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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜常識を謳うチートな彼も来たようですよ?〜 【更新停止】

作者:如月 和
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箱庭の都市

 
前書き
12/30『君』や『さん』などのオリ主の敬称を取っ払って呼び捨てにしました。 

 
黒ウサギの箱庭説明の後、僕たちは黒ウサギのコミュニティに歓迎の準備をしてあると言われそのコミュニティに向かっていた。
歩いていると

「んじゃあ、ちょっと世界の果てを見てくる」

十六夜に言われた。

僕的にははぐれたりすると面倒だし、黒ウサギに言おうと口を開いた。

「おーい、黒ウs…むぐっ!?」

僕が黒ウサギに許可を取ろうとしたらいきなり後ろから口を覆われた。なんで!? 誰!?
後ろを見てみると飛鳥に塞がれていた。一応黒ウサギに言っといた方がめんどくさくないじゃないか…。

「黒ウサギには黙っていてあげるわ」
「おう、サンキューな」

十六夜くんは、言うが早いかさっさと何処かへ行ってしまった。
僕はなんで口を塞いだのか知りたくて飛鳥さんを見上げる。

「ごめんなさいね。このままだと黒ウサギに知られそうだったから」
「後からより、今言った方がめんどくさくならないとおもうけど…」
「大丈夫よ。十六夜君は殺しても死ななそうだし」
「……そう言う問題かな?」

まあ、もう姿も影も見えないし言ってもしょうがないか…。黒ウサギに謝りましょう…。


◆■◆■◆

「ジン坊っちゃーん! 新しい方を連れて来ましたよー!」

や、やっとついたよ。意外に遠かったよ……。
少し疲労した足を動かしながらようやく街が見えた。
黒ウサギは街の前にいた少年に話しかけたけど、知り合いかな?

「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性三人が?」
「はいな、こちらの御四人様がーーーー」

クルリ、と黒ウサギが振り返ると突然カチンと固まった。うん、完全にばれましたね。
………と言うか、また僕は女性に間違われた。そんなに女らしいか…?

「え、あれ? もう一人いませんでしたっけ? ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から"俺、問題児"ってオーラを放っている殿方が」
「ああ、十六夜君のこと? 彼なら"ちょっと世界の果てを見てくるぜ!"と言って駆け出して行ったわ。あっちのほうに」
「な、なんで止めてくれなかったのですか!」

主に僕を見て言ってくれる黒ウサギ。でも、僕は言おうとしたよ?

「"黒ウサギには言うなよ"って言われたから」
「君ら、結構ノリノリで言ってたよね!?」

なんで、この状況で黒ウサギをいじり始めるんだよ。

「香夜様もです。知っていたなら教えてくれてもいいじゃないですか!」
「物理で口を塞がれてたんだよ。 でも、ごめん。黒ウサギ」

うなだれている僕を見て少々気が落ち着いたのか少し元に戻る黒ウサギ。

「た、大変です!"世界の果て"にはギフトゲームのために野放しにされている幻獣がいます。このままでは十六夜さんは幻獣のギフトゲームに」

……幻獣?
………あって見たいな…。
多少興味を惹かれたが、後にしよう。

問題児二人は肩をすくめて、黒ウサギは青ざめていた。
すると、黒ウサギがため息を吐きつつ立ち上がった。

「はあ……ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、御三人様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「わかった。黒ウサギはどうする?」
「問題児を捕まえに参ります。ことのついでにーーー、"箱庭の貴族"と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで公開させてやります」

悲しみから立ち上がった黒ウサギは怒りのオーラを纏いつつ艶のある黒い髪を緋色へと染め上げ、そのまま外門めがけて跳んで言ってしまった。
へぇ、感情によって色が変化するのかな?と思考していると

「ええと…コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。(よわい)十一歳になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします」
「ええ、よろしくジン君。私は久遠 飛鳥よ。そこで猫を抱えてるのが」
「春日部 耀」
「それで、僕が椎崎 香夜。男だからね?ま、よろしくね」

