戮者と呼ばれている存在が、現実世界では実体を持たない人ならざる者。
それが今の俺だ。
「分かってる……ここに居ちゃ行けねぇって事は………。でも、神さん。二年だけ、待っててくれ。ダチを助けねぇで死ぬっつうのは……嫌なんだ」
ダークとしての最後の勤め。それはSAO生還者の救出。
それが終われば、二年を待たずとも俺は消える。
例え、俺が残り二年をコイツを使って過ごすとする。……コイツから離れたあと、どんな後遺症が残るか分からない。それに、いつまた俺が俺で無くなる時が来るか分からない。それに影響し、コイツまでもがコイツで無くなる事に、俺はよしとしない。
『ダーク……?おはようふぁー………』
すると、ライトが起きてくる。
「気分はどうだ?」
『うん、一応はすっきり。でも、さっきダーク何か言ってなかった?』
相変わらず勘の鋭い奴め。
「別に?それより、ロードの奴はどうしてる?」
『寝てるよ。昨日のリュービリオレウス騒ぎで力を使い果たしたみたいで揺すっても起きない』
「そうか……」
俺は内心ホッとし、バイクに跨がる。
『おい、これ雷狼号じゃん!!』
「ケチケチすんなよ。一応俺らは共有人格だろ?」
『ふざけんなー!!体を今すぐ返しやがれー!!』
俺は笑いながらヘルメットを被り、バイクを走らせた。
今はもう少しだけ、人格共有と言う嘘をつき続けようと思う。 
 

 
後書き
ほい、最新話。ダークの事実ぶちこみー。
ダーク「今回は俺がメインなのな」
ダークが何故人格として居るのかが明かされた訳ですけども、ライト達には言わないの?
ダーク「予定はない。俺は奴の人格で無ければ、言う義理も無いだろう?それに俺は実は死人ですって言ったら信じるか?」
ロード君辺りは信じそうな気がするけど。俺だったら信じねぇな。
ダーク「ほぅ………なら次はお前に取り憑いて人格になってやるとするか」
次回、アルン、突入。ライトは果たして、責務を果たすことが出来るのか!?お楽しみに!! 
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