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電光提督ノゾミアン

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第二話 ボーキのフードウォー

すっかり大所帯となった鎮守府の食堂では大勢の艦娘達が食事を摂っていた。
そして、この鎮守府の提督であるのぞみも艦娘達と交流を深める為に一緒に食事を摂るようにしている。

「赤城、加賀。隣いいか?」

「はい。どうぞ。」

着任したばかりの頃はのぞみの姿に困惑していた一航戦コンビだったが、今ではすっかり慣れている。

「二人とも、本当によく食べるな。」

「そう言う提督もかなり食べる方でしょう。」

のぞみの若干デリカシーの無い発言に加賀がそう返す。

「実は、こう見えて故郷ではフードファイト界の獅子(ライオン)と呼ばれていてな。大食いには自身があるんだ。」

「大食いには・・・」

「自身がある?」

この時、赤城と加賀の瞳に鋭い光が灯った。そして、赤城がのぞみに話を切り出す。

「なら、一度勝負してみますか?」

「勝負って、大食いでか?」

「それ以外に何がありますか?」

聞き返すのぞみに加賀が答えた。

「面白い。受けて立とうじゃないか。」

そして、のぞみと一航戦コンビは火花を散らし始める。だが、それに待ったをかける者たちが居た!

「「「そんなのダメ!!!」」」

この鎮守府の他の艦娘達である。

「え?何で皆止めるんだ?」

「当たり前でしょうが!そんな事をしたら鎮守府の食糧が空っぽになるに決まってるじゃない!!」

理由を聞くのぞみにそう答えたのは朝潮型駆逐艦の霞だ。

「いや、別に鎮守府でフードファイトをやるとは言ってないぞ。」

「へ?」

「定期的にフードファイト大会をやってる店を知ってるから、そこでやろうと考えているんだ。」

のぞみのその言葉を聞いて、艦娘一同は胸を撫で下ろした。その時、赤城が彼に尋ねる。

「それで提督。そこは何のお店なんですか?」

「中華料理屋さ。いや待て、前一同カレー屋から中華料理屋に変わったから、また別の店に変わってる可能性もあるな・・・」

そこで、のぞみはかつて仲間であったヒカリアンの一人に連絡をとる事にした。彼を誘うついでに。




そして、数日後。
のぞみと一航戦コンビそれに青葉と電達第六駆逐隊は中華料理屋“374庵”の前に来ていた。

「ここが今回の会場となる場所ですか?」

「そうだ。って言うか青葉。何でついて来たんだ?」

「もちろん、この世紀の対決を取材する為です!!」

「世紀の対決って、大げさだぞ・・・」

興奮しながらカメラを構える青葉にのぞみは呆れるばかりであった。

「それで、電達が来た理由は?」

「電達は司令官さんの応援なのです!」

そう答える電であったが、その直後、彼女達のお腹がグゥ〜っと鳴った。

「せっかくだからフードファイト抜きで何か食べて行くといい。ここの料理は絶品だからな。もちろん、私がおごるぞ。」

「レディとしては、司令官の好意は無下に出来ないわね。」

「おごりか。いい響きだな。嫌いじゃない。」

「ご馳走になるわ。」

「ありがとう、なのです。」

のぞみの発言に喜ぶ第六駆逐隊。そこへ、一人のヒカリアンが姿を現した。

「のぞみ、久しぶり。」

「ああ。久しぶりだなE4。」

のぞみはそのヒカリアンと互いに言葉を交わす。その様子を見て赤城が尋ねた。

「提督、この方は?」

「ああ。彼はライトニングE4パワー。かつて私の仲間だったヒカリアンだ。」

「なるほど、提督のかつてのお仲間でしたか。」

「司令官さんよりもおっきいのです。」

「そして、フードファイトにおいては私のライバルでもあるな。」

「提督のライバル・・・と言う事はかなりの実力者ですか?」

のぞみの説明を聞いた加賀が目を鋭くしながら聞いた。

「ああ。私がフードファイト界の獅子(ライオン)と呼ばれているのに対し、E4はフードファイト界の猛牛(バッファロー)と呼ばれている。」

「猛牛(バッファロー)、ですか。やはり彼も今回のフードファイトには参加するのですか?」

「もちろんだ。」

「ですが、誰であろうと負けません。一航戦の誇りに賭けて。」




そして、店内に入るとフードファイト参加組はカウンター席に、応援組はテーブル席に座った。

「それでは!フードウォー、スタート!!!」

374庵の看板娘、“神田ミナヨ”がその言葉と共に銅鑼を鳴らすと、参加者は一斉に最初に用意された料理、チャーハン食べ始めた。

「ひゃっ!?」

「これは、凄まじいものがあるな。」

「あんな早食いして司令官、喉つまらせないの?」

「凄い勢いなのです!」

「一航戦コンビに全く引けをとらないとは、司令官もE4さんも中々やりますね。」

テーブル席から観戦している第六駆逐隊と青葉は驚愕していた。そして、何回かお代わりを繰り返した後、あっという間に二品目の料理、ラーメンへと移る。そんな中、のぞみは横目でE4の方を見た。

(流石E4。既に弱点を克服してあるか・・・)

かつて、E4はチャーハンからラーメンに変わった際、箸が使えないと言う理由で敗北していた。

(だが、パワーアップしているのはお前だけでは無い!)

