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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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会議と紅と黒

午前十二時、俺とストレアは再びALOにダイブした。会議のパーティに参加するためである。
「物好きだな、お前も」
俺の肩に乗り、リオレウス(ミニ)が喋りかけてくる。
「煩いな。ストレア」
俺はリオレウスをストレアに投げて渡すと、先を歩く。
暫く歩くこと十分。領主館の前に着く。そこには既に何人ものプレイヤーが集まっていた。
「ライト君、わざわざごめんネー」
「別に気にしなくてもいい」
俺がそう言うと、ミザールが口を開く。
「それはいいけど……それ何?」
それとは勿論、リオレウスの事だろう。
「ちょいとティムしたモンスターだ」
「へぇー、可愛い鳥だネ」
いえ、鳥ではなく竜です。
「まぁ、取り合えず、会議に行こうぜ。大切な案件なんだろ?」
「おおっト、そうだったネ。それじゃァ行こうカ!」
ルーの指示で皆が飛び上がったので、俺達もそれに倣い、空へと上昇した。
































数十分位飛び、蝶の谷に着いた俺達を待っていたのはシルフのプレイヤーとその領主だった。
「ヤッホー、サクヤちゃん」
「ルーか。よく来てくれた」
二人は握手して、椅子に座る。俺達プレイヤーも、それに倣い座る。
「それでは始めるとしようか」
「そうだネ。まずは同盟の確認からーーーーーーー」
それから数分位が経ち、不意にリオレウスが言った。
「ライト、こちらに何かが近付いて来ているぞ」
「何?」
俺はリオレウスが指した方向を見ると、何やら複数の人影が見えた。
「どうしたんだい、ライト君?」
それに気付いたルーが言う。
「何か来る………皆、気を付けろ!!」
すると、他のケットシー達やシルフ達が気が付き、空を見る。
現れたのはサラマンダー。しかも、装備をガチガチにしてるってことは重武装の攻撃部隊と言った所か。
「なんで………!?」
サクヤがそう呟く。
「くそっ!!」
『代われ、ライト!!』
ダークが俺と代わり、シャドウバーサークを抜く。
途端、サラマンダー達と俺達の間に巨大な土煙が上がる。一瞬遅れてドーン!と言う爆音が大気を揺るがす。
『何だ!?』
「俺にも視認不可だ!!」
ダークが叫ぶと、煙が晴れ、そこには黒ずくめのスプリガンが立っていた。
「……成る程、キリトか」
ダークがそう呟くと、
「双方、剣を引け!!」
馬鹿でかい声でキリトが叫ぶ。
「指揮官に話がある!」
すると、空に開いたその道に、一人の大柄な戦士が進み出てくる。
「スプリガンがこんな所で何をしている。どちらにせよ殺すには変わり無いが、その度胸に免じて話だけは聞いてやろう」
すると、キリトが口を開く。
「俺の名はキリト。スプリガン=ウンディーネ同盟の大使だ。この場を襲うからには、我々四種族との全面戦争を望むと解釈していいんだな?」
(相変わらず、奴は無茶苦茶だな。まるで、俺をねじ伏せた時みたいに)
「そうだな………」
何処でアスナのことを知ったか知らんが、ここは奴に任せてみる。
「ウンディーネとスプリガンが同盟だと?……護衛の一人も居ない貴様がその大使だと言うのか?」
『ダーク』
「ああ」
ダークは頷くと、前に出る。
「そこのスプリガンは確かにスプリガン=ウンディーネ同盟の大使だ。この場には貿易交渉として代表者と話をもうけたくここに呼んだわけだ。だが、ここが襲われたとあれば、それだけじゃ済まないな。四種族で同盟を結び、貴様らサラマンダーに対抗する事になるだろう!!」
ダークがフォローに回ったお陰で、暫しの沈黙が訪れる。ーーーーーーーやがて。
「………お前達のその言葉、にわかに信じる訳には行かないな」
『そう来ると思った』
俺がそう言うとダークが口を開く。
「ならばどうすればいい?」
すると、サラマンダーは一人のプレイヤーを呼ぶ。
「そこのケットシーは俺の部隊で次に強いコイツと戦ってもらう。そして、そこのスプリガンにはーーーー」
そして、背に手を回すと、巨大な両刃直剣を高々く抜き放つ。
「ーーーー俺の攻撃を三十秒耐えきったら、貴様を大使として信じてやろう」
あれ、俺戦う理由なくね?と、思ったが、ダークが乗り気なので言わなかった。
『ダーク。今回融合使わない?』
試しに聞いてみる。
「どうするかな。チェンジって、互いの人格とかを融合して別の人格として体に宿すもんだから、戦闘なら役立つけど、一つの人格化したらお前面倒じゃん」
『……そりゃそうか』
前回チェンジした時は、少なくとも俺よりだった。だから、今回ダークが使うのであれば、ダークよりにしてほしいと思っていたのである。そこに。
「おや、呑気に独り言ですか。随分と余裕ですね」
ダークの前に貫禄有りそうなサラマンダーが現れる。
「私の名はブライと申します。以後、お見知りおきを」
「どうも」
ダークはそこそこ返事をしてーーーーーーー突撃した。
<滅殺剣>最速上位剣技<ソニック・アブレクション>。
クーリングタイムが少なく、出が最速の剣技。ダークの得意技の一つだ。
「ほう。中々に素早い」
だが、ブライはそれを逸らした。
「何っ!?」
剣を逸らされたダークは驚き、すぐにバックステップを入れる。
「遅いですよ」
だが、それよりも早く、細剣を操り、斬撃をダークに放つ。
「ぐっ!」
幾つかを叩き落とすが、それでもダークのダメージは少なくない。
「くそっ!!借りるぞ!!」
ダークは俺の双剣を取り出すと、ソードスキル<牙竜王>を放つ。
「ほう」
だが、ブライはまたしても剣を逸らし、ダメージを最小に押さえる。
「馬鹿な!俺のスキルが効かない!?」
『いや、狩人お前の違う』
冷静にツッコミを入れる俺。いや、冷静過ぎるのもどうかと思うけど。
『はてさて、どうしますかね』
俺は悩んでいると、一人の俺が現れる。
『んー?何なら俺がやってもいいよ?』
「あん?誰だテメェ?」
「また独り言ですか?」
ダークがこちらに気をとられると、ブライが接近して細剣を振るう。
『ライト、ここは俺にも任しときな。絶対後悔させないし、今度からは言うこと聞くから!』
ライトはそいつの話を聞き、頷いた。
『仕方ないか………よし、暴れてこい、銃撃王』
『ヤッタね!銃格剣、ロード。出るよー!!』
「おい、コイツは俺のーーーーー」
ダークが言い切る前に、俺の三番目の人格、<銃撃王>が再び歴史の表舞台に姿を表した。



