ジンくんが礼儀正しく自己紹介をする。
この年でか、すごいな。

「さ、それじゃあ箱庭に入りましょう。まずはそうね。軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ」

飛鳥はジンの手を取って、何か楽しそうに外門をくぐった。


◆■◆■◆

箱庭の内壁に入った後、僕たちは近くの"六本傷"の旗を(かか)げるカフェテラスに入った。
僕たちは、ティーセット四つにネコマンマを頼んだ。
そのあと、僕たちは楽しく話し合いをしたり、耀のギフトの内容が一部わかったりしたが、

「おんやぁ? 誰かと思えば東区画の最底辺コミュ"名無しの権兵衛"のリーダー、ジン君じゃないですかぁ。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」

そして、品のない上品ぶった声がジンを呼んだ。

「僕らのコミュニティは"ノーネーム"です。"フォレス・ガロ"のガルド=ガスパー」
「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたじゃないですか。コミュニティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなどできたものだ ーーーそう思わないかい、お嬢様方」

ガルドと呼ばれたピチピチタキシードの駄犬は僕たちが座るテーブルに強引に入ってきた。飛鳥と耀と僕に愛想笑いを向けるが、駄犬の失礼な態度に冷ややかな目線で返した。

「失礼ですけど、同席を求めるならばまず氏名を名乗ったのちに一言添えるのが礼儀じゃないかしら?」
「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ"六百六十六の獣"の参加である」
「烏合の衆の」
「コミュニティのリーダーをしている、って待てやゴラァ!!誰が烏合の衆だ小僧オォ!!」

ジンに横槍を入れられたガルドの顔は怒鳴り声とともに激変する。口は耳元まで大きく裂け、肉食獣のような牙とギョロリと剥かれた瞳が激しい怒りとともにジンに向けられる。

「口を慎めや小僧ォ……紳士で通っている俺にも聞き逃せない言葉はあるんだぜ…?」
「森の守護者だった頃の貴方なら、相応に礼儀で返していたでしょうが、今の貴方はこの二一○五三八○外門付近を荒らす獣にしか見えません」
「ハッ、そう言う貴様は過去の栄光に縋る亡霊と変わらんだろうがっ!自分のコミュニティがどういう状況に置かれてんのか理解できてるのかい?」
「ハイ、ちょっ「黙ろうか?駄犬君(ガルド)

いきなり現れてた上に親切に教えてくれた黒ウサギの仲間をバカにされた上に女性扱いされて少々イラついていた僕は駄犬君(ガルド)に殺気を放ち強引に黙らせた。

「あ、ごめん。飛鳥どうぞ?」
「あ…。う、うん。貴方達二人の仲が悪いのはわかったわ。それを踏まえた上で質問したいのだけどーーー」

飛鳥さんが鋭く睨む。しかし睨む相手はガルド=ガスパーではなく、ジン君だった。

「そ、それは」

ジンくんは言葉に詰まった様子だったけど、飛鳥さんはその動揺を逃さず畳み掛ける。

「貴方は自分のことをコミュニティのリーダーと名乗ったわ。なら黒ウサギと同様に、新たな同士として呼び出した私達にコミュニティとはどう言うものかを説明する義務があるはずだよ。違うかしら?」

飛鳥は静かに、けれど鋭い声でジンくんを責める。
それを見ていた駄犬君(ガルド)は獣の顔を人に戻し、含みのある笑顔と上品ぶった声音で、

「レディ、貴女の言う通りだ。コミュニティの長として新たな同士に箱庭の世界のルールを教えるのは当然の義務。しかし、彼はしたがらないでしょう。よろしければ"フォレス・ガロ"のリーダーであるこの私が、コミュニティの重要性と小僧 ーーー ではなく、ジン=ラッセル率いる"ノーネーム"のコミュニティを客観的に説明させていただきますが」