E4の成長を確認しながら、のぞみは勢いを強めた。



(今回はどちらかと言えば加賀さんと真の大食艦の座を賭けた戦いと考えていたのですが・・・)

世間では空母において赤城ばかりが大食いと認識されているが、実は加賀の方が大食いなのだ。

(提督とE4さんも中々やります。どうやら、ライオンとバッファローの二つ名は伊達では無いようですね。)

赤城はのぞみとE4が自分達のペースについて来ている事に驚いていた。

(ならば、慢心を捨てて全力で行かせてもらいます!!)



そんな勝負の様子を374庵の窓の外から眺めている者たちが居た。

「提督ノ言ウ通リ、艦娘ドモト奴ラノ提督ガ居ルナ。」

艦娘が戦う敵、深海棲艦の戦艦ル級と重巡リ級である。

「アレ?ヲ級ノ奴、何処二行ッタ?」

「放ッテオケ、リ級。ドウセ何処カデ買イ食イデモシテイルンダロウ。ソレヨリモ今ガちゃんすダ。連中ハ食事二夢中ナ上、艤装ヲ付ケテイナイ。」

「ソウデスネ。」

「ヨシ、行クゾ!!」

そして、二人は窓を割って店内に侵入した。

「な、何!?」

「し、深海棲艦だ!!」

「大変よ!私たち今艤装を付けて無い!!」

「ピンチなのです!」

突然現れた深海棲艦に混乱する第六駆逐隊。

「サア、覚悟シロ!艦娘ドモ!!」

そして、ル級とリ級は武器を構えたのだが。

「今何か音がしなかったか?」

「さあ?気のせいじゃない?」

フードファイト参加者は完全に彼女らを眼中に入れていなかった。

「オイ!無視スルナ!!」

「ソウダ!状況ガ分カッテイナイノカ!!!」

怒鳴りながら主砲を向けるル級とリ級。しかしその直後・・・

「帰って下さい。」

「ヘ?ゴバア!?」

青葉がリ級の腕を掴んで店の外に投げ飛ばした。

「リ級!貴様、ヨクモ!!」

仲間がやられたのを見て今度は青葉に主砲を向けるル級。だが、なんと青葉は何やら黒いオーラを発していた。

「私はですね、この世紀の対決の記事が書きたいんですよ・・・」

「ナ、何ヲ言ッテイル・・・」

「深海棲艦の襲撃なんて言うありきたりでマンネリ化した記事じゃあないんですよ!!青葉パンチ!!!」

「ゴハア!?」

そして、ル級は青葉のパンチで吹っ飛ばされた。そして、店の外で倒れていたリ級の上に落っこちる。

「ギャフン!?」

「ス、スマン、リ級。」

「さあ、まだやるんですか?」

「グッ・・・ヲ級サエ居レバコンナ事ニハ・・・覚エテロヨ!!!」

そして、深海棲艦達は逃げて行った。

「さあ、早く取材の続き続き♪ 」




あれから暫く時が経ち、フードウォーは料理がデザートの杏仁豆腐となり、終盤に差し掛かっていた。

「「「「「おかわり!!!」」」」」

「はい!これが最後の一杯です!!」

そして、ついに最後の一杯。これを先に食べ終えた者が勝者となる。

(これで最後か。ならば、ラストスパートだ!!!)

のぞみは早速杏仁豆腐を一気にかき込んだ。だが・・・

「グフォオ!?」

勢い良くかき込み過ぎてむせてしまった。その勢いのまま、彼は後ろに倒れてしまう。

「おおっと!のぞみ選手、ここで失格!!」

(最後だと慢心しましたね、提督。)

ミナヨちゃんの実況を聞いた赤城がニヤリと笑う。

(このまま優勝は私がいただきま・・・)

ガリッ

「舌噛んだ〜!?」

「おーっと!ここで赤城選手もダウン!!これで残ったのは5人のうち3人となりました!!果たして、勝つのは誰か!!!」

(貴方こそ慢心したわね、赤城。ってあれ?5人中3人?もう一人参加者が居たのかしら?)

ミナヨちゃんの実況を聞いた加賀が不思議に思っていた時だった。

コトリ

誰かが空になった器をカウンターに置いた。

「終了!優勝者は・・・空母ヲ級選手です!!!」

「ゴチソウサマ。」

「「「「なにいいいいいいいいいいいいいい!!?」」」」

優勝はなんと、深海棲艦の空母ヲ級だった。

「い、いつの間に参加してたんですか!!!」

「最初カラ居タヨ。」

「最初から!?」

「何で気付かなかったんだ!?」

深海棲艦が居た事に動揺する一同。そんな中、ミナヨちゃんはマイペースに司会を続けた。

「と言う訳で、優勝者のヲ級さんには賞金が贈られます。」

「コレデ色々買ッテ食ベレル。」

「そして敗者の皆さんには、今まで食べた分とヲ級選手が食べた分の代金を支払って貰います。」

「「「「ええええええええ!!?」」」」

「では、またのご利用、お待ちしております。」




翌朝、『提督と一航戦コンビ、深海棲艦にフードファイトで敗北す』と言う記事が青葉タイムスの一面を飾った。

「深海棲艦め・・・次は負けるものか!!」

「一航戦の誇りに賭けて、このリベンジは必ず!!」

「その為にも、毎日特訓を・・・」

『それはダメ!!!』



続く

 
 

 
後書き
作者「あ~、第二話のタイトル思いつかね~。と言う訳で弟よ、アイデアプリーズ!」

弟「ボーキのフードウォーでいいんじゃない?」

作者「いや、一航戦コンビだけじゃなくてのぞみも出るんだしさ・・・」

弟「のぞみ(300系)のボディってアルミ製じゃなかったっけ?」

作者「そう言えばそうだな。じゃあそれでいこう。」
 
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