ロードSaido
「よっこいせっ!!」
ダークの戦闘途中で交代しちゃったから当たり前だけど、苦戦なんで僕のポリシーに反するんだよねー。
「何だ?」
ブライは怪しんで細剣を構え直す。
「さて、ここからは僕のショータイムだよ。楽しんで行ってね?」
僕は指を鳴らすと、装備が純白のローブに代わり、腰には二挺の拳銃が握られていた。これが僕の武器、銃剣<純白の(ホワイトボルト)>と<漆黒の(ミツドナイトダーク)>。
「!?姿を変えた………!?」
「さっきのとは全く別物だよ!!」
そう言うと、僕は接近し、<銃格剣>接近ソードスキル<ソリッドスクエア>を発動。両手の銃剣で四角を二つ描くようにブライを切り裂く。
「くっ!!」
「さぁ、ビートアップだ♪」
更に、バックステップをして、銃撃ソードスキル<ビートソウル>を放つ。
焔の弾丸が、二挺から放たれ、ブライの細剣を燃やす。
「暑っ!!」
ブライは細剣を放すと、僕は最後の仕上げに入る。
「さぁ、フィーバータイムだ♪」
<銃格剣>最上位ソードスキル<ダンシング・ソウル・フィーバー>。
踊るように動き、敵を打つ。時々、蹴りなど入れて放つそれは、まさに僕の独壇場。
「フィニッシュ♪」
最後に、超高速のスピニングダンスを放ち、ブライはエンドフレイムになった。
「さて、今日のショータイムはこれで終わりだね」
『チートにもほどあるわ!!』
突然、ダークに内側から引っ張られ、裏に来る。
「オイコラ、銃とかどういうこったああん!?」
「僕の得意武器が銃剣なだけ。ね、ライト♪」
「………俺に振るな、<銃撃王>。王なら自分の始末くらいは付けろ」
「もう♪連れないなぁ<雷獣>君は♪」
「俺はそんなんだからお前とは馴れ合いたくないだけだ」
ライトはそう言うと、表に出ていった。
「所でさ、<滅殺者>君。そろそろ放してくれないかな?首が絞まってるんだよね♪」
「ほおおう?まだ目元をキランと輝かせる気力があるか。なら、気を失うまでこうしといてやらぁ」
「ちょっ、酷いよ?」





















ライトSaido
中が騒がしくて頭が痛い。
すると、途端に辺りが騒がしくなる。
「見事、見事!!」
「すごーい!ナイスファイトダヨ!」ルーとサクヤが称賛し、それに背後の十一人も加わった。かなり煩い。中もまだおわんねぇし。
「や、どーもどーも!」
キリトが下に降りながら右手を上げる姿を見ると、ライトボウガンで撃ち抜いた。別にコレぐらいはしてもいいよな。腹いせに。 
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