飛鳥も訝しげな顔で一度だけジンを見るがジンは俯いて黙り込んだままだ。
そして、飛鳥が駄犬君(ガルド)を促す。

「承りました。まず、コミュニティとは読んで字の如く複数名で作られる組織の総称です。受け取り方は種によって違うでしょう。人間はその大小で家族とも組織とも国ともコミュニティを言い換えますし、幻獣は"群"とも言い換えられる」
「そのくらいわかるわ」
「はい、確認までに。そしてコミュニティは活動する上で箱庭に"名"と"旗印"を申告しなければなりません。特に旗印はコミュニティの縄張りを主張する大事な物。この店にも大きな旗が掲げられてるでしょう?あれがそうです」

駄犬君(ガルド)はカフェテラスの店頭に掲げられた"六本傷"が描かれた旗を示す。

僕も、その旗を見上げて確認した。

「六本の傷が入ったあの旗印は、この店を経営するコミュニティの縄張りであることを示しています。もし自分のコミュニティを大きくしようと望むのであれば、あの旗印のコミュニティに両者合意で『ギフトゲーム』を仕掛ければいいのです。私のコミュニティは実際にそうやって大きくしましたから」

自慢げに語る駄犬君(ガルド)が自分のコミュニティの旗印を指差す。

………はぁ…とても煩いし、獣と鉄くさい…。こいつ、何か殺してないか…?

そして、ジンのコミュニティの話が始まったが、とても神経に触るのでダイジェストで言います。あぁ…僕、この犬っころ嫌い。

要約すると、ジンのコミュニティは、数年前までこの東区画最大手のコミュニティだったこと。このコミュニティの昔のリーダーがギフトゲームにおける戦績で人類最高の記録を持っていて、南の主軸コミュニティとも仲が良く、南の幻獣や北の悪鬼羅刹が認め、箱庭上位に食い込むコミュニティだったこと。
しかし、この箱庭の世界の最悪の天災の魔王と呼ばれる者達によって一夜で滅ぼされたこと。

駄犬君(ガルド)による説明の後……

「………で、どうですかレディ達。返事は直ぐにとは言いません。コミュニティに属さずとも貴女達には箱庭で三十日間の自由が約束されています。一度、自分達を呼び出したコミュニティと私達"フォレス・ガロ"のコミュニティを視察し、十分に検討してから ーーー」
「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合ってるもの」

は?とジンと駄犬君(ガルド)は飛鳥の顔を(うかが)う。
飛鳥は何事もなかったようにティーカップの紅茶を飲み干すと、耀と僕に話しかける。

「春日部さんは今の話をどう思う?」
「別に、どっちでも。私はこの世界に友達を作りに来ただけだもの」
「あら、以外。じゃあ私が友達一号に立候補してもいいかしら?私達って正反対だけど、意外に仲良くやっていけそうな気がするの」

飛鳥さんは自分の髪を触りながら耀に聞いた。
耀は無言でしばし考えた後、小さく笑って頷いた。

「………うん。飛鳥は私の知る女の子とちょっと違うから大丈夫かも」
『よかったなお嬢……お嬢に友達ができてワシも涙が出るほど嬉しいわ』

三毛猫がホロリと泣き、男性3人そっちのけで盛り上がる二人。そして、全く相手をされていない駄犬君(ガルド)が顔を引きつらせてまだ聞かれていない僕に話しかける。

「失礼ですが、貴女もですか?」
「ん。それと、僕は男だよ? 間違えるな。だって、血の匂いがきつい虎さんのコミュニティには入れないな。さて、何人殺した?」

っ!? と言うように盛大に顔をしかめる駄犬君(ガルド)。それに比例して、ジンや飛鳥、耀も目を細めてみる。

「な、なにを馬鹿なっ!この私がそんなことを「黙りなさい」

ガチン! と駄犬君(ガルド)は不自然な形で、勢い良く口を閉じて黙り込んだ。
本人は混乱したように口を開閉させようともがいているが全く声が出ないようだ。

「……!?……!??」
「まだ、香夜君の話は終わってないわ。それに、貴方からまだまだ聞き出さなければいけないことがあるのだもの。貴方はそこに座って、聞かれた質問に答え続けなさい」

その様子に驚いた猫耳の店員が急いでこちらに向かって駆け寄って来た。

「お、お客さん! 当店では揉め事は控えくださ ーーー」
「ちょうどいいな、仮説だけど第三者として僕の話と駄犬君(ガルド)の話を聞いて欲しい。面白いことが聞けるはずだからね」

首を傾げる猫耳の店員を制して、飛鳥は僕に話の続きを促してくる

「まず、仮説だよ? それと、ジンくんに確認したい。『ギフトゲーム』って、コミュニティの弱みを握れば脅迫とかっていいのかな?それと、コミュニティそのものを賭けた『ギフトゲーム』って早々あること?」
「はい。ですが、もちろん推奨はされていませんし、ほぼ違法の段階です。それと、コミュニティを賭けた『ギフトゲーム』はやむを得ない場合なら稀です。しかし、これはコミュニティの存続を賭けたかなりのレアケースです」
「ん、ありがとね。じゃあ、確認しておくけど仮説だからね?」

僕は、一応念を押してから多分あっている仮説を話した。

「まず、魔王のようにコミュニティ同士の戦いに強制力を持たないでコミュニティを賭けた『ギフトゲーム』の理由は戦闘力皆無(せんとうりょくかいむ)な女子供を攫って脅迫したんだろう。その後、コミュニティをまとめるために人質をとって幽閉、または殺害したんだろ。 身体からかなりの血の鉄くささがするからね。それがばれていないのならば、遺体は土に埋めたか最悪の想像だが、食ったのだろうね。証拠がなければ言っても意味がない」

かなりの苛立ちと殺気をを乗せた言葉に僕以外の全員が黙り、駄犬(ガルド)が顔をしかめさせた。
この様子だと予測は的中か。できれば当たって欲しくはなかったんだけどな…

「香夜君の予想はあたっているの?貴方教えてくださる?」
「ああ、その通りだ」

その後、僕たちは(ガルド)の罪を法で裁くことを考えた。

「そう。ならしょうがないわ」
苛立ちげに飛鳥は指を鳴らすと(ガルド)を縛り付けていた力が解けたようで(ガルド)はテーブルを勢いよく砕くと、雄叫びとともにその体を激変させた。タキシードが弾け飛び体毛は変色して黒と黄色のストライプ模様が浮かび上がる。

「テメェ、どう言うつもりか知らねえが……俺の上に誰がいるかわかってんだろうなァ!?
箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後継人だぞ‼︎俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ!その意味が
「いい加減、黙れよ。(ガルド)

講釈を言おうとした(ガルド)を止める。それに怒り狂った(ガルド)が俺に剛腕を振り上げて襲いかかる。

「遅い」

(ガルド)が殴って来た拳を受け止めて締め上げ、そのまま持ち上げて外の地面に叩きつけた。

「ギッ………!」

その光景を見て耀は驚き、飛鳥は楽しそうに笑っている。


「さて、ガルドさん。私は貴方の上に誰がいようと気にしません。それはきっとジン君も同じでしょう。だって彼の最終目標は、コミュニティを潰した"打倒魔王"だもの」

ジンは大きく息を飲むが、自分達の最終目標を飛鳥に問われて我に返ったように

「………はい。僕達の最終目的は、魔王を倒して僕らの誇りと仲間達を取り戻すこと。今さらそんな脅しには屈しません」
「く……くそ……!」

(ガルド)が身動きしようとするがダメージがでかすぎたのか地に伏せたままだ。
飛鳥は機嫌を少し取り戻した様子で足先で(ガルド)の顎を持ち上げると悪戯っぽい笑顔で話を切り出す。

「私達と『ギフトゲーム』をしましょう。貴方の"フォレス・ガロ"存続と"ノーネーム"の誇りと魂をかけて、ね」

 
 

 
後書き
………やっと、書き終わりました。
お待たせして申し訳ありませんでした。
この回は苛立ちを抑えられなくてあまり進みませんでしたので…
次は、明日投稿しようと思いますっ! 
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